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それぞれの始まり
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「テオ!!」
その名前を見た瞬間、アリシアはその贈り鳥から強引に手紙を受け取り、彼女はその手紙を見る。
「……ま、間違いない。この文字……テオの文字だ……!テオ……」
視界が涙でぼやけそうになるが、腕で目元を拭き、封筒に閉じてある中身を取り出す。
その手紙に書かれた内容はシンプルなものであった。
ある事情で10年間行方をくらましていたこと、今も元気に生きているということ。そして……彼の追放に対して、自分を責めないでほしいということ。
様々なことが書かれてあった。それを読むたびに、アリシアの重く、限界だった心は氷のように溶けていく。
寧ろ感謝もされた。弱かったから自分を見つめ直す機会を与えてくれたことを。
「…やめてくれ……そんな言葉、かけないでくれ……」
自分がしたことがよくないことだと分かってるのに、何かに解放されたかのように涙が止まらなくなる。
それでも、最後まで彼の手紙を読んでいく。
『俺はアリシアのこと、凄いやつだって分かっている。だから頑張ってくれ。応援してる』
「ッ!?……あぁ、テオ……テオ…!!」
彼の手紙を読み終え、自身の胸に収める。
自分を恨んでいたと思っていた相手から感謝もされ、背中を押された。テオの安否が確認したのも原因だが、彼の言葉が沈みきったアリシアの心を温めていく。
「……そうか…………やはりお前は必要な存在だったんだな……テオ……」
そして理解する。彼がこの勇者パーティーに必要な理由を。
強さではない。彼がそばにいることで、沈みきっていた仲間の心を支えることで、勇者パーティーはより強く、人々を導く道標となることができたのだ。
「……許されないかもしれない。捨てたのは私だ……でも」
……叶うことならなら、もう一度だけ彼に会いたい。
謝りたい。直接、彼に対して自分がやってしまった罪を。
笑い合いたい。辛い時も苦しいときも、昔のようにへっちゃらだと言う彼と一緒に。
そして……彼を守りたい。
十年前では弱かった。でも、今は違う。精神が限界に近かった自分を救ってくれた彼のそばで……戦いたい。
「………こんな私でも、彼は会ってくれるのだろうか」
……だめだ。もうテオが生きているということを知ってしまったら抑えられない。同時に不安が過る。もしもあの時みたいに危険な目に遭ってしまっていたら……。
「だめだ!!」
即座に立ち上がる。行動は早かった。アリシアは荷物をまとめ、テオの場所に向かうために走っていく。
「あ、アリシア!?」
そんな様子を見た仲間の三人も急いで荷物を片付けてから彼女の後を追う。
「おいアリシア!どこに行くんだ!急に飛び出して!」
「モガの街に向かう!!」
「えぇ!?あそこってここからめっちゃ遠いよ!?どうしてそんな!」
「会わなければならない奴がいる……!クレフィ!私に魔法をかけてくれ!」
アリシアの様子を見てクレフィは悟ったのか、彼女に補助魔法……主に肉体能力強化の魔法を使う。
「ちょ!?クレフィ!?」
「行くわよ。あの子が必死になる理由なんて一つしかないでしょ」
自分含めて三人同時にアリシアと同じ魔法を掛け、クレフィも先に進む。そのいつもと違う二人の様子に困惑しながらも、双子の兄妹もまた彼女らの後を追う。
(贈り鳥を使えるのはこの王国ではモガの街しかない……!そこにテオが!)
