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25 主張はしてくるのね
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ジュネコとヒメネコの初めての顔合わせはこんな感じだった。
「紹介するわね。これから、ジュネコと交替で頑張ってくれるヒメネコよ」
ちなみにヒメネコという名前は、本人が希望した名前である。
『はじめまして、ヒメネコと申します』
『な、な、なんじゃこいつはぁぁ! も、もう、わしは用済みってことですか!?』
「そういうわけじゃないわよ。ジュネコにもお休みが必要かと思って……」
『わしはここにいるために生まれてきたんです! それなのにっ!』
ジュネコの表情は変わらないが、念話の声ではかなりのショックを受けていることがわかった。
これは悪手だった。本人……ではなく、本猫? に確認してから動くべきだったわ。ジュネコがこんなに任務に真剣に取り組んでくれているなんて思っていなかった。
ジュネコもヒメネコも気分は良くないわよね。
「ごめんね、ジュネコ。あなたがそんなに嫌がるなら、ここはあなたに任せるわ」
『嫌なわけではないんです。ただ、わしはお役に立てていないんかと……』
「そんなことないわ! 役に立ってくれているから休んでもらおうと思ったのよ」
錯覚だと思うけれど、ジュネコの大きな目が潤んでいるように見えて、私は必死に訴える。
「みんなジュネコのことが大好きよ! 感謝しているわ!」
『犯罪者には好かれたくないです』
落ち込んでいても、ちゃんと主張はしてくるのね。
「えーっと、ジュネコが好きだと思う人はみんなジュネコが好きよ」
『でしたら、他の猫の力を借りずとも、わしは一匹でやり遂げます』
「わかったわ。これからもよろしく頼むわね。ヒメネコは……」
『わたくしはリリーノ様のお近くで用心棒をさせていただきますわ!』
『ち、近くでだと!?』
『ええ。ご立派なあなたはわたくしなど必要ないようです。ですので、リリーノ様のより近くに』
『な、なんやとぉ!』
ヒメネコの言葉を遮って、ジュネコが叫んだ。
結局、二匹は仲良く喧嘩したあと、検問所に並んで任務につくことになった。
「ジュネコはヒメネコだけがリリーの側にいるのは気に入らないんだな」
「そうみたい。ヒメネコも張り合っちゃうから余計に喧嘩しちゃうのよね」
ため息を吐いたあと、私はジェイクに訴える。
「話を戻すんだけど、私は弟のニースだけは守りたいの。私を殺そうとしたことがわかれば、フェルスコット伯爵家は終わりだわ。ニースを私が引き取れば良いのかもしれないけれど、彼には爵位を継がせてあげたいのよ。自分で何とかするから見守ってくれない?」
勝手なことを言っているのはわかっている。でも、この件の被害者は私なのだから、口にする権利はあると思った。
ジェイクは少し考えてから口を開く。
「悪いのはフェルスコット伯爵だからな」
「シャゼットもね。あの子は私を殺そうとはしていないけれど、散々嫌なことをされたのよ。少しはお返ししてやりたいわ」
「俺ひとりの判断では難しい。兄さんのこともあって、うちは信用も落ちているしな」
「そうよね。それにあなたは騎士のひとりだもの。悪いことを見過ごすわけにはいかないわよね」
いくらやり返すとはいえ、人が嫌がるとわかっていることをやろうとしているんだもの。騎士団に所属している人が許可なんてできないわよね。
それに、ジェイクは辺境伯令息なんだもの。
「……そういえばジェイク。あなた、辺境伯の爵位をいつか継ぐことになるの?」
「兄さんがあんなことになったから、俺しかいないよな」
「……そっか」
次男の辺境伯令息と平民という立場でも駄目なのに、嫡男となってしまうと余計に駄目だ。
私はジェイクの気持ちに応えられない。
「リリーに好きな人ができなくて、俺のことが嫌いじゃなかったら、魔道具師だと公に言えるようになるまで、俺は待つから」
「……はい?」
「魔道具師は身分が平民だろうがなんだろうが敬われる存在だ。リリーが望めば王族とも結婚できる」
「無理無理」
真顔で手を横に振ると、ジェイクは笑う。
「そう言うだろうと思った。だけど、それくらいの存在なんだよ」
「……そうよね。私って貴重な存在なのよね! これからも人の役に立つ魔道具を作るわ!」
なんだか気分が明るくなった時、店に顔見知りの騎士がやって来て叫ぶ。
「フェルスコット伯爵がリリーを呼んでこいって! 来なかったら大事な弟を殺すって言ってるんだ」
「なんですって!?」
「ジュネコとヒメネコも、人質が刃物を首元に当ててられているから、下手に突撃できないみたいだ」
自分の息子を人質にするだなんて最低だわ! いや、誰であろうと人質を取るなんて最低よ!
