17 / 30
フォーカスロック編
その涙の理由
しおりを挟む
まさかの二回目救護テント搬送は、意識がしっかりした状態だった。そしてそのまさかは重なるもの。
迷彩服の袖をまでまくり上げた医官が彩花の顔を覗き込んだ。
「どうしました? おや? また、お会いしましたねお嬢さん」
泣いたあとの少し腫れぼったい目で、彩花は医官を気まずそうに見た。あの時の、医官だった。
「あの……すみません。どうもしていないんです」
「そう? 目が、腫れているけど。まさかうちのバカに」
「違いますっ。学さんは、そんな人ではありませんから」
「ほぅ。学さん、ね」
「あっ」
医官は彩花を運んできた隊員に小声で何か告げると、その隊員は静かにテントから出て行った。テントの中は医官と彩花の二人きりだ。
「さて、お嬢さん。一応これに記入いただけるかな。具合が悪くないなら、そう書いてもらって構いません」
「はい。ご迷惑を、おかけします……医官、さん?」
「私は東と申します。一応この基地では古株ですが、取って食ったりしませんからご安心ください」
「とって! えっ、あ、いや」
彩花が目を白黒して適当な言葉を探しているのがおかしくて、東はとうとう笑いだした。
「わははっ。こりゃ、幸田二尉が官舎を出ていくのもわかるな。お嬢さんといると飽きないんだろうね」
「学さんを、ご存知なんですか?」
「知っているもなにも、君の連絡先を教えたのは」
ーー ザザッ
黒いブーツがテントの入口で、砂利を強く踏みしめた。
「彩花っ!!」
勢いよく救護テントに入ってきたのは紛れもなく幸田だった。入ってくるやいなや、彩花の前で膝をついて大丈夫かと覗き込む。
「ま、学さん」
「幸田二尉。診察中だぞ」
「はっ、失礼しました! 東二佐!」
幸田は我に返ったのか素早く立ち、東に敬礼をした。
(医官さんは学さんより、偉い人……? 確かに、年上だよね)
自衛隊の階級など知りもしない彩花には不思議な光景だ。ビシッと立つ幸田をよそに、彩花は問診票の全てを埋めた。
「本当に何ともないんです。申し訳けありません。私の妙な行動が、勘違いさせてしまいました」
「どんな行動だろう。今後の参考にさせてもらいたい」
「えっと……その、あの……」
いつもはハキハキと発言する彩花が口どもる。思わず幸田は声をかけた。
「人に、知られたくないことなのか?」
「そうではなくて、むしろ知って欲しいくらいな事だよ。でも、なんて言ったらいいか……あっ!」
彩花は言葉より見せたほうが早い。そう思って、カメラの電源を入れた。そしてそれを東二佐の方に向けて撮った画像を再生させた。
「これは、通信部隊の訓練展示じゃないか」
「え?」
幸田もカメラの画像を覗き込む。東二佐が言うように、間違いなくそれは先程の訓練展示だった。
「わたし、学さんを見失わないようにファインダーをずっと覗いていました。かっこいい姿を撮りたくて。なのに、たくさんは撮れなかったんです」
「彩花。まさか、それを落ち込んでいるのか」
幸田の問いに、彩花は首を振った。それを見た東は「なるほどな」と分かったように顎に指を添える。
「東二佐、どういう事でしょうか。彼女はどこか悪いのですか!」
「いや、正常だよ。ただ、感受性が強すぎたってとこだろう。あとは帰ってゆっくり話を聞いてやるんだな。カメラ越しに見ていたお嬢さんには刺激的だったんだな」
「あの、東二佐」
「さあ出てってくれー。俺は医師免許を持っているが、精神的なケアまではできない。すまんな」
東のなにか言いたげな態度に幸田は内心で首を傾げながら、お礼を述べて救護テントから退出した。なぜか去り際に「俺に感謝しろ」と言われながら。
「彩花ごめん。まだ片付けがあって帰れないんだ。一人で帰れるか?」
「うん大丈夫。ごめんね、心配かけて」
「できるだけ早く帰るから、大人しく待っていてくれ、な?」
