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第一章 転生したけど死にそう
急募! 森から出る方法③
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振り下ろされたはずのこん棒が、地面に落ちる。
死んだと思って目を瞑った俺は、ゆっくりと瞳を開ける。
そこには腕を斬られたサイクロプスと、剣を振るう赤い髪の少女がいた。
片腕を斬られてサイクロプスはもがき苦しむ。
棍棒を落とし、斬られた腕の断面を反対の腕で抑えて吠えた。
この時点でサイクロプスのターゲットは俺たちから、腕を斬った少女へと切り替わった。
「お? まだやれる顔だな!」
少女は剣を構え直す。
俺やサラスよりも小さな身体、剣も決して大きくはない。
少なくとも、サイクロプスの腕よりずっと細い。
「それじゃ、もう片方貰うぞ!」
にもかかわらず、彼女の剣はサイクロプスの太い腕を両断した。
驚くべきは速度だ。
目で追えない。
気がつけば視界から彼女は消えて、ドシンと音を立ててサイクロプスの片腕が地面に落ちる。
両腕を失ったサイクロプスは、依然として立ち向かおうと叫ぶ。
しかし両腕を失えば何もできない。
無防備になった首を、彼女の剣は切り裂き血しぶきが舞う。
「――っと、思ったより呆気なかったな」
両腕と首を斬られたサイクロプスが地面に倒れ込み、肉体が消滅する。
この世界のモンスターは絶命すると消滅し、代わりにゴールドと素材を落とす。
そういうところはゲームっぽい仕様だ。
彼女の背後では大量のゴールドと素材が山を作る。
「た、助かったんですか?」
「あ、ああ……たぶん」
サイクロプスという脅威は去った。
問題は、目の前にいる彼女が俺たちにとって味方なのかどうか。
見た目は人間で、顔つきも可愛らしい女の子だけど、今の戦いを見たら同じ人間とは思えない。
少し警戒して彼女を見つめていると、ふと視線が合う。
「あんたら、無事?」
「ああ、おかげさまで」
「そっか! ならよかった!」
彼女はあか抜けた笑顔を見せる。
敵意は感じないし、剣も鞘に納めている。
とりあえず敵ではない……のか?
急に襲い掛かってきたら終わりだ。
さっきの速度で攻撃されたら避けられない。
それならいっそ、堂々としていたほうが自然かもしれないな。
「助けてくれてありがとう」
「別にいいよ。助けられたのは偶々だから。にしても驚いたな! こんな場所であたし以外の人と会えるなんてさ!」
「俺も驚いてるよ。えっと、君は……」
「あたしはカナタ! 見ての通り冒険者で、職業は剣士だよ」
彼女は腰の剣をトンと叩き、自己紹介をしてくれた。
俺とサラスもそれに返すように自己紹介をする。
「俺はヒビヤタクロウ、よろしく」
「ヒビヤタクロウ? なんかヘンテコな名前だな」
イントネーションが違う。
異世界の名前だから、この世界じゃ馴染みがないのだろう。
もしかすると、苗字と名前という概念はないのかもしれない。
「長いからタクロウでいいよ」
「わかった! よろしくな、タクロウ」
彼女はニッコリ笑いながら俺の名前を呼んだ。
なんだか久しぶりな気がする。
誰かに自分の名前を呼ばれるのは……。
最近じゃ、女神様とクソ天使に呼ばれたくらいで、前世じゃロクに他人と会話しなかったからな。
少し嬉しい気分だ。
「私はサラスです。この変態のサポート係です」
「変態?」
「おいこら、誰が変態だ。そもそもサポートって大したことしてねーじゃねーか!」
「仕方ないじゃないですか! こんな場所で私にできることなんてありませんよ!」
開き直りやがったぞこいつ!
本当にどこまで使えないんだクソ天使。
森を脱出する前にどこかに埋めて帰りたい。
「よくわかんないけど、二人も冒険者か?」
「いや、俺たちは違うよ」
「そうなのか? 冒険者でもないのにこんな場所にいるとか。変わってるな」
いや、ただの迷子なんだよ。
でもよかった。
冒険者ってことは、クエストか何かで森に入っているってことだよな?
