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第2章 従騎士誕生
第14話 リーム王国最強と戦う
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夕方に近くなった頃、ラースが部屋に入って来る。
「ウォール、バルタザール様がお会いになる。剣を預からせてもらうぞ。」「構わないが、俺には魔法があるぞ。」
「分かっている。形式上の措置だ。」「ミーメは何か言って来たか。」
「お前を騎士に迎えたいと言っている。」「断ったんだろうな。」
「もちろんだ。私がバルタザール様にお前のことを話した。お前を他国へやるなど論外だ。」「ちゃんと無実だと証言してくれたよな。」「・・・・・」
おい、ラース、どんな報告をしたんだ。もしかして変態とか言っていないよな。俺の目を見ろよ。目が泳いでいるぞ。
ラースが部屋を出ていくとバルタザールが入って来た。
「三年前の部下の非礼を謝罪する。」「構わない。ぶちのめしたからもういい。」
「しかし、あの真直ぐな少年が三年で人格を曲げてしまうとは、時は残酷だな。」「ちょっと待て。ミーメの言っていることは嘘だぞ。俺ははめられたんだ。」
「なら、剣で語ろう。異論はないな。」「俺は強いけどいいのか。」「私はリーム王国最強の騎士と言われている。少しは粘れよ。」
俺とバルタザールは試合をすることになる。うわさは宮殿中に広まり、ダミアン王、聖女ミリア、ミーメ王女と関係者が揃う。
バルタザールは、ラースの報告が信じれなかった。一人でグレイグリズリーを五匹倒し、無詠唱の魔法を使う。
無詠唱魔法については聖女ミリアが使っており、幼馴染のウォールが使う可能性がある。だが、剣の腕はどうだ。私にグレイグリズリーを五匹倒せるだろうか。
俺は木剣をもって闘技場に行く。すでに観衆で埋め尽くされている。闘技場の中央にバルタザールが木剣を持って立っている。
ただ、立っているだけで威圧感を感じる。強い、これまでこんな威圧感を感じたことはなかった。さすがに王国最強だ。
俺はバルタザールの前に立つと互いに礼をする。そして構える。やはり、バルタザールの構えに隙は無い。
どうする。飛び込んでぶつかって姿勢を崩すか、いや、姿勢は崩れない。俊足を使うか。高速の打ち込みを入れられるか。
俺とバルタザールは構えたまま、動けずにいた。バルタザールも隙を伺いながらチャンスが巡って来る時を待っていた。ダミアン王が焦れて大声を出す。
「さったと始めろ。止まったままでは勝てないぞ。」
ダミアン王は剣が得意らしいが大したことはないな。ミリアとミーメが勝負を見逃さないように真剣に見ている。
ミリアは、ウォールがバルタザールと互角に戦っているところを見て、三年間で相当腕を上げていると考える。
俺は、このままでは勝負がつかないと考え、バルタザールと一定の距離を保ったまま左右に足を運ぶ。バルタザールは正対したまま、足をずらして俺の動きについて来る。
これならあの手が使えるかもしれない。俺は右に足を運ぶと同時に左に高速で移動する。普通の騎士なら俺を見失うだろう、バルタザールはどうだ・・・
俺は俊足を使って一気に距離を詰めて上段から木剣を打ち込む。バルタザールは反応して俺の打ち込みを受けるがわずかに体勢を崩す。俺は木剣を押して離れると畳みかけるように連撃を打ち込む。
バルタザールは俺の連撃を全て受け止める。だが、反撃してこない。いや、打ち込みを受けるだけで精一杯なのだ。
俺はさらに右に移動して打ち込むと。左に移動して打ち込む。さあ、いつまで耐える。隙を見せてみろ。しかし、審判が止める。
「ここまで、引き分けとする。」「なぜ止める。俺が勝っていただろうが。」
「時間一杯だ。勝負は引き分けだ。」「実戦に時間制限があるのか。」
「ウォール、やめなさい。君の素晴らしい剣の技に泥を塗ることになるぞ。」「・・・・・」
俺は納得いかなかった。怒りを鎮めるため黙り込む。ダミアン王がバルタザールを叱責する。
「バルタザール、この腑抜けた試合はなんだ。なぜ、時間内に勝たないのだ。」「申し訳ありません。強敵でした。」
ダミアン王は憤慨して退場する。そして、闘技場は静まり返る。当然、バルタザールが勝つはずの試合が引き分けで終わったのだ。しかも、相手は農夫である。俺は宣言する。
「聖女ミリアの従騎士は俺だ。文句のあるやつは出てこい。」
観衆がざわつき始める。ラースが俺の腕をとり引っ張り出す。
「ラース、何をする。」「こっちに来い。」
俺は客間に連れ戻される。
「ウォール、何考えているんだ。」「俺は当然の主張をしたまでだ。」
「ただでさえ、バルタザール様が引き分けて混乱しているのに、火に油を注ぐつもりか。」「何が悪い。」
「悪いわ。ウォール、君はただの農夫だ。身分をわきまえろ。」「俺の実力は証明されたんだ。もう騎士だろ。」
「まだ、ダミアン王が認めていない。それにお怒りだ。」「あいつ、俺の力量を分かっていないだろう。」
「だから、問題なんだ。バルタザール様が手を抜いたと思っておられる。」「じゃあ、俺はどうなる。」
