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第10話 瞳の色
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ヘイスト殿下の手を見つめたまま固まっていると、ジェレミー殿下がわたしに話しかけてくる。
「アニエス、君がヘイストの事を好きだった事は知っているよ。だけど、今の君はヘイストの事をまだ好きでいるのかな?」
「いいえ」
ヘイスト殿下の頭の中を必死に理解しようとして動きが止まっていただけで、別に彼からの申し出に心が揺れていたわけではなかった。
だって、わたしにはもう彼への未練なんてないのだから。
きっぱりと答えた後、動きを止めてしまった理由を口にする。
「ただ、ヘイスト殿下の発言に驚いてしまって…」
「ごめんよ、アニエス。悲しい思いをさせてしまったね。アニエスは兄上とは大して仲は良くなかっただろう? 婚約者はやっぱり僕のほうが君のためにも良いと思うんだ」
ヘイスト殿下はわたしに伸ばした手を引っ込めようとはしない。
困ったわ。
どう断れば良いの?
今のところ、わたしは何の手続きもしていないから平民なのよね。
何らかの事情でモナウ家の養女にしてもらえるみたいだけれど、ヘイスト殿下ともう一度婚約なんて事は絶対にありえない。
そうだわ!
「ヘイスト殿下、申し訳ございません。ヘイスト殿下が婚約破棄をされた後に、ジェレミー殿下から婚約の申し出をいただきました。わたしは、わたしを信じてくださった人と添い遂げたいので、ヘイスト殿下とは一緒にはなれません」
「そ、そんな…! 僕を裏切るのか…?」
「はい?」
聞き返すと、ヘイスト殿下は目に涙を浮かべながら訴えてくる。
「今までの事は、全部君のためだったんだよ! それなのにわかってくれないのかい!?」
「わたしにとっては、ヘイスト殿下の行為は裏切り行為にしか思えませんでした。あなたの事が好きだったから余計にショックでした。ですが、この悲しみを乗り越えて前に進もうと決めたんです。わたしの事を思うなら、わたしの事は忘れて、新たな婚約者の方と幸せになって下さいませ」
一礼してから、ジェレミー殿下の方を見ると、わたしの言いたい事を察してくださったのか、微笑んだ後に言う。
「私の婚約の申込みを受けてくれるという事で良いのかな?」
「は、はい。ただ、養女の話が実現してからになりますが」
「かまわない。あとは、本当ならば君は君の伯父上の養女になる予定だったが、モナウ辺境伯から申し出があった事と、とある理由があって、モナウ家の養女にと思っているのだが、君はどうかな?」
「わたしは受け入れていただけるのであれば、伯父様でもモナウ辺境伯でも、家族になっていただけるだけで有り難いですから」
ジェレミー殿下の言葉に首を縦に振った後、ローニャ達の方を見ると、2人は笑顔を見せる。
「お父様もモナウ家の方がアニエス様にとって環境が良いという事は理解しておりますし、当主同士で話し合いは終わっているようです」
「僕も妹が出来ると思って楽しみにしていました」
モナウ卿の言葉を聞いて、今更ながら思う。
モナウ家の養女になるという事は、モナウ卿はわたしのお兄様になるという事よね?
今まで、わたしにも兄と姉がいたはずなのだけど、フロイド様とベル様の事を兄と姉だなんて思った事もなかったし嫌われていたから、妹になる事を楽しみにしていたなんて言われてしまうと何だか照れてしまう。
「ありがとうございます。わたしもエッカート様がお兄様になるだなんて、とても嬉しいです」
「アニエス!」
ヘイスト殿下との話はもう終わったつもりだったのだけれど、彼は納得していなかったみたいで、エッカート様に笑みを向けていた、わたしに向かって続ける。
「君が怒るのも当たり前だと思っているよ。本当にごめん。でも、僕の気持ちもわかってほしい。本当に君の事を思っていたから…」
「酷いです、ヘイスト殿下! アニエスの事を思っているのに、私と婚約しようと思われたんですか!?」
キャロラインがその場にしゃがみ込んで、わあわあと泣き始めた。
「キャロ、泣かないでくれよ。元々は君が僕に嘘をついたからいけないんじゃないか」
「ヘイスト殿下は私の事を信じてくださっていたんじゃないんですか!?」
「信じたというか、多数決というか…」
ヘイスト殿下が煮えきらない口調で言う。
わたしの無実を訴えるのはわたし一人で、わたしがキャロラインをいじめていたと言ったのが三人だから多数決で決めたと言いたいのね…?
