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2 お伝えしても良いのでしょうか?
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ラルフ様のご家族は敷地内にある大きな別邸に暮らしておられるそうで、普段は顔を合わせなくて済みそうだと思っていたのですが、何か用事でもない限り、夕飯は全員でとる事が決まっているらしく、その時は否が応でもご一緒しないといけないとの事。
そんな説明を受けながら、ラルフ様に別邸まで案内していただき、とうとうラルフ様のお母様と初対面する事になりました。
「お初にお目にかかります。リノア・ブルーミングと申します」
「あらあら、可愛らしいお嬢さんね。私はカーミラよ」
ラルフ様のお母様は背の高いスレンダーな体型で紺色の髪を後ろでアップにされていて、40代半ばと教えていただきましたが、お肌のお手入れなどに気をつかっていらっしゃるのか、肌は陶器のように白くて、とても若々しくお美しい方でした。
そんなカーミラ様は意思の強そうな瞳で私を見据えておられます。
ですので、笑顔を向けてから頭を下げる。
「お会いできて光栄です。本日からしばらくお世話になります」
「あら、しばらくだなんて! ずっといてくれて良いのよ?」
カーミラ様は笑顔でおっしゃいました。
絶対に嘘でしょう?
と口に出したいところですが、ここは我慢我慢。
私の住んでいる国では17歳は立派な大人です。
今、言っていい事かどうかはちゃんと判断しなければ。
何も言わずに笑顔だけ返すと、カーミラ様は私の隣に立っているラルフ様に話しかけられます。
「でもラルフ。我が家は厳しい環境だから、リノアさんも今までの女性の様に去ってしまう可能性もあるのだから、覚悟をしておかないと駄目よ?」
カーミラ様はそこまで言うと、ラルフ様の腕にしなだれかかろうとしましたが、彼が一歩後ろに下がったせいで、肩透かしのような感じになってしまいました。
ラルフ様の方を見ると、なぜか不機嫌そうにされていらっしゃいます。
気になって見ていると、私の視線に気付き、私を抱き寄せると、カーミラ様に向かって言いました。
「母上。彼女は今までの女性とは違います。今までの方には不誠実な事をしていたから去られてしまった。けれど、去られていなければ、俺は彼女と婚約する事も出来なかった」
そこで言葉を区切り、ラルフ様は顔を上げて彼を見つめていた私と視線を合わせたあと、カーミラ様にまた目を向けられて言葉を続けます。
「今回は彼女が悲しい思いをしないよう、俺が守ろうと思っています」
「ラ…、ラルフ…」
カーミラ様が身体をふらつかせたので、ラルフ様は素早く彼女の元へ動き、カーミラ様の身体を支えられました。
うーん。
カーミラ様はだいぶ、ショックを受けておられるようですね。
今までラルフ様はお母様に口答えするような事はなかったのでしょうか?
「母上! 大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫よ。それよりもラルフ、私とリノアさんを二人きりにさせてくれない?」
「…俺がいては駄目なのですか」
「女性同士で話をしてみたいのよ。いつもの事でしょう?」
「…そう言っておられましたね」
カーミラ様を支えたまま、ラルフ様が私の方を見られました。
どうやら、怪しいと思ってはいるけれど、まずは私の意思を確認したいみたいです。
ここでお断りしても良いのですけれど、もし、結婚となってしまえば、カーミラ様とは義理とはいえ家族になるわけですから、わざわざ悪印象を与える必要もないでしょう。
そう考えて、ラルフ様に作り笑顔を向けると、複雑そうな顔をしながらも頷いて、カーミラ様を近くのソファーに座らせると、私の肩に手を置いてから耳打ちされます。
「何を言われたか、後で正直に話してくれるよな?」
「もちろんです」
頷くと、ラルフ様はまだ心配げな表情をされていましたが、部屋を出ていかれました。
さて、とうとう対決の時間でしょうか。
もちろん、ほとんどの方が旦那様になる人のお母様と初対面となるとドキドキするとは思いますが…。
そして、私がカーミラ様の座っているソファーの横に近付いた時、彼女から、こう言われたのです。
「嫌な思いをしたくなければ婚約を解消しなさい。あと、ラルフにこの事を話したら、あなたの家がどうなるかわかってますね?」
「……」
今の時点で嫌な思いをしているのですが、この気持ちはお伝えしても良いのでしょうか?
