きみは優しくて嘘つきな、

こすもす

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◇第5章◇優しくて切ないひと

60 我慢できない*

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「あ、ぁ……ん────」

 勃ちすぎてジンジンと痛くなっている僕のそれを、耳に舌を這わせながら見下ろしてくる律は、泡の付いた滑りのある手を体の中心へと滑らせていく。
 指先で触れられる直前、僕はその手を掴んだ。

「最後、なんだったら……律も、一緒にしない?」

 はぁはぁと荒い息遣いをしながら、律と鼻先が当たるくらいの近距離でお願いごとをする。
 数回瞬きをした律は、すぐに切れ長の目を細めた。

「いいえ、遠慮しておきます」

 律は素早く、僕の下半身のむき出しになっている欲望に指を巻き付けて、下から上へジュッとこすった。
 数回やられると、先っぽからは水滴とは違う雫がじわりと滲んで竿を伝い、律の指を汚していく。

「んっ……やだ……っ、りつ、も」
「言ったでしょう? 俺は男の体にはそそられないので、できませんって」
「でも……っ、あの時はっ……したじゃん……一緒に、」

 与えられ続ける快楽の合間にどうにか反論すると、急にそこを強く握られた。
 反動で先走りがぽたぽたと滴るくらいに根元を圧迫される。
 血が逆流するような感覚に、軽く目眩を覚えた。

「あっ……?! 痛……っ」
「千紘は、自分がされたいことだけ考えていてくれればいいです」
「あっ……だめっ……それ……」

 快楽を強制的に止められ、見悶える。
 はやく動かして扱いてほしいのに。
 足がガクガクと震えてきて自力では立っていられない。

 膝がガクッと折れると、律の片足が脚の間に差し入れられてそこに体重をかける体勢になった。
 すると律の濡れた太腿に、尻の奥のあらぬところが触れてしまう。

 腰を上げて逃げようとすると、律はそこを足でグリグリと上下して擦ってきた。
 1ミリも隙間がないくらいに押し付けてこすられると、どうしようもなく気持ち良くて首を振った。

「あっ……やだ……! 律と……っいっしょ、に……!」
「この後、イくのを我慢できたら一緒にしてあげてもいいですよ」

 ふふ、と律は余裕の笑みで僕の首筋に舌を這わせる。
 まただ。何、このドS。
 欲望を解放できない状態で快感を与え続けられるのは一種の拷問の近い。

 だが耐えなければ。
 律と2人でするためだ。
 僕は唇を噛んで、体をブルブルと震わせる。

「じゃ、じゃあ……我慢……する……っ」

 ふっと不敵な笑みを浮かべた律は、上下に擦っていた足の動きをピタリと止めた。

 急に無くなった刺激に心許なくなって、僕の腰が勝手に怪しく揺れ始める。
 泡も濡れた皮膚の感触も善すぎて、我慢しなくちゃならないのに欲望を解放したくなる。

 だけど前も握られたままだ。
 赤く腫れ上がっているそれは、時折つらそうにフルッと震えている。

 耐えきれずにまた体を揺らすと、腰全体に甘い疼きが広がっていく。

「………っあ」

 緩んでいた律の手の力がまた強くなる。
 根元をギュッとされると、目の前に星がチカチカと飛ぶ。

 出したい。出したい。
 その泡だらけの湿り気のある手で、たくさん扱いて欲しい。
 そうしたらおかしくなるくらいに気持ちがいいのに。

「腰、すごく動いてますよ……可愛い。千紘」

 蕩けきった僕の耳を掠めたのは、低音の心地よい響きで。
 ぶわっと肌が粟立つ。
 可愛いとはもう言われないと思っていたのに、なぜいま、躊躇なく言うのか。

 律は本気で、僕を思い出にする気だ。

「───千紘、可愛い」
「あっ……やだ、い……っ言わな……でっ」
「千紘」
「ん───……」

 低音がたくさん耳に注ぎ込まれる。
 空いていた片手で胸の突起をきゅううっと摘まれ、後ろを太腿で強く擦られ、竿をクチュクチュと上下させながら先端の割れ目を軽く引っ掻かれた僕は、あっという間に白濁を放ってしまった。

「あっ……我慢、するって、言ったの、に……っ」

 パタパタと床に落ちていく蜜は途中では止められない。それを見ながら僕はいやいやと頭を横に振る。
 太ももを震わせて全てを出し切ってしまった後、律を振り返った。

「い、意地悪……」
「残念でしたね」

 律とこういうことをしていると、意外な一面が見えてくる。
 律は僕を究極に困らせるのも、究極に悦ばせるのも上手だ。

 欲望を発散させた瞬間は蕩けそうな程に気持ちが良かったけれど、すぐに空虚な心になる。

 僕は律とはもう、会えない。
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