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「なんか商品増えてやがんな」
「はい! 冒険者の方以外でも、興味を持っていただけるように増やしました」
「へぇ、この棚にあるのはなんだ? 粉?」
「調味料とかスパイスです」
ちょうど興味を持ってくれたのは、新商品の調味料系がずらっと並ぶ棚だった。
私が記憶している前世の調味料たち。
その中で再現可能だったものを取り揃えている。
「調味料って料理の味付けするやつだろ? こんなに種類があんのか」
「ここでしか手に入らないものばかりですよ」
「それは気になるな。なんかおすすめないか? 料理はあんまりしないんだが、遠征とかで野宿するとき、塩だけじゃどうも味気なくてな」
「そうですね……」
普通の料理じゃなくて、外で食べるときに使う調味料か。
たぶん屋外だし、まともな調理器具もない。
しっかり調理する系の調味料は不向きかな?
「ちなみによく食べるのは?」
「携帯食料か現地調達した肉とかになるな。何の肉かはその時次第って感じだ。調理法も焼いて食う、くらいだぞ」
「なるほど。じゃあこれなんてどうですか?」
私は小瓶に入った赤いスパイスを手渡した。
「これは?」
「スパイスです。香りが強いので、肉の獣臭さを抑えてくれるかなと。ちょっと辛めなので、辛いのが苦手な人にはお勧めできないんですけど」
「辛いのは得意だぜ! ちょっと舐めてみていいか?」
「どうぞ」
試食もできるように用意はしてある。
使い捨ての小皿を用意して、スパイスを少し入れる。
「辛い匂いだな。どれ」
ペロッと一舐め。
唐辛子系の辛さだから、ツーンとくる感じではなく舌が熱くなってヒリヒリするタイプだ。
「結構辛いな。けど美味いぞこれ! 肉にかけたらいい感じになりそうだな!」
「よかったです」
「他にもねーのか?」
「ありますよ。辛さは控えめなのとか、ちょっと独特なのも」
その後も冒険者の方々におすすめの調味料をレクチャーした。
思った以上に盛り上がって、最終的に気に入った四種類のスパイス系の調味料と、前回と同じポーションと栄養ドリンクを買ってくれた。
「ありがとな! また仲間に宣伝しとくぜ!」
「はい! ありがとうございます!」
今回も喜んでもらえてよかった。
最初のお客さんを見送ってホッとしてから数分後。
再びカランと音が鳴る。
「あの、ここに面白い調味料があると聞いたんですが」
「は、はい! ありますよ!」
今度は冒険者じゃないお客さんが来てくれた。
さらにもう一人、さらに一人と追加される。
「これか! さっきいかついおじさんが言ってたのは」
という会話が聞こえた。
どうやら冒険者の方々が、道すがらに商品を宣伝してくれたらしい。
ふいに笑みがこぼれる。
前回もそうだった。
私はお客さんに恵まれている。
いつの間にかお店の中は賑わって、いろんな人の声が飛び交う。
「また来てくれたらサービスしなきゃね」
常連のお客さんには、ちょっぴり贔屓にしても罰は当たらないだろう。
「はい! 冒険者の方以外でも、興味を持っていただけるように増やしました」
「へぇ、この棚にあるのはなんだ? 粉?」
「調味料とかスパイスです」
ちょうど興味を持ってくれたのは、新商品の調味料系がずらっと並ぶ棚だった。
私が記憶している前世の調味料たち。
その中で再現可能だったものを取り揃えている。
「調味料って料理の味付けするやつだろ? こんなに種類があんのか」
「ここでしか手に入らないものばかりですよ」
「それは気になるな。なんかおすすめないか? 料理はあんまりしないんだが、遠征とかで野宿するとき、塩だけじゃどうも味気なくてな」
「そうですね……」
普通の料理じゃなくて、外で食べるときに使う調味料か。
たぶん屋外だし、まともな調理器具もない。
しっかり調理する系の調味料は不向きかな?
「ちなみによく食べるのは?」
「携帯食料か現地調達した肉とかになるな。何の肉かはその時次第って感じだ。調理法も焼いて食う、くらいだぞ」
「なるほど。じゃあこれなんてどうですか?」
私は小瓶に入った赤いスパイスを手渡した。
「これは?」
「スパイスです。香りが強いので、肉の獣臭さを抑えてくれるかなと。ちょっと辛めなので、辛いのが苦手な人にはお勧めできないんですけど」
「辛いのは得意だぜ! ちょっと舐めてみていいか?」
「どうぞ」
試食もできるように用意はしてある。
使い捨ての小皿を用意して、スパイスを少し入れる。
「辛い匂いだな。どれ」
ペロッと一舐め。
唐辛子系の辛さだから、ツーンとくる感じではなく舌が熱くなってヒリヒリするタイプだ。
「結構辛いな。けど美味いぞこれ! 肉にかけたらいい感じになりそうだな!」
「よかったです」
「他にもねーのか?」
「ありますよ。辛さは控えめなのとか、ちょっと独特なのも」
その後も冒険者の方々におすすめの調味料をレクチャーした。
思った以上に盛り上がって、最終的に気に入った四種類のスパイス系の調味料と、前回と同じポーションと栄養ドリンクを買ってくれた。
「ありがとな! また仲間に宣伝しとくぜ!」
「はい! ありがとうございます!」
今回も喜んでもらえてよかった。
最初のお客さんを見送ってホッとしてから数分後。
再びカランと音が鳴る。
「あの、ここに面白い調味料があると聞いたんですが」
「は、はい! ありますよ!」
今度は冒険者じゃないお客さんが来てくれた。
さらにもう一人、さらに一人と追加される。
「これか! さっきいかついおじさんが言ってたのは」
という会話が聞こえた。
どうやら冒険者の方々が、道すがらに商品を宣伝してくれたらしい。
ふいに笑みがこぼれる。
前回もそうだった。
私はお客さんに恵まれている。
いつの間にかお店の中は賑わって、いろんな人の声が飛び交う。
「また来てくれたらサービスしなきゃね」
常連のお客さんには、ちょっぴり贔屓にしても罰は当たらないだろう。
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