10 / 23
会ってはならない男たち
しおりを挟む
常世は永倉に無理やり担がれて、とある料亭にやってきた。
永倉はこの辺りでは顔がきくようで、店主はあからさますぎるほどゴマをする態度で永倉を歓迎した。
「俺は運良く松前藩に戻ることができてな、今もそこで暮らしている。おまえたちが戦った地に所帯をもつとは、妙な気分だけどな」
永倉は自分の近況を口にしながら、通された部屋に腰を下ろした。
「けどよ、やっぱり慣れねえんだよ。松前は俺にとっちゃあ静かすぎる。もっとこう、熱くなるものが欲しくてな。なんだか、ぽっかり穴が空いたみたいになっちまってよ。困ったもんさ」
「そうですか……」
常世にとって、永倉の近況などどうでもいい話だった。妹と違い常世は、新選組に対してこれといった思い入れがないのだから。それよりもどうやってこの部屋から抜け出すか、そればかりを考えている。
―― どうする。この永倉ってやつ、やたら力はあるし剣術においては俺よりも上。厄介なやつだ。
「こうやってたまに東京に出てきて、こそこそ住処をさがしてるってわけよ。道場でも開きてぇが、それも時代遅れかもしれんしな。おい、鉄之助! 聞いているのか?」
「ええ、聞いていますとも。道場ですか。悪くはないと思いますけど」
「そうか! そうだよな! 日本男子たるもの、その精神は未来永劫継がないといけないよな! ぐははは」
とにかく永倉は威勢がいいし、素直なところがある。肩を持てばこうして上機嫌になるのだ。
―― 単純だな、このおっさんは……
「永倉さん。厠に行きたいのですが」
「おう! 廊下に出たら左だ。分からなくなったら店の者に聞け」
「はい、ありがとうございます」
「おい」
「はい?」
「逃げるなよ。まあ、鉄之助に限ってそんなこたしねえだろうが」
―― 残念ながら、おっさんが思っている鉄之助じゃないんだな。じゃあな!
「出て左。行ってまいります」
「早く戻ってこいよ。迷うなよ?」
「さすがに迷いませんよ。では」
厠に行くというのはもちろん嘘である。
こんなところで時間を使うわけにはいかないのだ。とにかく十羽を探さなければならない。
常世は教えられた方向とは逆に廊下を進んだ。この料亭は芸者や遊女を呼ぶこともできるらしい。あちらこちらから、賑やかな声が聞こえてくる。
常世は忙しく料理や酒を運ぶ女中の間をすり抜け、表まであと少しのところまで来ていた。
外に出さえすればもうこっちのものだ。
「ほう、これは懐かしい。あんたも永倉に捕まったくちか」
突然、背後から声をかけられた。
不覚にも常世は、声をかけられるまでその者の気配に気づかなかったのだ。
「あんた、市村鉄之助だろう?」
「あっ」
振り向くとそこには、常世が絶対に会ってはならぬ男がいたのだ。沢忠助になりすまし、会津でこの男の配下にいたのはほんの少し前のこと。
声をかけてきた男の名前は山口二郎という。
―― いちばん会ってはならぬ男に、よりによってこんなところで!
「ずいぶんと男らしなくなったものだ。それほどに箱館戦争は過酷であったのだな」
「ご無沙汰しております。山口殿もお元気そうでなにより。私は用がありますので、これで失礼いたします」
何もかも承知であろうこの男とは、長く対面すべきではない。常世は一礼をして男の横をすり抜けようとした。
しかし、
「おい」
「なっ、なんでしょう」
常世は山口二郎になんなく手首を掴まれてしまう。
永倉といい山口といい、身のこなしが速い上に逆らえない何かを持っている。
「まあ、話を聞かせろ。隠しても無駄だ。俺はおまえを知っている」
「おっしゃる意味がわかりかねます」
「ほう……ならばここで正体を暴くか? 沢忠助。いや、それも仮の姿であろうな」
「なんだとっ!」
常世の握られた手首が悲鳴を上げた。
「時間はたっぷりある。来い」
「くっ、そ」
常世は山口二郎に圧せられ、再び永倉が待つ部屋に戻ったのである。
―― このおっさんども! なんなんだよ!