「はい。カメラのSDカードのを整理しながら待ってるね!」
「おう」
最後はいつもの彩花の笑顔が出た。それを見た幸田は安心して見送る。
「また後で」と、手を振りながら彩花は駐屯地をあとにした。
◇
「で? 今日はどうしたんだ。彩花にしてはらしくないように思えたけど。本当に体調が悪かったわけじゃないんだよな?」
「うん」
早めに帰るの宣言どおり、幸田は七時頃に帰ってきた。そして夕飯を食べ終わっての今の状況だ。
「遠慮しないで、何でも言ってほしい。誰かに何か言われたのか? あの写真、すごくよく撮れてたじゃないか。俺たち、まるで別人みたいだ。俳優なのかって……彩花?」
彩花は涙ぐみながら「そうじゃないの」と首を横に振り、パソコンに移した今日の写真を幸田に見せた。
「まさか、俺、なんかやらかしてるとか。ベルト! してるよな。配線、は問題なかったよな」
「学さんは完璧だったよ! とてもかっこよくて、誰が見ても立派な自衛官さん」
「じゃあ、なんで泣いてるの」
彩花の頬からポロンと大きな涙の粒がこぼれ落ちた。幸田は指の甲でそっとそれを拭ってやる。
すると、パチン! と、何かが弾けたように彩花が喋りだす。
「戦争! やだっ。災害、起きないで欲しい! 学さん、死なないで! って。学さんにはずっと、ずっと笑っていてほしいの」
「彩花?」
「最初は映画を見ているようだった。でも、学さんや小隊の皆さんを追いかけているうちに、本物の戦場に思えてきた。そう思い始めたら涙が止まらなくなっちゃったの。心配してくれた人が声掛けてくれて……で、近くの隊員さんが救護テントに運んでくれたの」
ポロンと落ちた涙はいつからかボロボロ落ち始めた。彩花が子供のように泣く。
「バカだよねっ。訓練なのに、そんなことも……わからなっ」
「彩花っ!」
幸田は頑張って笑顔を作ろうとする彩花がたまらなくいじらしく、そして可愛くて、愛おしかった。だから、できるだけ優しく、でも、安心できるくらいの力で彩花を抱きしめた。
トスッと、彩花は簡単に幸田の腕の中に収まった。
「学さんのシャツ、濡れちゃう」
「本当に彩花はバカだな。彼女の涙ぐらい、彼氏に拭かせろよ」
幸田がそう言うと、彩花は猫のように頬を幸田の胸にすり寄せた。
「彩花が彼女になってくれてよかった。俺、絶対に、他の連中より幸せだな」
「え?」
「俺のこと好き?」
「好き、大好き」
「よかった。彩花のそういう所が俺の力になってるから。もしも、が起きたら彩花のことを後回しにする仕事だろ。もう付き合えないって言われても、文句言えないから」
そんな弱気な幸田の言葉に彩花は思わず顔を上げる。
「言わないよ! 絶対に言わない。自衛官も辞めてなんて、言わないから! 泣いちゃったけど、すごく誇りに思えたの。私の彼氏は自衛官だよって。国を守る自衛官なのって!」
彩花がウサギのような真っ赤な目で、幸田の顔を睨みつけている。
厳しい格闘訓練や土砂降りの中の行軍も、真冬の野営訓練も歯を食いしばって乗り越えた幸田。なのにどうしたことだ。
「くそ……」
思わず彩花の頭を胸に強く押し付けた。
「んっ。学、さっ……くるしいっ」
「ごめん。ちょっと、黙って」
幸田二等陸尉、まさかの男泣きの最中だった。
「え、学さんっ。ちょ……、しんじゃうーーっ」
彩花がどんなに力を入れてぐーっと押しても、鍛えられた幸田の体はビクともしない。諦めてくたりと体の力を抜いたとき、幸田がやっと彩花を腕から解いた。
「もう、学さんたら。本当に息苦しかったんだからねっ。聞いてますか? 学さん」
「聞こえてるよ。悪かった」
幸田がぷいっと顔をそらしたと思ったら、そっけない返事が返ってきた。よそよそしい幸田を彩花は怪しんだ。
「学さーんっ。ねぇ、怒ってます?」
