【完結】もう二度とあなたを選ぶことはありません

風見ゆうみ

文字の大きさ
19 / 28

19 新たな願い事

しおりを挟む
 騎士隊に捕まったガンチャたちは、流星群の日も留置所にいたらしく、流星群を観ることはできなかった。
 その時のガンチャたちは被疑者状態だったため、私たちの家族など、多くの人は私を殺したのは使用人だという認識のままだ。

「流星群は直に見ないと願いが叶わないから、確実に彼らの願いは叶わなかったというわけね」
「ウロイカ辺境伯たちのような、邪な考えを持った人間の願いは叶えてもらえないと思うけど、望みを断ち切るのが彼らにとっては一番の苦しみだったと思う」
「そうね。それを楽しみに何年も生きてきたはずだから」

 今日のガンチャたちの様子だと、流星群で願う内容は前々から決まっていたように思える。

「彼らが最終的にどうなったかはわからないんだ。願った夜に眠りについて、次に目が覚めたら過去に戻っていたから」
「それは私の家族も同じことを言っていたわ。まだ確認していないけど、友人のルーナも同じだと思う」

 実家が学園からかなり遠いため、ルーナは学生時代は寮に入っていた。私の結婚式には出席予定だったから、中止を知らせようにも彼女は出発していたので、そのまま来てもらうことにした。予定では明日に着くはずなので、詫びを入れたあとに色々と話を聞いてみようと思っている。

「婚約が破棄されて一つの心配は減ったけど、君の命が危険なことに変わりはない」
「そうね。先代のウロイカ辺境伯の件を調べ続ける限り、私はガンチャたちに命を狙われるでしょう」
「僕がやるから、君は自分の幸せを考えるようにすればいい」
「そういうわけにはいかないわ。流星群の日、毒見役の家族たちは願いをかけた気がするの」
「僕たちの時間を巻き戻したのは、その願いを叶えさせるためだと言いたいの?」
「私はそう思っているわ」

 微笑んでうなずくと、アルフは自分に任せればいいと言ってくれた。でも、そういうわけにはいかない。

「アルフ、本当にありがとう。気持ちはとても嬉しいわ」
「僕が勝手にしているだけだ。こうしていることが、君にとって迷惑になっていなければいいんだが……」
「迷惑だなんて、そんなことはありえないわ。本当にアルフには感謝しているの」
「僕がしたいからしているだけだよ。君は気にしなくていい」

 ここまでしてくれるなんて、アルフはもしかしたら、私に好意を持ってくれていたのかしら。今の私には恋愛をする気は起こらない。でも、自惚れじゃなければ、私がアルフの気持ちを受け入れれば、彼にとって幸せなことになるの?

 いやいや、こんなことを思うことが失礼よね。

「アルフはまだ滞在できるの?」
「……うん。決着がつくまでは帰ってくるなと言われているからね。君の家にも長く厄介になっているし、近い内に」
「出ていかなくてもいいわ。あなた、お父様に滞在費用を渡しただけでなく、使用人にチップもあげているでしょう? スサウ家の使用人は女性は目の保養だと喜んでいるし、男性もチップもくれる良いお客様だと大喜びよ」
「世話になったお礼のつもりだったんだけど……」
「なら、私もいつかあなたに渡さないといけないわね」
 
 雑談を交えながらも、私とアルフは今後の計画を練った。家に帰ったあとは、早速お父様に話をした。慰謝料についての話は改めてお父様とガンチャでしてもらうことにして、無事に婚約は破棄された。

 そして、先代が盛られた毒の入手経路がわかってきた時、友人のルーナが我が家を訪ねてきた。それと同時に、ガンチャから連絡があった。

 手紙にはこう書かれてあった。

『そろそろ後悔している頃か? 泣いて謝るなら再婚約してやってもいいぞ』

 なんとなく嫌な予感がして、私はこの手紙を破り捨てず、証拠として残しておくことにした。
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

無関心夫の手を離した公爵夫人は、異国の地で運命の香りと出会う

佐原香奈
恋愛
建国祭の夜、冷徹な公爵セドリック・グランチェスターは、妻セレスティーヌを舞踏会に残し、早々に会場を後にした。 それが、必死に縋り付いていた妻が、手を離す決意をさせたとも知らず、夜中まで仕事のことしか考えていなかった。 セドリックが帰宅すると、屋敷に残されていたのは、一通の離縁届と脱ぎ捨てられた絹の靴。そして、彼女が置いていった嗅いだことのない白檀の香りだけだった。 すべてを捨てて貿易都市カリアへ渡った彼女は、名もなき調香師「セレス」として覚醒する。 一方、消えた妻を追うセドリックの手元に届いたのは、かつての冷たい香りとは似て非なる、温かな光を宿した白檀の香水。 「これは、彼女の復讐か、それとも再生か——」 執念に駆られ、見知らぬ地へ降り立った公爵が目にしたのは、異国の貿易王の隣で、誰よりも自由に、見たこともない笑顔で微笑む「他人」となった妻の姿だった。 誤字、修正漏れ教えてくださってありがとうございます!

殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。

和泉鷹央
恋愛
 雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。  女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。  聖女の健康が、その犠牲となっていた。    そんな生活をして十年近く。  カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。  その理由はカトリーナを救うためだという。  だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。  他の投稿サイトでも投稿しています。

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)

蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。 聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。 愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。 いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。 ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。 それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。 心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。

婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のミレナは、双子の妹キサラより劣っていると思われていた。 婚約者のルドノスも同じ考えのようで、ミレナよりキサラと婚約したくなったらしい。 排除しようとルドノスが突き飛ばした時に、ミレナは前世の記憶を思い出し危機を回避した。 今までミレナが支えていたから、妹の方が優秀と思われている。 前世の記憶を思い出したミレナは、キサラのために何かすることはなかった。

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです

鷹 綾
恋愛
王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。 理由は―― 「王太子妃には華が必要だから」。 新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。 誰もが思った。 傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。 けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。 「戻りません」 彼女は怒らない。 争わない。 復讐もしない。 ただ――王家を支えるのをやめただけ。 流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。 さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。 強いざまあとは、叫ぶことではない。 自らの選択で、自らの立場を削らせること。 そして彼女は最後まで戻らない。 支えない。 奪わない。 ――選ばれなかったのではない。 彼女が、選ばなかったのだ。 これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。

婚約七年目、愛する人と親友に裏切られました。

テンテン
恋愛
男爵令嬢エミリアは、パーティー会場でレイブンから婚約破棄を宣言された。どうやら彼の妹のミラを、エミリアがいじめたことになっているらしい。エミリアはそのまま断罪されるかと思われたが、彼女の親友であるアリアが声を上げ……

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

処理中です...