エンドロールに誰を流そう

大野

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どんな人間か

日常

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10分間の想像を終え、
ふう、と一息をつく。

10分間だけの、幸せな時間。
なぜか、いつも、10分経つと現実に戻っているの。
おかしいでしょう?
自分の想像の世界のはずなのだけれど、
いつも10分間だけ。

でも、これでいいかなって、思い始めているの。
最初は納得がいかなくて色々試してみたりもしたわ。
時間の問題ではないのか、と思って
寝る前ではなくて、お昼休み、お風呂に入る前、朝起きてすぐ、とかね。

でもダメなの。眠る前の10分間にしか、この想像はできないの。
他の時間に想像する世界は全てぼやけているの。
普段から見慣れた世界のようにね。


でもね、10分だから、いいんじゃないかなって。
だって、美味しいケーキはたまにだから美味しいのでしょう?
毎日なんて食べちゃうと、うげえ、想像しただけで胸焼けがしちゃうわ。

だから、1日10分だけ。



想像の世界を知ってから、少しだけ、生きるのが楽になったわ。
まだ、人と話すのは難しいけれど、いつか話せるようになればいいな、と思うようになったの。
あんなに人が嫌いだった私が、よ。
もちろん、目線は怖い。無邪気に屈託なく太陽の下で笑う人たちに嫌気がさす。お昼時間に、教室の窓際で気持ちよさそうにうたた寝しているあの子なんて、嫌いよ。

でもね、もしかしたら、仲良くなれるのではないかと思うの。

想像し始めて、初めて知ったけれど、
人とお話しすることって、楽しいのよ。


なんてね。
ああ、可笑しい。
自分でも笑ってしまうわ。
どれだけ嫌な目で見られれば、人と関わることを諦め切れるのかしら。

そうよ、入学式の後のあのみんなの目を、よそよそしい態度を思い出して。

ちらりちらりとこちらを伺う目。
誰も寄ってこないの。
こちらからなんて行けるわけがないわ。
だって、近寄って欲しくなさそうにみんなが、私を見るのだもの。

ああ、私、少し嘘をついてしまったみたい。
みんながみんな、私を嫌煙していたわけではないわ。
興味本位で近づいてくる人も居た。

その白髪は何?
目が赤いのは、もしかしてアルビノ?
というふうに、自己紹介も忘れて、質問ばかり。

ここで、私が、
そうなの。でも、これのせいで今まであまりいい目で見られていなくて。話しかけてくれてありがとう。
だなんて言えたなら良かったのだけど、


仲良くしたって良いことなんてないと思っていたからいつも無視をしていたの。

小さい頃はもっと酷かったわ。
同じ年頃の子たちから直接的な暴言を毎日吐かれていたわ

『なんでお前の髪白いんだよ!おばあちゃんは小学校に来ちゃいけませーん!』

『気持ちわりー目!みんな目を合わせるな!石にされるぞ!』

『外国人みたいだな!日本から出てけよ!』

ああ、こんな過去の話はやめましょう。
やっぱり、他人なんて信用するものじゃないわ。

さあ、明日も学校。
早く眠らないと。

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