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クラウスに打ち明けよう。
そう決意して彼の目をしっかりと見据えた私はゆっくりと話始めた。
「私…少し前に生まれる前の記憶を思い出したの。」
私が告げた言葉にクラウスは少しだけ目を大きくした。
当然だろう。こんな突拍子もない事を言い出すのだから。けれどクラウスは私の言葉を驚きながらも待っていてくれる。
「…生まれる前、前世でこの世界とよく似た物語を私は知っているの。」
「物語?」
首を傾げたクラウスに私は頷いて言葉を続ける。
「その物語には私以外の私の周りにいる方々が出て来て…エリオット様やヘクター、クラウス…貴方も出て来た。」
「…っ!」
「それに…その物語の中であの方、ドウェイン様も出て来たの。」
ドウェインに助けられた事を思い出した私は、胸が押し潰される様でギュッと胸元を押さえた。
「…だから、さっきの出来事を知っていた?」
クラウスの言葉に頷く私を見て、何かを考える様に暫く黙った。
信じてもらえるだろうか?
緊張と不安で俯いた私の手をクラウスの手が包み込んだ。強く握られていた私の手を優しく解いてくる。
私が顔を上げるとクラウスは小さく微笑んでくれる。
「マーガレット大丈夫だ。驚いたが君を信じる。」
「クラウス…ありがとう。」
クラウスの言葉に安堵した私は強張っていた体の力が抜けるのを感じた。
思っていた以上に緊張していたんだ…。
「それで…マーガレットは誘拐されると判っていてドウェインの所に来たのか?」
「え?」
「いくら大丈夫だと判っていても危険すぎる。」
「え?いえ…。」
「これからはちゃんと話してくれ。君に何かあったらと思うと俺は…。」
「ク、クラウス…あの…っ!」
「マーガレット君が大切なんだ。」
真剣な眼差しでしっかりと手を握り締めながら言うクラウスに私は困惑した。
「は、話を聞いて…っ!」
「すまない…。」
クラウスの切な言葉に頬に熱が集まるのがわかる。私を思ってくれると知って胸の奥がギュッと痛む…が!今はちゃんと説明しなければ!
「き、記憶は断片的なの…。誘拐される事を知っていた訳じゃなくて、ドウェイン様が誰かを庇って瓦礫に…それを知っていたの…。」
「マーガレット…。」
「でも…知っていてもドウェイン様を助ける事は出来なかった。」
「うん…?」
「私がもっと早く思い出していれば、ドウェイン様の死を止められたかもしれないのに…っ!」
「!」
ドウェイン様を助けられたかもしれないと悔やんでいると、それを黙って聞いていたクラウスが何かに気付いた様にハッとして、下を向いた私の肩に手を置いた。
「…クラウス?」
「…マーガレット、その物語でドウェインは死んだのか?」
「はい…。」
「物語はその通りに進んでいくのか?今までも?」
クラウスは急に何を言い出すのだろう?とは思ったが、その質問に私は首を横に振る。
物語の通りに進んでいるのならクラウスはシーラと結ばれている筈だ。
そもそもドウェインの誘拐事件なんて無かった。
物語の中のドウェインが乱戦の中庇っていたのはシーラだったのだから。
「…マーガレット、他言しないと約束してくれるか?」
私が考え混んでいると、クラウスは肩を掴んでいた手をさらにギュッと掴む。
痛みはないけれど、近距離に息を呑む。
私がしっかりと頷くと、それを見たクラウスも頷く。
「マーガレット、ドウェインは生きてる。」
「…。」
クラウスが静かに呟いた言葉は馬車の中に酷く響いた。
「クラウス…いま…なん…て…?」
ドウェインを助けられなかった後悔から都合の良い幻聴でも聞こえたのだろうか?
信じられない言葉が聞こえた気がする。
「ドウェインは生きているんだ。死んでいない。」
しっかりと私の耳に届く様に告げたクラウスの言葉に体が震え出す。
ドウェインが生きている。
物語通りにはならなかったのだろうか?
