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◇第6章◇優しくて不器用なひと
61 雷さん
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あれから2週間が経つが、僕はずっと律に連絡ができないでいた。
あっちからも特に連絡はないので会っていない。
そもそも今まで、僕が一方的にマンションに通っていただけだ。
誘われたのはプラネタリウムくらいだけど、色々とあったし。
自分が連絡をしなければこの関係は簡単に終わる。自分がいなくなったとしても、彼にとっては別に差し支えないんだろうと言った素晴くんの言葉を思い出すと、長いため息が出る。
律にとっても、僕はその程度の存在だったのだと思い知らされた。
ちなみに素晴くんにはあの後、嘘の報告をした。
僕のために計画を立てて頑張ってくれたのだし、傷付けたくなかったので『律は嫉妬したと言ってくれて、あの後たくさんイジワルされちゃった』と悪戯っぽく伝えておいた。
素晴くんは『でしょー!』と喜びに満ちた声で笑っていたので、ちょっと胸が痛んだが演技をした。
律とどんな顔をして会えばいいのか分からなかった。
会いたいのに会いたくないという矛盾した気持ちが心に渦巻いている。
だから今日、律のマンションの前まで来たくせに、直接会うのは怖くてウロウロとした。
マンション近くの児童公園のベンチに座っても、ソワソワしているだけ。
意を決して立ち上がりエントランスに向かおうとするも、勇気が出なくて座り込むというのを何度も繰り返した挙句、身に染みる寒さに耐えきれなくなり、自宅へ帰るために駅へ踵を返した。
白い息を吐いて、よたよたと歩きながら夜空を見上げる。
今日は三日月だ。星もよく見えるが、あのプラネタリウムほどではない。
あの満天の星空も、今のこの夜空も律の隣で見たかった。
もしかしたら律は今頃、好きな人と一緒にこの空を見ていたりして。
けれど結婚相手だったらそれはないか?
だったら僕と見て欲しいと願いながら、唇をかんだ。
どうして僕は女の人ではないのだろう。
かじかんだ手を温めるためにコンビニでホットコーヒーを買った。
両手でカップを包み込み、フーフーと息を吹きかけて1口飲む。
美味しいけど、律のために淹れていたハンドドリップのコーヒーの味のほうがまろやかでコクがある気がした。
何を見ても、何をしていても律と結びつけてしまう。
どうしたらいいのか分からなかった。
今までこんなに好きになった相手などいない。
なのに好きな人は僕を好きでは無い。
むしろ嫌われたような気もしている。
そういう場合は、一体どうしたらいいのだろう。
じわじわと目に涙が滲んできたのを誤魔化すように、コーヒーをぐいっと飲んだ。
熱い液体が喉元を過ぎた時、どこか見覚えのある金褐色の頭をした人が近付いてくるのが見えた。
サングラスを掛けているその男の人は上背があり両足がモデルのようにスラリと伸びている……まぁ実際、モデルなのだけど。
「……雷さん」
スマホを片手にコンビニに入ろうとするところを呼び止めると、雷さんはぴたりと立ち止まり、僕を上から下までじろりと舐めまわすように見た。
サングラスをずらしてもなおジロジロと見てくるが、僕に全くピンと来ていないと察してぺこりと頭を下げた。
「あ、僕、深山です。最近お会いしたんですけど……律の家で」
「あっ、あぁー! 思い出したよ深山くん! その節はどうも!」
ようやく雷さんは笑顔になり、僕の肩に腕を回してゆさゆさと揺さぶってきた。
距離感がバグっている馴れ馴れしさは、やはり素晴くんを連想させる。
僕はコーヒーを零さぬようにカップをしっかりと握った。
あっちからも特に連絡はないので会っていない。
そもそも今まで、僕が一方的にマンションに通っていただけだ。
誘われたのはプラネタリウムくらいだけど、色々とあったし。
自分が連絡をしなければこの関係は簡単に終わる。自分がいなくなったとしても、彼にとっては別に差し支えないんだろうと言った素晴くんの言葉を思い出すと、長いため息が出る。
律にとっても、僕はその程度の存在だったのだと思い知らされた。
ちなみに素晴くんにはあの後、嘘の報告をした。
僕のために計画を立てて頑張ってくれたのだし、傷付けたくなかったので『律は嫉妬したと言ってくれて、あの後たくさんイジワルされちゃった』と悪戯っぽく伝えておいた。
素晴くんは『でしょー!』と喜びに満ちた声で笑っていたので、ちょっと胸が痛んだが演技をした。
律とどんな顔をして会えばいいのか分からなかった。
会いたいのに会いたくないという矛盾した気持ちが心に渦巻いている。
だから今日、律のマンションの前まで来たくせに、直接会うのは怖くてウロウロとした。
マンション近くの児童公園のベンチに座っても、ソワソワしているだけ。
意を決して立ち上がりエントランスに向かおうとするも、勇気が出なくて座り込むというのを何度も繰り返した挙句、身に染みる寒さに耐えきれなくなり、自宅へ帰るために駅へ踵を返した。
白い息を吐いて、よたよたと歩きながら夜空を見上げる。
今日は三日月だ。星もよく見えるが、あのプラネタリウムほどではない。
あの満天の星空も、今のこの夜空も律の隣で見たかった。
もしかしたら律は今頃、好きな人と一緒にこの空を見ていたりして。
けれど結婚相手だったらそれはないか?
だったら僕と見て欲しいと願いながら、唇をかんだ。
どうして僕は女の人ではないのだろう。
かじかんだ手を温めるためにコンビニでホットコーヒーを買った。
両手でカップを包み込み、フーフーと息を吹きかけて1口飲む。
美味しいけど、律のために淹れていたハンドドリップのコーヒーの味のほうがまろやかでコクがある気がした。
何を見ても、何をしていても律と結びつけてしまう。
どうしたらいいのか分からなかった。
今までこんなに好きになった相手などいない。
なのに好きな人は僕を好きでは無い。
むしろ嫌われたような気もしている。
そういう場合は、一体どうしたらいいのだろう。
じわじわと目に涙が滲んできたのを誤魔化すように、コーヒーをぐいっと飲んだ。
熱い液体が喉元を過ぎた時、どこか見覚えのある金褐色の頭をした人が近付いてくるのが見えた。
サングラスを掛けているその男の人は上背があり両足がモデルのようにスラリと伸びている……まぁ実際、モデルなのだけど。
「……雷さん」
スマホを片手にコンビニに入ろうとするところを呼び止めると、雷さんはぴたりと立ち止まり、僕を上から下までじろりと舐めまわすように見た。
サングラスをずらしてもなおジロジロと見てくるが、僕に全くピンと来ていないと察してぺこりと頭を下げた。
「あ、僕、深山です。最近お会いしたんですけど……律の家で」
「あっ、あぁー! 思い出したよ深山くん! その節はどうも!」
ようやく雷さんは笑顔になり、僕の肩に腕を回してゆさゆさと揺さぶってきた。
距離感がバグっている馴れ馴れしさは、やはり素晴くんを連想させる。
僕はコーヒーを零さぬようにカップをしっかりと握った。
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