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第1章 聖女誕生
第9話 暗殺者
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暗殺者は人知れず、ミハス村の外に潜んで様子を探る。ターゲットのウォール・ヤーンを殺す以外、痕跡を残してはならない。
殺しを第三者に目撃されるなど三流のやることだ。ウォールが一人で行動する時を待つ。村の外に一人で出て来てくれればいうことはないがそううまくはいかない。
最悪、人に見られずに村に潜入してウォールを殺すことになるが、リスクが高い。
暗殺者は三日間動かずに村を見張る。一流の暗殺者は辛抱強いのだ。四日目、ウォールが村人と剣を持って村から出てくる。
自分の気配に気づいたのかと思ったが、山の中へ入って行く。これはチャンスだ。山の中なら姿を隠すことは容易である。
ウォールと村人はばらばらになって山の奥を目指していく。いったい何をするのだ。魔物退治ならばらばらになるはずがない。
とにかくウォールが一人になったのはチャンスだ。暗殺者はウォールに気づかれないように先行する。そして、茂みの影に潜むと吹き矢を構える。
当たれば即死する猛毒を仕込んである。さあウォール、歩いてこい。
突然、暗殺者は茂みの中から攻撃を受ける。太いグレイの毛におおわれた腕を振るわれ、鋭い爪に体を引き裂かれながら飛ばされて木の幹に激突する。
暗殺者の左腕がちぎれて地面を転がる。グレイグリズリーだ。茂みの中に最初からいたのか。なぜ、気がつかなかった。私は功を焦ったのか。吹き矢をグレイグリズリーに向けるが息が出ない。
肺がつぶされて息が出来ない。せめて、ウォールを殺してくれ。奴も一人だ。勝ち目はない。暗殺者の意識は途切れる。
俺はグレイグリズリーを見つける。誰かを襲ったようだ。旅人だろうか。まずはグレイグリズリーを倒さなくてはならない。
グレイグリズリーの前に立つ。グレイグリズリーは二本足で立って覆いかぶさるように迫って来る。俺は素早く距離を詰めて、剣を横に振る。
俺の剣はグレイグリズリーの腹を切り裂く。致命傷だが、まだ動けるはずだ。俺が振り返ると奴もこちらに向きを変える。
「があああああああーーーーー」
俺を威嚇するように吠えると突進してくる。俺はナイフを抜いて右手に持つ。奴が俺にぶつかる瞬間、横にかわして、ナイフを首に突き立てる。奴は数歩進むと倒れる。
俺は指笛で仲間を呼ぶ。しばらくすると村人が集まって来る。
「大物だな。二撃で倒したか。大したものだ。」「倒れているのは誰だ。」「さあ、グレイグリズリーに襲われていたよ。」「見かけない格好だな。」
「もう助からないよ。」「そうだな。とにかく、村へ運ぼう。」
俺たちは、仕留めたグレイグリズリーと襲われた人を村へ運ぶ。村に着くとグレイグリズリーは解体される。皮は売れるし、肉はみんなで食べることになる。
つまり、祭り騒ぎを始めるのだ。襲われた人は村人が知らない人だった。ヤガン先生が俺に真面目な顔で言う。
「あれは暗殺者だぞ。」「暗殺者?」
「ウォール、宮殿で騒ぎを起こしただろ。王様の機嫌を損ねたのさ。」「悪いのは、騎士たちだぞ。」
「それは、関係ない。アウグスト王は愚鈍な奴だ。悪いのは根に持つ性格だということだ。」「これからも暗殺者が来るか。」
「気をつけるしかないな。」「私の弟子を殺そうなんてひどいわね。懲らしめる必要があるわ。」
「ウルズ、どうするつもりだ。」「ヤガン、この死体、吹き矢を持っているけど、なあに?」
「これは、猛毒の矢だ。これでウォールを殺すつもりだったのだろう。」「そう、吹き矢を借りるわね。ウォールは心配することはないからね。」