ああ、でも…。
物語通りには進まなくても、ドウェインは生きている。その安堵から、私の頬を大粒の涙が溢れ出して目の前のクラウスが歪んでいく。
「…っ…た……よか……っ!」
安堵から涙が止まらなくなった私の頬をクラウスが拭って困った様な顔をしながら、けれど優しい眼差しで私を見つめている。
「クラウス…大事な事なのに教えてくれてありがとう。」
クラウスは眉を下げて少しだけ困った様な顔を見せながら笑みを見せた。
◇◇◇◇◇
無事ブラン家まで送り届けたクラウスに両親は手を取って感謝を伝えていた。私を連れて帰ると約束していたらしい。
「クラウス、本当にありがとう。」
帰り際にクラウスを馬車の前まで見送りながらお礼すると、クラウスは小さく微笑んんだ後、真っ直ぐ見つめた。
「近い内に今日の事でエリオット様から呼び出しがあると思う。」
「はい…。」
「マーガレットは誘拐事件の被害者になるからな。」
別れ際にクラウスは私に近い内に呼ばれるだろうと話しながら私の頬に手を添えた。
「大丈夫、俺も一緒に行くしずっと側にいる。…もう後手に回るのは辞めだ。」
「クラウス…?」
「俺のいない場所で君に何かあったら耐えられない。」
この誘拐事件は両親だけでなく、クラウスにも心配をかけていたのだと知り胸が痛む。
「ごめんなさい…。」
「謝らなくていい。俺が側にいたいんだ。側で君を守る事を許してくれ。」
懇願する様に真っ直な目で私を見るクラウスに、胸が苦しくて言葉にならない私は頷く事しか出来ない。
「…あんまり可愛い顔してると連れ去りたくなるからもう行くよ。」
「かわ…っ!」
「決しては一人で行動しない事。いい?」
私の頬に触れたままのクラウスの手がスルリと動く。
触れられた場所に熱が集まるのを感じながら、クラウスのその甘さを含んだ声に動揺する私はコクコクと首振り人形の様に頷く。
「…じゃあまた。」
満足気に目を細めるクラウスは近付くと耳元でそっと呟くと、頬に温かなものが触れた。
「!?」
離れる際にチュッ…と耳元に甘い音が響いて、クラウスが頬に口付けしたのだと気付いた。
去って行くクラウスの後ろ姿を見ながら、しばらくその場から動く事が出来ずにいた。
そう決意して彼の目をしっかりと見据えた私はゆっくりと話始めた。
「私…少し前に生まれる前の記憶を思い出したの。」
私が告げた言葉にクラウスは少しだけ目を大きくした。
当然だろう。こんな突拍子もない事を言い出すのだから。けれどクラウスは私の言葉を驚きながらも待っていてくれる。
「…生まれる前、前世でこの世界とよく似た物語を私は知っているの。」
「物語?」
首を傾げたクラウスに私は頷いて言葉を続ける。
「その物語には私以外の私の周りにいる方々が出て来て…エリオット様やヘクター、クラウス…貴方も出て来た。」
「…っ!」
「それに…その物語の中であの方、ドウェイン様も出て来たの。」
ドウェインに助けられた事を思い出した私は、胸が押し潰される様でギュッと胸元を押さえた。
「…だから、さっきの出来事を知っていた?」
クラウスの言葉に頷く私を見て、何かを考える様に暫く黙った。
信じてもらえるだろうか?
緊張と不安で俯いた私の手をクラウスの手が包み込んだ。強く握られていた私の手を優しく解いてくる。
私が顔を上げるとクラウスは小さく微笑んでくれる。
「マーガレット大丈夫だ。驚いたが君を信じる。」
「クラウス…ありがとう。」
クラウスの言葉に安堵した私は強張っていた体の力が抜けるのを感じた。
思っていた以上に緊張していたんだ…。
「それで…マーガレットは誘拐されると判っていてドウェインの所に来たのか?」
「え?」
「いくら大丈夫だと判っていても危険すぎる。」
「え?いえ…。」
「これからはちゃんと話してくれ。君に何かあったらと思うと俺は…。」
「ク、クラウス…あの…っ!」
「マーガレット君が大切なんだ。」
真剣な眼差しでしっかりと手を握り締めながら言うクラウスに私は困惑した。
「は、話を聞いて…っ!」
「すまない…。」
クラウスの切な言葉に頬に熱が集まるのがわかる。私を思ってくれると知って胸の奥がギュッと痛む…が!今はちゃんと説明しなければ!
