ヒロインである姉を持つ、小説に出てきすらしない私のありえない話。

画鋲

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必ず成功するために

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今日は朝から屋敷中が慌ただしかった。


今日は待ちにまった国王陛下が主催するパーティが開催される日だ。

今日は失敗が許されない。朝起きた時からすべてが始まっていた。


普段は午前中は自由時間で午後から家庭教師役の人から勉学を学ぶのだが、今日は朝から復習が始まった。

いつもは優雅に二度寝をかましている時間に布団から引っぺがされて、身なりを整えられて食事の作法の復習をしつつ朝食をとった。

そのあとは、普段なら好きな本を読んでいる時間にダンスの復習。


そして昼過ぎからは、貴族の顔と名前が一致してるかの復習。


あと、もろもろの復習をして、知らぬ間にパーティ用の正装に着替えさせられたらもう屋敷を出る時間になっていた。


「それではいってまいります。」


「必ず失態を犯したりするな。これ以上我が家に泥を塗ってくれるなよ。」


父のもとへ行き、挨拶をして屋敷を出ようとしたら念を押されてしまった。

一度目の失態は私ではないというのに。


まぁ、これ以上ケンブリック男爵家の評判が落ちたら生きにくくなるのは確かなので今日はきちんと役目を果たそうと思う。


屋敷に唯一いる護衛騎士とともにだいぶ古くなったケンブリック男爵家の馬車に乗って、パーティ会場へとむかった。


馬車は古いこともあって乗り心地はとても悪かったが、今日のほぼ一日中をかけて行った復習のせいで眠くなっていた私にとってあとても丁度よかった。


今回のパーティ会場はいつもと違い王宮のメイン舞台会場で行われる。


いつもはサブ舞台会場での開催なのだが、今年は第二王子殿下のデビューの年でこの国と交友がある他国からの来賓も来るから人がたくさん人の入るメイン舞台会場での開催だそうだ。


それに、第二王子の婚約者候補決めや、側近候補決めも同時に行われるため今年がデビューではないご令嬢やご子息も多くやってくるようだ。


それについては私はまったく関係がないので気にしてないのでいいのだが、何分いつもより覚えなければいけないご貴族の名前が多いことが懸念点だった。


なんせ、貴族は同じ年の方でさえ100人以上いて、パーティへは基本家主とともに来るから2倍の人数のの名前を覚えなければいけないことになる。つまり、200人以上。


それに加えて、来賓の方、今年は候補者決めのために来られる方たちの人数を考えるとざっと400人は超える。


もともと友好関係が狭い私がこの人数を名前と顔を一致させて覚えることはとても大変なことだった。


評判の悪いケンブリック男爵家に話しかける方なんていないかもしれないが、いざというときに名前を存じ上げないのは無礼に当たる。それで、怒らせてしまうことだけは最低限してはならない。


とは言っても、多少あやふやなところはあるが。なぜだが分からないが、この国は爵位が上がれば上がるほど美形が多くなっていくのだ。


美形というのは全員が同じ顔に見えるものだ。本当に苦労した。


今回はなぜかもう爵位を父に譲った祖父と出席するのだが、家庭教師をやってくれていた方から祖父の人脈はとても広いからいざというときに助けてもらいなさい。と言われたので、一度もあったことないのだが期待している。


祖父とは会場の入口付近で合流予定なのでそれまでは頭の中で招待されている方の復習でもしようか。


私にとって最初で最後になるかもしれないパーティが始まる。
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