それなら森の中には詳しいはずだし、出口も知っているだろう。
彼女について行けば脱出できる。
苦節一週間、ついにこのふざけた森から出られるんだ。
希望が見えたことで安堵する俺に、カナタの口から……。
「ところで聞きたいんだけど」
衝撃の一言が飛び出す。
「出口どっちかわかるか?」
「……え? い、今なんて?」
「いや~、実はあたし迷子になっちゃってさー。もう一週間くらい森にいるんだよね」
「……」
俺は膝から崩れ落ちた。
「……終わった」
「お? どうした?」
「どうした?じゃない! なんでそっちも迷子なんだよ! クエストか何かで森に入ったんじゃないのか?」
「ん? 違うぞ? あたしは剣の修業がしたくて旅をしてるんだ。次の街に向かおうと思って、こっちのほうが近道かもって森に入ったら」
「出られなくなったんですか?」
「そう!」
サラスの質問に元気よく答えるカナタ。
この瞬間に全てを悟る。
彼女は少々……お馬鹿らしい。
「せっかく出られると思ったのに……」
これじゃ迷子が一人増えただけじゃないか。
い、いや、ポジティブに考えよう。
同じ迷子ではあるけど、彼女はサイクロプスを一人で倒した実力者だ。
これまで無暗に行動できなかったが、彼女がいればモンスターが現れても怖くない。
本格的に出口を探すことができるようになった。
状況はちゃんと好転している。
諦めるな、俺!
「じゃあ一緒に出口を探そう。モンスターが出たら悪いけど頼むよ」
「おう! まかせと……」
「カナタ!?」
急にどさっとカナタが地面に倒れる。
うつ伏せで勢いよく倒れたので、すごく心配になった。
「ど、どうしたんだ? まさかさっきの戦いで負傷したんじゃ!」
「……」
「おい! カナタ!」
心配して声をかける俺に、返事はない。
代わりに聞こえてきたのは、特大の空腹音だった。
その音は俺だけじゃなく、サラスにも聞こえていた。
「お腹なりましたね」
「……お前、ひょっとして……」
「お、お腹すきました」
空腹で倒れただけかよ。
死んだと思って目を瞑った俺は、ゆっくりと瞳を開ける。
そこには腕を斬られたサイクロプスと、剣を振るう赤い髪の少女がいた。
片腕を斬られてサイクロプスはもがき苦しむ。
棍棒を落とし、斬られた腕の断面を反対の腕で抑えて吠えた。
この時点でサイクロプスのターゲットは俺たちから、腕を斬った少女へと切り替わった。
「お? まだやれる顔だな!」
少女は剣を構え直す。
俺やサラスよりも小さな身体、剣も決して大きくはない。
少なくとも、サイクロプスの腕よりずっと細い。
「それじゃ、もう片方貰うぞ!」
にもかかわらず、彼女の剣はサイクロプスの太い腕を両断した。
驚くべきは速度だ。
目で追えない。
気がつけば視界から彼女は消えて、ドシンと音を立ててサイクロプスの片腕が地面に落ちる。
両腕を失ったサイクロプスは、依然として立ち向かおうと叫ぶ。
しかし両腕を失えば何もできない。
無防備になった首を、彼女の剣は切り裂き血しぶきが舞う。
「――っと、思ったより呆気なかったな」
両腕と首を斬られたサイクロプスが地面に倒れ込み、肉体が消滅する。
この世界のモンスターは絶命すると消滅し、代わりにゴールドと素材を落とす。
そういうところはゲームっぽい仕様だ。
彼女の背後では大量のゴールドと素材が山を作る。
「た、助かったんですか?」
「あ、ああ……たぶん」
サイクロプスという脅威は去った。
問題は、目の前にいる彼女が俺たちにとって味方なのかどうか。
見た目は人間で、顔つきも可愛らしい女の子だけど、今の戦いを見たら同じ人間とは思えない。
少し警戒して彼女を見つめていると、ふと視線が合う。
「あんたら、無事?」
「ああ、おかげさまで」
「そっか! ならよかった!」
彼女はあか抜けた笑顔を見せる。
敵意は感じないし、剣も鞘に納めている。
とりあえず敵ではない……のか?
