傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~

日之影ソラ

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「よし、頑張ろ」
「ルミナ?」
「あの、私は何をすればいいんですか?」
「やる気あるな。その説明の前に、まずはいろいろ手続きをしてからだな」

 殿下に案内されて、街中を歩いて行く。
 自然と周囲に目がいく。
 殿下のおっしゃっていた通り、まだ建築途中の建物も多かった。
 建築工事をしている職人の方々の声が響いている。

「おい新入り! そこつったってるとあぶねーぞ!」
「すみません!」

 なんとなく建設業ってスパルタなイメージがあるけど、この世界でも変わらないのかもしれない。
 ああやって汗を流し、全身を使って働いてくれる人が大勢いるから、温かな家に住むことができる。
 日々感謝しなくちゃいけないな。
 こうして働いている人の姿を見ることで、そう感じられる。

 案内されたのは建設された建物の中でも、特に大きな建物の一つ。
 街の中心部に近い場所にあるここは、殿下曰く、街を運営するための拠点らしい。
 市役所みたいなものだろうか。
 この世界風に言うなら、ここがこの街の城なのだろう。
 中は広く、大勢の人が出入りしていて忙しそうだ。

「慌ただしいですね……」
「毎日こんなだぞ? 最近は特に忙しいからな」
「そうなんですか」
「ああ、こっちだ。中に入ってくれ」
「はい」

 案内された部屋に入ると、メガネをかけた高身長の男性が立っていた。
 私を見て、くいっとメガネをあげる。

「いらっしゃいましたか。お待ちしておりました。ルミナ・ロノワード様」
「あ、はい。初めまして」

 厳格な雰囲気の人に、思わず背筋がピシッとなる。
 この人は誰だろう?
 私は尋ねるように、隣の殿下に視線を向ける。

「こいつは俺の補佐役のアルマだ。一番の部下ってところかな」
「そうなんですね! ルミナ・ロノワードです! 今日からよろしくお願いします!」
「はい。殿下から聞き及んでおります。私のことはアルマとお呼びください」
「困ったことがあれば俺かアルマに相談するといい」
「はい!」
「うん。アルマ、書類は?」
「こちらに」

 テーブルの上に、書類が広げられていた。
 殿下に誘導され、テーブルの前へと移動する。
 書類はこの街で活動するための注意事項などが記されていた。
 いわゆる契約書のようなものだ。

「目を通していただき、サインを頂ければ契約は成立となります」
「は、はい!」

 しっかり目を通さないと。

「そんな仰々しいものじゃないぞ。内容をざっくりいうと、ここで働くことの許諾と、無暗に情報を漏らさないでねってことが書いてある。あとは他国の人間とも仲良く、か」
「大雑把ですね」
「いいだろ? 間違ってないんだし」
「確かに、殿下がおっしゃった内容に間違いはありません。契約期間は二年、その後は申し出がない限りは自動更新になります。報酬などは追って決めますので、現時点で確定はできませんが」
「大丈夫です! 大体わかりましたから」

 話してくれている間に、資料には簡単に目を通した。
 書類仕事も二倍やらされていたから、要点を見ることにも慣れている。
 私はペンをとり、サインした。

「書きました!」
「迷いがないな」
「はい」

 殿下に連れられこの街に入った時から、どうするかは決めていたから。

「じゃあこれが許可証だ。今日からお前も、この街の一員になる。気を引き締めてくれ」
「はい!」

 許可証を受け取ったことで、私は正式にシュナイデンで働くことになった。
 今はとても、ワクワクしている。
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