モブのモブ!? 気付いたら、大好きなアニメの世界だった!?

SORA

文字の大きさ
52 / 58

52

しおりを挟む
ヴァルとドウェインが部屋から出て暫く経った頃、大きな物音がして身が竦んだ。
外では争っているのだろう。悲鳴や咆哮が聞こえて来る。
その悲鳴や咆哮が次第に此方に近づいて来るようで、私は部屋の隅に身を潜めた。

ドウェイン様が言っていた貴族達なのかな?それともエリオット様の部下、クラウス達?

そんな事を考えていると、勢いよく部屋の扉が開いた。

「お嬢さん!無事ですね!?」

「ドウェイン様!」

入って来たドウェインは私の無事を確認すると安堵の表情を浮かべた。

「お嬢さんすみません。貴女の助けが来る前に奴らの方が先に攻めて来てしまいました。」

「…っ!!」

「今はヴァルや私の部下が応戦しています。大丈夫、貴女は必ず無事帰しますから。」

「ドウェイン様…。」

攻めて来たと言うドウェインの言葉に身を強張らせる私に、優しく微笑みかけてくれるドウェイン。
私の心配をしている場合ではないのに…。

そんな心配をしていた私の手を取り、少しでも安全な場所へと向かうドウェインは約束を果たそうとしてくれていた。

邸の一番奥まで来ると、ドウェインは私に隠れる様にと告げて来た道を戻って行った。


ドウェインが出て行って入れ違いに扉を叩く音がする。
ドウェインではないと身を強張らせると、扉越しに「私です。」とあの時聞いた姿の見えない声の主に声をかけられた。

「お嬢様、あと少しでクラウス殿達が到着しますよ。」

「!」

「そのまま此処で身を潜めていて下さいね。」

そう言うと扉の向こう側から人の気配が消えた。

「クラウスが…来てくれた…。」

騙された私が悪いのに、こうして探し出してくれたのだと思うと嬉しくて、酷い罪悪感と共に喜びで胸の奥がギュッとなる。

あの日からずっと会いたいと探していた彼と、こんな形でも会えると思うと不思議と恐怖も薄れていた。


クラウスが来ると言う知らせが来てからどれくらい経っただろうか。
突然爆破音が響き建物が大きく揺れた。

地震!?

地震かと身を屈めたけれど違う。扉の隙間から少しずつ煙が入って来た。邸に火が放たれたのだ。

「…っ…コホッ…コホッ!」

むせ返るくらい煙が部屋の中を覆う中勢いよく扉が開くと、ドウェインが息を切らして入って来た。

「無事ですか!?」

「…ドウェイン様。」

「…っは……すみません。奴らが火を放ちました。此処も危険です。」

「…っ!」

息を整えながらドウェインに告げられたのは、この部屋も危険だと言う事だった。

「奴らが火を放った後撤退したのでヴァルが追っています。少なくとも今邸の中よりは外が安全です行きましょう!」

そう言うとドウェインは私に布を被せて、燃え盛る邸の中を進んで行く。

エントランスが見えてもう少しで外に出られる!そう思っていたその時、外から邸へと向かう人影を捉えた。

「…っ!」

「マーガレット!!」

「クラウス…っ!」

クラウスの姿を見た私は彼の元にフラフラと吸い寄せられる様に歩いていく。
クラウスも私の姿を見て駆け寄ろうとした。

ガラッ。

「お嬢さんっ!!」

「マーガレットっ!!」

ドウェインとクラウスが何かに気付いて私に叫ぶ。
立ち止まって彼らが見ていた上を見上げると、私の上に天井が焼け落ちて来た。

「!!」

もう駄目だ!と自らに来る衝撃にギュッと目を瞑ると、ドンッと背中を強く押された。

「!?」

「マーガレットっ!!」

倒れ込む私はクラウスに抱き留められていた。

「クラウス!」

「無事で良かった…っ!」

クラウスは私の存在を確認するかの様にギュッと強く抱きしめた。

「マーガレット怪我は?」

「大丈夫です。誰かに背中を押されて…っ!!」

抱き締めていた拘束を解いて無事を確認するクラウスに大丈夫だと言うと、誰かに助けられたのだと気付く。

私がいた場所を慌てて振り返ると、瓦礫の向こう側にドウェインを見つけた。

「ドウェイン様!」

「…お嬢さん無事で良かった。」

「…ドウェイン様が助けて下さいましたから。ドウェイン様も早く此方へ!」

ドウェインは私の姿を確認すると安堵した様に笑みを見せた。
早く逃げようと声をかけると、ドウェインは首を横に振る。

「ドウェイン様!」

「…クラウス・オルセン。お嬢さんを頼む。」

ドウェインはクラウスに私を託す様に言うと、しっかりと頷き私を抱えて歩き出した。

クラウスの背中越しに見えるドウェインは優しい笑みを浮かべていた。


これはーー。

思い出した。

瓦礫からシーラを守ってドウェインが、傷を負って逃げられないと悟ってシーラをクラウスに託して命を落としてしまう。そんな場面だった。

シーラではないけれど、私を庇ってドウェインは怪我をしたのかもしれない。
ドウェインがその場を一歩も動いていないのだ。
 
このままではドウェインはあのアニメと同じ様に命を落としてしまう。

「ドウェイン様!クラウス降ろして!ドウェイン様は私を助けてくれたのっ!助けなきゃ!!お願い!降ろしてっ!!」

「……。」

「クラウスっ!このままではドウェイン様がっ!!」

「…ありがとう。」

必死で訴えかけるも、クラウスは無言でエントランスを抜ける。
見送るドウェインの言葉は燃え落ちて来る音に掻き消されて、私に届く事はなかった。

入口付近まで来るとドウェインがいる場所が一気に崩れ落ちた。




しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。

若松だんご
恋愛
 「リリー。アナタ、結婚なさい」  それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。  まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。  お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。  わたしのあこがれの騎士さま。  だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!  「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」  そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。  「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」  なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。  あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!  わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。

ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・ 強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。

処理中です...