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第一章
15.妹を探して三千里
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「ごく、ごく、ごく……ぷはっー! やっぱ飯は最高だなぁ!」
「セリフがおじさんみたいだな」
「ですね……」
グラスに入ったお酒を豪快に飲み干す動作は完全におじさんだった。
仕事帰りに一杯ひっかけてます、みたいな。
「お酒も飲めたんだ。なんとなく人形にお酒って悪いイメージがあったんだけど」
「別になんでも食えるぜ? 毒でもよほど強力じゃなけりゃ分解できるしな! ま、そこまで無理して」
「私たちドールにとって、食事は娯楽の一種ですからね」
「食べたものを魔力に変換してるんだっけ? 便利だよね」
人間の場合はそう簡単じゃない。
食べたものが身体を回復させる養分となって、間接的に魔力が回復するだけだ。
だから食べた後もしっかり休まないと魔力回復は遅い。
というのが普通の人間の話。
「マスターには関係ねーな。減ることねーし」
「一応減ってはいるんだけどね」
「そうなのか?」
「うん。君やアルファを起こした時は明確に感じたよ。一瞬だったけど」
魔力が大幅に消費される感覚。
全身の力がぐっと抜けて、倦怠感に襲われる。
当然だがあまり気持ちのいいものじゃない。
普通の人は魔力を使うたびにあの感覚を味わっているのだと思うと、少し同情する。
「やー食った食った~ 千年ぶりの飯は最高だったぜ~」
「がっつきすぎよ。もう」
「いいじゃん別に。姉上のほうが大食いなんだから、今日は控えめだったみたいだけど」
「わ、私は魔力効率が悪いから仕方なく……ま、まぁ食事は好きだけど」
見知った相手同士の団らんな会話。
見ているだけでほっこりする姉妹に心が温まる。
ただ、これで完璧とは言えない。
俺が見ている光景には足りないものがある。
「アルファ、残り一人……だね」
「はい」
彼女たちは三姉妹。
長女のアルファ、次女のデルタ、そして三女――
「シータが揃えば完璧だな!」
豪快な笑顔で言ったデルタに俺たちは頷く。
アルファからのお願いは姉妹を見つけることだった。
まだ目的は半分なんだ。
「二人ともシータの居場所はわかるの?」
俺は尋ねる。
すると二人は互いに顔を合わせる。
「それが、ここより離れた場所にいるみたいで正確な場所がわからないんです」
「オレらの感知も距離が伸びるほど曖昧になるからな~ 大まかな方角しかわからねーかな、今のとこ」
「そうか……ちなみにどっち?」
「あっち」
デルタが指をさす。
方角的には北。
何があるかと言われたら、いろいろある。
「近づけば正確な場所がわかるようになるんだよね?」
「はい」
「だったら行こう。最後の妹を探しに」
そう言って俺は席を立つ。
アルファは俺を見上げて尋ねる。
「よろしいのですか?」
「当たり前じゃないか。君の妹を探すって約束は、まだ半分しか果たせてない」
「ラスト様……」
「資金もあまるくらいあるし、、今なら世界の果てでも行けるよ」
と、それはさすがに言いすぎかな?
