きみは優しくて嘘つきな、

こすもす

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◇第7章◇優しくて大好きなひと

80 おやすみ*

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 前からされると、情けない泣き顔を見られることになる。それに、僕の隠しようのない濡れそぼった屹立も。
 動きや熱量は衰えるどころか、余計に勢いに拍車がかかったような気がする。
 ひときわ強く奥まで入れられて腰を引くと、また両手で腰を掴まれて固定された。

 僕は上気した顔で律を見上げ、首をふるふると横に振る。
 本当に無理。
 そう伝えたつもりなのに、律は僕の目の縁に溜まっていた涙を指先で拭った。

「とろとろだね、千紘。俺はきみが可愛くてしょうがないです」

 愛おしそうに律が緩く笑う。
 顔が振ってきたので、目を閉じて唇を受け止める。
 夢中で唇を絡めあって、繋がっている部分はどんどん曖昧になって。

「律……っ、」

 好きで、大好きで、どうにかなってしまいそうだ。

 さっきよりも抜き差しの加減が弱くなったのに、律への想いで胸がいっぱいになった途端、絶頂が訪れた。
 堪えようと思う間もなく、白濁の液を散らしてしまう。

「──────あ……っん……!」

 自分の手の甲を口に当てて、ビクンビクンと腰を跳ねさせた。
 全てを出し切ると、荒い息遣いが残る。

 目を閉じて程よい気だるさに浸っていると、前触れなく腰の動きを再開されて、目を見開いた。

「あっ、だめ……っ、動いちゃ……もうイったからぁ……っ」
「うん、ごめん。俺はまだイってないから」
「やっ嘘……っ」
「もう少しだけ付き合ってね、千紘」

 甘く優しい声だけど、反論は許されないらしい。

 律はイったばかりの僕のものをきゅっと握って、上下に扱き始めた。
 敏感になっているそれはあっという間に勃ちあがり、後ろも深いところまで抉られて、何も考えられなくなった。

「ぁ、やだ……っ、おかしく、なる……っ」
「……なってくれたら、嬉しいです」

 喉を鳴らして、律の首に腕を回して抱き付いたのは覚えているが、その後はおぼろげだ。

 最奥が灼けるように熱くなったのを感じ、弛緩した律の身体の重みを受け止めたような気がする。




 ぼんやりと律の首筋のホクロを見つめながら、しばらく腕の中にいた。
 まるでぷかぷかと海に浮いているような感覚で気持ちよくて、充溢感でいっぱいだった。

「おやすみ」

 何も心配はないよと言うように、強く優しく抱きしめられた僕の意識は白く薄れて、溶けていった。
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