「おこっ、怒るわけないだろ。あ! 俺、風呂入れてくるわ。さすがに疲れたしな」
「お風呂、ボタン押すだけですよ?」
「お、おう。そのボタン、押してくるわ……」
そのまま立ち上がった幸田の腕を、彩花は素早く掴んだ。そして、グイッと引っ張る。
「おわっ! と……。危ないじゃないかー。自宅で怪我なんて笑えないって」
「学さんっ!」
「な、うわっ」
ドーンと、彩花は幸田に飛びついた。リビングに尻もちをつきながらも幸田は彩花を受け止める。
「おい、大丈夫かよ」
「大丈夫かよは学さんだよ!」
「オレ?」
「泣いたでしょ! ねえ、なにか辛いことでもあったの? ねえ、学さん!」
(なんで、気づかれたんだよ。そんなことだけは敏感なんだよな……)
「泣いてないぞ」
「嘘だ。目の周りが赤いもん!」
「日に焼けたんだよ」
「前から焼けてたのに?」
「何回でも焼けるんだって……」
「……」
もう誤魔化すのは無理かもしれない。本当は泣いたんだ。彩花の言葉に感動して泣かされたんだよと、開き直ろう。そんな事が頭をよぎる。
「さいっ……えっ」
なぜかカメラのレンズがにょいんと伸びた。そのレンズが幸田に向けられる。
「なんだよ」
「その、焼け具合を記録します!」
「やめろって! 勘弁してくれよっ」
「いったーい」
「大丈夫か! さいっ」
カシャカシャカシャカシャーッ……
してやったりの彩花の顔に、幸田は項垂れるしかなかった。
「学さん。背景はぼかしてありますからね」
「えぇぇ……」
絞り値のコントロールを覚えましたと、にっこりしてみせる彩花。
泣き顔はバレていなかった?
迷彩服の袖をまでまくり上げた医官が彩花の顔を覗き込んだ。
「どうしました? おや? また、お会いしましたねお嬢さん」
泣いたあとの少し腫れぼったい目で、彩花は医官を気まずそうに見た。あの時の、医官だった。
「あの……すみません。どうもしていないんです」
「そう? 目が、腫れているけど。まさかうちのバカに」
「違いますっ。学さんは、そんな人ではありませんから」
「ほぅ。学さん、ね」
「あっ」
医官は彩花を運んできた隊員に小声で何か告げると、その隊員は静かにテントから出て行った。テントの中は医官と彩花の二人きりだ。
「さて、お嬢さん。一応これに記入いただけるかな。具合が悪くないなら、そう書いてもらって構いません」
「はい。ご迷惑を、おかけします……医官、さん?」
「私は東と申します。一応この基地では古株ですが、取って食ったりしませんからご安心ください」
「とって! えっ、あ、いや」
彩花が目を白黒して適当な言葉を探しているのがおかしくて、東はとうとう笑いだした。
「わははっ。こりゃ、幸田二尉が官舎を出ていくのもわかるな。お嬢さんといると飽きないんだろうね」
「学さんを、ご存知なんですか?」
「知っているもなにも、君の連絡先を教えたのは」
ーー ザザッ
黒いブーツがテントの入口で、砂利を強く踏みしめた。
「彩花っ!!」
勢いよく救護テントに入ってきたのは紛れもなく幸田だった。入ってくるやいなや、彩花の前で膝をついて大丈夫かと覗き込む。
「ま、学さん」
「幸田二尉。診察中だぞ」
「はっ、失礼しました! 東二佐!」
幸田は我に返ったのか素早く立ち、東に敬礼をした。
(医官さんは学さんより、偉い人……? 確かに、年上だよね)
自衛隊の階級など知りもしない彩花には不思議な光景だ。ビシッと立つ幸田をよそに、彩花は問診票の全てを埋めた。
「本当に何ともないんです。申し訳けありません。私の妙な行動が、勘違いさせてしまいました」
「どんな行動だろう。今後の参考にさせてもらいたい」
「えっと……その、あの……」
いつもはハキハキと発言する彩花が口どもる。思わず幸田は声をかけた。
「人に、知られたくないことなのか?」
「そうではなくて、むしろ知って欲しいくらいな事だよ。でも、なんて言ったらいいか……あっ!」
