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第23話 未練など残さない
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ジェレミー殿下の問いかけに、キャロライン達は体が硬直してしまったみたいに動かない。
ただただ、ジェレミー殿下を見つめていた。
彼女達が口を開かないからか、ジェレミー殿下は小さく息を吐いてから言う。
「世の中はそんなに甘くない。それに君達は反省しているというより自分の立場を守ろうとしか考えていないよね」
「そ、そんな事は……」
「ありません、とでも言いたいのかな? そうは見えないし、さっきの言葉からどう読み取ればいい?」
「ほ、本当に反省しているんです!」
硬直からとけたマーガレットが続ける。
「私達はまだ若いですし、精神が子供なんです。これからはこんな事は絶対に致しませんので、どうかお許し下さい!」
「そうだね。精神が子供だという事は認めよう。だけど、そういう問題じゃないんだ。一度だってしちゃいけない事なんだよ。友人をくだらない理由で裏切る事も、王族を騙す事も子供だってしちゃいけない事だってわかるだろう?」
ジェレミー殿下に言い聞かせるように言われ、マーガレットは口を噤んだ。
彼女達は太腿の上で指を組み合わせ、視線を下に落とし、どんな言葉を発すれば、この場を乗り切る事が出来るか考えているようだった。
「君達は反省なんかしてない。だから、裏切られて悲しいはずのアニエスに対して言い訳ばかりするんだよ」
「そ、それは、理由を聞かれたから答えただけで決して言い訳ではありません!」
デイジーが首を何度も横に振ってジェレミー殿下の言葉を否定した。
けれど、無駄だった。
ジェレミー殿下もそうだけれど、わたしも彼女達に何も期待していなかった。
もちろん、わたしもやれば良かった事をしなかった。
結局は自分が可愛かったのね。
彼女達に嫌われた事に関しては受け止めなければいけないし、これからは気を付けていこうと思う。
言ってくれるのを待つのではなく、聞いてみる事もしなければならない。
それで答えてくれなかったら言ってくれるまで待とう。
これからはそうしようと思った。
「わたしも自分の事ばかりを考えていたわ。だから謝ります。ごめんなさい」
ソファーから立ち上がって頭を下げた。
しばらくしてから顔を上げてソファーに座ると、ジェレミー殿下が心配そうな顔で聞いてくる。
「どうして君が謝るんだ」
「彼女達に嫌な思いをさせたのは確かですから、謝るべきところは謝らねばなりません」
「私にしてみれば、彼女達の言い分は勝手なものだと思うがな」
「感じ方は人それぞれですから。友人であったのなら気付かなければいけないところでした。それに、彼女達とはもう二度と会う事もありませんから、未練も後悔もないようにしたいのです」
「…君がそれで良いならいいが」
ジェレミー殿下の気持ちは有り難かったし嬉しかったけれど、これはわたしなりのけじめだった。
彼女達にわたしの気持ちが届いても届かなくても、正直、どちらでも良い。
ただ、わたしは心からの謝罪をしたつもりだ。
「あの…、という事は、私達の罪も軽くしてくれるって事…?」
わたしの謝罪の後の第一声がそれだったので、さすがにカチンときてしまい言い返しそうになったけれど、ジェレミー殿下が先に口を開いた。
「そんな訳ないだろう。王族を騙した事はアニエスの件とは別だ」
ジェレミー殿下は言葉を発したマーガレットを睨みつけたあと、キャロライン、デイジーにも視線を移してから続ける。
「どうやら反省していないようだし、減刑など無理だ。アニエス、もう話はいいだろう?」
「……はい。聞きたい事は聞き終えましたから」
ジェレミー殿下に促されて立ち上がると、キャロライン達も一斉に立ち上がる。
「ま、待って、アニエス! 私達、友達だったわよね? だから見捨てたりなんかしないわよね?」
キャロラインが胸の前で手を組み合わせて懇願するようにして言った。
何を今更、そんな事を言うのかしら。
「そうね、友達だと思ってた。でも、いつからか友達ではなくなってたわ」
「アニエス、もう相手にしなくていい」
ジェレミー殿下がわたしの腰に手を回して歩き始めるので、わたしも足を動かす。
「待って! 本当にごめんなさい! 悪かったと思っています! 本当です! 馬鹿な嫉妬でした!」
「私も、今になってどうしてあんな嘘をついたのかって後悔しています!」
