ハリボテ聖女は逃げ出したい ~聖女になりたくない姉の身代わりで聖女のふりをし続けていますが、そろそろバレそうで心配です~

日之影ソラ

文字の大きさ
2 / 5

しおりを挟む
「待っ――……あれ?」

 という夢を見た。

 窓の外から朝日が差し込んでいる。
 空は雲一つない晴天。
 時計の針は、朝の七時半を指し示していた。

「び、ビックリしたぁ……夢だったのね」

 心からホッとする。
 私が偽物の聖女で、祈りではなく魔法で聖女のフリをしていて。
 ずっと騙されていたことに怒ったフランに言及され。
 散々悪態をつかれた後で、罪人として連れていかれる。
 そんな突拍子もない悲劇……
 
 普通にあり得る未来だから余計に怖い。

 だって、全部本当のことだから。
 私は聖女として活動しているけど、本物の聖女じゃない。
 魔法で誤魔化しているハリボテ聖女だ。
 ただ、夢の中でも言おうとしたことだけど、私だって好きで聖女を演じているわけじゃない。
 全ての元凶は……姉さんだ。

 二年前――

  ◇◇◇

「お願いサテラ! 私の代わりに聖女になって!」
「……え?」

 突然、双子の姉のステラがよくわからないことを言い出した。
 私は首を傾げて聞き返す。

「何言ってるの? 聖女はステラでしょ?」
「だーかーら! サテラに聖女のフリをしてほしいって言ってるの!」
「……無理だよ」
「どうして? サテラなら出来るわ!」

 普段は大人しい性格のステラが、この時ばかりはグイグイきた。
 何か深い事情があるのだろうかと思い、私は彼女に理由を尋ねてみたのだが……

「屋敷から出たくないのよ!」
「……そんな理由なの?」

 予想以上に浅い理由で逆に驚かされた。
 どうやら屋敷が好きすぎて、外に出るのが怖いらしい。
 確かに聖女は大聖堂での見習い過程を終えると、国土各地の教会や聖地へ派遣される。
 自分で場所を選ぶことは出来ない。
 それが嫌だという気持ちは、まぁわからなくもなかった。
 とは言え……

「私には無理だよ。聖女の力なんてないんだし」
「大丈夫よ。サテラは魔法が使えるでしょ? それで誤魔化せばいけるわ」
「ご、誤魔化せないって!」
「出来る!」

 その自信はどこから湧いてくるのだろう?
 他人事だから適当を言っているようにも見えて……とにかく無理だからと、私は何度も否定した。
 するとステラはジトっとした目をして私を見つめる。

「な、何?」
「……サテラが魔法で時々悪いことしてたの。お父様にバラそうかな~」
「なっ、ちょっサテラ!?」
「それが嫌なら協力しなさい!」

 という感じで、私はサテラに弱みを握られていたから、彼女のお願いに従うことにした。
 ただ正直、すぐにバレると思っていたんだ。
 大聖堂に入れば周りは全員、私とは違う本物の聖女たち。
 その中で一人魔法使いがいれば、一人や二人くらいは気づくはずだと。
 思っていたのに……
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ベッドの上で婚約破棄されました

フーツラ
恋愛
 伯令嬢ニーナはベッドの上で婚約破棄を宣告された。相手は侯爵家嫡男、ハロルド。しかし、彼の瞳には涙が溜まっている。何か事情がありそうだ。

【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる

みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。 「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。 「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」 「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」 追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

本物の聖女なら本気出してみろと言われたので本気出したら国が滅びました(笑

リオール
恋愛
タイトルが完全なネタバレ(苦笑 勢いで書きました。 何でも許せるかた向け。 ギャグテイストで始まりシリアスに終わります。 恋愛の甘さは皆無です。 全7話。

傷物の大聖女は盲目の皇子に見染められ祖国を捨てる~失ったことで滅びに瀕する祖国。今更求められても遅すぎです~

たらふくごん
恋愛
聖女の力に目覚めたフィアリーナ。 彼女には人に言えない過去があった。 淑女としてのデビューを祝うデビュタントの日、そこはまさに断罪の場へと様相を変えてしまう。 実父がいきなり暴露するフィアリーナの過去。 彼女いきなり不幸のどん底へと落とされる。 やがて絶望し命を自ら断つ彼女。 しかし運命の出会いにより彼女は命を取り留めた。 そして出会う盲目の皇子アレリッド。 心を通わせ二人は恋に落ちていく。

新しい聖女が優秀なら、いらない聖女の私は消えて竜人と暮らします

天宮有
恋愛
ラクード国の聖女シンシアは、新しい聖女が優秀だからという理由でリアス王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。 ラクード国はシンシアに利用価値があると言い、今後は地下室で暮らすよう命令する。 提案を拒むと捕らえようとしてきて、シンシアの前に竜人ヨハンが現れる。 王家の行動に激怒したヨハンは、シンシアと一緒に他国で暮らすと宣言した。 優秀な聖女はシンシアの方で、リアス王子が愛している人を新しい聖女にした。 シンシアは地下で働かせるつもりだった王家は、真実を知る竜人を止めることができない。 聖女と竜が消えてから数日が経ち、リアス王子は後悔していた。

悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。

蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。 しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。 自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。 そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。 一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。 ※カクヨムさまにも掲載しています。

誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。

木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。 それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。 誰にも信じてもらえず、罵倒される。 そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。 実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。 彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。 故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。 彼はミレイナを快く受け入れてくれた。 こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。 そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。 しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。 むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。

処理中です...