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第一章
第三話
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そんな澪と同じクラスで過ごすようになったのは警察騒ぎの少し前の春のことだ。
去年の四月、全ての始まりの日。
このコースは基本的に三年間、生徒も担任も変わらないという話をしたと思うが、俺の場合は少しイレギュラーだった。
クラスの担任になったのは、この春から。それは去年まで一年の担任をしていた先生が退職してしまった為、急遽他のコースから異動してきた俺が選ばれたからだった。
どうして、その先生が退職したのか。与えられた辞令に従っただけで、そんな詮索をするつもりはない。
校門での『校門指導』という名の、生徒の『出迎え』も、この日から始まった。
初めての『校門指導』を終えて職員室に戻ると、室内は暖房の名残とコーヒーの匂いが混ざっている。異動と言えど同じ高校だし、会議やらなんやらで何度か顔を合わせている先生方が多く、すぐに馴染むことができた。
幸いにも歳の近い先生も男女一人ずついて、職員室環境としては以前いたコースよりも、遥かに快適だ。
息を吐く間もなくホームルームの時間になり、教室へ向かう俺は廊下で深呼吸をした。これは新学期だからとか、新しいコースやクラスだからとか、そういった緊張を解くための攻略法とかではない。教室に入る前のささやかなルーティン。
二年A組――今年度から、俺が担任を受け持つクラス。この扉の向こうには、三十三人の新たな『教え子』が待っている。
扉を開けると春のざわめきが一瞬だけ静まり、すぐに戻った。新学期特有の期待と不安が溶け合う空気の中、生徒達の視線が痛いほど刺さる。だけど緊張はしない。
もちろん赴任したての頃は、喋ればどっかしらで噛むし、力の入りすぎた指でチョークを何本もへし折ってきた。まだ四、五年しか経っていないのに今となっては遠い記憶。
そして俺は黒板に大きく自分の下の名前である『凪』とだけ書く。
なぜ、『凪』だけかって? これはなるべく生徒側の立ち位置でフレンドリーに過ごしていきたいという気持ちの表明。ガチガチな先生だという印象を与えたくないからだ。
親しみやすい空気を生み出すために編み出した俺の必殺技。
「おはようございます。初めまして、朝比奈凪です。今日からよろしくお願いします。僕のこと知ってそうな生徒さんも何人かいるけど……知らない生徒さんも気軽に声をかけてください。朝比奈でも、ひなでも、凪でも、なんでも好きなように呼んでください。授業のこと、恋愛相談に部活の相談、年中なんでも受け付けてます」
教室には笑いが起きる。自分で言うのもおかしな話だが、生徒からの評判は悪くない方だと思う。
それは朝比奈というキャラクターのおかげなのか。親からもらったこの顔のおかげなのか、二十七歳という比較的若い年齢のおかげなのかは分からないが、ありがたいことに、生徒から声をかけてもらえる事は多い。
「一応、俺は英語の授業持っています。皆さんにお願いしたいのは俺の授業中には寝ないで下さい。まあ、それだけ守ってくれたらとりあえずは、十分です。こんな感じですが、これからよろしくお願いします」
一通り俺が自己紹介を終えると教室全体の空気がさらに緩み、笑いが起きて次に歓迎してくれる声が飛び交い穏やかな空気が流れた。
俺は名簿を手に生徒の名前を一人一人読み上げ、名前と顔を一致させるように脳内へ記録していった。
このクラス初めてのホームルームの自己評価は......まあいいだろう。
桜の花びらがひらひらしている校庭を眺めながら職員室に戻ると、俺のデスクの上に小さな焼き菓子が置いてある。俺はその小さな包みを手に取り、隣の席でプリントを整理している水城先生に声をかけた。
「これは?」
「ああ、それ私からだよ~。異動のお祝いにと思ってね」
「あっ……ありがとうございます。これ、駅前のカフェのですよね? あそこの焼き菓子、美味しいんですよね」
「おっ。分かってるねー。私も好きなの。今日は、後輩くんにもお裾分けっ」
隣のデスクから元気よく声をかけてくれた彼女は数学担当の水城先生。俺と歳の近い二人の先生のうちの一人だ。