わたしが何か言う前に、陛下が怒鳴る。
「もういい! ヘイスト! お前はもう口を開くな!」
「ですが、父上!」
「ヘイスト、お前には私達もこうなる前に何度も確認したはずだ。本当にアニエスがそんな事をしたのか調べてから結論を下せと。婚約破棄の件も本当にそれで良いのか何度も確認しただろう!」
「そうしたら、アニエスが家族と縁を切れると思ったんです! アニエスはロロアル侯爵家から王家との繋がりの材料として扱われていると思ったので、婚約破棄をすればアニエスが自由になれると思ったんです!」
本当にヘイスト殿下が何を言っているのか、よくわからないわ。
その場その場で言う事を変えているような感じ…?
考えてみたら、ここ最近は言っている事が毎回違うものね。
考えてみたら、ヘイスト殿下に婚約破棄されたら家族との縁を切るという書類は用意されるには早すぎた気もする。
最初から見越していた事だったの?
その事については、ヘイスト殿下を少しだけ見直そうかと思った時だった。
「それについてはお前の考えではないだろう! 私やジェレミーの考えだ!」
危なかったわ。
ヘイスト殿下は陛下やジェレミー殿下の考えた事を自分がさも考えたかの様に言ったのね!
「でも、僕だって同じ事を思っていました! アニエス、本当なんだ! 信じてほしい!」
「そう言われましても…」
信じても信じなくても、ヘイスト殿下への気持ちが再燃する事はありえないから、どっちでも良いのだけれど、わたしの事を一応、思ってくれてはいたという気持ちだけ受け取っておけば良いのかしら?
「アニエス、こんな事は言いたくないが、君の赤い瞳を嫌う人もいるんだ。兄上と婚約したりしたら、王太子妃、いつかは母上の様に王妃になるんだ。君は、そんな大勢の前でその瞳を見せるのかい?」
「ヘイスト殿下…」
瞳の色の好き嫌いがあってもおかしくはないと思う。
けれど、まさかヘイスト殿下までそんな事を思ってたいたなんてショックだった。
この瞳の色を綺麗だと言ってくれていたのに…。
「ヘイスト殿下はわたしの瞳の色の事を気にしていらしたのですか?」
「い、いや、違う! 僕は気にしていないよ! 一般論の話をしてるんだ」
「そうよ! 少なくとも、私は赤い瞳の人間が王妃陛下になるだなんて御免だわ」
ベル様が叫ぶと、静かにしていたロロアル侯爵家が騒ぎ出す。
「そうだ! 赤い瞳だなんて不吉だ! ジェレミー殿下、お考え直しを!」
「そうです! 見て下さい、この瞳の赤を! まるで血のようじゃないですか!」
ロロアル侯爵とフロイド様が訴えると、ジェレミー殿下は眉を寄せて、両陛下も怒りの表情を見せた。
そして、王妃陛下が口を開く。
「ロロアル侯爵、赤い瞳についての差別はなくなってきているのが現状よ。今ではあなたの様な考えを持つ人間は少数派です」
「そ、それはそうかもしれませんが、私はジェレミー殿下の事を考えて…!」
「私の事を考えてくれたのなら心配はいらない」
ジェレミー殿下はロロアル侯爵に答えると、衝撃的な言葉を口にする。
「異国の技術と素材で作られた特殊なもので瞳の色を変えているだけで、私の瞳の色も赤色なんだよ」
「なんですって!?」
両陛下以外の人間がそれぞれ、驚きの声を発したのだった。
「アニエス、君がヘイストの事を好きだった事は知っているよ。だけど、今の君はヘイストの事をまだ好きでいるのかな?」
「いいえ」
ヘイスト殿下の頭の中を必死に理解しようとして動きが止まっていただけで、別に彼からの申し出に心が揺れていたわけではなかった。
だって、わたしにはもう彼への未練なんてないのだから。
きっぱりと答えた後、動きを止めてしまった理由を口にする。
「ただ、ヘイスト殿下の発言に驚いてしまって…」
「ごめんよ、アニエス。悲しい思いをさせてしまったね。アニエスは兄上とは大して仲は良くなかっただろう? 婚約者はやっぱり僕のほうが君のためにも良いと思うんだ」
ヘイスト殿下はわたしに伸ばした手を引っ込めようとはしない。
困ったわ。
どう断れば良いの?