急に襲い掛かってきたら終わりだ。
さっきの速度で攻撃されたら避けられない。
それならいっそ、堂々としていたほうが自然かもしれないな。
「助けてくれてありがとう」
「別にいいよ。助けられたのは偶々だから。にしても驚いたな! こんな場所であたし以外の人と会えるなんてさ!」
「俺も驚いてるよ。えっと、君は……」
「あたしはカナタ! 見ての通り冒険者で、職業は剣士だよ」
彼女は腰の剣をトンと叩き、自己紹介をしてくれた。
俺とサラスもそれに返すように自己紹介をする。
「俺はヒビヤタクロウ、よろしく」
「ヒビヤタクロウ? なんかヘンテコな名前だな」
イントネーションが違う。
異世界の名前だから、この世界じゃ馴染みがないのだろう。
もしかすると、苗字と名前という概念はないのかもしれない。
「長いからタクロウでいいよ」
「わかった! よろしくな、タクロウ」
彼女はニッコリ笑いながら俺の名前を呼んだ。
なんだか久しぶりな気がする。
誰かに自分の名前を呼ばれるのは……。
最近じゃ、女神様とクソ天使に呼ばれたくらいで、前世じゃロクに他人と会話しなかったからな。
少し嬉しい気分だ。
「私はサラスです。この変態のサポート係です」
「変態?」
「おいこら、誰が変態だ。そもそもサポートって大したことしてねーじゃねーか!」
「仕方ないじゃないですか! こんな場所で私にできることなんてありませんよ!」
開き直りやがったぞこいつ!
本当にどこまで使えないんだクソ天使。
森を脱出する前にどこかに埋めて帰りたい。
「よくわかんないけど、二人も冒険者か?」
「いや、俺たちは違うよ」
「そうなのか? 冒険者でもないのにこんな場所にいるとか。変わってるな」
いや、ただの迷子なんだよ。
でもよかった。
冒険者ってことは、クエストか何かで森に入っているってことだよな?
それなら森の中には詳しいはずだし、出口も知っているだろう。
彼女について行けば脱出できる。
苦節一週間、ついにこのふざけた森から出られるんだ。
希望が見えたことで安堵する俺に、カナタの口から……。
「ところで聞きたいんだけど」
衝撃の一言が飛び出す。
「出口どっちかわかるか?」
「……え? い、今なんて?」
「いや~、実はあたし迷子になっちゃってさー。もう一週間くらい森にいるんだよね」
「……」
俺は膝から崩れ落ちた。
「……終わった」
「お? どうした?」
「どうした?じゃない! なんでそっちも迷子なんだよ! クエストか何かで森に入ったんじゃないのか?」
「ん? 違うぞ? あたしは剣の修業がしたくて旅をしてるんだ。次の街に向かおうと思って、こっちのほうが近道かもって森に入ったら」
「出られなくなったんですか?」
「そう!」
サラスの質問に元気よく答えるカナタ。
この瞬間に全てを悟る。
彼女は少々……お馬鹿らしい。
「せっかく出られると思ったのに……」
これじゃ迷子が一人増えただけじゃないか。
い、いや、ポジティブに考えよう。
同じ迷子ではあるけど、彼女はサイクロプスを一人で倒した実力者だ。
これまで無暗に行動できなかったが、彼女がいればモンスターが現れても怖くない。
本格的に出口を探すことができるようになった。
状況はちゃんと好転している。
諦めるな、俺!
「じゃあ一緒に出口を探そう。モンスターが出たら悪いけど頼むよ」
「おう! まかせと……」
「カナタ!?」
急にどさっとカナタが地面に倒れる。
うつ伏せで勢いよく倒れたので、すごく心配になった。
「ど、どうしたんだ? まさかさっきの戦いで負傷したんじゃ!」
「……」
「おい! カナタ!」
心配して声をかける俺に、返事はない。
代わりに聞こえてきたのは、特大の空腹音だった。
その音は俺だけじゃなく、サラスにも聞こえていた。
「お腹なりましたね」
「……お前、ひょっとして……」
「お、お腹すきました」
空腹で倒れただけかよ。
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