聖女様が従騎士に指名した農夫は世界最強だったーリーム王国編ー

ぽとりひょん

文字の大きさ
6 / 64
第1章 聖女誕生

第6話 ミリア、村を出る

しおりを挟む
 ミリアの両親と俺の両親が走って来る。ミリアは両親に抱き着く。母のアメリが俺に心配そうに言う。
 「ケガはしていないかい。」「うん。大丈夫だよ。」
 「騎士を倒したんだって、よくやった。」「蹴っただけだよ。」
父のゴルは俺を褒めてくれた。騎士団長のバルタザールは、ミリアの両親に言う。
 「ミリア様は神託で次期聖女に選ばれました。これは誰も覆すことが出来ません。」「この子を一人で王都にやるのですか。」
 「心配はいりません。私が責任をもって守ります。正式に聖女になれば従騎士がつくことになります。」「私たちの意思は関係ないのですね。」
 「反対することは、国への反逆を意味します。それにあなた方の生活は国が守ります。金貨が500枚あります。どうぞ。」「まるで子供を売るようだわ。」
ミリアの両親は涙を流す。ミリアは気丈にも涙をこらえている。そして、ミリアは言う。
 「私、聖女になります。ウォール、従騎士になって私を守って。」「俺、王都に行って、ミリアの従騎士になるよ。」
話を聞いていた騎士たちが笑いだす。ゴルが俺に黙ってクワを差し出す。俺は手にすると笑っている騎士をクワで上段から打ちこみ一人目を倒し、二人目に胴を打ち込む。
 さらに三人目に突きを入れる。三人の騎士を倒して村人から歓声が上がる。俺は怒鳴る。
 「何が面白い。失礼だぞ。」「済まない。こちらの落ち度だ。ウォール君だったな。王都に来たら、特別に入団試験を受けられるようにしておこう。」
 「すぐに騎士になってやる。」「期待しているぞ。」
俺はバルタザールの目を見ていい。バルタザールは期待に満ちた目で俺の言葉に答える。ゴルが心配そうに俺に言う。
 「お前、騎士になるつもりか。畑はどうするんだ。」「ごめん。俺はミリアを一人にしておけない。騎士になって守るよ。」
 「そうか。やりたいようにやりなさい。」
ゴルは涙ぐみながら言う。ミリアが俺に抱き着く。
 「ずっと、待っているから。」
一言俺に言うと騎士たちに促されて馬車に乗り込む。俺はすぐにでも騎士になって上り詰めると心に誓う。
 宮廷騎士団は馬車を守りながらミハス村を出発する。村人たちがミリアを見送る。村の中で誰一人、聖女はどんなものか理解していなかった。
 騎士がバルタザールに忠告する。
 「あの小僧を騎士に向かえるつもりですか。宮廷騎士団に恥をかかせたんですよ。」「それは、我々が不甲斐ないからだろ。」
 「意表を突かれただけです。我々はリーム王国、最強なんですよ。」「それを四人も倒したのだ。面白いではないか。」
 「入団試験は手を抜きませんからね。」「君らは彼が嫌いなんだな。」「実力が全てです。」
バルタザールはウォールを気に入っていたが騎士たちに嫌われていては入団試験は厳しいものになると考える。
 宮殿に到着すると聖女ディアナが迎えに出る。ミリアが馬車から降りるとディアナが声をかける。
 「ミリア・アースですね。私は聖女ディアナ。3年間、聖女になるための教育をしますからよろしくお願いしますね。」「ディアナ様、ミリア・アースです。一生懸命勉強します。」
これが田舎から来た小娘ね。銀髪なんて魔法の属性にない色ね。本当に魔法を使えるのかしら。
 この世界では、髪の色で魔法の属性が決まっていた。赤髪が炎、青髪が水や氷、茶髪が土、金髪が光、黒髪が闇の属性を有しているのである。それ以外の髪の色は問題外である。
 たとえ、属性の色の髪を持っていても魔法を使えるのは100人に1人ほどである。魔法が使えるだけでそれなりの地位が約束されるのである。
 「ところでミリア嬢、魔法はどの属性を使えるのですか。」「属性とは何なのですか。」
ミリアはウルズからあらゆる魔法を教えられているが属性については聞いたことがなかった。ディアナは説明する。
 「属性には炎、水、土、光、闇の魔法が知られています。私の場合は光魔法を使います。」「それなら、全てを使うことが出来ます。」
 「嘘を言うのではありません。本当は魔法を使えないのでしょう。」「お疑いなのですね。」
ミリアは、右手に炎の剣、左手に氷の剣を作りだす。ディアナは驚いて言う。
 「二種類の魔法を同時に・・・それより魔法の詠唱はどうしたのですか。」「魔法の詠唱?そのようなものを使っていたら役に立ちませんわ。どんな魔法を使うのかわかってしまうでしょ。」
化け物だ。私とは次元が違う。これではキルケを聖女にすることは無理だ。ミリアはディアナの驚愕する姿を見て、自分は歓迎されていないと感じる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。 ※本作は小説家になろうでも投稿しています。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...