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18 彼らの願いは叶わない ⑤ (アリアナ死後〜流星群の日まで)
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アルフと騎士たちが通されたのは、ソファとローテーブルしかない、簡素な応接室だった。座らずに待っていると、すぐにガンチャたちがやって来て、騎士にではなくアルフに訴える。
「使用人が自首したでしょう! どうして私たちが捕まらなければならないのですか!」
「その使用人が君たちに金で頼まれたと話をした」
「そ……、そんな、嘘に決まっていますわ!」
ロビンが否定すると、アルフは失笑する。
「アリアナの爪には血がついていた。彼女自身に傷がなかったから抵抗した時に、相手につけた傷からの血だと考えられている。けれど、使用人はまったく怪我をしていない。だから、おかしいと思っていた」
アリアナにつけられた傷はおしろいで隠しているため、よく見ないとわからなくなっている。ガンチャは大丈夫だと自分に言い聞かせて、アルフに反論する。
「僕たちにだって傷はありませんよ」
「そうかな。最近になってウロイカ辺境伯が化粧を始めたとメイドたちが言っていたんだ。それは傷を隠すためなんじゃないのかな」
「ち、違います」
「詳しい話は騎士にしてもらえるかな。無実ならすぐに釈放してもらえるよ」
「僕たちの言葉よりも使用人の言葉を信じると言うんですか!?」
ガンチャが怒りをあらわにしたが、アルフは気にする様子もなくうなずく。
「使用人は金をもらって君たちの身代わりになることにしたようだけど、真実を話し、それが納得できるものであれば僕がそれ以上の額を出すと言ったら、証拠になるものを提出してくれた」
アルフは上着のポケットから四つ折りにされた白い紙を取り出し、それが何かわかるようにガンチャたちの目の前に突きつける。
手書きの領収書で、平民ならば10年以上は贅沢に生きていけるほどの金額を、例の使用人がガンチャから受け取ったことになっていた。
「そ……、それは。その」
「身代わりになってもらうから、お金を渡したんだろう? それ以外に渡す理由があるなら教えてほしい」
「いや……、その」
ガンチャが言い訳を考える時間を作るために、ロビンがアルフに話しかける。
「お兄様は私たちとずっと一緒にいましたわ! お兄様がアリアナさんを殺したとおっしゃるのであれば、私たちの目の前でということになりますのよ? そんな馬鹿なことがあるわけないではないですか!」
「それがあるんだよね」
アルフが一緒に連れてきていた騎士に目を向けると、若い騎士はロビンに話し始める。
「メイドや兵士たちは、被害者が殺された時間帯にウロイカ辺境伯から、庭には近づかないように命令されていたと証言しています。そのため、容疑者も近づいてはいないのです。そのことは多くの使用人が認めています。そして、その時間にあなたたちが中庭を歩いているのを多くの使用人が屋敷の中から目撃しているんですよ」
この話を聞いたガンチャは、他の使用人たちにも金を渡しておくべきだったと後悔した。
金を渡した使用人が裏切るなどと夢にも思っていなかった。男の家族に病気の子供がいるため、その子のために金が必要だったから、裏切るはずがないと思い込んでいた。
だが、辺境伯家よりも公爵家のほうが財力は勝っていた。より良い条件を提示され、使用人は寝返ったのだ。
「とにかく言い訳は留置所で聞くよ」
アルフが笑顔で言うと、後ろに控えていた騎士たちがガンチャだけでなく、ロビンたちの腕も掴んだ。
「放せ! やめろ!」
「嫌よ、放して! 私は何もしていないわ! お母様、お兄様、助けて!」
「そうよ! 私とロビンはアリアナさんの死にかかわっていないわ!」
必死に抵抗した三人だったが、騎士の手によって屋敷の外に連れ出されたのだった。
「使用人が自首したでしょう! どうして私たちが捕まらなければならないのですか!」
「その使用人が君たちに金で頼まれたと話をした」
「そ……、そんな、嘘に決まっていますわ!」
ロビンが否定すると、アルフは失笑する。
「アリアナの爪には血がついていた。彼女自身に傷がなかったから抵抗した時に、相手につけた傷からの血だと考えられている。けれど、使用人はまったく怪我をしていない。だから、おかしいと思っていた」
アリアナにつけられた傷はおしろいで隠しているため、よく見ないとわからなくなっている。ガンチャは大丈夫だと自分に言い聞かせて、アルフに反論する。
「僕たちにだって傷はありませんよ」
「そうかな。最近になってウロイカ辺境伯が化粧を始めたとメイドたちが言っていたんだ。それは傷を隠すためなんじゃないのかな」
「ち、違います」
「詳しい話は騎士にしてもらえるかな。無実ならすぐに釈放してもらえるよ」
「僕たちの言葉よりも使用人の言葉を信じると言うんですか!?」
ガンチャが怒りをあらわにしたが、アルフは気にする様子もなくうなずく。
「使用人は金をもらって君たちの身代わりになることにしたようだけど、真実を話し、それが納得できるものであれば僕がそれ以上の額を出すと言ったら、証拠になるものを提出してくれた」
アルフは上着のポケットから四つ折りにされた白い紙を取り出し、それが何かわかるようにガンチャたちの目の前に突きつける。
手書きの領収書で、平民ならば10年以上は贅沢に生きていけるほどの金額を、例の使用人がガンチャから受け取ったことになっていた。
「そ……、それは。その」
「身代わりになってもらうから、お金を渡したんだろう? それ以外に渡す理由があるなら教えてほしい」
「いや……、その」
ガンチャが言い訳を考える時間を作るために、ロビンがアルフに話しかける。
「お兄様は私たちとずっと一緒にいましたわ! お兄様がアリアナさんを殺したとおっしゃるのであれば、私たちの目の前でということになりますのよ? そんな馬鹿なことがあるわけないではないですか!」
「それがあるんだよね」
アルフが一緒に連れてきていた騎士に目を向けると、若い騎士はロビンに話し始める。
「メイドや兵士たちは、被害者が殺された時間帯にウロイカ辺境伯から、庭には近づかないように命令されていたと証言しています。そのため、容疑者も近づいてはいないのです。そのことは多くの使用人が認めています。そして、その時間にあなたたちが中庭を歩いているのを多くの使用人が屋敷の中から目撃しているんですよ」
この話を聞いたガンチャは、他の使用人たちにも金を渡しておくべきだったと後悔した。
金を渡した使用人が裏切るなどと夢にも思っていなかった。男の家族に病気の子供がいるため、その子のために金が必要だったから、裏切るはずがないと思い込んでいた。
だが、辺境伯家よりも公爵家のほうが財力は勝っていた。より良い条件を提示され、使用人は寝返ったのだ。
「とにかく言い訳は留置所で聞くよ」
アルフが笑顔で言うと、後ろに控えていた騎士たちがガンチャだけでなく、ロビンたちの腕も掴んだ。
「放せ! やめろ!」
「嫌よ、放して! 私は何もしていないわ! お母様、お兄様、助けて!」
「そうよ! 私とロビンはアリアナさんの死にかかわっていないわ!」
必死に抵抗した三人だったが、騎士の手によって屋敷の外に連れ出されたのだった。
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