きみは優しくて嘘つきな、

こすもす

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◇第2章◇優しくて泣き虫なひと

21 ふたりの夜*

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 背中から抱きしめられる形で、僕はあぐらをかいた律の中におさまった。
 顔を見られると恥ずかしいと言ったから、律なりの配慮かもしれない。
 僕の座る箇所に、タオルを敷いてくれたのも。

 浴衣の腰紐は元々緩んでいたのか、はだけて素肌があらわになっていた。
 合わせ目から出た自分の生足が、部屋の隅の小さな提灯型の灯りに照らされる。


 律の息遣いが聴こえる。
 右の首筋に当たる吐息は熱っぽくて、それだけで体の奥がむずむすとした。

 すり、と白いシーツの上で足を曲げたり伸ばしたりすると、しんと静まった空間に響いた衣擦れの音が寄せては返す波の音に聴こえた。

「千紘」

 僕の腰にしがみつくように両手を回していた律は、唇を僕のうなじに押し当てた。
 場所を変えながら落とされる薄い唇の感覚。
 律の舌先で肌を濡らされると、たまらなく興奮した。

「……ん、」

 ギュッと目を閉じていると、少しぎこちなかった唇の動きが止んで小さく笑われた。

「力入り過ぎですよ。もっと楽にして」
「だ、だって」

 潤んだ瞳で振り向くと、鼻先の当たる距離に律の穏やかな顔があって、とっさにまた前を向いて俯いた。

 僕の方から仕掛けたことなのに、いざこうなると恥ずかしい。
 簡単だと思っていたのに、経験がない僕には未知すぎる。

 今度は、耳にキスを落とされる。
 自分よりも一回りほど大きな体に包まれている僕は、ただその慈しむような愛撫に小さく体を跳ねさせることしかできない。

 律は耳朶を唇で優しくくすぐっている。
 体を捻るけれど、全く身動きが取れない。
 唇の繊細な動きとは逆に、腰に回された腕は力強くて、獲物を捉えて離さない肉食獣のようだった。

 僕は膝を立てて、もじもじと両足を擦り合わせる。手はどこにやったらいいのか分からなくて、拳を握って宙に浮いたままだ。

 うわ────……どうしよう。
 いつの間にか、浴衣の腰紐は解けていた。
 その合わせ目に手を掛けられ、より肌を露出させられる。
 僕が身につけているのは、黒のボクサーパンツ1枚のみだ。
 足の間はもう、下着を押し上げるほどに昂っている。

「思ってたよりも随分と細い腰」
「……っ」

 律は今度は肩甲骨の辺りに唇を落として、浴衣の中に手を入れて腰を撫でてきた。
 すり、とおへそから脇腹に掛けて軽く触れられる度に、内側からじわりと滲み出す感覚があった。
 下着を汚してしまう、と手を持っていこうとしたが、我慢できずに自分で触ろうとしたと思われたら恥ずかしいので耐えた。

「ん──……ぁ……っ」

 実際、我慢ができそうになかった。
 つま先はきゅっと丸まって、自分の意思に反してビクンと体を跳ねさせてしまう。首周辺と耳と脇腹に触れられているだけで達してしまいそうだった。 

 脇腹を往復していた手のひらが、スルスルと上に上がっていった。
 律が次に触れたのは──

「………ん、なとこ、触る……の?」

 胸の尖りを、親指の腹で優しくつぶされた。
 くにくにと上下されていると、くすぐったくて変な気分になってくる。

 女子でもないのに男が乳首で感じる訳ない……初めはそう思っていた。
 自分でする時はこんなところ弄らないし、もちろん誰かに触られたことも無いし。
 律は僕の肩口に顎を乗せて、その粒の変化を楽しむように見下ろしている。

「変な感じがする?」
「ん……わかんな……ッ」

 今度は両手で、そこを摘まれた。
 親指と中指で擦り合わせるようにスリスリされる。きゅうっと少し強めに摘まれたら、今度は人差し指で表面をなぞるみたいに優しくつぶされて。
 すっかり熟れた苺のようにされた僕の乳首は、恥ずかしいくらいにツンと立ち上がっていた。
 律は徐に、自分の指の腹を舐めて、また僕の乳首の先っぽをくにくにと押した。

「──あ、あぁっ」

 湿った指に転がされると、さっきの倍くらい感じる。
 僕はあまりの快楽にいやいやと激しく頭を横に振りながら唇を噛んだ。
 僕の反応を楽しんでいる律は、嬉しそうにそこを攻め続けた。
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