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「待っ――……あれ?」
という夢を見た。
窓の外から朝日が差し込んでいる。
空は雲一つない晴天。
時計の針は、朝の七時半を指し示していた。
「び、ビックリしたぁ……夢だったのね」
心からホッとする。
私が偽物の聖女で、祈りではなく魔法で聖女のフリをしていて。
ずっと騙されていたことに怒ったフランに言及され。
散々悪態をつかれた後で、罪人として連れていかれる。
そんな突拍子もない悲劇……
普通にあり得る未来だから余計に怖い。
だって、全部本当のことだから。
私は聖女として活動しているけど、本物の聖女じゃない。
魔法で誤魔化しているハリボテ聖女だ。
ただ、夢の中でも言おうとしたことだけど、私だって好きで聖女を演じているわけじゃない。
全ての元凶は……姉さんだ。
二年前――
◇◇◇
「お願いサテラ! 私の代わりに聖女になって!」
「……え?」
突然、双子の姉のステラがよくわからないことを言い出した。
私は首を傾げて聞き返す。
「何言ってるの? 聖女はステラでしょ?」
「だーかーら! サテラに聖女のフリをしてほしいって言ってるの!」
「……無理だよ」
「どうして? サテラなら出来るわ!」
普段は大人しい性格のステラが、この時ばかりはグイグイきた。
何か深い事情があるのだろうかと思い、私は彼女に理由を尋ねてみたのだが……
「屋敷から出たくないのよ!」
「……そんな理由なの?」
予想以上に浅い理由で逆に驚かされた。
どうやら屋敷が好きすぎて、外に出るのが怖いらしい。
確かに聖女は大聖堂での見習い過程を終えると、国土各地の教会や聖地へ派遣される。
自分で場所を選ぶことは出来ない。
それが嫌だという気持ちは、まぁわからなくもなかった。
とは言え……
「私には無理だよ。聖女の力なんてないんだし」
「大丈夫よ。サテラは魔法が使えるでしょ? それで誤魔化せばいけるわ」
「ご、誤魔化せないって!」
「出来る!」
その自信はどこから湧いてくるのだろう?
他人事だから適当を言っているようにも見えて……とにかく無理だからと、私は何度も否定した。
するとステラはジトっとした目をして私を見つめる。
「な、何?」
「……サテラが魔法で時々悪いことしてたの。お父様にバラそうかな~」
「なっ、ちょっサテラ!?」
「それが嫌なら協力しなさい!」
という感じで、私はサテラに弱みを握られていたから、彼女のお願いに従うことにした。
ただ正直、すぐにバレると思っていたんだ。
大聖堂に入れば周りは全員、私とは違う本物の聖女たち。
その中で一人魔法使いがいれば、一人や二人くらいは気づくはずだと。
思っていたのに……
という夢を見た。
窓の外から朝日が差し込んでいる。
空は雲一つない晴天。
時計の針は、朝の七時半を指し示していた。
「び、ビックリしたぁ……夢だったのね」
心からホッとする。
私が偽物の聖女で、祈りではなく魔法で聖女のフリをしていて。
ずっと騙されていたことに怒ったフランに言及され。
散々悪態をつかれた後で、罪人として連れていかれる。
そんな突拍子もない悲劇……
普通にあり得る未来だから余計に怖い。
だって、全部本当のことだから。
私は聖女として活動しているけど、本物の聖女じゃない。
魔法で誤魔化しているハリボテ聖女だ。
ただ、夢の中でも言おうとしたことだけど、私だって好きで聖女を演じているわけじゃない。
全ての元凶は……姉さんだ。
二年前――
◇◇◇
「お願いサテラ! 私の代わりに聖女になって!」
「……え?」
突然、双子の姉のステラがよくわからないことを言い出した。
私は首を傾げて聞き返す。
「何言ってるの? 聖女はステラでしょ?」
「だーかーら! サテラに聖女のフリをしてほしいって言ってるの!」
「……無理だよ」
「どうして? サテラなら出来るわ!」
普段は大人しい性格のステラが、この時ばかりはグイグイきた。
何か深い事情があるのだろうかと思い、私は彼女に理由を尋ねてみたのだが……
「屋敷から出たくないのよ!」
「……そんな理由なの?」
予想以上に浅い理由で逆に驚かされた。
どうやら屋敷が好きすぎて、外に出るのが怖いらしい。
確かに聖女は大聖堂での見習い過程を終えると、国土各地の教会や聖地へ派遣される。
自分で場所を選ぶことは出来ない。
それが嫌だという気持ちは、まぁわからなくもなかった。
とは言え……
「私には無理だよ。聖女の力なんてないんだし」
「大丈夫よ。サテラは魔法が使えるでしょ? それで誤魔化せばいけるわ」
「ご、誤魔化せないって!」
「出来る!」
その自信はどこから湧いてくるのだろう?
他人事だから適当を言っているようにも見えて……とにかく無理だからと、私は何度も否定した。
するとステラはジトっとした目をして私を見つめる。
「な、何?」
「……サテラが魔法で時々悪いことしてたの。お父様にバラそうかな~」
「なっ、ちょっサテラ!?」
「それが嫌なら協力しなさい!」
という感じで、私はサテラに弱みを握られていたから、彼女のお願いに従うことにした。
ただ正直、すぐにバレると思っていたんだ。
大聖堂に入れば周りは全員、私とは違う本物の聖女たち。
その中で一人魔法使いがいれば、一人や二人くらいは気づくはずだと。
思っていたのに……
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