永倉や山口からすれば、常世はまだまだ子どもなのである。
◇
「おい、遅えじゃねぇか。お! 久しぶりだな山口。元気そうでよかったぜ。ところで鉄之助、なんでいその面」
「なあに、市村が迷っていたところに俺がきたまでだ。おおかた市村も永倉に誘われたのだろうと、連れてきた」
「なんだよ。厠に行くのに迷ったのか。迷うわけねえって言ってたのによ。まだガキだなぁ。わははは」
まさか、永倉から逃げようとしたところを山口二郎に捕まったとは言えまい。
常世は罰が悪そうにうなずくしかなかった。
「とりあえず座れよ。酒を頼んだところだ。鉄之助に、土方さんの最期を聞かせてもらおうと思ってよ。山口もいいだろ?」
「ああ。会えるはずもないと思っていた市村と会えたのだからな、聞きたいことは山ほどある」
―― 勘弁してくれよ……
しばらくすると、女中が酒と肴を持ってきた。常世は酒は飲めぬと遠慮して、その代わりに箱館戦争のことを話すことにした。
話さねばこの場か離れられないからだ。
とはいえ、困ったものだ。永倉はさておき、問題は山口二郎である。ここで正直に全てを話すべきか、それともあくまでも市村鉄之助を押し通すか悩みどころであった。
「そうかい、そうかい。土方さん最期まで新選組のこと、忘れてなかったんだな。馬上で弾受けて死ぬって、土方さんらしいじゃねぇか。なあ、山口......う、ううぅ」
「誠の旗を手放しても、心は旗と共にいたのだな」
「くそう。泣かせやがって! 鉄之助が羨ましいぜ。よく生きて戻ってきたな。箱館は海も山も逃げ場はなかったと聞くぜ」
常世が話した内容に偽りはない。
永倉は土方の最期を聞いて泣いていた。さすがの山口も感慨深げにうなずいている。常世だってあの光景は二度と思い出したくない。土方に覆いかぶさり、腹から溢れ出る血をなす術なく、悲痛の表情で泣き叫ぶ妹のことを誰が話せようか。ましてや、土方の後を追って自分の胸に刀を刺したなど。
常世とて、そのときの光景を思い出すだけで、苦悶の表情は隠せない。
―― 吐き気がする。
永倉は指で涙を拭うと、今度は常世を憐れむようにこう言った。
「土方さんの里を出た今、これからどうするつもりなんだ。あてはあるのか」
「あて......あ! こうしてはおられないのです。俺には火急のっ」
そこまで言ったところで、山口が落ち着いた風体で話を切り出した。
「鉄之助は、俺が預かる」
「ええ! それはちょっと!」
山口の思いもよっらないい提案に、常世は心臓が跳ね上がる思いだった。よりによって、一緒にいてはならない男に、身を寄せるなどもってのほかである。
「おう! そうかい。それなら俺も安心だぜ。よかったな鉄之助! いや、俺がおまえを預かってもいいんだが、なんせ途中で新選組を離隊した男だろ? 最後まで土方さんの小姓を務めた鉄之助としては、嫌だろうからよ。よかった。よかったなぁ鉄之助」
しかし、永倉は常世の異論を打ち消して安堵の色を濃くした。常世としては同じ預かりならば、永倉のほうが断然いい。常世は知っているのだ。山口二郎という男には一分の隙がないということを。彼は難攻不落な剣士である。
「そのようなご面倒はかけられません。俺はもう大人ですし、ひとりで十分に生きてゆけますのでお構いなく! 失礼いたします」
「遠慮している場合ではないぞ鉄之助。そろそろ甘えたらどうだい」
「うおっ。離してください! なぜ俺の襟を掴んでいるのですか永倉殿!」
「かつての仲間だろうが。そういいなさんな」
「しかしっ!」
「しかしもおかしもないっての。鉄之助のことは、みんな心配していた。死んだ土方さんだけじゃねえ、近藤さんに沖田、それに原田。原田は特に気にかけていたなぁ。おまえを一緒に連れて行くと聞かなかった。今となりゃ、連れて行かなくてよかったぜ」
この場から去ろうと二人の虚を突いたつもりであった常世だが、みごと永倉は常世の首根っこを掴んで離さない。どうもこの二人男には隙というものが存在しないらしい。
「鉄之助、行くぞ。永倉、またな」
「おう。達者でな」
常世の意見など聞く耳をもたない山口は、懐から酒代を畳において立ち上がった。永倉は機嫌よく常世を山口に突き出す。もう常世に選択肢はないのだ。
―― くそ! くそくそくそ、くそー!