だけど気持ち的にはピッタリだ。
最近、身体が随分と軽くなった。
羽が生えたみたいに、どこまでも飛んでいけるような気さえする。
「さっすがマスター! そんじゃさっさと出発しようぜ」
「ああ」
「い、今からですか?」
「うん。せっかく家も買ったんだし、どうせなら全員揃ってただいまを言いたいから」
今度は四人で帰るんだ。
俺たちの家に。
◇◇◇
俺たちは荷物をまとめ、北を目指し旅立った。
目的地が曖昧な旅なんて、普通は不安しかないだろう。
だけど不思議と、不安や心配は一つも感じない。
俺の胸にあるのはシータへの期待と、俺にもやれることがあるという喜びだった。
「しゅっぱーつ!」
ガタガタと、俺たちを乗せた馬車が走る。
馬車を操縦しているのはデルタだ。
「デルタって馬の扱いもできたんだね」
「まぁね。武器だけじゃなくて、道具とかこういう乗り物も得意なんだ」
「それは頼りになるなぁ」
「へっへへ~ もっと頼ってくれていいぜ! マスター!」
褒められご満悦なデルタ。
俺の隣では、ちょっぴりムスッとしたアルファが座っている。
「私だって頑張れば操縦くらい」
「姉上は無理だろ。不器用だし」
「そ、そんなことないわよ!」
「あるじゃん。部屋の掃除の時だって力加減ミスって花瓶割ってたし」
そんなことあったなーと、頭の中で浮かぶ。
「くっ……お尻ペンペン」
「なんでだよ! 今のオレ悪くないだろ! なぁマスター!」
「あははは……」
「笑ってないで助けてくれよ! でないとオレのお尻がはじけ飛んじゃうから!」
他愛のない会話で盛り上がり、馬車の揺れる感覚を楽しむ。
馬車での遠征はなんどか経験した。
けど、こんなにのんびりとして、開放的な旅は始めてた。
いつも馬車の操縦は俺だったし、誰も俺に話しかけてくれなかったからな。
「……あいつら、今頃どうしてるかな」
「ラスト様?」
「なんでもないよ」
気にならないと言ったら嘘になる。
俺が抜けたあと、彼らがどうなったのか。
この旅が終わったら一度様子を……いや、止めておこう。
俺たちはもう他人だ。
馬車は進んでいく。
北へ進むにつれ気温が徐々に下がる。
目の前には大きな山が聳え立ち、山頂から麓にかけて真っ白な雪化粧を纏っている。
馬車は山の間にある警告を進む。
突然、馬車が停まった。
「なんだ?」
「敵です。二時の方角、数は三」
雪の中から姿を見せたのは、真っ白な毛並みが特徴的な大猿の魔物。
「スノーコングか。待ち伏せてたんだ」
「ちょうどいいや。二人ともそこでじっとしてて」
ひょいっとデルタが一人で馬車から飛び降りる。
「オレの能力、こいつらで見せてやるよ」
その発言と同時に、彼女の右手には鋼の剣が生成された。
「セリフがおじさんみたいだな」
「ですね……」
グラスに入ったお酒を豪快に飲み干す動作は完全におじさんだった。
仕事帰りに一杯ひっかけてます、みたいな。
「お酒も飲めたんだ。なんとなく人形にお酒って悪いイメージがあったんだけど」
「別になんでも食えるぜ? 毒でもよほど強力じゃなけりゃ分解できるしな! ま、そこまで無理して」
「私たちドールにとって、食事は娯楽の一種ですからね」
「食べたものを魔力に変換してるんだっけ? 便利だよね」
人間の場合はそう簡単じゃない。
食べたものが身体を回復させる養分となって、間接的に魔力が回復するだけだ。
だから食べた後もしっかり休まないと魔力回復は遅い。
というのが普通の人間の話。
「マスターには関係ねーな。減ることねーし」
「一応減ってはいるんだけどね」
「そうなのか?」
「うん。君やアルファを起こした時は明確に感じたよ。一瞬だったけど」
魔力が大幅に消費される感覚。
全身の力がぐっと抜けて、倦怠感に襲われる。
当然だがあまり気持ちのいいものじゃない。
普通の人は魔力を使うたびにあの感覚を味わっているのだと思うと、少し同情する。
「やー食った食った~ 千年ぶりの飯は最高だったぜ~」
「がっつきすぎよ。もう」
「いいじゃん別に。姉上のほうが大食いなんだから、今日は控えめだったみたいだけど」
「わ、私は魔力効率が悪いから仕方なく……ま、まぁ食事は好きだけど」
見知った相手同士の団らんな会話。
見ているだけでほっこりする姉妹に心が温まる。
ただ、これで完璧とは言えない。
俺が見ている光景には足りないものがある。
「アルファ、残り一人……だね」
「はい」
彼女たちは三姉妹。
長女のアルファ、次女のデルタ、そして三女――
「シータが揃えば完璧だな!」
豪快な笑顔で言ったデルタに俺たちは頷く。
アルファからのお願いは姉妹を見つけることだった。
まだ目的は半分なんだ。
「二人ともシータの居場所はわかるの?」
俺は尋ねる。
すると二人は互いに顔を合わせる。
「それが、ここより離れた場所にいるみたいで正確な場所がわからないんです」
「オレらの感知も距離が伸びるほど曖昧になるからな~ 大まかな方角しかわからねーかな、今のとこ」
「そうか……ちなみにどっち?」
「あっち」
デルタが指をさす。
方角的には北。
何があるかと言われたら、いろいろある。
「近づけば正確な場所がわかるようになるんだよね?」
「はい」
「だったら行こう。最後の妹を探しに」
そう言って俺は席を立つ。
アルファは俺を見上げて尋ねる。
「よろしいのですか?」
「当たり前じゃないか。君の妹を探すって約束は、まだ半分しか果たせてない」
「ラスト様……」
「資金もあまるくらいあるし、、今なら世界の果てでも行けるよ」
と、それはさすがに言いすぎかな?