ジェイクが早馬で向かってくれると言うので、彼の後ろに乗せてもらい、着くまでの間に、遠距離であっても効果的に仕留められる魔道具を考えたのだった。
「紹介するわね。これから、ジュネコと交替で頑張ってくれるヒメネコよ」
ちなみにヒメネコという名前は、本人が希望した名前である。
『はじめまして、ヒメネコと申します』
『な、な、なんじゃこいつはぁぁ! も、もう、わしは用済みってことですか!?』
「そういうわけじゃないわよ。ジュネコにもお休みが必要かと思って……」
『わしはここにいるために生まれてきたんです! それなのにっ!』
ジュネコの表情は変わらないが、念話の声ではかなりのショックを受けていることがわかった。
これは悪手だった。本人……ではなく、本猫? に確認してから動くべきだったわ。ジュネコがこんなに任務に真剣に取り組んでくれているなんて思っていなかった。
ジュネコもヒメネコも気分は良くないわよね。
「ごめんね、ジュネコ。あなたがそんなに嫌がるなら、ここはあなたに任せるわ」
『嫌なわけではないんです。ただ、わしはお役に立てていないんかと……』
「そんなことないわ! 役に立ってくれているから休んでもらおうと思ったのよ」
錯覚だと思うけれど、ジュネコの大きな目が潤んでいるように見えて、私は必死に訴える。
「みんなジュネコのことが大好きよ! 感謝しているわ!」
『犯罪者には好かれたくないです』
落ち込んでいても、ちゃんと主張はしてくるのね。
「えーっと、ジュネコが好きだと思う人はみんなジュネコが好きよ」
『でしたら、他の猫の力を借りずとも、わしは一匹でやり遂げます』
「わかったわ。これからもよろしく頼むわね。ヒメネコは……」
『わたくしはリリーノ様のお近くで用心棒をさせていただきますわ!』
『ち、近くでだと!?』
『ええ。ご立派なあなたはわたくしなど必要ないようです。ですので、リリーノ様のより近くに』
『な、なんやとぉ!』
ヒメネコの言葉を遮って、ジュネコが叫んだ。
結局、二匹は仲良く喧嘩したあと、検問所に並んで任務につくことになった。
「ジュネコはヒメネコだけがリリーの側にいるのは気に入らないんだな」
「そうみたい。ヒメネコも張り合っちゃうから余計に喧嘩しちゃうのよね」
ため息を吐いたあと、私はジェイクに訴える。
「話を戻すんだけど、私は弟のニースだけは守りたいの。私を殺そうとしたことがわかれば、フェルスコット伯爵家は終わりだわ。ニースを私が引き取れば良いのかもしれないけれど、彼には爵位を継がせてあげたいのよ。自分で何とかするから見守ってくれない?」
勝手なことを言っているのはわかっている。でも、この件の被害者は私なのだから、口にする権利はあると思った。
ジェイクは少し考えてから口を開く。
「悪いのはフェルスコット伯爵だからな」
「シャゼットもね。あの子は私を殺そうとはしていないけれど、散々嫌なことをされたのよ。少しはお返ししてやりたいわ」
「俺ひとりの判断では難しい。兄さんのこともあって、うちは信用も落ちているしな」
「そうよね。それにあなたは騎士のひとりだもの。悪いことを見過ごすわけにはいかないわよね」
いくらやり返すとはいえ、人が嫌がるとわかっていることをやろうとしているんだもの。騎士団に所属している人が許可なんてできないわよね。
それに、ジェイクは辺境伯令息なんだもの。
「……そういえばジェイク。あなた、辺境伯の爵位をいつか継ぐことになるの?」
「兄さんがあんなことになったから、俺しかいないよな」
「……そっか」
次男の辺境伯令息と平民という立場でも駄目なのに、嫡男となってしまうと余計に駄目だ。
私はジェイクの気持ちに応えられない。
「リリーに好きな人ができなくて、俺のことが嫌いじゃなかったら、魔道具師だと公に言えるようになるまで、俺は待つから」
「……はい?」
「魔道具師は身分が平民だろうがなんだろうが敬われる存在だ。リリーが望めば王族とも結婚できる」
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「そう言うだろうと思った。だけど、それくらいの存在なんだよ」
「……そうよね。私って貴重な存在なのよね! これからも人の役に立つ魔道具を作るわ!」
なんだか気分が明るくなった時、店に顔見知りの騎士がやって来て叫ぶ。
「フェルスコット伯爵がリリーを呼んでこいって! 来なかったら大事な弟を殺すって言ってるんだ」
「なんですって!?」
「ジュネコとヒメネコも、人質が刃物を首元に当ててられているから、下手に突撃できないみたいだ」
自分の息子を人質にするだなんて最低だわ! いや、誰であろうと人質を取るなんて最低よ!
ジェイクが早馬で向かってくれると言うので、彼の後ろに乗せてもらい、着くまでの間に、遠距離であっても効果的に仕留められる魔道具を考えたのだった。
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