「本当にごめんなさい! お願いアニエス! 減刑してもらえるように口利きしてほしいの!」
マーガレット、デイジー、キャロラインの順で謝ってきたけれど、結局は減刑を頼みたいだけだという事が見え見えで、逆にそんな事をしてあげる気にはならなかった。
今の段階では命をとられるわけではない。
さすがに処刑だなんだのとかいう話なら減刑を求めるけれど、王家を騙した罪は重くても、ヘイスト殿下が減刑を求めているのであれば、彼女達は未成年だから、親の爵位の剥奪だけで済むだろうだから。
「ふざけたことを言わないでくれ。例え、アニエスが減刑を望んだとしても私が許さない」
ジェレミー殿下に睨まれた上に強い口調で言われたからか、3人共が情けない顔になり、すぐに目に涙が浮かんでくるのが見えた。
「元気でね。平民の生活に少しでも早く慣れる事を祈っているわ」
平民の生活だって悪くはないはず。
ただ、貴族の生活が長かった分、慣れるまでは辛い日々になるでしょう。
それくらいは我慢してほしいわ。
しなくてもいい事をわざわざしたのだから。
3人の方を振り返ってから、顔を上げて前を向いた。
私が彼女達と関わるのは今日で本当に最後だ。
未練など残さない。
「待って! 待って下さい!」
キャロライン達が叫んだけれど、ジェレミー殿下はわたしと一緒に部屋から出ると、部屋の前に立っていた騎士に命令する。
「私達を追わせるな。無理に追おうとするなら拘束すると脅してもかまわない。それでもきかないようなら城の敷地内から追い出してくれ」
「承知しました」
ジェレミー殿下が扉を押さえていたから扉が開かず、中から扉を叩く音と共に、キャロライン達の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「開けて、開けて下さい! もう一度チャンスを下さい! ちゃんと、ちゃんと謝りますから!」
「アニエス様! 私達、友達だったじゃないですか! きっとまた、仲良くなれるはずです!」
「話を聞いてよ、アニエス! このままでは、私達は大変な事になっちゃうのよ!?」
自分達がまいた種じゃないの…。
キャロラインの言葉に対して、心の中で呟いた後、もう話す事もないのでジェレミー殿下を見る。
すると、ジェレミー殿下は優しく微笑んで言う。
「行こうか」
「はい」
ジェレミー殿下がおさえていた扉を騎士2人がおさえ、もう1人いた騎士が女性騎士を呼びに行くのを見届けてから、わたし達はその場を離れた。
ただただ、ジェレミー殿下を見つめていた。
彼女達が口を開かないからか、ジェレミー殿下は小さく息を吐いてから言う。
「世の中はそんなに甘くない。それに君達は反省しているというより自分の立場を守ろうとしか考えていないよね」
「そ、そんな事は……」
「ありません、とでも言いたいのかな? そうは見えないし、さっきの言葉からどう読み取ればいい?」
「ほ、本当に反省しているんです!」
硬直からとけたマーガレットが続ける。
「私達はまだ若いですし、精神が子供なんです。これからはこんな事は絶対に致しませんので、どうかお許し下さい!」
「そうだね。精神が子供だという事は認めよう。だけど、そういう問題じゃないんだ。一度だってしちゃいけない事なんだよ。友人をくだらない理由で裏切る事も、王族を騙す事も子供だってしちゃいけない事だってわかるだろう?」
ジェレミー殿下に言い聞かせるように言われ、マーガレットは口を噤んだ。
彼女達は太腿の上で指を組み合わせ、視線を下に落とし、どんな言葉を発すれば、この場を乗り切る事が出来るか考えているようだった。
「君達は反省なんかしてない。だから、裏切られて悲しいはずのアニエスに対して言い訳ばかりするんだよ」
「そ、それは、理由を聞かれたから答えただけで決して言い訳ではありません!」
デイジーが首を何度も横に振ってジェレミー殿下の言葉を否定した。
けれど、無駄だった。
ジェレミー殿下もそうだけれど、わたしも彼女達に何も期待していなかった。
もちろん、わたしもやれば良かった事をしなかった。
結局は自分が可愛かったのね。
彼女達に嫌われた事に関しては受け止めなければいけないし、これからは気を付けていこうと思う。
言ってくれるのを待つのではなく、聞いてみる事もしなければならない。
それで答えてくれなかったら言ってくれるまで待とう。
これからはそうしようと思った。
「わたしも自分の事ばかりを考えていたわ。だから謝ります。ごめんなさい」
ソファーから立ち上がって頭を下げた。