「バルタザール様に任せるんだ。それまでおとなしくしていてくれ。」「分かったよ。」
俺は今動くことは得策ではないと考える。でも、宮殿にいるのだからミリアと話をしたいと思う。
「ウォール、バルタザール様がお会いになる。剣を預からせてもらうぞ。」「構わないが、俺には魔法があるぞ。」
「分かっている。形式上の措置だ。」「ミーメは何か言って来たか。」
「お前を騎士に迎えたいと言っている。」「断ったんだろうな。」
「もちろんだ。私がバルタザール様にお前のことを話した。お前を他国へやるなど論外だ。」「ちゃんと無実だと証言してくれたよな。」「・・・・・」
おい、ラース、どんな報告をしたんだ。もしかして変態とか言っていないよな。俺の目を見ろよ。目が泳いでいるぞ。
ラースが部屋を出ていくとバルタザールが入って来た。
「三年前の部下の非礼を謝罪する。」「構わない。ぶちのめしたからもういい。」
「しかし、あの真直ぐな少年が三年で人格を曲げてしまうとは、時は残酷だな。」「ちょっと待て。ミーメの言っていることは嘘だぞ。俺ははめられたんだ。」
「なら、剣で語ろう。異論はないな。」「俺は強いけどいいのか。」「私はリーム王国最強の騎士と言われている。少しは粘れよ。」
俺とバルタザールは試合をすることになる。うわさは宮殿中に広まり、ダミアン王、聖女ミリア、ミーメ王女と関係者が揃う。
バルタザールは、ラースの報告が信じれなかった。一人でグレイグリズリーを五匹倒し、無詠唱の魔法を使う。
無詠唱魔法については聖女ミリアが使っており、幼馴染のウォールが使う可能性がある。だが、剣の腕はどうだ。私にグレイグリズリーを五匹倒せるだろうか。
俺は木剣をもって闘技場に行く。すでに観衆で埋め尽くされている。闘技場の中央にバルタザールが木剣を持って立っている。
ただ、立っているだけで威圧感を感じる。強い、これまでこんな威圧感を感じたことはなかった。さすがに王国最強だ。
俺はバルタザールの前に立つと互いに礼をする。そして構える。やはり、バルタザールの構えに隙は無い。
どうする。飛び込んでぶつかって姿勢を崩すか、いや、姿勢は崩れない。俊足を使うか。高速の打ち込みを入れられるか。
俺とバルタザールは構えたまま、動けずにいた。バルタザールも隙を伺いながらチャンスが巡って来る時を待っていた。ダミアン王が焦れて大声を出す。
「さったと始めろ。止まったままでは勝てないぞ。」
ダミアン王は剣が得意らしいが大したことはないな。ミリアとミーメが勝負を見逃さないように真剣に見ている。
ミリアは、ウォールがバルタザールと互角に戦っているところを見て、三年間で相当腕を上げていると考える。
俺は、このままでは勝負がつかないと考え、バルタザールと一定の距離を保ったまま左右に足を運ぶ。バルタザールは正対したまま、足をずらして俺の動きについて来る。
これならあの手が使えるかもしれない。俺は右に足を運ぶと同時に左に高速で移動する。普通の騎士なら俺を見失うだろう、バルタザールはどうだ・・・
俺は俊足を使って一気に距離を詰めて上段から木剣を打ち込む。バルタザールは反応して俺の打ち込みを受けるがわずかに体勢を崩す。俺は木剣を押して離れると畳みかけるように連撃を打ち込む。
バルタザールは俺の連撃を全て受け止める。だが、反撃してこない。いや、打ち込みを受けるだけで精一杯なのだ。
俺はさらに右に移動して打ち込むと。左に移動して打ち込む。さあ、いつまで耐える。隙を見せてみろ。しかし、審判が止める。
「ここまで、引き分けとする。」「なぜ止める。俺が勝っていただろうが。」
「時間一杯だ。勝負は引き分けだ。」「実戦に時間制限があるのか。」
「ウォール、やめなさい。君の素晴らしい剣の技に泥を塗ることになるぞ。」「・・・・・」
俺は納得いかなかった。怒りを鎮めるため黙り込む。ダミアン王がバルタザールを叱責する。
「バルタザール、この腑抜けた試合はなんだ。なぜ、時間内に勝たないのだ。」「申し訳ありません。強敵でした。」
ダミアン王は憤慨して退場する。そして、闘技場は静まり返る。当然、バルタザールが勝つはずの試合が引き分けで終わったのだ。しかも、相手は農夫である。俺は宣言する。
「聖女ミリアの従騎士は俺だ。文句のあるやつは出てこい。」
観衆がざわつき始める。ラースが俺の腕をとり引っ張り出す。
「ラース、何をする。」「こっちに来い。」
俺は客間に連れ戻される。
「ウォール、何考えているんだ。」「俺は当然の主張をしたまでだ。」
「ただでさえ、バルタザール様が引き分けて混乱しているのに、火に油を注ぐつもりか。」「何が悪い。」
「悪いわ。ウォール、君はただの農夫だ。身分をわきまえろ。」「俺の実力は証明されたんだ。もう騎士だろ。」
「まだ、ダミアン王が認めていない。それにお怒りだ。」「あいつ、俺の力量を分かっていないだろう。」
「だから、問題なんだ。バルタザール様が手を抜いたと思っておられる。」「じゃあ、俺はどうなる。」
「バルタザール様に任せるんだ。それまでおとなしくしていてくれ。」「分かったよ。」
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