「待っててくれ……テオ!!」
テオとは別で、アリシアたち勇者パーティーでもまた止まった歯車が再び回り始め、新たな冒険が始まろうとしていた。
そう……追放してしまった嘗ての仲間を追う旅が。
全ては始まりの序章にしかすぎなかった。
◇
「……しまったな」
俺は自分が行ってしまったことに後悔する。
そう、自分の身分証明書を作るのを忘れてしまったのだ。そのせいで本名で手紙を贈り届けられることに……。
ただそれだけじゃない、資金調達もまた彼の中で大きな問題となっていた。
(確か原作だと……|神の祠メギドで狩った魔物を売って俺すげえええええしてたんだっけか?……嫌過ぎる)
ということで却下だ。となると、身分証明書と資金調達問題を同時に解決するには……。
「……冒険者。つまりギルドに入るか」
幸い、今は戦う力がある。俺の勘違いじゃなければある程度は……。
それに、冒険者として活動していった方が今後自由に行動できるから都合がいい。
……よし、そうと決まれば行動だ。
俺は風羽の便から出て、冒険者ギルドに向かおうと思ったが……そこで見てしまった。
(……あぁ、追放ものならそうだよな)
俺は理解する。ここでテオの初めての仲間と出会うことを。
そして……路地裏で息絶えそうなその子供の元に向かうのであった。
その名前を見た瞬間、アリシアはその贈り鳥から強引に手紙を受け取り、彼女はその手紙を見る。
「……ま、間違いない。この文字……テオの文字だ……!テオ……」
視界が涙でぼやけそうになるが、腕で目元を拭き、封筒に閉じてある中身を取り出す。
その手紙に書かれた内容はシンプルなものであった。
ある事情で10年間行方をくらましていたこと、今も元気に生きているということ。そして……彼の追放に対して、自分を責めないでほしいということ。
様々なことが書かれてあった。それを読むたびに、アリシアの重く、限界だった心は氷のように溶けていく。
寧ろ感謝もされた。弱かったから自分を見つめ直す機会を与えてくれたことを。
「…やめてくれ……そんな言葉、かけないでくれ……」
自分がしたことがよくないことだと分かってるのに、何かに解放されたかのように涙が止まらなくなる。
それでも、最後まで彼の手紙を読んでいく。
『俺はアリシアのこと、凄いやつだって分かっている。だから頑張ってくれ。応援してる』
「ッ!?……あぁ、テオ……テオ…!!」
彼の手紙を読み終え、自身の胸に収める。
自分を恨んでいたと思っていた相手から感謝もされ、背中を押された。テオの安否が確認したのも原因だが、彼の言葉が沈みきったアリシアの心を温めていく。
「……そうか…………やはりお前は必要な存在だったんだな……テオ……」
そして理解する。彼がこの勇者パーティーに必要な理由を。
強さではない。彼がそばにいることで、沈みきっていた仲間の心を支えることで、勇者パーティーはより強く、人々を導く道標となることができたのだ。
「……許されないかもしれない。捨てたのは私だ……でも」
……叶うことならなら、もう一度だけ彼に会いたい。
謝りたい。直接、彼に対して自分がやってしまった罪を。
笑い合いたい。辛い時も苦しいときも、昔のようにへっちゃらだと言う彼と一緒に。
そして……彼を守りたい。
十年前では弱かった。でも、今は違う。精神が限界に近かった自分を救ってくれた彼のそばで……戦いたい。
「………こんな私でも、彼は会ってくれるのだろうか」
……だめだ。もうテオが生きているということを知ってしまったら抑えられない。同時に不安が過る。もしもあの時みたいに危険な目に遭ってしまっていたら……。
「だめだ!!」
即座に立ち上がる。行動は早かった。アリシアは荷物をまとめ、テオの場所に向かうために走っていく。
「あ、アリシア!?」
そんな様子を見た仲間の三人も急いで荷物を片付けてから彼女の後を追う。
「おいアリシア!どこに行くんだ!急に飛び出して!」
「モガの街に向かう!!」
「えぇ!?あそこってここからめっちゃ遠いよ!?どうしてそんな!」
「会わなければならない奴がいる……!クレフィ!私に魔法をかけてくれ!」
アリシアの様子を見てクレフィは悟ったのか、彼女に補助魔法……主に肉体能力強化の魔法を使う。
「ちょ!?クレフィ!?」
「行くわよ。あの子が必死になる理由なんて一つしかないでしょ」
自分含めて三人同時にアリシアと同じ魔法を掛け、クレフィも先に進む。そのいつもと違う二人の様子に困惑しながらも、双子の兄妹もまた彼女らの後を追う。
(贈り鳥を使えるのはこの王国ではモガの街しかない……!そこにテオが!)
「待っててくれ……テオ!!」
テオとは別で、アリシアたち勇者パーティーでもまた止まった歯車が再び回り始め、新たな冒険が始まろうとしていた。
そう……追放してしまった嘗ての仲間を追う旅が。
全ては始まりの序章にしかすぎなかった。
◇
「……しまったな」
俺は自分が行ってしまったことに後悔する。
そう、自分の身分証明書を作るのを忘れてしまったのだ。そのせいで本名で手紙を贈り届けられることに……。
ただそれだけじゃない、資金調達もまた彼の中で大きな問題となっていた。
(確か原作だと……|神の祠メギドで狩った魔物を売って俺すげえええええしてたんだっけか?……嫌過ぎる)
ということで却下だ。となると、身分証明書と資金調達問題を同時に解決するには……。
「……冒険者。つまりギルドに入るか」
幸い、今は戦う力がある。俺の勘違いじゃなければある程度は……。
それに、冒険者として活動していった方が今後自由に行動できるから都合がいい。
……よし、そうと決まれば行動だ。
俺は風羽の便から出て、冒険者ギルドに向かおうと思ったが……そこで見てしまった。
(……あぁ、追放ものならそうだよな)
俺は理解する。ここでテオの初めての仲間と出会うことを。
そして……路地裏で息絶えそうなその子供の元に向かうのであった。
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