今のところ、わたしは何の手続きもしていないから平民なのよね。
何らかの事情でモナウ家の養女にしてもらえるみたいだけれど、ヘイスト殿下ともう一度婚約なんて事は絶対にありえない。
そうだわ!
「ヘイスト殿下、申し訳ございません。ヘイスト殿下が婚約破棄をされた後に、ジェレミー殿下から婚約の申し出をいただきました。わたしは、わたしを信じてくださった人と添い遂げたいので、ヘイスト殿下とは一緒にはなれません」
「そ、そんな…! 僕を裏切るのか…?」
「はい?」
聞き返すと、ヘイスト殿下は目に涙を浮かべながら訴えてくる。
「今までの事は、全部君のためだったんだよ! それなのにわかってくれないのかい!?」
「わたしにとっては、ヘイスト殿下の行為は裏切り行為にしか思えませんでした。あなたの事が好きだったから余計にショックでした。ですが、この悲しみを乗り越えて前に進もうと決めたんです。わたしの事を思うなら、わたしの事は忘れて、新たな婚約者の方と幸せになって下さいませ」
一礼してから、ジェレミー殿下の方を見ると、わたしの言いたい事を察してくださったのか、微笑んだ後に言う。
「私の婚約の申込みを受けてくれるという事で良いのかな?」
「は、はい。ただ、養女の話が実現してからになりますが」
「かまわない。あとは、本当ならば君は君の伯父上の養女になる予定だったが、モナウ辺境伯から申し出があった事と、とある理由があって、モナウ家の養女にと思っているのだが、君はどうかな?」
「わたしは受け入れていただけるのであれば、伯父様でもモナウ辺境伯でも、家族になっていただけるだけで有り難いですから」
ジェレミー殿下の言葉に首を縦に振った後、ローニャ達の方を見ると、2人は笑顔を見せる。
「お父様もモナウ家の方がアニエス様にとって環境が良いという事は理解しておりますし、当主同士で話し合いは終わっているようです」
「僕も妹が出来ると思って楽しみにしていました」
モナウ卿の言葉を聞いて、今更ながら思う。
モナウ家の養女になるという事は、モナウ卿はわたしのお兄様になるという事よね?
今まで、わたしにも兄と姉がいたはずなのだけど、フロイド様とベル様の事を兄と姉だなんて思った事もなかったし嫌われていたから、妹になる事を楽しみにしていたなんて言われてしまうと何だか照れてしまう。
「ありがとうございます。わたしもエッカート様がお兄様になるだなんて、とても嬉しいです」
「アニエス!」
ヘイスト殿下との話はもう終わったつもりだったのだけれど、彼は納得していなかったみたいで、エッカート様に笑みを向けていた、わたしに向かって続ける。
「君が怒るのも当たり前だと思っているよ。本当にごめん。でも、僕の気持ちもわかってほしい。本当に君の事を思っていたから…」
「酷いです、ヘイスト殿下! アニエスの事を思っているのに、私と婚約しようと思われたんですか!?」
キャロラインがその場にしゃがみ込んで、わあわあと泣き始めた。
「キャロ、泣かないでくれよ。元々は君が僕に嘘をついたからいけないんじゃないか」
「ヘイスト殿下は私の事を信じてくださっていたんじゃないんですか!?」
「信じたというか、多数決というか…」
ヘイスト殿下が煮えきらない口調で言う。
わたしの無実を訴えるのはわたし一人で、わたしがキャロラインをいじめていたと言ったのが三人だから多数決で決めたと言いたいのね…?