彩花は言葉より見せたほうが早い。そう思って、カメラの電源を入れた。そしてそれを東二佐の方に向けて撮った画像を再生させた。
「これは、通信部隊の訓練展示じゃないか」
「え?」
幸田もカメラの画像を覗き込む。東二佐が言うように、間違いなくそれは先程の訓練展示だった。
「わたし、学さんを見失わないようにファインダーをずっと覗いていました。かっこいい姿を撮りたくて。なのに、たくさんは撮れなかったんです」
「彩花。まさか、それを落ち込んでいるのか」
幸田の問いに、彩花は首を振った。それを見た東は「なるほどな」と分かったように顎に指を添える。
「東二佐、どういう事でしょうか。彼女はどこか悪いのですか!」
「いや、正常だよ。ただ、感受性が強すぎたってとこだろう。あとは帰ってゆっくり話を聞いてやるんだな。カメラ越しに見ていたお嬢さんには刺激的だったんだな」
「あの、東二佐」
「さあ出てってくれー。俺は医師免許を持っているが、精神的なケアまではできない。すまんな」
東のなにか言いたげな態度に幸田は内心で首を傾げながら、お礼を述べて救護テントから退出した。なぜか去り際に「俺に感謝しろ」と言われながら。
「彩花ごめん。まだ片付けがあって帰れないんだ。一人で帰れるか?」
「うん大丈夫。ごめんね、心配かけて」
「できるだけ早く帰るから、大人しく待っていてくれ、な?」
「はい。カメラのSDカードのを整理しながら待ってるね!」
「おう」
最後はいつもの彩花の笑顔が出た。それを見た幸田は安心して見送る。
「また後で」と、手を振りながら彩花は駐屯地をあとにした。
◇
「で? 今日はどうしたんだ。彩花にしてはらしくないように思えたけど。本当に体調が悪かったわけじゃないんだよな?」
「うん」
早めに帰るの宣言どおり、幸田は七時頃に帰ってきた。そして夕飯を食べ終わっての今の状況だ。
「遠慮しないで、何でも言ってほしい。誰かに何か言われたのか? あの写真、すごくよく撮れてたじゃないか。俺たち、まるで別人みたいだ。俳優なのかって……彩花?」
彩花は涙ぐみながら「そうじゃないの」と首を横に振り、パソコンに移した今日の写真を幸田に見せた。
「まさか、俺、なんかやらかしてるとか。ベルト! してるよな。配線、は問題なかったよな」
「学さんは完璧だったよ! とてもかっこよくて、誰が見ても立派な自衛官さん」
「じゃあ、なんで泣いてるの」
彩花の頬からポロンと大きな涙の粒がこぼれ落ちた。幸田は指の甲でそっとそれを拭ってやる。
すると、パチン! と、何かが弾けたように彩花が喋りだす。
「戦争! やだっ。災害、起きないで欲しい! 学さん、死なないで! って。学さんにはずっと、ずっと笑っていてほしいの」
「彩花?」
「最初は映画を見ているようだった。でも、学さんや小隊の皆さんを追いかけているうちに、本物の戦場に思えてきた。そう思い始めたら涙が止まらなくなっちゃったの。心配してくれた人が声掛けてくれて……で、近くの隊員さんが救護テントに運んでくれたの」
ポロンと落ちた涙はいつからかボロボロ落ち始めた。彩花が子供のように泣く。
「バカだよねっ。訓練なのに、そんなことも……わからなっ」
「彩花っ!」
幸田は頑張って笑顔を作ろうとする彩花がたまらなくいじらしく、そして可愛くて、愛おしかった。だから、できるだけ優しく、でも、安心できるくらいの力で彩花を抱きしめた。
トスッと、彩花は簡単に幸田の腕の中に収まった。
「学さんのシャツ、濡れちゃう」
「本当に彩花はバカだな。彼女の涙ぐらい、彼氏に拭かせろよ」
幸田がそう言うと、彩花は猫のように頬を幸田の胸にすり寄せた。
「彩花が彼女になってくれてよかった。俺、絶対に、他の連中より幸せだな」
「え?」
「俺のこと好き?」
「好き、大好き」