だけど気持ち的にはピッタリだ。
最近、身体が随分と軽くなった。
羽が生えたみたいに、どこまでも飛んでいけるような気さえする。
「さっすがマスター! そんじゃさっさと出発しようぜ」
「ああ」
「い、今からですか?」
「うん。せっかく家も買ったんだし、どうせなら全員揃ってただいまを言いたいから」
今度は四人で帰るんだ。
俺たちの家に。
◇◇◇
俺たちは荷物をまとめ、北を目指し旅立った。
目的地が曖昧な旅なんて、普通は不安しかないだろう。
だけど不思議と、不安や心配は一つも感じない。
俺の胸にあるのはシータへの期待と、俺にもやれることがあるという喜びだった。
「しゅっぱーつ!」
ガタガタと、俺たちを乗せた馬車が走る。
馬車を操縦しているのはデルタだ。
「デルタって馬の扱いもできたんだね」
「まぁね。武器だけじゃなくて、道具とかこういう乗り物も得意なんだ」
「それは頼りになるなぁ」
「へっへへ~ もっと頼ってくれていいぜ! マスター!」
褒められご満悦なデルタ。
俺の隣では、ちょっぴりムスッとしたアルファが座っている。
「私だって頑張れば操縦くらい」
「姉上は無理だろ。不器用だし」
「そ、そんなことないわよ!」
「あるじゃん。部屋の掃除の時だって力加減ミスって花瓶割ってたし」
そんなことあったなーと、頭の中で浮かぶ。
「くっ……お尻ペンペン」
「なんでだよ! 今のオレ悪くないだろ! なぁマスター!」
「あははは……」
「笑ってないで助けてくれよ! でないとオレのお尻がはじけ飛んじゃうから!」
他愛のない会話で盛り上がり、馬車の揺れる感覚を楽しむ。
馬車での遠征はなんどか経験した。
けど、こんなにのんびりとして、開放的な旅は始めてた。
いつも馬車の操縦は俺だったし、誰も俺に話しかけてくれなかったからな。
「……あいつら、今頃どうしてるかな」
「ラスト様?」
「なんでもないよ」
気にならないと言ったら嘘になる。
俺が抜けたあと、彼らがどうなったのか。
この旅が終わったら一度様子を……いや、止めておこう。
俺たちはもう他人だ。
馬車は進んでいく。
北へ進むにつれ気温が徐々に下がる。
目の前には大きな山が聳え立ち、山頂から麓にかけて真っ白な雪化粧を纏っている。
馬車は山の間にある警告を進む。
突然、馬車が停まった。
「なんだ?」
「敵です。二時の方角、数は三」
雪の中から姿を見せたのは、真っ白な毛並みが特徴的な大猿の魔物。
「スノーコングか。待ち伏せてたんだ」
「ちょうどいいや。二人ともそこでじっとしてて」
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