「き、記憶は断片的なの…。誘拐される事を知っていた訳じゃなくて、ドウェイン様が誰かを庇って瓦礫に…それを知っていたの…。」
「マーガレット…。」
「でも…知っていてもドウェイン様を助ける事は出来なかった。」
「うん…?」
「私がもっと早く思い出していれば、ドウェイン様の死を止められたかもしれないのに…っ!」
「!」
ドウェイン様を助けられたかもしれないと悔やんでいると、それを黙って聞いていたクラウスが何かに気付いた様にハッとして、下を向いた私の肩に手を置いた。
「…クラウス?」
「…マーガレット、その物語でドウェインは死んだのか?」
「はい…。」
「物語はその通りに進んでいくのか?今までも?」
クラウスは急に何を言い出すのだろう?とは思ったが、その質問に私は首を横に振る。
物語の通りに進んでいるのならクラウスはシーラと結ばれている筈だ。
そもそもドウェインの誘拐事件なんて無かった。
物語の中のドウェインが乱戦の中庇っていたのはシーラだったのだから。
「…マーガレット、他言しないと約束してくれるか?」
私が考え混んでいると、クラウスは肩を掴んでいた手をさらにギュッと掴む。
痛みはないけれど、近距離に息を呑む。
私がしっかりと頷くと、それを見たクラウスも頷く。
「マーガレット、ドウェインは生きてる。」
「…。」
クラウスが静かに呟いた言葉は馬車の中に酷く響いた。
「クラウス…いま…なん…て…?」
ドウェインを助けられなかった後悔から都合の良い幻聴でも聞こえたのだろうか?
信じられない言葉が聞こえた気がする。
「ドウェインは生きているんだ。死んでいない。」
しっかりと私の耳に届く様に告げたクラウスの言葉に体が震え出す。
ドウェインが生きている。
物語通りにはならなかったのだろうか?
ああ、でも…。
物語通りには進まなくても、ドウェインは生きている。その安堵から、私の頬を大粒の涙が溢れ出して目の前のクラウスが歪んでいく。
「…っ…た……よか……っ!」
安堵から涙が止まらなくなった私の頬をクラウスが拭って困った様な顔をしながら、けれど優しい眼差しで私を見つめている。
「クラウス…大事な事なのに教えてくれてありがとう。」
クラウスは眉を下げて少しだけ困った様な顔を見せながら笑みを見せた。
◇◇◇◇◇
無事ブラン家まで送り届けたクラウスに両親は手を取って感謝を伝えていた。私を連れて帰ると約束していたらしい。
「クラウス、本当にありがとう。」
帰り際にクラウスを馬車の前まで見送りながらお礼すると、クラウスは小さく微笑んんだ後、真っ直ぐ見つめた。
「近い内に今日の事でエリオット様から呼び出しがあると思う。」
「はい…。」
「マーガレットは誘拐事件の被害者になるからな。」
別れ際にクラウスは私に近い内に呼ばれるだろうと話しながら私の頬に手を添えた。
「大丈夫、俺も一緒に行くしずっと側にいる。…もう後手に回るのは辞めだ。」
「クラウス…?」
「俺のいない場所で君に何かあったら耐えられない。」
この誘拐事件は両親だけでなく、クラウスにも心配をかけていたのだと知り胸が痛む。
「ごめんなさい…。」
「謝らなくていい。俺が側にいたいんだ。側で君を守る事を許してくれ。」
懇願する様に真っ直な目で私を見るクラウスに、胸が苦しくて言葉にならない私は頷く事しか出来ない。
「…あんまり可愛い顔してると連れ去りたくなるからもう行くよ。」
「かわ…っ!」
「決しては一人で行動しない事。いい?」
私の頬に触れたままのクラウスの手がスルリと動く。
触れられた場所に熱が集まるのを感じながら、クラウスのその甘さを含んだ声に動揺する私はコクコクと首振り人形の様に頷く。
「…じゃあまた。」
満足気に目を細めるクラウスは近付くと耳元でそっと呟くと、頬に温かなものが触れた。
「!?」
離れる際にチュッ…と耳元に甘い音が響いて、クラウスが頬に口付けしたのだと気付いた。
去って行くクラウスの後ろ姿を見ながら、しばらくその場から動く事が出来ずにいた。
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