傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~

日之影ソラ

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 二人が裏でコソコソやっていることは知っていた。
 私の存在が邪魔なことは、今さら考えるまでもなく知っている。
 お姉様に言い寄る男性は今も多い。
 そのうちの一人がゼオリオ様というだけで、他にも協力者はいるのだろう。
 まさか辺境に左遷されるとは思わなかったけど、これもいい機会だ。
 宮廷は素晴らしい場所だけど、私にとって居心地がよいかと問われたら、首を傾げる。
 だってお姉様の仕事を、全部私が肩代わりしないといけない。
 頑張っても半分以上がお姉様の手柄になってしまう。
 そんなの頑張り損だ。

「お姉様、これからお姉様のお仕事の手伝いはできませんが、頑張ってください」
「……何? 私のことを気遣っているつもり? 馬鹿にしないで! あなたに出来る仕事くらい、私はその何倍もできるのよ?」
「そうでしたね。お姉様ならできると思います。だから心配はしていません」
「ルミナ……」

 お姉様はひどく私を睨んでくる。
 私の言葉に苛立っている。
 お姉様はプライドが高いから、格下だと思っている私に心配されたら、プライドが傷つけられたと思って怒るのは理解できる。
 わかった上で、私は言葉を選んだ。
 どうせもう二度と会うことはないだろうし、最後くらい一矢報いよう。
 とても小さな抵抗だ。

「お話はそれだけですね? すみませんが出発の準備をしたいので、一人にして頂けませんか?」
「あ、ああ、出発は明後日だ。すぐに荷造りをするといい」
「はい、そうさせていただきます」
「ルミナ……本当にわかっているの? もう二度と、ここには戻ってこれないわ」

 私は目を丸くした。
 少し驚いた。
 お姉様の口から、そんな言葉が聞こえるとは思わなかったから。
 まるで、私のことを気遣っているようじゃないか。
 思わず、笑ってしまいそうになる。
 また不機嫌にさせるから堪えて、私は返事をする。

「はい。だから今まで、お世話になりました。どうか皆さん、お元気で」

 この別れに、一切の後悔はない。
 ただただ、解放された気分だった。

  ◇◇◇

 ルミナに婚約破棄を宣言した二人。
 すぐに屋敷へ戻り、リエリアの自室で内密な話を始める。

「思っていた反応とは違いましたね、リエリアさん」
「……そうですわね」
「もっと悲嘆にくれるものと思っていましたが、呆気ないというか」
「っ……」

 リエリアは苛立ちを見せる。
 彼女はプライドが高い。
 故に、ルミナを自分より格下だと思いたい。
 一つでも、少しでも、自分と並ぶものはあってはならない。
 錬金術師として地位だけは、彼女たちは対等だった。
 いやむしろ、先に宮廷入りしたルミナのほうが先輩で、宮廷での立場が上だった。
 そのことが腹立たしく、認められなかった彼女は、以前からどうにかして彼女を追い出すことを考えていた。
 自分の仕事を押し付けていたのも、いずれ倒れてくれたらいいと思っていたからである。
 だが、彼女は一向に倒れない。
 そこへやってきた辺境への転属提案は、まさに好機だったと言える。

「ふふっ、どうせ今だけですわ。強がっているだけで、すぐに後悔するでしょう。あんな辺鄙な土地に飛ばされるんですから」
「確かに、あそこに何かありましたか? 都市すらあったか怪しい地です。そもそも誰が管理しているかも不明な場所ですので」
「ええ、その意味は……」

 国外追放に等しい。
 もう二度と、戻ってくることもない。
 邪魔者も消えて、気分がいい。
 はずだった。

「余裕な顔……腹立たしいわ」

 最後に見せた彼女の表情が、リエリアを苛立たせていた。
 
 彼女は知らない。
 錬金術師としての才能は、確かに姉妹に大きな差はないだろう。
 だが、才能だけでは足りない。
 知識、経験、探求心こそが錬金術師に必要な要素だった。
 それらすべてを持つ彼女こそが、選ばれし者であると。

 そう、左遷ではない。
 彼女は、ルミナは選ばれたのだ。

 彼に――
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