肩にかかるセミロングの髪は栗色で、海風に揺れるたびふわりと香りがする。
前髪はゆるく流れていて、ナチュラルなメイクでも華やかに見える。
スーツ姿は細身ながらも品があり、袖口から覗く手首の動きはゆったりしている。よく笑い、職員室でも生徒にも同僚にも壁を感じさせない空気を纏っている人だ。
水城先生は小さく笑いながら、耳にかかる栗色の髪の毛を指先で整える。その仕草は自然で、妙に大人っぽい。年上の余裕というものを感じる。
「独り暮らしだとね、甘いものがあるとちょっとだけ元気になるからさ? 先生もそうでしょ?」
「まあ……はい。俺、甘いの好きなんで嬉しいです」
「ふふ。良かった。また買ってくるから、またお裾分けするねっ」
ふわりと香るコーヒーと桜の匂いの中、俺は焼き菓子を口に運ぶ。サクッとした歯触りと優しい甘さが、やけに今日の空気に沁みた。
お菓子をモグモグと食べながら、他の先生方のホームルーム談義に耳を傾けて和やかな時間を過ごした。
俺は生徒のいなくなった教室に戻ると、窓を開けて大きく息を吸い込んだ。
桜の香りと海風がふわりと混ざって教室の中へと春の空気と一緒に流れ込んでくる。静まり返った教室には、さっきまで響いていた笑い声の余韻だけがぼんやり残っている。
学校ならではの騒がしい空気も嫌いではないが、こういう静かな時間が俺は好きだ。なんだかんだで、一人が落ち着く。
「ふぅ……戻るか」
深呼吸をした後で窓を閉め、電気を消して廊下へ出た瞬間だった。ふと甘くて、人工的な電子タバコ特有のなんとも言えない香りが漂ってきた。この香りには覚えがある。
なんせ俺自身が愛用しているフレーバーの煙の匂いだから、間違いようがない。子ども達に、教える立場ではあるが――俺も、きれいな大人ではない。ある程度のストレスの発散は必要だ。
しかしこの時間に、この匂いはおかしい。つまり校舎のどこかで、生徒が隠れて喫煙していることを意味していた。教員達の喫煙スペースは屋上の一角だから、ここまで匂いがすることはまずない。
「……はあ。新学期早々……異動してきて早々か……」
春の風に混ざった微かな煙の匂いを追って、俺は廊下の奥へと歩き出した。彼の元に導かれるように。
去年の四月、全ての始まりの日。
このコースは基本的に三年間、生徒も担任も変わらないという話をしたと思うが、俺の場合は少しイレギュラーだった。
クラスの担任になったのは、この春から。それは去年まで一年の担任をしていた先生が退職してしまった為、急遽他のコースから異動してきた俺が選ばれたからだった。
どうして、その先生が退職したのか。与えられた辞令に従っただけで、そんな詮索をするつもりはない。
校門での『校門指導』という名の、生徒の『出迎え』も、この日から始まった。
初めての『校門指導』を終えて職員室に戻ると、室内は暖房の名残とコーヒーの匂いが混ざっている。異動と言えど同じ高校だし、会議やらなんやらで何度か顔を合わせている先生方が多く、すぐに馴染むことができた。
幸いにも歳の近い先生も男女一人ずついて、職員室環境としては以前いたコースよりも、遥かに快適だ。
息を吐く間もなくホームルームの時間になり、教室へ向かう俺は廊下で深呼吸をした。これは新学期だからとか、新しいコースやクラスだからとか、そういった緊張を解くための攻略法とかではない。教室に入る前のささやかなルーティン。
二年A組――今年度から、俺が担任を受け持つクラス。この扉の向こうには、三十三人の新たな『教え子』が待っている。
扉を開けると春のざわめきが一瞬だけ静まり、すぐに戻った。新学期特有の期待と不安が溶け合う空気の中、生徒達の視線が痛いほど刺さる。だけど緊張はしない。
もちろん赴任したての頃は、喋ればどっかしらで噛むし、力の入りすぎた指でチョークを何本もへし折ってきた。まだ四、五年しか経っていないのに今となっては遠い記憶。
そして俺は黒板に大きく自分の下の名前である『凪』とだけ書く。
なぜ、『凪』だけかって? これはなるべく生徒側の立ち位置でフレンドリーに過ごしていきたいという気持ちの表明。ガチガチな先生だという印象を与えたくないからだ。
親しみやすい空気を生み出すために編み出した俺の必殺技。