わたしが何か言う前に、陛下が怒鳴る。
「もういい! ヘイスト! お前はもう口を開くな!」
「ですが、父上!」
「ヘイスト、お前には私達もこうなる前に何度も確認したはずだ。本当にアニエスがそんな事をしたのか調べてから結論を下せと。婚約破棄の件も本当にそれで良いのか何度も確認しただろう!」
「そうしたら、アニエスが家族と縁を切れると思ったんです! アニエスはロロアル侯爵家から王家との繋がりの材料として扱われていると思ったので、婚約破棄をすればアニエスが自由になれると思ったんです!」
本当にヘイスト殿下が何を言っているのか、よくわからないわ。
その場その場で言う事を変えているような感じ…?
考えてみたら、ここ最近は言っている事が毎回違うものね。
考えてみたら、ヘイスト殿下に婚約破棄されたら家族との縁を切るという書類は用意されるには早すぎた気もする。
最初から見越していた事だったの?
その事については、ヘイスト殿下を少しだけ見直そうかと思った時だった。
「それについてはお前の考えではないだろう! 私やジェレミーの考えだ!」
危なかったわ。
ヘイスト殿下は陛下やジェレミー殿下の考えた事を自分がさも考えたかの様に言ったのね!
「でも、僕だって同じ事を思っていました! アニエス、本当なんだ! 信じてほしい!」
「そう言われましても…」
信じても信じなくても、ヘイスト殿下への気持ちが再燃する事はありえないから、どっちでも良いのだけれど、わたしの事を一応、思ってくれてはいたという気持ちだけ受け取っておけば良いのかしら?
「アニエス、こんな事は言いたくないが、君の赤い瞳を嫌う人もいるんだ。兄上と婚約したりしたら、王太子妃、いつかは母上の様に王妃になるんだ。君は、そんな大勢の前でその瞳を見せるのかい?」
「ヘイスト殿下…」
瞳の色の好き嫌いがあってもおかしくはないと思う。
けれど、まさかヘイスト殿下までそんな事を思ってたいたなんてショックだった。
この瞳の色を綺麗だと言ってくれていたのに…。
「ヘイスト殿下はわたしの瞳の色の事を気にしていらしたのですか?」
「い、いや、違う! 僕は気にしていないよ! 一般論の話をしてるんだ」
「そうよ! 少なくとも、私は赤い瞳の人間が王妃陛下になるだなんて御免だわ」
ベル様が叫ぶと、静かにしていたロロアル侯爵家が騒ぎ出す。
「そうだ! 赤い瞳だなんて不吉だ! ジェレミー殿下、お考え直しを!」
「そうです! 見て下さい、この瞳の赤を! まるで血のようじゃないですか!」
ロロアル侯爵とフロイド様が訴えると、ジェレミー殿下は眉を寄せて、両陛下も怒りの表情を見せた。
そして、王妃陛下が口を開く。
「ロロアル侯爵、赤い瞳についての差別はなくなってきているのが現状よ。今ではあなたの様な考えを持つ人間は少数派です」
「そ、それはそうかもしれませんが、私はジェレミー殿下の事を考えて…!」
「私の事を考えてくれたのなら心配はいらない」
ジェレミー殿下はロロアル侯爵に答えると、衝撃的な言葉を口にする。
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