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ロボットの時代EX
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ロボットの時代EX
ボクが入院している間のこと。入院からやく1ヶ月経ち六月頃にお年寄りが多いこの病院に一人の少女が入院してきた。その娘とたまたま出会ったのをきっかけによくしゃべるようになった。
「不来方さん」
「どうしたの村上さん」
「暇じゃない?一日中病院にいて。ちょっと抜け出したりしたくならない?」
「いくら退屈だって抜け出すのは駄目だよ」
「だから面白いものがあるの。友達が持ってきてくれたんだけどね」
それは動物の図鑑。子供が読むようなものよりは若干詳しく書いてあると思う。
「子供みたいかもしれないけど、結構面白いんだよこれが」
「そうなの、見てみたいね」
「じゃあまずどの動物がいいかな、犬なんかいいかな」
犬のページを開くと様々な種類の犬の写真が載っている。チワワ、シベリアンハスキー、秋田犬などなど。
「犬飼ってみたいなぁ」
村上さんがそう呟く。ボクも犬は飼ったことがない。というか動物を飼ったのは本当に昔にめだかを飼ったことくらい。
一方の村上さんに話を聞くと、もしペットが亡くなったときにすごく悲しいだろうから飼えないという答えが返ってくる。そうかもしれない。動物を飼っている人はたとえ人間じゃなくても家族だと思っているだろうし別れは人と同じように悲しいに違いない。
何日か経って村上さんが退院する日がやって来た。眼帯はまだしてあったけど、それでも元気そう。ボクはまだまだリハビリしないと満足に歩けないから学校にも行けない。
一言だけ挨拶して彼女は家族や友達の待つ当たり前の世界へ踏み出して行った。ボクは当たり前ではない世界に取り残されて、あたかもそれが当たり前であるような錯覚を覚えさせられた。
私も仲間のところに帰りたい。家族はわからないけど、ボクには待っている友達がいる。
・・・・・・
・・・
きっと。
・・・
・・・・・・たぶん。
・・・本当にみんなボクを待っているのかな。
・・・・・・
・・・待ってる。必ず。
ボクが入院している間のこと。入院からやく1ヶ月経ち六月頃にお年寄りが多いこの病院に一人の少女が入院してきた。その娘とたまたま出会ったのをきっかけによくしゃべるようになった。
「不来方さん」
「どうしたの村上さん」
「暇じゃない?一日中病院にいて。ちょっと抜け出したりしたくならない?」
「いくら退屈だって抜け出すのは駄目だよ」
「だから面白いものがあるの。友達が持ってきてくれたんだけどね」
それは動物の図鑑。子供が読むようなものよりは若干詳しく書いてあると思う。
「子供みたいかもしれないけど、結構面白いんだよこれが」
「そうなの、見てみたいね」
「じゃあまずどの動物がいいかな、犬なんかいいかな」
犬のページを開くと様々な種類の犬の写真が載っている。チワワ、シベリアンハスキー、秋田犬などなど。
「犬飼ってみたいなぁ」
村上さんがそう呟く。ボクも犬は飼ったことがない。というか動物を飼ったのは本当に昔にめだかを飼ったことくらい。
一方の村上さんに話を聞くと、もしペットが亡くなったときにすごく悲しいだろうから飼えないという答えが返ってくる。そうかもしれない。動物を飼っている人はたとえ人間じゃなくても家族だと思っているだろうし別れは人と同じように悲しいに違いない。
何日か経って村上さんが退院する日がやって来た。眼帯はまだしてあったけど、それでも元気そう。ボクはまだまだリハビリしないと満足に歩けないから学校にも行けない。
一言だけ挨拶して彼女は家族や友達の待つ当たり前の世界へ踏み出して行った。ボクは当たり前ではない世界に取り残されて、あたかもそれが当たり前であるような錯覚を覚えさせられた。
私も仲間のところに帰りたい。家族はわからないけど、ボクには待っている友達がいる。
・・・・・・
・・・
きっと。
・・・
・・・・・・たぶん。
・・・本当にみんなボクを待っているのかな。
・・・・・・
・・・待ってる。必ず。
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