早く十羽を探してやらなければならないというのに、こんなところで邪魔が入るとは。
常世の焦りは増すばかりだ。
そんなことを知らない山口二郎は、すたすたと先を行ってしまう。逃げるなら今しかないのに、山口の背中がそうはさせてくれない。
『急いてはことを仕損じる。ときにその流れにまかせてみよ。しからば道は自ずとひらける』
おじじの声が聞こえたきがした。
永倉はこの辺りでは顔がきくようで、店主はあからさますぎるほどゴマをする態度で永倉を歓迎した。
「俺は運良く松前藩に戻ることができてな、今もそこで暮らしている。おまえたちが戦った地に所帯をもつとは、妙な気分だけどな」
永倉は自分の近況を口にしながら、通された部屋に腰を下ろした。
「けどよ、やっぱり慣れねえんだよ。松前は俺にとっちゃあ静かすぎる。もっとこう、熱くなるものが欲しくてな。なんだか、ぽっかり穴が空いたみたいになっちまってよ。困ったもんさ」
「そうですか……」
常世にとって、永倉の近況などどうでもいい話だった。妹と違い常世は、新選組に対してこれといった思い入れがないのだから。それよりもどうやってこの部屋から抜け出すか、そればかりを考えている。
―― どうする。この永倉ってやつ、やたら力はあるし剣術においては俺よりも上。厄介なやつだ。
「こうやってたまに東京に出てきて、こそこそ住処をさがしてるってわけよ。道場でも開きてぇが、それも時代遅れかもしれんしな。おい、鉄之助! 聞いているのか?」
「ええ、聞いていますとも。道場ですか。悪くはないと思いますけど」
「そうか! そうだよな! 日本男子たるもの、その精神は未来永劫継がないといけないよな! ぐははは」
とにかく永倉は威勢がいいし、素直なところがある。肩を持てばこうして上機嫌になるのだ。
―― 単純だな、このおっさんは……
「永倉さん。厠に行きたいのですが」
「おう! 廊下に出たら左だ。分からなくなったら店の者に聞け」
「はい、ありがとうございます」
「おい」
「はい?」
「逃げるなよ。まあ、鉄之助に限ってそんなこたしねえだろうが」
―― 残念ながら、おっさんが思っている鉄之助じゃないんだな。じゃあな!
「出て左。行ってまいります」
「早く戻ってこいよ。迷うなよ?」
「さすがに迷いませんよ。では」
厠に行くというのはもちろん嘘である。
こんなところで時間を使うわけにはいかないのだ。とにかく十羽を探さなければならない。
常世は教えられた方向とは逆に廊下を進んだ。この料亭は芸者や遊女を呼ぶこともできるらしい。あちらこちらから、賑やかな声が聞こえてくる。
常世は忙しく料理や酒を運ぶ女中の間をすり抜け、表まであと少しのところまで来ていた。
外に出さえすればもうこっちのものだ。
「ほう、これは懐かしい。あんたも永倉に捕まったくちか」
突然、背後から声をかけられた。
不覚にも常世は、声をかけられるまでその者の気配に気づかなかったのだ。
「あんた、市村鉄之助だろう?」
「あっ」
振り向くとそこには、常世が絶対に会ってはならぬ男がいたのだ。沢忠助になりすまし、会津でこの男の配下にいたのはほんの少し前のこと。
声をかけてきた男の名前は山口二郎という。
―― いちばん会ってはならぬ男に、よりによってこんなところで!
「ずいぶんと男らしなくなったものだ。それほどに箱館戦争は過酷であったのだな」
「ご無沙汰しております。山口殿もお元気そうでなにより。私は用がありますので、これで失礼いたします」
何もかも承知であろうこの男とは、長く対面すべきではない。常世は一礼をして男の横をすり抜けようとした。
しかし、
「おい」
「なっ、なんでしょう」
常世は山口二郎になんなく手首を掴まれてしまう。
永倉といい山口といい、身のこなしが速い上に逆らえない何かを持っている。
「まあ、話を聞かせろ。隠しても無駄だ。俺はおまえを知っている」
「おっしゃる意味がわかりかねます」
「ほう……ならばここで正体を暴くか? 沢忠助。いや、それも仮の姿であろうな」
「なんだとっ!」
常世の握られた手首が悲鳴を上げた。
「時間はたっぷりある。来い」
「くっ、そ」
常世は山口二郎に圧せられ、再び永倉が待つ部屋に戻ったのである。
―― このおっさんども! なんなんだよ!