ウルズが怒っている。決して怒らせてはいけないのに。俺は王様を少し気の毒に思った。
殺しを第三者に目撃されるなど三流のやることだ。ウォールが一人で行動する時を待つ。村の外に一人で出て来てくれればいうことはないがそううまくはいかない。
最悪、人に見られずに村に潜入してウォールを殺すことになるが、リスクが高い。
暗殺者は三日間動かずに村を見張る。一流の暗殺者は辛抱強いのだ。四日目、ウォールが村人と剣を持って村から出てくる。
自分の気配に気づいたのかと思ったが、山の中へ入って行く。これはチャンスだ。山の中なら姿を隠すことは容易である。
ウォールと村人はばらばらになって山の奥を目指していく。いったい何をするのだ。魔物退治ならばらばらになるはずがない。
とにかくウォールが一人になったのはチャンスだ。暗殺者はウォールに気づかれないように先行する。そして、茂みの影に潜むと吹き矢を構える。
当たれば即死する猛毒を仕込んである。さあウォール、歩いてこい。
突然、暗殺者は茂みの中から攻撃を受ける。太いグレイの毛におおわれた腕を振るわれ、鋭い爪に体を引き裂かれながら飛ばされて木の幹に激突する。
暗殺者の左腕がちぎれて地面を転がる。グレイグリズリーだ。茂みの中に最初からいたのか。なぜ、気がつかなかった。私は功を焦ったのか。吹き矢をグレイグリズリーに向けるが息が出ない。
肺がつぶされて息が出来ない。せめて、ウォールを殺してくれ。奴も一人だ。勝ち目はない。暗殺者の意識は途切れる。
俺はグレイグリズリーを見つける。誰かを襲ったようだ。旅人だろうか。まずはグレイグリズリーを倒さなくてはならない。
グレイグリズリーの前に立つ。グレイグリズリーは二本足で立って覆いかぶさるように迫って来る。俺は素早く距離を詰めて、剣を横に振る。
俺の剣はグレイグリズリーの腹を切り裂く。致命傷だが、まだ動けるはずだ。俺が振り返ると奴もこちらに向きを変える。
「があああああああーーーーー」
俺を威嚇するように吠えると突進してくる。俺はナイフを抜いて右手に持つ。奴が俺にぶつかる瞬間、横にかわして、ナイフを首に突き立てる。奴は数歩進むと倒れる。
俺は指笛で仲間を呼ぶ。しばらくすると村人が集まって来る。
「大物だな。二撃で倒したか。大したものだ。」「倒れているのは誰だ。」「さあ、グレイグリズリーに襲われていたよ。」「見かけない格好だな。」
「もう助からないよ。」「そうだな。とにかく、村へ運ぼう。」
俺たちは、仕留めたグレイグリズリーと襲われた人を村へ運ぶ。村に着くとグレイグリズリーは解体される。皮は売れるし、肉はみんなで食べることになる。
つまり、祭り騒ぎを始めるのだ。襲われた人は村人が知らない人だった。ヤガン先生が俺に真面目な顔で言う。
「あれは暗殺者だぞ。」「暗殺者?」
「ウォール、宮殿で騒ぎを起こしただろ。王様の機嫌を損ねたのさ。」「悪いのは、騎士たちだぞ。」
「それは、関係ない。アウグスト王は愚鈍な奴だ。悪いのは根に持つ性格だということだ。」「これからも暗殺者が来るか。」
「気をつけるしかないな。」「私の弟子を殺そうなんてひどいわね。懲らしめる必要があるわ。」
「ウルズ、どうするつもりだ。」「ヤガン、この死体、吹き矢を持っているけど、なあに?」
「これは、猛毒の矢だ。これでウォールを殺すつもりだったのだろう。」「そう、吹き矢を借りるわね。ウォールは心配することはないからね。」
ウルズが怒っている。決して怒らせてはいけないのに。俺は王様を少し気の毒に思った。
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