しばらくしてから顔を上げてソファーに座ると、ジェレミー殿下が心配そうな顔で聞いてくる。
「どうして君が謝るんだ」
「彼女達に嫌な思いをさせたのは確かですから、謝るべきところは謝らねばなりません」
「私にしてみれば、彼女達の言い分は勝手なものだと思うがな」
「感じ方は人それぞれですから。友人であったのなら気付かなければいけないところでした。それに、彼女達とはもう二度と会う事もありませんから、未練も後悔もないようにしたいのです」
「…君がそれで良いならいいが」
ジェレミー殿下の気持ちは有り難かったし嬉しかったけれど、これはわたしなりのけじめだった。
彼女達にわたしの気持ちが届いても届かなくても、正直、どちらでも良い。
ただ、わたしは心からの謝罪をしたつもりだ。
「あの…、という事は、私達の罪も軽くしてくれるって事…?」
わたしの謝罪の後の第一声がそれだったので、さすがにカチンときてしまい言い返しそうになったけれど、ジェレミー殿下が先に口を開いた。
「そんな訳ないだろう。王族を騙した事はアニエスの件とは別だ」
ジェレミー殿下は言葉を発したマーガレットを睨みつけたあと、キャロライン、デイジーにも視線を移してから続ける。
「どうやら反省していないようだし、減刑など無理だ。アニエス、もう話はいいだろう?」
「……はい。聞きたい事は聞き終えましたから」
ジェレミー殿下に促されて立ち上がると、キャロライン達も一斉に立ち上がる。
「ま、待って、アニエス! 私達、友達だったわよね? だから見捨てたりなんかしないわよね?」
キャロラインが胸の前で手を組み合わせて懇願するようにして言った。
何を今更、そんな事を言うのかしら。
「そうね、友達だと思ってた。でも、いつからか友達ではなくなってたわ」
「アニエス、もう相手にしなくていい」
ジェレミー殿下がわたしの腰に手を回して歩き始めるので、わたしも足を動かす。
「待って! 本当にごめんなさい! 悪かったと思っています! 本当です! 馬鹿な嫉妬でした!」
「私も、今になってどうしてあんな嘘をついたのかって後悔しています!」
「本当にごめんなさい! お願いアニエス! 減刑してもらえるように口利きしてほしいの!」
マーガレット、デイジー、キャロラインの順で謝ってきたけれど、結局は減刑を頼みたいだけだという事が見え見えで、逆にそんな事をしてあげる気にはならなかった。
今の段階では命をとられるわけではない。
さすがに処刑だなんだのとかいう話なら減刑を求めるけれど、王家を騙した罪は重くても、ヘイスト殿下が減刑を求めているのであれば、彼女達は未成年だから、親の爵位の剥奪だけで済むだろうだから。
「ふざけたことを言わないでくれ。例え、アニエスが減刑を望んだとしても私が許さない」
ジェレミー殿下に睨まれた上に強い口調で言われたからか、3人共が情けない顔になり、すぐに目に涙が浮かんでくるのが見えた。
「元気でね。平民の生活に少しでも早く慣れる事を祈っているわ」
平民の生活だって悪くはないはず。
ただ、貴族の生活が長かった分、慣れるまでは辛い日々になるでしょう。
それくらいは我慢してほしいわ。
しなくてもいい事をわざわざしたのだから。
3人の方を振り返ってから、顔を上げて前を向いた。
私が彼女達と関わるのは今日で本当に最後だ。
未練など残さない。
「待って! 待って下さい!」
キャロライン達が叫んだけれど、ジェレミー殿下はわたしと一緒に部屋から出ると、部屋の前に立っていた騎士に命令する。
「私達を追わせるな。無理に追おうとするなら拘束すると脅してもかまわない。それでもきかないようなら城の敷地内から追い出してくれ」
「承知しました」
ジェレミー殿下が扉を押さえていたから扉が開かず、中から扉を叩く音と共に、キャロライン達の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「開けて、開けて下さい! もう一度チャンスを下さい! ちゃんと、ちゃんと謝りますから!」
「アニエス様! 私達、友達だったじゃないですか! きっとまた、仲良くなれるはずです!」
「話を聞いてよ、アニエス! このままでは、私達は大変な事になっちゃうのよ!?」
自分達がまいた種じゃないの…。
キャロラインの言葉に対して、心の中で呟いた後、もう話す事もないのでジェレミー殿下を見る。
すると、ジェレミー殿下は優しく微笑んで言う。
「行こうか」
「はい」
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