永倉や山口からすれば、常世はまだまだ子どもなのである。
◇
「おい、遅えじゃねぇか。お! 久しぶりだな山口。元気そうでよかったぜ。ところで鉄之助、なんでいその面」
「なあに、市村が迷っていたところに俺がきたまでだ。おおかた市村も永倉に誘われたのだろうと、連れてきた」
「なんだよ。厠に行くのに迷ったのか。迷うわけねえって言ってたのによ。まだガキだなぁ。わははは」
まさか、永倉から逃げようとしたところを山口二郎に捕まったとは言えまい。
常世は罰が悪そうにうなずくしかなかった。
「とりあえず座れよ。酒を頼んだところだ。鉄之助に、土方さんの最期を聞かせてもらおうと思ってよ。山口もいいだろ?」
「ああ。会えるはずもないと思っていた市村と会えたのだからな、聞きたいことは山ほどある」
―― 勘弁してくれよ……
しばらくすると、女中が酒と肴を持ってきた。常世は酒は飲めぬと遠慮して、その代わりに箱館戦争のことを話すことにした。
話さねばこの場か離れられないからだ。
とはいえ、困ったものだ。永倉はさておき、問題は山口二郎である。ここで正直に全てを話すべきか、それともあくまでも市村鉄之助を押し通すか悩みどころであった。
「そうかい、そうかい。土方さん最期まで新選組のこと、忘れてなかったんだな。馬上で弾受けて死ぬって、土方さんらしいじゃねぇか。なあ、山口......う、ううぅ」
「誠の旗を手放しても、心は旗と共にいたのだな」
「くそう。泣かせやがって! 鉄之助が羨ましいぜ。よく生きて戻ってきたな。箱館は海も山も逃げ場はなかったと聞くぜ」
常世が話した内容に偽りはない。
永倉は土方の最期を聞いて泣いていた。さすがの山口も感慨深げにうなずいている。常世だってあの光景は二度と思い出したくない。土方に覆いかぶさり、腹から溢れ出る血をなす術なく、悲痛の表情で泣き叫ぶ妹のことを誰が話せようか。ましてや、土方の後を追って自分の胸に刀を刺したなど。
常世とて、そのときの光景を思い出すだけで、苦悶の表情は隠せない。
―― 吐き気がする。
永倉は指で涙を拭うと、今度は常世を憐れむようにこう言った。
「土方さんの里を出た今、これからどうするつもりなんだ。あてはあるのか」
「あて......あ! こうしてはおられないのです。俺には火急のっ」
そこまで言ったところで、山口が落ち着いた風体で話を切り出した。
「鉄之助は、俺が預かる」
「ええ! それはちょっと!」
山口の思いもよっらないい提案に、常世は心臓が跳ね上がる思いだった。よりによって、一緒にいてはならない男に、身を寄せるなどもってのほかである。
「おう! そうかい。それなら俺も安心だぜ。よかったな鉄之助! いや、俺がおまえを預かってもいいんだが、なんせ途中で新選組を離隊した男だろ? 最後まで土方さんの小姓を務めた鉄之助としては、嫌だろうからよ。よかった。よかったなぁ鉄之助」
しかし、永倉は常世の異論を打ち消して安堵の色を濃くした。常世としては同じ預かりならば、永倉のほうが断然いい。常世は知っているのだ。山口二郎という男には一分の隙がないということを。彼は難攻不落な剣士である。
「そのようなご面倒はかけられません。俺はもう大人ですし、ひとりで十分に生きてゆけますのでお構いなく! 失礼いたします」
「遠慮している場合ではないぞ鉄之助。そろそろ甘えたらどうだい」
「うおっ。離してください! なぜ俺の襟を掴んでいるのですか永倉殿!」
「かつての仲間だろうが。そういいなさんな」
「しかしっ!」
「しかしもおかしもないっての。鉄之助のことは、みんな心配していた。死んだ土方さんだけじゃねえ、近藤さんに沖田、それに原田。原田は特に気にかけていたなぁ。おまえを一緒に連れて行くと聞かなかった。今となりゃ、連れて行かなくてよかったぜ」
この場から去ろうと二人の虚を突いたつもりであった常世だが、みごと永倉は常世の首根っこを掴んで離さない。どうもこの二人男には隙というものが存在しないらしい。
「鉄之助、行くぞ。永倉、またな」
「おう。達者でな」
常世の意見など聞く耳をもたない山口は、懐から酒代を畳において立ち上がった。永倉は機嫌よく常世を山口に突き出す。もう常世に選択肢はないのだ。
―― くそ! くそくそくそ、くそー!
早く十羽を探してやらなければならないというのに、こんなところで邪魔が入るとは。
常世の焦りは増すばかりだ。
そんなことを知らない山口二郎は、すたすたと先を行ってしまう。逃げるなら今しかないのに、山口の背中がそうはさせてくれない。
『急いてはことを仕損じる。ときにその流れにまかせてみよ。しからば道は自ずとひらける』
おじじの声が聞こえたきがした。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
竜華族の愛に囚われて
澤谷弥(さわたに わたる)
キャラ文芸
近代化が進む中、竜華族が竜結界を築き魑魅魍魎から守る世界。
五芒星の中心に朝廷を据え、木竜、火竜、土竜、金竜、水竜という五柱が結界を維持し続けている。
これらの竜を世話する役割を担う一族が竜華族である。
赤沼泉美は、異能を持たない竜華族であるため、赤沼伯爵家で虐げられ、女中以下の生活を送っていた。
新月の夜、異能の暴走で苦しむ姉、百合を助けるため、母、雅代の命令で月光草を求めて竜尾山に入ったが、魔魅に襲われ絶体絶命。しかし、火宮公爵子息の臣哉に救われた。
そんな泉美が気になる臣哉は、彼女の出自について調べ始めるのだが――。
※某サイトの短編コン用に書いたやつ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる