16 / 22
誰ですか?先生が出来ました。
しおりを挟む
アチェロさんの突然の訪問から一夜明けて、目が覚めると私は昼前まで目覚めなかった。色々あって疲れていたみたいだ。
みんな忘れてますけど、私の体は4歳児…。
体力ないんですよ~。って、独り言多いですね。
クレアが身支度をしてくれた後、遅い朝食を済ませて皆が待っている談話室に向かった。
クレアの話曰く、家庭教師のアチェロさんは朝早くにやって来たらしい。
(夜中に訪問なんて、兄様達に言えないよね…。)
私は口を噤む事にした。
談話室に入ると、皆揃っていた。
(ん…?)
父様とセバスチャンの横に立つ、黒いローブに後ろで髪を一つに緩く縛った、父様や兄様に負けない美男子がいた。
「セーラ、おはよう。ゆっくり眠れたかい?」
「…にいさま、おはようこざいます…。」
呆然と立ち尽くしていると、兄様が私の側まで来て、おはよう、と額に口付けすると、手を引いて皆の前に連れて行った。
「いや、悪かったね~。つい大人扱いしちゃったよ。体はまだ子供だったねぇ。」
「「!?」」
「…あちぇろさん…?」
私が驚いて目を大きくしていると、兄様とダニエルが怪訝そうな顔をした。
驚いてそれに私は気づいてない。
アチェロさんはそんな兄様達を見て、私の方へ歩み寄って来た。
「なんだいセーラ嬢。…もうオイラの事…忘れちまったのかい?」
「「!!」」
顔を近づけると声を落としてアチェロさんは見つめる。
「あちぇろさん!ちかいですよ!?」
「…もう、名前を呼んでくれないのかい?」
耳元で囁くと、真っ赤になっているだろう私を、兄様とダニエルがアチェロさんから引き離して背に隠す。
耳の奥で声がまだ響いてる。
「先生、セーラから離れて下さい。」
「悪い悪い!冗談だよ~。」
兄様達が殺気を隠そうともしない中で、何でもない様な涼し気な顔をしている。
(顔が熱い…。…あんなにイケメンなんて詐欺だ。)
そんな様子を見ていた父様がギロリと鋭い目でアチェロさんを見ると、こほん、と空気を変えるように私達を見た。
「改めて、今日から君達の家庭教師に来てくれたアチェロだ。」
「よろしく~。」
「こう見えても高位魔導師だよ。私とリリーの昔からの友人だ。」
父様の『高位魔導師』の一言に、兄様と姉様は目を大きくする。
「こう見えてもって、酷いなぁ。あ、でもやるからには手は抜かないよ~。」
「セーラには近づき過ぎるなよ。」
「へいへい。わかってますって。えっと…ルーチェ様にルークス様だね、改めてよろしく。」
「アチェロ先生、様付けは不要です。貴方は私達の師になるのですから。」
姉様に言われて、アチェロは目を軽く開くと口先を少し持ち上げた。
「じゃあ、ルーチェ、ルークス。君達には学園に入るまでに時間が足りない。 基礎は出来ているとソティから聞いているから、急ぎで教える事になるけどいいかい?」
「「はい!」」
急に真面目な顔をして兄様と姉様を見たアチェロさんに、兄様と姉様はしっかり頷いて返事をした。
「セーラ嬢とダニエルくん…ダニエルは、二人と交代して練習していこうかな?」
「はい。わかりました。」
「…はい。」
「うんうん、皆頑張ろうね~。」
目を細めて優しく言うアチェロさんに私も笑顔で答えると、ダニエルは不満気だった。
こうしてアチェロさんからの魔法練習が始まった。
◇◇◇◇◇
アチェロさんは普段の態度からは想像も出来ないくらい、凄腕の魔術師だった。
『高位魔導師』と呼ばれているだけはある。
兄様と姉様はどんどん吸収していって上級魔法まで覚えていった。
「やり過ぎだ!」と父様に叱咤されていたけれど、兄様達がどんどん吸収するのが楽しいらしい。
私とダニエルも基礎をしっかり覚えて、応用まで出来るようになった。
アチェロさんには本当に感謝だわ。
差し入れのサンドイッチを持っていくと、物凄く喜んだ。
それはそうだろう。この世界には無い、マヨネーズを使っているのだから。
サンドイッチも無かったけどね。
『もう二度と食べられないと思ってた!!』
アチェロさんの泣きながら食べる姿に、兄様達は驚いていた。
(事情を知らない人は驚くよね。)
「もうさ~、これはオイラのお嫁さんになるしかないよね~。」
「「「セーラは渡しません!」」」
なんて冗談言うから、兄様とダニエルだけじゃなく、姉様からも冷たい冷気が漂っていたから困る。
父様と母様に転生者である事を話してから、私は自由に台所にも入らせてもらえるようになった。
(もちろん、大人が一緒にだけど。)
母様は特に、17歳の私とセーラの両方の気持ちを尊重してくれた。
ちょっと前に…初めて火を使った時は、物凄く怒られたけど。
『いくら心が大人でも、危ない事はしちゃいけません!!』って。
うん。セーラ自体の体は4歳児だもんね、気をつけます。
あ、でも料理は辞めないよ?
ここに来てからずっと我慢してたんだもん。
前は家族と疎遠で一人暮らししてたから、料理は好きだしちょっと得意だった。それに…。
皆にもっと美味しい物を沢山食べてもらいたい。
父様達に転生者だと告げてよかった。
もっと、この家の家族が好きになった。
いつか兄様と姉様、ダニエルにも言える日が来るかな?
そうして過ごしている内に、月日は流れて、兄様と姉様と離れる日が近づいていた。
兄様と姉様は春から学園の寮に入る為にこの家を出る。
みんな忘れてますけど、私の体は4歳児…。
体力ないんですよ~。って、独り言多いですね。
クレアが身支度をしてくれた後、遅い朝食を済ませて皆が待っている談話室に向かった。
クレアの話曰く、家庭教師のアチェロさんは朝早くにやって来たらしい。
(夜中に訪問なんて、兄様達に言えないよね…。)
私は口を噤む事にした。
談話室に入ると、皆揃っていた。
(ん…?)
父様とセバスチャンの横に立つ、黒いローブに後ろで髪を一つに緩く縛った、父様や兄様に負けない美男子がいた。
「セーラ、おはよう。ゆっくり眠れたかい?」
「…にいさま、おはようこざいます…。」
呆然と立ち尽くしていると、兄様が私の側まで来て、おはよう、と額に口付けすると、手を引いて皆の前に連れて行った。
「いや、悪かったね~。つい大人扱いしちゃったよ。体はまだ子供だったねぇ。」
「「!?」」
「…あちぇろさん…?」
私が驚いて目を大きくしていると、兄様とダニエルが怪訝そうな顔をした。
驚いてそれに私は気づいてない。
アチェロさんはそんな兄様達を見て、私の方へ歩み寄って来た。
「なんだいセーラ嬢。…もうオイラの事…忘れちまったのかい?」
「「!!」」
顔を近づけると声を落としてアチェロさんは見つめる。
「あちぇろさん!ちかいですよ!?」
「…もう、名前を呼んでくれないのかい?」
耳元で囁くと、真っ赤になっているだろう私を、兄様とダニエルがアチェロさんから引き離して背に隠す。
耳の奥で声がまだ響いてる。
「先生、セーラから離れて下さい。」
「悪い悪い!冗談だよ~。」
兄様達が殺気を隠そうともしない中で、何でもない様な涼し気な顔をしている。
(顔が熱い…。…あんなにイケメンなんて詐欺だ。)
そんな様子を見ていた父様がギロリと鋭い目でアチェロさんを見ると、こほん、と空気を変えるように私達を見た。
「改めて、今日から君達の家庭教師に来てくれたアチェロだ。」
「よろしく~。」
「こう見えても高位魔導師だよ。私とリリーの昔からの友人だ。」
父様の『高位魔導師』の一言に、兄様と姉様は目を大きくする。
「こう見えてもって、酷いなぁ。あ、でもやるからには手は抜かないよ~。」
「セーラには近づき過ぎるなよ。」
「へいへい。わかってますって。えっと…ルーチェ様にルークス様だね、改めてよろしく。」
「アチェロ先生、様付けは不要です。貴方は私達の師になるのですから。」
姉様に言われて、アチェロは目を軽く開くと口先を少し持ち上げた。
「じゃあ、ルーチェ、ルークス。君達には学園に入るまでに時間が足りない。 基礎は出来ているとソティから聞いているから、急ぎで教える事になるけどいいかい?」
「「はい!」」
