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◇第5章◇優しくて切ないひと
59 お風呂場で*
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洗面台には三面鏡の大きな鏡があって、そこに映った自分の顔を見て頭が沸騰した。
この間、洗面台の縁に手を付いた僕を後ろから攻めてきた律。
その時に鏡に映ったのは、熱に浮かされた男の顔だった。
眉尻を下げ、顔を赤くし、涙をいっぱいに溜めながら手淫に翻弄されている自分自身を見る羽目になり、あのときは羞恥でいっぱいだった。
律はそんな乱れる僕を見て、ふ、と口だけで笑っていたのを思い出す。
そんなことがあったので、これからここへ入る度に恥ずかしくてくすぐったい気分になるだろう……いや、もしかしたら、もうこのマンションへは来れないかもしれない。
律は着ていたTシャツを脱いだ。
上半身があらわになると、僕の目は自然とそこへ引き寄せられた。
腹部が出てきそうな歳なのにしっかり引き締まっているし、腕に筋肉もついている。
律は僕の視線を意識しながら履いていたズボンのホックに手を掛けたので、僕はサッと後ろを向いた。
今更だけど、2人で裸になるのが恥ずかしい。
けれど、これが最初で最後かもしれないから。
「律、背中流してあげるよ」
浴室に足を踏み入れた僕は、しゅんとなっていた気持ちを入れ替えて律に言う。
律は優しく笑んで「じゃあお願いします」と椅子に座り込んだ。
シャワーの湯を律の背中にかけて、ボディーソープの付いたタオルで優しく上下する。
広くてたくましい背中だ。
陶器のようにツルッとしていて、包み込まれたい願望が湧いてくる。
ある程度洗い終えると、律の体が反転した。
「俺も洗ってあげます。あっち向いて」
「え! う、うん」
僕も勢いよく背中を向ける。
律の脚の間を目にしただけで、こんなにも顔と体が熱い。
「どうして一緒に入ろうと思ったんですか?」
律の柔らかい声が浴室に反響する。
自分から誘ったくせに、やけに緊張している僕の様子に気付いた上での質問だろう。
「……あの時、律が誘ってくれたのに入らなかったから」
背中を擦っていた動きが一瞬鈍くなる。
すぐに思い当たったようで「そうですか」と律は呟いて、動きを再開させた。
「そのまま立てますか?」
「へ? ……うん……」
言われるがまま立ち上がると、律は僕の足首やふくらはぎを洗い始めた。
思いもよらぬところを優しく刺激されて、ふるっと体が震える。
僕は元々感じやすい体質のようで、自慰の時もあまりの快感に体を震わせることが多いのだけど、律にされ始めてからさらに感度が上がった気がする。
律に触れられている妄想をしただけでドライでイけそうになるほど、律の手に慣らされてしまった。
もうすでに、律無しでは生きていけない体になっていそうで怖い。
次は膝の裏、太腿の裏と、重力に逆らって徐々に上がってこられると、ポツポツと官能の火が体につき始める。
強くも弱くもないその繊細な動きと、ジュッジュッと泡が擦れる音によって、早くも前が張りつめてしまう。
「あぁ……っ」
お尻の形に沿って泡タオルを擦られた時、誤魔化しようのないくらいに甘い声を上げてしまった。
恥ずかしくなって、自分の人差し指を甘噛みする。
「気持ちいい?」
「ぅん……っ、なんか、ゾクゾク、する……っ」
「またこの間みたいに、後ろからしてあげましょうか」
律も立ち上がって、背後から腰に手を回して抱きしめてきた。
泡だらけの僕のお尻に触れているのは律のもの。
はっと息を飲むと、急に耳たぶをかぷりと齧られ、舌先を耳の中に入れられた。
さっきの比じゃないくらいの甘い声を上げると、お尻に当たったものの硬さと大きさが、少し増したような気がする。
もしかして、最後だから律も興奮してくれているのだろうか。
そう考えると嬉しくて、全身が火照ってますます熱くなる。
この間、洗面台の縁に手を付いた僕を後ろから攻めてきた律。
その時に鏡に映ったのは、熱に浮かされた男の顔だった。
眉尻を下げ、顔を赤くし、涙をいっぱいに溜めながら手淫に翻弄されている自分自身を見る羽目になり、あのときは羞恥でいっぱいだった。
律はそんな乱れる僕を見て、ふ、と口だけで笑っていたのを思い出す。
そんなことがあったので、これからここへ入る度に恥ずかしくてくすぐったい気分になるだろう……いや、もしかしたら、もうこのマンションへは来れないかもしれない。
律は着ていたTシャツを脱いだ。
上半身があらわになると、僕の目は自然とそこへ引き寄せられた。
腹部が出てきそうな歳なのにしっかり引き締まっているし、腕に筋肉もついている。
律は僕の視線を意識しながら履いていたズボンのホックに手を掛けたので、僕はサッと後ろを向いた。
今更だけど、2人で裸になるのが恥ずかしい。
けれど、これが最初で最後かもしれないから。
「律、背中流してあげるよ」
浴室に足を踏み入れた僕は、しゅんとなっていた気持ちを入れ替えて律に言う。
律は優しく笑んで「じゃあお願いします」と椅子に座り込んだ。
シャワーの湯を律の背中にかけて、ボディーソープの付いたタオルで優しく上下する。
広くてたくましい背中だ。
陶器のようにツルッとしていて、包み込まれたい願望が湧いてくる。
ある程度洗い終えると、律の体が反転した。
「俺も洗ってあげます。あっち向いて」
「え! う、うん」
僕も勢いよく背中を向ける。
律の脚の間を目にしただけで、こんなにも顔と体が熱い。
「どうして一緒に入ろうと思ったんですか?」
律の柔らかい声が浴室に反響する。
自分から誘ったくせに、やけに緊張している僕の様子に気付いた上での質問だろう。
「……あの時、律が誘ってくれたのに入らなかったから」
背中を擦っていた動きが一瞬鈍くなる。
すぐに思い当たったようで「そうですか」と律は呟いて、動きを再開させた。
「そのまま立てますか?」
「へ? ……うん……」
言われるがまま立ち上がると、律は僕の足首やふくらはぎを洗い始めた。
思いもよらぬところを優しく刺激されて、ふるっと体が震える。
僕は元々感じやすい体質のようで、自慰の時もあまりの快感に体を震わせることが多いのだけど、律にされ始めてからさらに感度が上がった気がする。
律に触れられている妄想をしただけでドライでイけそうになるほど、律の手に慣らされてしまった。
もうすでに、律無しでは生きていけない体になっていそうで怖い。
次は膝の裏、太腿の裏と、重力に逆らって徐々に上がってこられると、ポツポツと官能の火が体につき始める。
強くも弱くもないその繊細な動きと、ジュッジュッと泡が擦れる音によって、早くも前が張りつめてしまう。
「あぁ……っ」
お尻の形に沿って泡タオルを擦られた時、誤魔化しようのないくらいに甘い声を上げてしまった。
恥ずかしくなって、自分の人差し指を甘噛みする。
「気持ちいい?」
「ぅん……っ、なんか、ゾクゾク、する……っ」
「またこの間みたいに、後ろからしてあげましょうか」
律も立ち上がって、背後から腰に手を回して抱きしめてきた。
泡だらけの僕のお尻に触れているのは律のもの。
はっと息を飲むと、急に耳たぶをかぷりと齧られ、舌先を耳の中に入れられた。
さっきの比じゃないくらいの甘い声を上げると、お尻に当たったものの硬さと大きさが、少し増したような気がする。
もしかして、最後だから律も興奮してくれているのだろうか。
そう考えると嬉しくて、全身が火照ってますます熱くなる。
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