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グレン様は顔を遠ざける。
「さて、そろそろバックが満タンか?」
「はい。少しだけ重さを感じるようになりました」
「らしいが、どうする? 一旦戻ってから出直すか? まだ時間はあるぞ」
「あ、じゃあ場所を変えませんか?」
グレン様は首を傾げる。
「ん? 構わないが、どこだ? 鉱山の中でも一番素材が豊富なのはここだぞ?」
「はい。鉱物は十分に集まりました。ほしいのは砂鉄です」
「砂鉄? 鉄ではダメなのか?」
「はい。玉鋼を作る材料にしたいので」
玉鋼。
私の前世の世界で、日本刀の作成に必要不可欠な素材。
その原料は主に砂鉄と木炭だ。
製造法が限られ、とても貴重な素材として有名な玉鋼だけど、この世界ではあまりなじみがない。
なぜならこの世界に、刀はないから。
鍛冶師はいる。
けれど、日本刀が打てる鍛冶師はいなかった。
私一人を除いて。
「玉鋼……聞いたことがないな」
「刀づくりには必要なんです。どこか砂鉄がたくさん採取できる場所があれば……海岸で採取できるはずです」
確か砂鉄は、海岸によく蓄積して層を作っていると聞いたことがある。
海のない街で生まれたから、一度も取りに行くことはできなかったけど、もし近場に海があれば、独りで採取しに行っていただろう。
「海岸か。なら北部に向かおう」
グレン様が指を鳴らす。
一瞬で魔法陣が展開され、私たちは移動させられた。
洞窟の中から外へ。
しかも一面に海が広がり、砂浜が何キロも続く場所に、ぽつんと立たされた。
いきなり景色が一変すると、脳がバグったようにフリーズする。
「着いたぞ?」
「あ、はい」
脳の処理がようやく追いついてあたりを見渡す。
想定よりもはるかに広い。
しゃがみ込み、地面の状態を確認したけど、ここは砂ばかりのようだ。
私が過去に調べた知識によると、人が歩けるような砂浜より、ゴツゴツした海岸に砂鉄は溜まっていた。
砂鉄は砂よりも重いから、海水で砂が流されるのに対し、砂鉄は残って蓄積する。
そうやって層を作る、ということらしい。
私たちは砂浜を歩いて、砂鉄がありそうな場所を探した。
「ソフィア様! あそこの付近は色が濃いようですよ」
「あ、本当ですね!」
ようやく見つけた。
崖っぽくなっている海岸に、黒砂鉄の層を見つける。
これを採取するのだけど、スコップで掘るのは効率が悪いし、砂が混ざると後で取り出すのが大変だ。
「磁石でもあれば……」
「そういうことなら簡単だ」
グレン様が右手を上にかざした。
魔法陣が展開される。
直後、周囲が揺れ始めた。
「え、ええ!」
「磁力があればいいのだろう?」
砂鉄が……集まっていく。
グレン様がかざした右手に、砂の中に埋もれていた砂鉄だけが、磁力で引き寄せられて球状に集結していた。
それはまるで、砂嵐……否、砂鉄嵐だ。
「これだけあれば十分か?」
「は、はい。助かりました」
この人と一緒にいると、ビックリすることが多すぎて大変そうだ。
でもおかげで、素材は大方揃った。
いよいよイメージできる。
自分の店で並ぶ剣たちと、一緒に働く私の姿が。
「さて、そろそろバックが満タンか?」
「はい。少しだけ重さを感じるようになりました」
「らしいが、どうする? 一旦戻ってから出直すか? まだ時間はあるぞ」
「あ、じゃあ場所を変えませんか?」
グレン様は首を傾げる。
「ん? 構わないが、どこだ? 鉱山の中でも一番素材が豊富なのはここだぞ?」
「はい。鉱物は十分に集まりました。ほしいのは砂鉄です」
「砂鉄? 鉄ではダメなのか?」
「はい。玉鋼を作る材料にしたいので」
玉鋼。
私の前世の世界で、日本刀の作成に必要不可欠な素材。
その原料は主に砂鉄と木炭だ。
製造法が限られ、とても貴重な素材として有名な玉鋼だけど、この世界ではあまりなじみがない。
なぜならこの世界に、刀はないから。
鍛冶師はいる。
けれど、日本刀が打てる鍛冶師はいなかった。
私一人を除いて。
「玉鋼……聞いたことがないな」
「刀づくりには必要なんです。どこか砂鉄がたくさん採取できる場所があれば……海岸で採取できるはずです」
確か砂鉄は、海岸によく蓄積して層を作っていると聞いたことがある。
海のない街で生まれたから、一度も取りに行くことはできなかったけど、もし近場に海があれば、独りで採取しに行っていただろう。
「海岸か。なら北部に向かおう」
グレン様が指を鳴らす。
一瞬で魔法陣が展開され、私たちは移動させられた。
洞窟の中から外へ。
しかも一面に海が広がり、砂浜が何キロも続く場所に、ぽつんと立たされた。
いきなり景色が一変すると、脳がバグったようにフリーズする。
「着いたぞ?」
「あ、はい」
脳の処理がようやく追いついてあたりを見渡す。
想定よりもはるかに広い。
しゃがみ込み、地面の状態を確認したけど、ここは砂ばかりのようだ。
私が過去に調べた知識によると、人が歩けるような砂浜より、ゴツゴツした海岸に砂鉄は溜まっていた。
砂鉄は砂よりも重いから、海水で砂が流されるのに対し、砂鉄は残って蓄積する。
そうやって層を作る、ということらしい。
私たちは砂浜を歩いて、砂鉄がありそうな場所を探した。
「ソフィア様! あそこの付近は色が濃いようですよ」
「あ、本当ですね!」
ようやく見つけた。
崖っぽくなっている海岸に、黒砂鉄の層を見つける。
これを採取するのだけど、スコップで掘るのは効率が悪いし、砂が混ざると後で取り出すのが大変だ。
「磁石でもあれば……」
「そういうことなら簡単だ」
グレン様が右手を上にかざした。
魔法陣が展開される。
直後、周囲が揺れ始めた。
「え、ええ!」
「磁力があればいいのだろう?」
砂鉄が……集まっていく。
グレン様がかざした右手に、砂の中に埋もれていた砂鉄だけが、磁力で引き寄せられて球状に集結していた。
それはまるで、砂嵐……否、砂鉄嵐だ。
「これだけあれば十分か?」
「は、はい。助かりました」
この人と一緒にいると、ビックリすることが多すぎて大変そうだ。
でもおかげで、素材は大方揃った。
いよいよイメージできる。
自分の店で並ぶ剣たちと、一緒に働く私の姿が。
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