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その日、聖女ユリア・シマザキのもとに一人の少女がやってきた。
「聖女ユリア・シマザキ様。陛下の王命でやって参りました。ナズナ・ヤマモトと申します。」
ユリア・シマザキはナズナ・ヤマモトの言葉にこちらにきてはじめて反応した。
やはり王の見立ては間違いではなかった。
「もしかしてあなたも召喚されたの?」
ユリア・シマザキは同じ世界に同郷がいると知ると安心したようだった。
「ユリア・シマザキ様と同じニホンからやって参りました。わたくしも最初は悲しくて仕方ありませんでしたが、周りの方のおかげで今は多少の寂しさはあるものの幸せに暮らしております。」
実際はナズナ・ヤマモトには悲しむ時間すらなかったのだが、ナズナ・ヤマモトは聖女ユリア・シマザキの欲しい言葉を与える。『すべては聖女様のために』が彼女に課せられた使命だった。
だが、ユリア・シマザキそんなことは知らない。ナズナ・ヤマモトも自分とまったく同じ状況下に置かれているかわいそうな少女だと思っている。それだけでなく、自分は聖女という大変な役目になってしまったのに、彼女は何もない少女として生きていけるのかとうらやましく思うほどだった。
ユリア・シマザキとナズナ・ヤマモトはそのあとも話し続け、お互いをユリア、ナズナと呼ぶほど仲良くなった。
「ユリア、この世界は幸せに満ち溢れているわ。確かに急に故郷から連れ出されてもう二度と向こうには帰れないなんて言われたら不安になると思う。だけど、一度この世界に目を向けてみて?とってもいい人たちばかりいるのよ。みんなあなたを心配しているわ。家族や友人を忘れろとは言わないし、悲しみをすべて無くせとは言わない。けれど、こちらの世界でも一人だとは思わないで。私がいるし陛下や殿下もいる。みんなきっとあなたを助けてくれるから、一度話をしてあげて。きっと、すべて受け入れてくれるわ。」
ナズナ・ヤマモトはこの世界にきてから人の温かさなどみじんも感じていないというのにツラツラと言葉が出てくる。これはすべて術によるものだった。だが、ユリア・シマザキにはその言葉が刺さったようで余計に泣き出してしまった。
たくさん泣いた後、ユリア・シマザキは明日殿下話してみるとナズナ・ヤマモトにいった。そうするとナズナ・ヤマモトはまた聖母のような微笑みをして頭をなで「あなたは強い子だわ」といい、ユリア・シマザキがいる部屋を後にした。
そのまま王に会いに行き、今のユリア・シマザキの様子を伝え、殿下に明日ユリア・シマザキのもとへ行くようお願いをした。最後に「すべては聖女様のために」といい、王宮を去っていった。
これが、この世界が生まれてから初めて聖女と聖女代行役が接触した瞬間だった。
「聖女ユリア・シマザキ様。陛下の王命でやって参りました。ナズナ・ヤマモトと申します。」
ユリア・シマザキはナズナ・ヤマモトの言葉にこちらにきてはじめて反応した。
やはり王の見立ては間違いではなかった。
「もしかしてあなたも召喚されたの?」
ユリア・シマザキは同じ世界に同郷がいると知ると安心したようだった。
「ユリア・シマザキ様と同じニホンからやって参りました。わたくしも最初は悲しくて仕方ありませんでしたが、周りの方のおかげで今は多少の寂しさはあるものの幸せに暮らしております。」
実際はナズナ・ヤマモトには悲しむ時間すらなかったのだが、ナズナ・ヤマモトは聖女ユリア・シマザキの欲しい言葉を与える。『すべては聖女様のために』が彼女に課せられた使命だった。
だが、ユリア・シマザキそんなことは知らない。ナズナ・ヤマモトも自分とまったく同じ状況下に置かれているかわいそうな少女だと思っている。それだけでなく、自分は聖女という大変な役目になってしまったのに、彼女は何もない少女として生きていけるのかとうらやましく思うほどだった。
ユリア・シマザキとナズナ・ヤマモトはそのあとも話し続け、お互いをユリア、ナズナと呼ぶほど仲良くなった。
「ユリア、この世界は幸せに満ち溢れているわ。確かに急に故郷から連れ出されてもう二度と向こうには帰れないなんて言われたら不安になると思う。だけど、一度この世界に目を向けてみて?とってもいい人たちばかりいるのよ。みんなあなたを心配しているわ。家族や友人を忘れろとは言わないし、悲しみをすべて無くせとは言わない。けれど、こちらの世界でも一人だとは思わないで。私がいるし陛下や殿下もいる。みんなきっとあなたを助けてくれるから、一度話をしてあげて。きっと、すべて受け入れてくれるわ。」
ナズナ・ヤマモトはこの世界にきてから人の温かさなどみじんも感じていないというのにツラツラと言葉が出てくる。これはすべて術によるものだった。だが、ユリア・シマザキにはその言葉が刺さったようで余計に泣き出してしまった。
たくさん泣いた後、ユリア・シマザキは明日殿下話してみるとナズナ・ヤマモトにいった。そうするとナズナ・ヤマモトはまた聖母のような微笑みをして頭をなで「あなたは強い子だわ」といい、ユリア・シマザキがいる部屋を後にした。
そのまま王に会いに行き、今のユリア・シマザキの様子を伝え、殿下に明日ユリア・シマザキのもとへ行くようお願いをした。最後に「すべては聖女様のために」といい、王宮を去っていった。
これが、この世界が生まれてから初めて聖女と聖女代行役が接触した瞬間だった。
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