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見覚えのある後姿を見つけた。
まさか、そんなことがあるのだろうか?
人違いだと思ったけど、頬を流れる汗を拭った時、横顔が見えて確信した。
「アクト様?」
「ん? ああ、イリアスとシオンか。来ていたんだね」
「はい。イリアス様に街を案内しております」
「そうか。ちょっと待ってくれ。今そっちに向かうから」
アクト様は耕した土を踏まないように飛び越えて、私とシオンの前にやってきた。
何度見てもアクト様だ。
汗を流し、頬や服には土をつけているけど。
「そっちは順調か?」
「はい。イリアス様のご提案で、街の方々の声を聞いているところです」
「そういうことか。いいことだが、みんな驚いていただろう?」
「はい。ですがすぐに打ち解けていらっしゃいました」
驚いているのは今、この状況に……なのだけど。
シオンは普段通りに会話をしているし、驚くような素振りを見せない。
つまり、これが普通ということ?
一国の王様が、国民と一緒に畑仕事をしている光景が?
私の脳裏には疑問符がいくつも浮かんでいた。
「イリアス? どうかしたか?」
「あ、いえ……陛下も、畑仕事をされているのですね」
「ああ、偶にな。人手が足りない時は、こうして手伝いに来ているんだよ」
「そうなのですね……」
「驚いたか?」
「はい……驚きました。国王が畑仕事をしているなんて、スパーク王国ではありえない光景でしたので」
「ははっ! たぶんうちだけだろうな。俺も聞いたことはないし、他国の王に知られたら呆れられるだろうな」
アクト様は笑いながら、腰に手を当てて畑のほうを見ながら言う。
「うちは動ける若い人間が限られている。畑仕事は力がいるからな」
「それはそうですが……」
「言いたいことはわかるよ。これは俺の仕事じゃない。本来なら、俺がここにいること自体がおかしいことだ。でも、何かしたいって思うんだよ」
「アクト様……」
アクト様は目を細めて、共に畑仕事で汗を流す人たちを見つめていた。
若い人よりも、お年寄りの方のほうが多い。
街で働く人たちは、比較的若い男性が多かったように思う。
きっと今ここで働いている方は、昔から畑仕事に取り組んでいる方なのだろう。
汗を流し、時に腰をトントンと叩きながら……。
「この国はいつだってギリギリだ。休むことすら許されないほど……ここで働く人も高齢だしな。これからさらに歳を取ったら、畑仕事は誰がやる? そういうことも考えなきゃいけないんだけど……結局、今やれることはこれくらいなんだよ」
「アクト様は国外にも赴き、若い働き手を勧誘されたり、王国に協力を依頼されているのです」
「国外に?」
そんなことまでされていたのか……。
スパーク王国にも、そういう相談をしていたのだろうか?
少なくとも、私の耳には入ってこなかった。
「大体が門前払いされてしまうけどな。未来のない国に、投資する価値がどこにある……と」
「そんな……」
「事実だ。彼らも慈善事業をしているわけじゃない。何の利益もないのに、他国に協力する理由はない。わかってはいるんだ。だから少しでも、この国の価値を示さないといけないのに……」
「アクト様……」
悔しさに、彼は唇をかみしめていた。
貧困はどんどん悪化していく。
これから冬になれば、病や体調不良の方が増えるだけじゃない。
食材も手に入りにくくなるし、冬の寒さに耐えながら、外で働くのはお年寄りには厳しい。
それこそ、命を削る行為に他ならない。
まさか、そんなことがあるのだろうか?
人違いだと思ったけど、頬を流れる汗を拭った時、横顔が見えて確信した。
「アクト様?」
「ん? ああ、イリアスとシオンか。来ていたんだね」
「はい。イリアス様に街を案内しております」
「そうか。ちょっと待ってくれ。今そっちに向かうから」
アクト様は耕した土を踏まないように飛び越えて、私とシオンの前にやってきた。
何度見てもアクト様だ。
汗を流し、頬や服には土をつけているけど。
「そっちは順調か?」
「はい。イリアス様のご提案で、街の方々の声を聞いているところです」
「そういうことか。いいことだが、みんな驚いていただろう?」
「はい。ですがすぐに打ち解けていらっしゃいました」
驚いているのは今、この状況に……なのだけど。
シオンは普段通りに会話をしているし、驚くような素振りを見せない。
つまり、これが普通ということ?
一国の王様が、国民と一緒に畑仕事をしている光景が?
私の脳裏には疑問符がいくつも浮かんでいた。
「イリアス? どうかしたか?」
「あ、いえ……陛下も、畑仕事をされているのですね」
「ああ、偶にな。人手が足りない時は、こうして手伝いに来ているんだよ」
「そうなのですね……」
「驚いたか?」
「はい……驚きました。国王が畑仕事をしているなんて、スパーク王国ではありえない光景でしたので」
「ははっ! たぶんうちだけだろうな。俺も聞いたことはないし、他国の王に知られたら呆れられるだろうな」
アクト様は笑いながら、腰に手を当てて畑のほうを見ながら言う。
「うちは動ける若い人間が限られている。畑仕事は力がいるからな」
「それはそうですが……」
「言いたいことはわかるよ。これは俺の仕事じゃない。本来なら、俺がここにいること自体がおかしいことだ。でも、何かしたいって思うんだよ」
「アクト様……」
アクト様は目を細めて、共に畑仕事で汗を流す人たちを見つめていた。
若い人よりも、お年寄りの方のほうが多い。
街で働く人たちは、比較的若い男性が多かったように思う。
きっと今ここで働いている方は、昔から畑仕事に取り組んでいる方なのだろう。
汗を流し、時に腰をトントンと叩きながら……。
「この国はいつだってギリギリだ。休むことすら許されないほど……ここで働く人も高齢だしな。これからさらに歳を取ったら、畑仕事は誰がやる? そういうことも考えなきゃいけないんだけど……結局、今やれることはこれくらいなんだよ」
「アクト様は国外にも赴き、若い働き手を勧誘されたり、王国に協力を依頼されているのです」
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そんなことまでされていたのか……。
スパーク王国にも、そういう相談をしていたのだろうか?
少なくとも、私の耳には入ってこなかった。
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「そんな……」
「事実だ。彼らも慈善事業をしているわけじゃない。何の利益もないのに、他国に協力する理由はない。わかってはいるんだ。だから少しでも、この国の価値を示さないといけないのに……」
「アクト様……」
悔しさに、彼は唇をかみしめていた。
貧困はどんどん悪化していく。
これから冬になれば、病や体調不良の方が増えるだけじゃない。
食材も手に入りにくくなるし、冬の寒さに耐えながら、外で働くのはお年寄りには厳しい。
それこそ、命を削る行為に他ならない。
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