そんな説明を受けながら、ラルフ様に別邸まで案内していただき、とうとうラルフ様のお母様と初対面する事になりました。
「お初にお目にかかります。リノア・ブルーミングと申します」
「あらあら、可愛らしいお嬢さんね。私はカーミラよ」
ラルフ様のお母様は背の高いスレンダーな体型で紺色の髪を後ろでアップにされていて、40代半ばと教えていただきましたが、お肌のお手入れなどに気をつかっていらっしゃるのか、肌は陶器のように白くて、とても若々しくお美しい方でした。
そんなカーミラ様は意思の強そうな瞳で私を見据えておられます。
ですので、笑顔を向けてから頭を下げる。
「お会いできて光栄です。本日からしばらくお世話になります」
「あら、しばらくだなんて! ずっといてくれて良いのよ?」
カーミラ様は笑顔でおっしゃいました。
絶対に嘘でしょう?
と口に出したいところですが、ここは我慢我慢。
私の住んでいる国では17歳は立派な大人です。
今、言っていい事かどうかはちゃんと判断しなければ。
何も言わずに笑顔だけ返すと、カーミラ様は私の隣に立っているラルフ様に話しかけられます。
「でもラルフ。我が家は厳しい環境だから、リノアさんも今までの女性の様に去ってしまう可能性もあるのだから、覚悟をしておかないと駄目よ?」
カーミラ様はそこまで言うと、ラルフ様の腕にしなだれかかろうとしましたが、彼が一歩後ろに下がったせいで、肩透かしのような感じになってしまいました。
ラルフ様の方を見ると、なぜか不機嫌そうにされていらっしゃいます。
気になって見ていると、私の視線に気付き、私を抱き寄せると、カーミラ様に向かって言いました。
「母上。彼女は今までの女性とは違います。今までの方には不誠実な事をしていたから去られてしまった。けれど、去られていなければ、俺は彼女と婚約する事も出来なかった」
そこで言葉を区切り、ラルフ様は顔を上げて彼を見つめていた私と視線を合わせたあと、カーミラ様にまた目を向けられて言葉を続けます。
「今回は彼女が悲しい思いをしないよう、俺が守ろうと思っています」
「ラ…、ラルフ…」
カーミラ様が身体をふらつかせたので、ラルフ様は素早く彼女の元へ動き、カーミラ様の身体を支えられました。
うーん。
カーミラ様はだいぶ、ショックを受けておられるようですね。
今までラルフ様はお母様に口答えするような事はなかったのでしょうか?
「母上! 大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫よ。それよりもラルフ、私とリノアさんを二人きりにさせてくれない?」
「…俺がいては駄目なのですか」
「女性同士で話をしてみたいのよ。いつもの事でしょう?」
「…そう言っておられましたね」
カーミラ様を支えたまま、ラルフ様が私の方を見られました。
どうやら、怪しいと思ってはいるけれど、まずは私の意思を確認したいみたいです。
ここでお断りしても良いのですけれど、もし、結婚となってしまえば、カーミラ様とは義理とはいえ家族になるわけですから、わざわざ悪印象を与える必要もないでしょう。
そう考えて、ラルフ様に作り笑顔を向けると、複雑そうな顔をしながらも頷いて、カーミラ様を近くのソファーに座らせると、私の肩に手を置いてから耳打ちされます。
「何を言われたか、後で正直に話してくれるよな?」
「もちろんです」
頷くと、ラルフ様はまだ心配げな表情をされていましたが、部屋を出ていかれました。
さて、とうとう対決の時間でしょうか。
もちろん、ほとんどの方が旦那様になる人のお母様と初対面となるとドキドキするとは思いますが…。
そして、私がカーミラ様の座っているソファーの横に近付いた時、彼女から、こう言われたのです。
「嫌な思いをしたくなければ婚約を解消しなさい。あと、ラルフにこの事を話したら、あなたの家がどうなるかわかってますね?」
「……」
今の時点で嫌な思いをしているのですが、この気持ちはお伝えしても良いのでしょうか?
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