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第12話 卵

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暗く天も地もわからぬ世界で
どれほどの時間が経ったのだろう。

前の世界で死んだあと
神様に呼ばれ、別の世界で生まれ変われると言われてからこの暗い世界で体も動かせぬままだいぶ経つ。

前の世界で一緒にいた大河と5年で会えると言われたが大河は元気でやっているのだろうか。







[[ピューイ]]
[[ピューイ]]

なんだか頭上でけたたましい鳴き声がする

鳥か何かの鳴き声か?

前に住んでいた場所でもこんな鳴き声の鳥がいた気がする・・・

最近体を動かすことはできないが外の音が聞こえるようになってきた

体を動かせないのは前の場所にいたときとさほど変わらない状態だ。

・・・

先ほどの鳥とは別の何者かが近づいてくる気配を感じた。

その何者かが近づいてくる感覚は次第に明確になり

人の気配が2人分。そしてこのうちの一人の気配は知っている。

(この感じ、前にいた場所で掃除や食事をくれていた大河の気配だ)

(間違いない。あの神が言っていた5年が経過したのか)

最近になってやっと周囲の音や気配などを感じることが出来るようになった為

ゴロウにはいったいどれほどの時間がたっているのかを知る術がなかったのだ。

(しかし大河で間違いなさそうだが、気配というか感じる存在感がやけに大きいな)

(5年の間にずいぶんと成長をしたのだな。早くどんな姿になったのか見てみたい)


すると外から声が聞こえる。

不思議と何を言っているかがわかった。

「父様、ここに大きな卵があります。」
「おぉ、ほんとに大きいな。こんな卵は見たことも聞いたこともない。」

(あぁ私は卵に入っているのか。どおりで動けないわけだ)

「えっ?父様も見たことが無い種族の卵なのですね!?」

「あぁ・・・卵の時点でこんなに大きい魔物だ果たしてダイにテイムできるもなのか?」

(むむ?ダイ? 大河ではないのか? いや、これは間違いない。大河の気配だ。)


「しかし、神の啓示でいただいた場所にあった卵はこれだけです。
この卵に間違いありません。不思議とこの中の存在は私にとって特別なものに感じます」

「そ、そうか。 しかし どうやって運ぶか」


ズズっ
鈍い音が卵の内側に反響する。

「これは私たち二人では到底もって変えることはできないぞ」

(そんなに重いのか・・・なんか申し訳ない。自分で動けないものか)

“ゆらり”

「父様、今卵が動きませんでしたか?」

「そうか?気のせいではないのか?」

“ゆらゆらり”
(おぉ少し動けるぞ)

「ほら、動きました!」

「あぁ動いているな。これはまさか孵化するのか?」

(もっと動いてみるか)
“ゆらゆらゆらり”“ゆらゆらゆら ピシっ”
(お、なんかこのまま出れそうだ)

ピシっ バキ バキバキ 

「おぉおおぉぉ」

(もう一息! それ!)

パカっ!!

(出ることが出来たのか?
 うっ眩しい・・・・目が開けられない・・・)



「「えええぇぇぇ ド、ドラゴン!?」」
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