「よかった。彩花のそういう所が俺の力になってるから。もしも、が起きたら彩花のことを後回しにする仕事だろ。もう付き合えないって言われても、文句言えないから」
そんな弱気な幸田の言葉に彩花は思わず顔を上げる。
「言わないよ! 絶対に言わない。自衛官も辞めてなんて、言わないから! 泣いちゃったけど、すごく誇りに思えたの。私の彼氏は自衛官だよって。国を守る自衛官なのって!」
彩花がウサギのような真っ赤な目で、幸田の顔を睨みつけている。
厳しい格闘訓練や土砂降りの中の行軍も、真冬の野営訓練も歯を食いしばって乗り越えた幸田。なのにどうしたことだ。
「くそ……」
思わず彩花の頭を胸に強く押し付けた。
「んっ。学、さっ……くるしいっ」
「ごめん。ちょっと、黙って」
幸田二等陸尉、まさかの男泣きの最中だった。
「え、学さんっ。ちょ……、しんじゃうーーっ」
彩花がどんなに力を入れてぐーっと押しても、鍛えられた幸田の体はビクともしない。諦めてくたりと体の力を抜いたとき、幸田がやっと彩花を腕から解いた。
「もう、学さんたら。本当に息苦しかったんだからねっ。聞いてますか? 学さん」
「聞こえてるよ。悪かった」
幸田がぷいっと顔をそらしたと思ったら、そっけない返事が返ってきた。よそよそしい幸田を彩花は怪しんだ。
「学さーんっ。ねぇ、怒ってます?」
「おこっ、怒るわけないだろ。あ! 俺、風呂入れてくるわ。さすがに疲れたしな」
「お風呂、ボタン押すだけですよ?」
「お、おう。そのボタン、押してくるわ……」
そのまま立ち上がった幸田の腕を、彩花は素早く掴んだ。そして、グイッと引っ張る。
「おわっ! と……。危ないじゃないかー。自宅で怪我なんて笑えないって」
「学さんっ!」
「な、うわっ」
ドーンと、彩花は幸田に飛びついた。リビングに尻もちをつきながらも幸田は彩花を受け止める。
「おい、大丈夫かよ」
「大丈夫かよは学さんだよ!」
「オレ?」
「泣いたでしょ! ねえ、なにか辛いことでもあったの? ねえ、学さん!」
(なんで、気づかれたんだよ。そんなことだけは敏感なんだよな……)
「泣いてないぞ」
「嘘だ。目の周りが赤いもん!」
「日に焼けたんだよ」
「前から焼けてたのに?」
「何回でも焼けるんだって……」
「……」
もう誤魔化すのは無理かもしれない。本当は泣いたんだ。彩花の言葉に感動して泣かされたんだよと、開き直ろう。そんな事が頭をよぎる。
「さいっ……えっ」
なぜかカメラのレンズがにょいんと伸びた。そのレンズが幸田に向けられる。
「なんだよ」
「その、焼け具合を記録します!」
「やめろって! 勘弁してくれよっ」
「いったーい」
「大丈夫か! さいっ」
カシャカシャカシャカシャーッ……
してやったりの彩花の顔に、幸田は項垂れるしかなかった。
「学さん。背景はぼかしてありますからね」
「えぇぇ……」
絞り値のコントロールを覚えましたと、にっこりしてみせる彩花。
泣き顔はバレていなかった?
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。
「だって顔に大きな傷があるんだもん!」
体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。
実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。
寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。
スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。
※フィクションです。
※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる