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ロボットの時代 そのご
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ロボットの時代 そのご
風邪から復帰した次の日のことだ。さくらが声をかけてきた。どした?、と聞き返すとなんと、俺の分の弁当を作ってきたという。マジか、と言うとあまり大声で言うと恥ずかしいよ、と言った。
これは昼飯代が浮くとかそういった問題では無い。女の子が彼氏のために一生懸命お弁当を作ってくるという、あまりにもベタで重要で少女漫画にのってそうなシチュエーションなのだ。そんなことが俺にあるなんて夢のようだ。
授業をずっと上の空で聞き流し、昼飯の時間まで待ち続けた。そして昼。いよいよお弁当とご対面。
「かなめ君、一緒に食べよ」
さくらが俺の席までやってくる。そして弁当箱を開くと、そこには玉子焼き。お弁当の王道だ。
「いただきます」
まず一口。おっ、こりゃうまいぞ、甘くてふわふわで...
「うまいぞ、一流シェフの味だ」
「あはは、そこまでじゃないよ」
「これから毎日作ってくれ」
するとさくらは赤くなり、小声で
「ほぇ、何かプロポーズみたい」
い、いや、そういう訳じゃ...
さくらは赤面。おそらく俺もだろう。二人で赤くなってると、突然後ろから強い殺気が。そこにいたのは久保田。
「おう、何食ってんだ」
おいおいそんな鬼が泣いて逃げ出しそうな顔で睨むな。するとさくらはこう言う。
「これは違うのっ、えっと、毒味」
「そうだ、毒味だ」
「船引、放課後に体育館裏に来い」
ちっ、めんどくさいことになったぞ。
そして放課後。体育館裏。久保田が準備運動をしていた。うーん、これは戦うしかないようだ。
「来たか」
「当たり前だ、すっぽかすような男じゃ無い」
「わっやめてよふたりとも」
さくらが止めに入る。それでも久保田は動じない。さくらが追撃。
「ボク、暴力的な人は嫌いかな」
久保田に精神的大打撃。ふらふら。
「それにボクはかなめ君が好きだから...その、ごめんね?」
そしてさくらは俺の手を引いて、その場から去った。久保田、何かすまん。
「今日のおかずはなんだ」
「秘密っ」
そのあと、さくらと買い物にきた。さくらは慣れた手つきで買い物かごに食材をどんどん入れていく。さつまいも、海老、などなど。
「天ぷらか」
「当たりっ」
ご機嫌な様子でさくらが答える。
満杯の買い物袋を持って家に帰ると、さくらはさっそく天ぷらを作り始めた。まるで毎日作ってるかのような手際の良さだ。
「火傷するなよ」
「大丈夫だよ、かなめ君は何の天ぷらが好きなの?」
「海老かな」
夕食後、さくらを見送る。
「悪いな、毎日来てもらって」
「いいの、かなめ君こそ毎日ボクの料理を食べてくれてありがとね」
「ああ」
「じゃ、また明日っ」
続きます
風邪から復帰した次の日のことだ。さくらが声をかけてきた。どした?、と聞き返すとなんと、俺の分の弁当を作ってきたという。マジか、と言うとあまり大声で言うと恥ずかしいよ、と言った。
これは昼飯代が浮くとかそういった問題では無い。女の子が彼氏のために一生懸命お弁当を作ってくるという、あまりにもベタで重要で少女漫画にのってそうなシチュエーションなのだ。そんなことが俺にあるなんて夢のようだ。
授業をずっと上の空で聞き流し、昼飯の時間まで待ち続けた。そして昼。いよいよお弁当とご対面。
「かなめ君、一緒に食べよ」
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「いただきます」
まず一口。おっ、こりゃうまいぞ、甘くてふわふわで...
「うまいぞ、一流シェフの味だ」
「あはは、そこまでじゃないよ」
「これから毎日作ってくれ」
するとさくらは赤くなり、小声で
「ほぇ、何かプロポーズみたい」
い、いや、そういう訳じゃ...
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「おう、何食ってんだ」
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「これは違うのっ、えっと、毒味」
「そうだ、毒味だ」
「船引、放課後に体育館裏に来い」
ちっ、めんどくさいことになったぞ。
そして放課後。体育館裏。久保田が準備運動をしていた。うーん、これは戦うしかないようだ。
「来たか」
「当たり前だ、すっぽかすような男じゃ無い」
「わっやめてよふたりとも」
さくらが止めに入る。それでも久保田は動じない。さくらが追撃。
「ボク、暴力的な人は嫌いかな」
久保田に精神的大打撃。ふらふら。
「それにボクはかなめ君が好きだから...その、ごめんね?」
そしてさくらは俺の手を引いて、その場から去った。久保田、何かすまん。
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そのあと、さくらと買い物にきた。さくらは慣れた手つきで買い物かごに食材をどんどん入れていく。さつまいも、海老、などなど。
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「当たりっ」
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「火傷するなよ」
「大丈夫だよ、かなめ君は何の天ぷらが好きなの?」
「海老かな」
夕食後、さくらを見送る。
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「いいの、かなめ君こそ毎日ボクの料理を食べてくれてありがとね」
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