「おはようございます。初めまして、朝比奈凪です。今日からよろしくお願いします。僕のこと知ってそうな生徒さんも何人かいるけど……知らない生徒さんも気軽に声をかけてください。朝比奈でも、ひなでも、凪でも、なんでも好きなように呼んでください。授業のこと、恋愛相談に部活の相談、年中なんでも受け付けてます」
教室には笑いが起きる。自分で言うのもおかしな話だが、生徒からの評判は悪くない方だと思う。
それは朝比奈というキャラクターのおかげなのか。親からもらったこの顔のおかげなのか、二十七歳という比較的若い年齢のおかげなのかは分からないが、ありがたいことに、生徒から声をかけてもらえる事は多い。
「一応、俺は英語の授業持っています。皆さんにお願いしたいのは俺の授業中には寝ないで下さい。まあ、それだけ守ってくれたらとりあえずは、十分です。こんな感じですが、これからよろしくお願いします」
一通り俺が自己紹介を終えると教室全体の空気がさらに緩み、笑いが起きて次に歓迎してくれる声が飛び交い穏やかな空気が流れた。
俺は名簿を手に生徒の名前を一人一人読み上げ、名前と顔を一致させるように脳内へ記録していった。
このクラス初めてのホームルームの自己評価は......まあいいだろう。
桜の花びらがひらひらしている校庭を眺めながら職員室に戻ると、俺のデスクの上に小さな焼き菓子が置いてある。俺はその小さな包みを手に取り、隣の席でプリントを整理している水城先生に声をかけた。
「これは?」
「ああ、それ私からだよ~。異動のお祝いにと思ってね」
「あっ……ありがとうございます。これ、駅前のカフェのですよね? あそこの焼き菓子、美味しいんですよね」
「おっ。分かってるねー。私も好きなの。今日は、後輩くんにもお裾分けっ」
隣のデスクから元気よく声をかけてくれた彼女は数学担当の水城先生。俺と歳の近い二人の先生のうちの一人だ。
肩にかかるセミロングの髪は栗色で、海風に揺れるたびふわりと香りがする。
前髪はゆるく流れていて、ナチュラルなメイクでも華やかに見える。
スーツ姿は細身ながらも品があり、袖口から覗く手首の動きはゆったりしている。よく笑い、職員室でも生徒にも同僚にも壁を感じさせない空気を纏っている人だ。
水城先生は小さく笑いながら、耳にかかる栗色の髪の毛を指先で整える。その仕草は自然で、妙に大人っぽい。年上の余裕というものを感じる。
「独り暮らしだとね、甘いものがあるとちょっとだけ元気になるからさ? 先生もそうでしょ?」
「まあ……はい。俺、甘いの好きなんで嬉しいです」
「ふふ。良かった。また買ってくるから、またお裾分けするねっ」
ふわりと香るコーヒーと桜の匂いの中、俺は焼き菓子を口に運ぶ。サクッとした歯触りと優しい甘さが、やけに今日の空気に沁みた。
お菓子をモグモグと食べながら、他の先生方のホームルーム談義に耳を傾けて和やかな時間を過ごした。
俺は生徒のいなくなった教室に戻ると、窓を開けて大きく息を吸い込んだ。
桜の香りと海風がふわりと混ざって教室の中へと春の空気と一緒に流れ込んでくる。静まり返った教室には、さっきまで響いていた笑い声の余韻だけがぼんやり残っている。
学校ならではの騒がしい空気も嫌いではないが、こういう静かな時間が俺は好きだ。なんだかんだで、一人が落ち着く。
「ふぅ……戻るか」
深呼吸をした後で窓を閉め、電気を消して廊下へ出た瞬間だった。ふと甘くて、人工的な電子タバコ特有のなんとも言えない香りが漂ってきた。この香りには覚えがある。
なんせ俺自身が愛用しているフレーバーの煙の匂いだから、間違いようがない。子ども達に、教える立場ではあるが――俺も、きれいな大人ではない。ある程度のストレスの発散は必要だ。
しかしこの時間に、この匂いはおかしい。つまり校舎のどこかで、生徒が隠れて喫煙していることを意味していた。教員達の喫煙スペースは屋上の一角だから、ここまで匂いがすることはまずない。
「……はあ。新学期早々……異動してきて早々か……」
春の風に混ざった微かな煙の匂いを追って、俺は廊下の奥へと歩き出した。彼の元に導かれるように。
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