急に真面目な顔をして兄様と姉様を見たアチェロさんに、兄様と姉様はしっかり頷いて返事をした。
「セーラ嬢とダニエルくん…ダニエルは、二人と交代して練習していこうかな?」
「はい。わかりました。」
「…はい。」
「うんうん、皆頑張ろうね~。」
目を細めて優しく言うアチェロさんに私も笑顔で答えると、ダニエルは不満気だった。
こうしてアチェロさんからの魔法練習が始まった。
◇◇◇◇◇
アチェロさんは普段の態度からは想像も出来ないくらい、凄腕の魔術師だった。
『高位魔導師』と呼ばれているだけはある。
兄様と姉様はどんどん吸収していって上級魔法まで覚えていった。
「やり過ぎだ!」と父様に叱咤されていたけれど、兄様達がどんどん吸収するのが楽しいらしい。
私とダニエルも基礎をしっかり覚えて、応用まで出来るようになった。
アチェロさんには本当に感謝だわ。
差し入れのサンドイッチを持っていくと、物凄く喜んだ。
それはそうだろう。この世界には無い、マヨネーズを使っているのだから。
サンドイッチも無かったけどね。
『もう二度と食べられないと思ってた!!』
アチェロさんの泣きながら食べる姿に、兄様達は驚いていた。
(事情を知らない人は驚くよね。)
「もうさ~、これはオイラのお嫁さんになるしかないよね~。」
「「「セーラは渡しません!」」」
なんて冗談言うから、兄様とダニエルだけじゃなく、姉様からも冷たい冷気が漂っていたから困る。
父様と母様に転生者である事を話してから、私は自由に台所にも入らせてもらえるようになった。
(もちろん、大人が一緒にだけど。)
母様は特に、17歳の私とセーラの両方の気持ちを尊重してくれた。
ちょっと前に…初めて火を使った時は、物凄く怒られたけど。
『いくら心が大人でも、危ない事はしちゃいけません!!』って。
うん。セーラ自体の体は4歳児だもんね、気をつけます。
あ、でも料理は辞めないよ?
ここに来てからずっと我慢してたんだもん。
前は家族と疎遠で一人暮らししてたから、料理は好きだしちょっと得意だった。それに…。
皆にもっと美味しい物を沢山食べてもらいたい。
父様達に転生者だと告げてよかった。
もっと、この家の家族が好きになった。
いつか兄様と姉様、ダニエルにも言える日が来るかな?
そうして過ごしている内に、月日は流れて、兄様と姉様と離れる日が近づいていた。
兄様と姉様は春から学園の寮に入る為にこの家を出る。
0
あなたにおすすめの小説
転生者と忘れられた約束
悠十
恋愛
シュゼットは前世の記憶を持って生まれた転生者である。
シュゼットは前世の最後の瞬間に、幼馴染の少年と約束した。
「もし来世があるのなら、お嫁さんにしてね……」
そして、その記憶を持ってシュゼットは転生した。
しかし、約束した筈の少年には、既に恋人が居て……。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました
ララ
恋愛
3話完結です。
大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。
それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。
そこで見たのはまさにゲームの世界。
主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。
そしてゲームは終盤へ。
最後のイベントといえば断罪。
悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。
でもおかしいじゃない?
このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。
ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。
納得いかない。
それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる