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「まさか誰にもバレないなんて……」
予想外過ぎてもう、何と言って良いやら。
大聖堂での一年間と、教会に派遣されてから一年半。
未だに誰も気づかない。
大聖堂に通っている時に出会って仲良くなり、私の婚約者兼護衛騎士になってくれたフランですら、私の嘘に気付いていない。
私が凄いのか、周りがおかしいのか別として。
ここまで来てしまったら、もう嘘をつき通すしかなくなった。
バレたら最後、夢と同じ結末になりかねない。
「今日も頑張ってハリ――」
「意気込みを言ってる暇があったら起きてくれるかい?」
「え……フラン!? いつの間に入ってきたの? ノックもなしに」
「ノックはしたさ。全然起きてこなかったから入ってきただけだよ」
そうだったの?
全然聞こえなかった……それに危なかった。
ハリボテ聖女って途中まで言いかけたわ。
「起きたなら着替えてくれ。朝食が冷める」
「わ、わかったわよ」
一番バレてはいけない相手に知られる所だった。
夢の中で彼に責められるだけでも悲しいのに、現実で同じことが起こったら立ち直れない。
何としても嘘をつき通す。
この嘘は墓場まで持っていくと心に決めているのだから。
朝食を済ませた後は、教会で迷える人々の悩みを聞く。
私が派遣された街は規模こそ小さいけど、お年寄りや子供持ちの家庭が多く、様々な悩みが舞い込んでくる。
「聖女様聞いてください! 妻が最近私に冷たいんです」
「それはよくありませんね。何か心当たりはありませんか?」
「まったくありません。皆目見当もつきませんよ」
「そうですか……」
心当たりがないんじゃお手上げだ。
困った私は魔法の瞳をひっそり発動して、彼にもう一度尋ねる。
「本当に心当たりはありませんね?」
「はい」
と、彼は言っているが嘘だ。
この魔法で覗かれると、相手が嘘をついているかわかる。
私が一番怖い魔法で、それ故に一番頼りにしている魔法でもある。
予想外過ぎてもう、何と言って良いやら。
大聖堂での一年間と、教会に派遣されてから一年半。
未だに誰も気づかない。
大聖堂に通っている時に出会って仲良くなり、私の婚約者兼護衛騎士になってくれたフランですら、私の嘘に気付いていない。
私が凄いのか、周りがおかしいのか別として。
ここまで来てしまったら、もう嘘をつき通すしかなくなった。
バレたら最後、夢と同じ結末になりかねない。
「今日も頑張ってハリ――」
「意気込みを言ってる暇があったら起きてくれるかい?」
「え……フラン!? いつの間に入ってきたの? ノックもなしに」
「ノックはしたさ。全然起きてこなかったから入ってきただけだよ」
そうだったの?
全然聞こえなかった……それに危なかった。
ハリボテ聖女って途中まで言いかけたわ。
「起きたなら着替えてくれ。朝食が冷める」
「わ、わかったわよ」
一番バレてはいけない相手に知られる所だった。
夢の中で彼に責められるだけでも悲しいのに、現実で同じことが起こったら立ち直れない。
何としても嘘をつき通す。
この嘘は墓場まで持っていくと心に決めているのだから。
朝食を済ませた後は、教会で迷える人々の悩みを聞く。
私が派遣された街は規模こそ小さいけど、お年寄りや子供持ちの家庭が多く、様々な悩みが舞い込んでくる。
「聖女様聞いてください! 妻が最近私に冷たいんです」
「それはよくありませんね。何か心当たりはありませんか?」
「まったくありません。皆目見当もつきませんよ」
「そうですか……」
心当たりがないんじゃお手上げだ。
困った私は魔法の瞳をひっそり発動して、彼にもう一度尋ねる。
「本当に心当たりはありませんね?」
「はい」
と、彼は言っているが嘘だ。
この魔法で覗かれると、相手が嘘をついているかわかる。
私が一番怖い魔法で、それ故に一番頼りにしている魔法でもある。
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