傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~

日之影ソラ

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「これでよしっと」

 そのまま自分の研究に入る。
 新作のポーション開発と、これまでなかった新素材の考案。
 植物なんかも作れたら便利だ。
 特に最近作ったばかりの軽量木材。
 あれはすでにある木材や鉱物を合成することで完成した。
 効率と今後を考えるなら、あれを植物として成立させ、栽培できるようにしたい。

「育つようにするなら種からかな……無理やり種に変えてみる?」

 頭の中で考えた案を口に出し、実際に試してみる。
 これの繰り返しだ。
 錬金術の基本は、素材を理解すること。
 用いる素材について深く理解しなければ、正しくイメージを形にできない。
 そしてイメージだ。
 何を作りたいのかをイメージすること。
 形、大きさ、重さ、色、役割、種類、効果……。
 そういうすべての要素を正確にイメージし、素材を元に形作る。
 イメージが破綻していたり、少しでも綻びがあれば不完全なものができあがる。
 必ずできる、これだ!
 そんな確信が大事になってくる。
 
「うーん……」

 一時間ほど経過して、いろいろ試した結果。
 私は首を傾げていた。
 なんだか……。

「しっくりこないなぁ」

 何かが足りない気がする。
 種化まではできたけど、形だけでこれが育つイメージが浮かばない。
 いいや、イメージはあるけど、やっぱり足りない気がする。
 何が足りないのかも、すぐには浮かばない。
 こんな時は――

 ベルが鳴る。

 お散歩だ!
 考えに煮詰まった時は、歩き回って考えるのが一番いい。
 宮廷時代もそうしていた。
 その姿を殿下に見られてしまっていたらしいけど!

「宮廷と違って広いし、大丈夫、大丈夫ー」

 別に悪いことはしていない。
 昼間で明るいし、建設作業をしている人たちも大勢いる中だ。
 ちょっとお散歩するくらい不自然じゃない。
 誰に対してかわからない言い訳を考えて、私は街中を練り歩いた。
 よく見ると、工事が進んでいる建物が増えた。
 私が考案したものが使われていると思うと、自然と優越感が湧いてくる。

「ふふっ」

 思わず笑ってしまう。
 見られたら恥ずかしいから、人が少ないほうへと歩いて行った。
 
「うーん、うーん……」

 中々長考している。
 景色を見ながら考えると、ふさっとアイデアが湧くことが多い。
 いつの間にか私は、街の出入り口である巨大門の近くに来ていた。
 この街の門は三つある。
 それぞれ各国境に面していて、私が自由に出入りできるのはラットマン王国側の門だけだ。
 今のところは、と殿下は言っていた。

「……ちょっと外に出ようかな」

 外は大自然だ。
 こことは違う環境なら、いいアイデアが浮かぶかも。
 ついでに素材も集められたら完璧。
 そんなことを考えて、私は出入り口の扉へ向かった。

「すみません、外出したいんですけど」
「通行許可証があれば可能です。こちらへかざしてください」
「はい」

 ピッと、許可証をかざすと扉が開く。
 便利なシステムだ。
 これと同じようなものを、王城とか重要な建物にも導入すればいいのに。

「一応確認しますが、外出の目的はなんですか?」
「えっと、ちょっと外の空気を吸いたいな……と、ダメですか?」
「いけないことはありませんが、あまり遠くへ行かないほうがいいです。この辺りは獰猛な獣も多いですし、魔獣も確認されていますので」
「大丈夫です。すぐ近くを歩くだけですから」

 元から遠くへいくつもりはなかった。
 近くの森林、それこそ門番の人たちがギリギリ見えるくらいの範囲なら、いざという時も安全だろう。
 最初はそう思っていたのだけど……。

「……どうしよう」

 迷っちゃった。
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