2 / 6
②
しおりを挟む
「――なんだこれは?」
「え?」
「君は僕に……こんな物を食べろと言っているのか!」
セドリック様が大声で怒鳴る。
彼がこんなにも激しく怒った姿を、私は初めて見た。
その怒りは私と、私の作ったお弁当に向けられている。
「な、なぜ怒っているんですか? まだお食べになってもいないのに」
「馬鹿にしているのか君は! こんなもの食べる以前の問題だ!」
私には彼がどうして怒っているのかわからなかった。
だけど、意味はすぐに理解できた。
彼が自らの口で言い放つことで。
「こんな植物の根っこが入っている料理など食べられるか! 君は貴族である僕を何だと思っているんだ!」
彼が植物の根っこと表現したのは、ゴボウというお野菜だった。
確かに見た目は木の根っこだし、実際その部分を使っている。
でもちゃんとしたお野菜の一つで、とても美味しいのに。
そうだ!
説明すればわかってもらえるかも
「これはゴボウというお野菜で」
「まだ言うのか! 君は僕に木の根を食べろと?」
「ですからちゃんとした野菜なんです。とっても美味しいので、食べてみればわかります」
「いい加減にしてくれ! それだけじゃない! どれもこれも貧乏臭い見た目の料理ばかりじゃないか!」
そう言って彼は、料理の入ったお弁当箱を強く地面にたたきつけた。
衝撃で中身が飛び散ってしまう。
「ああ! なんてことをするんですか!」
「こちらのセリフだ! 君が僕のことを庶民と同列に見ているなんて思わなかったよ!」
私は腰を下ろし、ぐちゃぐちゃになってしまった料理をかき集める。
せっかく作ったのに。
食材や調味料だって無駄になってしまう。
そんな私を見下して、セドリック様は冷たい言葉を言い放つ。
「汚らしい」
それは散らかった料理に対しての言葉?
ううん、彼の目は私を見ていた。
まるでゴミを見るみたいに冷たい目で……
「君がそんな女性だとは思わなかった」
「セドリック……様?」
「君のような女性とこれ以上一緒にいられない。悪いが、婚約の話は考えさせてもらうよ」
セドリック様は立ち去っていく。
私はただ、彼に美味しいと言って貰いたかっただけなのに。
後日、セドリック様から正式に婚約破棄の申し出があった。
「え?」
「君は僕に……こんな物を食べろと言っているのか!」
セドリック様が大声で怒鳴る。
彼がこんなにも激しく怒った姿を、私は初めて見た。
その怒りは私と、私の作ったお弁当に向けられている。
「な、なぜ怒っているんですか? まだお食べになってもいないのに」
「馬鹿にしているのか君は! こんなもの食べる以前の問題だ!」
私には彼がどうして怒っているのかわからなかった。
だけど、意味はすぐに理解できた。
彼が自らの口で言い放つことで。
「こんな植物の根っこが入っている料理など食べられるか! 君は貴族である僕を何だと思っているんだ!」
彼が植物の根っこと表現したのは、ゴボウというお野菜だった。
確かに見た目は木の根っこだし、実際その部分を使っている。
でもちゃんとしたお野菜の一つで、とても美味しいのに。
そうだ!
説明すればわかってもらえるかも
「これはゴボウというお野菜で」
「まだ言うのか! 君は僕に木の根を食べろと?」
「ですからちゃんとした野菜なんです。とっても美味しいので、食べてみればわかります」
「いい加減にしてくれ! それだけじゃない! どれもこれも貧乏臭い見た目の料理ばかりじゃないか!」
そう言って彼は、料理の入ったお弁当箱を強く地面にたたきつけた。
衝撃で中身が飛び散ってしまう。
「ああ! なんてことをするんですか!」
「こちらのセリフだ! 君が僕のことを庶民と同列に見ているなんて思わなかったよ!」
私は腰を下ろし、ぐちゃぐちゃになってしまった料理をかき集める。
せっかく作ったのに。
食材や調味料だって無駄になってしまう。
そんな私を見下して、セドリック様は冷たい言葉を言い放つ。
「汚らしい」
それは散らかった料理に対しての言葉?
ううん、彼の目は私を見ていた。
まるでゴミを見るみたいに冷たい目で……
「君がそんな女性だとは思わなかった」
「セドリック……様?」
「君のような女性とこれ以上一緒にいられない。悪いが、婚約の話は考えさせてもらうよ」
セドリック様は立ち去っていく。
私はただ、彼に美味しいと言って貰いたかっただけなのに。
後日、セドリック様から正式に婚約破棄の申し出があった。
2
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
自業自得の召喚代償
みっちぇる。
ファンタジー
魔王に対抗するために召喚した?
そんなの私達には関係ないじゃない!
―ー関係ない人に全て押し付けて自分たちは高みの見物?
そんなのは許しません!
それ相応の犠牲ははらってもらいます。
……シリアスを目指しましたがなりそこねました。
この話に恋愛要素はありませんが、今後追加するおまけに恋愛要素を入れる予定なので恋愛カテゴリーに変更しています。
無能だと追放された「雑用係」のハル、現代の知恵(ライフハック)を駆使したら、呪われた魔王城が聖域化して伝説の賢者と呼ばれ始めた
ユネ
ファンタジー
「君のような無能な掃除係は必要ない!」
勇者パーティーからゴミのように捨てられた雑用係のハル。だが彼女には、前世で培った【家事のプロとしてのライフハック】があった。
移り住んだのは、誰もが恐れる『呪われた魔王城』。しかしハルにとっては、ただの「掃除のしがいがある大型物件」に過ぎなかった!
重曹とクエン酸で呪いを浄化し、アルミホイルで魔物を除け、ジャガイモの皮で伝説の鏡を蘇らせる。
魔法より便利な知恵で、お城はいつの間にか世界一快適な聖域に。
一方、ハルを失った勇者たちは、汚部屋と化した拠点と自らの無知に絶望することになり――。
これは、一人の「掃除好き」が知恵と工夫だけで異世界に革命を起こし、最高のスローライフを手に入れるまでの物語。
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる