14 / 31
13 衝撃的な事件 ①
しおりを挟む
わざわざやり直すだなんて、ジュートらしいといえば、ジュートらしい。
「うーん、コントロールが難しいなぁ。もう少し練習してもいいかな?」
「ジュート、さすがにそれ以上やると、バレた時に、ご両親に怒られるわよ」
「落とし穴に落ちた人間がどうなるかわかる、いい練習台なんだけどなぁ。さすがに普通の人にはやっちゃいけないからさ」
ジュートが呑気そうに答えた時、城に続く小道から、ワイアットがやって来て叫んだ。
「で、殿下!? 一体、どうしたんです!?」
「勝手に地面が凹んだんだ! 誰がやったか何となく見当はつくけどな!」
「地面が凹む?」
ワイアットは不思議そうにゼント様に聞き返したけれど、私の隣に立っているジュートを見て納得した顔をした。
私が魔法の解除をしなかったから、ワイアットがゼント様を地中から引っ張り上げた。
すると、ゼント様はワイアットに礼を言うこともなく、私たちを指さして叫ぶ。
「ジュート! どうせお前の仕業だろう! このオレになめた真似をしやがって! 泣いて謝っても絶対に許さんからな! ケイティを取られて悔しいのかもしれないが、こんなことではオレは屈しない!」
「ケイティに興味ないです。殿下とお似合いですよ。あと、今回のことを問題にするなら、そうならないように殿下を埋めますんで」
ジュートは真剣な表情で答えた。
問題にならないように証拠隠滅しようとしているのね。
生きたまま地中に埋めようとしているのだから恐ろしいわ。
「くそ! 本当に覚えていろよ! そして、ソフィア! お前もだぞ! ケイティが悲しんでいるのはお前のせいだからな!」
「ケイティが何に悲しんでいるのかわかりませんが、私はやられたことをやり返しただけですよ」
「人が嫌がることや悲しむことをしてはいけないと教わらなかったのか!? この外道めが!」
「王太子殿下の口から、そんな説教をされるなんてさすがに心外ですわ」
「馬鹿にしやがって! ああ、イライラする!」
ゼント様は文句を言いながら、私たちに背を向けた。
そしてそのまま、呆れた顔のワイアットの前を通り過ぎ、王城へと続く道を一人で帰っていった。
その背中を見送ってから、魔法を解除して地面を元に戻す。
「ありがとう。それにしても、ゼント殿下は何をしに来たのかな」
「さっき、ケイティに毒入りスープを飲ませてあげようとしたから、それの仕返しかもしれないわ。あと、あなたと私が婚約すると聞いて、ケイティはかなりショックを受けていたから、それの腹いせもあるんじゃないかしら」
「毒入りスープを飲ませようとしたって、どういうこと?」
ジュートが恐ろしいものを見るような目つきで私を見るので、ワイアットと共に家の中に入り、先程のケイティたちとのやり取りを話したのだった。
話を聞き終えたジュートが首を傾げる。
「どうして、そんなにケイティは君のことを嫌っているのかな」
「色々とありすぎてわからないわ。一番の理由かはわからないけれど、公爵令嬢というだけでちやほやされている私が気に食わなかったんじゃないかしら。ケイティは何でも自分が一番じゃないと気がすまない子だからね。だから、本当にゼント様のことが好きなのかどうかもわからないわ」
私の言葉を聞いて、ワイアットが眉根を寄せる。
「好きでもない男性と人前ではしたないことをしたりできるものなんですか?」
「人によってはできるんじゃないかしら。そういう行為をしても責められるものではないし、はしたないことだと思ってはいないんだと思うわ」
「貴族の女性が、夫や愛する人以外とするような行為ではないでしょう」
「ワイアット、あの子は勉強が嫌いで文字も覚えていないの。貴族の常識なんて知っているわけがないでしょう。もしくは知っていたとしても、自分は許されると思っていると思うわ。最初は両親がいきなり亡くなってショックでそれどころじゃないと思って、私たちも強くは言わなかったのよ。口酸っぱく言うようになったのは、私の家に来て1年後だったわ。……それを考えると、もっと、ケイティにかまっておくべきだったかしら」
「まあ、公爵家なんだし、真面目に頑張っているわけでもない人間を切り捨てるのは、おかしいことではないと思うよ。それに、ケイティのことだから、何年経っても一緒だよ」
ジュートの言葉にワイアットも頷く。
「そうですね。ケイティは昔からあんな性格でしたよ」
「そう言ってもらえるとありがたいわ」
「とにかく、気をつけたほうがいいかもしれないね」
ジュートが難しい表情で続ける。
「ケイティはソフィーが自分に何かされるより、他人に何かされることのほうが嫌だってことを知ってるんでしょ? なら、昔、メイドにしたみたいに、他の人にも同じようなことをするかもしれないよ」
「……そう言われてみればそうね。私の家に来ているメイドたちにも護衛をつけたほうが良いかしら」
「もうなんなら、ゼント殿下、埋めちゃう? そうすれば、ケイティは平民の暮らしだよ」
「駄目よ。そんなことをしたら、あなたが捕まるわよ!」
「鬱陶しいし、埋めちゃいたいなぁ。君たちが何も言わなければ、ゼント殿下は行方不明になった、で終わるだけだと思うけど」
ジュートがのほほんとした口調で恐ろしいことを言うので、私とワイアットは思わず顔を見合わせる。
ジュートの言いたいことはよくわかるけれど、それを公爵家の人間がやったらオシマイというやつなんじゃないかしら。
「王家を守る公爵家が王太子を殺そうとしてどうするんです」
ワイアットも同じことを考えたみたいで、呆れた顔で言うと、ジュートはいつになく真面目な顔をして答える。
「王家を守るためだよ。あんなのが国王になったら大変だよ。しかも王妃はあれだ。僕、あんなのに仕えたくない」
「それは多くの人間が思っていますが、口に出さないように我慢しているんですよ」
「でもさ、ここに三大公爵家の子供が集まっているわけだしさ、やっちゃわない?」
「駄目です!」
「駄目に決まってるでしょう! ジュート、遊びじゃないんだから!」
ワイアットと私が大きな声で叱ると、ジュートはつまらなさそうな顔をした。
「国民のためになると思うんだけどなぁ」
「それは間違ってませんが、殺しはいけません」
「事故ならいいの?」
「事故に見せかけようとしていたら殺しでしょう」
ワイアットが頭を抱えて大きく息を吐くと、ジュートは苦笑する。
「あのね、僕だって、普段はこんなことは言わないよ。だけど、ゼント殿下の馬鹿っぷりを見た以上、言わざるをえなくなるという気持ちもわかってよ」
「気持ちはわかるわ。私だってどうにかできるものなら、どうにかしたいもの。だけど、今のところ、ゼント様のあんな姿は、ほとんどの国民が知らないの。王太子が暗殺されるなんてことがあったら、国民は怯えるし、犯人探しをするはずよ。だから、殺しじゃなくて、王太子の座を剥奪することを考えない?」
「うーん。まぁ、そうなんだけど、どうやって? 国王陛下が元気になっても、あの馬鹿は直らないと思うよ? そうしている内に、ソフィーはさっきみたいに命を狙われるんじゃない?」
「ゼント様が相手なら、私一人で勝てるから大丈夫よ。ただ、私じゃない誰かを狙われるのは困るわ」
さっきだって私が助かっても、家の中にいた誰かが犠牲になったかもしれない。
それを考えると、監察役の私としては……、って、そうじゃない。
私は監察役なんだわ!
「私はゼント様とケイティの監察役に任命されているの。ということは、罰も決めることができるのかしら」
「……陛下に確認してみます。といっても、回復傾向にはありますが、基本は眠っておられることが多く、目を覚ましてもすぐには覚醒しないんです。急ぎで確認したいことが他にもあるので、その後になりますが、それでも良いですか?」
「もちろん」
本当はすぐに答えが欲しいけれど、陛下のお体が一番大事だから、無理はしてほしくない。
少しでも早く元気になってもらって、跡継ぎについてのお話も考えていただかなくちゃ。
しばらく話をしてから、ワイアットは仕事があるからと帰っていき、ジュートは私の家で昼食をとって帰っていった。
ジュートが帰ってから、彼がやって来た理由やワイアットとの婚約の話をすることをすっかり忘れていたことに気がついた。
……明日にはちゃんと、二人に連絡しなくちゃ。
そう考えた次の日の朝に、ジュートには手紙を送り、ワイアットに会いに行く準備をしていた私の耳に衝撃的な話が届けられた。
昨日の晩、ケイティの侍女の一人が、何者かに火をつけられ焼死したという話だった。
「うーん、コントロールが難しいなぁ。もう少し練習してもいいかな?」
「ジュート、さすがにそれ以上やると、バレた時に、ご両親に怒られるわよ」
「落とし穴に落ちた人間がどうなるかわかる、いい練習台なんだけどなぁ。さすがに普通の人にはやっちゃいけないからさ」
ジュートが呑気そうに答えた時、城に続く小道から、ワイアットがやって来て叫んだ。
「で、殿下!? 一体、どうしたんです!?」
「勝手に地面が凹んだんだ! 誰がやったか何となく見当はつくけどな!」
「地面が凹む?」
ワイアットは不思議そうにゼント様に聞き返したけれど、私の隣に立っているジュートを見て納得した顔をした。
私が魔法の解除をしなかったから、ワイアットがゼント様を地中から引っ張り上げた。
すると、ゼント様はワイアットに礼を言うこともなく、私たちを指さして叫ぶ。
「ジュート! どうせお前の仕業だろう! このオレになめた真似をしやがって! 泣いて謝っても絶対に許さんからな! ケイティを取られて悔しいのかもしれないが、こんなことではオレは屈しない!」
「ケイティに興味ないです。殿下とお似合いですよ。あと、今回のことを問題にするなら、そうならないように殿下を埋めますんで」
ジュートは真剣な表情で答えた。
問題にならないように証拠隠滅しようとしているのね。
生きたまま地中に埋めようとしているのだから恐ろしいわ。
「くそ! 本当に覚えていろよ! そして、ソフィア! お前もだぞ! ケイティが悲しんでいるのはお前のせいだからな!」
「ケイティが何に悲しんでいるのかわかりませんが、私はやられたことをやり返しただけですよ」
「人が嫌がることや悲しむことをしてはいけないと教わらなかったのか!? この外道めが!」
「王太子殿下の口から、そんな説教をされるなんてさすがに心外ですわ」
「馬鹿にしやがって! ああ、イライラする!」
ゼント様は文句を言いながら、私たちに背を向けた。
そしてそのまま、呆れた顔のワイアットの前を通り過ぎ、王城へと続く道を一人で帰っていった。
その背中を見送ってから、魔法を解除して地面を元に戻す。
「ありがとう。それにしても、ゼント殿下は何をしに来たのかな」
「さっき、ケイティに毒入りスープを飲ませてあげようとしたから、それの仕返しかもしれないわ。あと、あなたと私が婚約すると聞いて、ケイティはかなりショックを受けていたから、それの腹いせもあるんじゃないかしら」
「毒入りスープを飲ませようとしたって、どういうこと?」
ジュートが恐ろしいものを見るような目つきで私を見るので、ワイアットと共に家の中に入り、先程のケイティたちとのやり取りを話したのだった。
話を聞き終えたジュートが首を傾げる。
「どうして、そんなにケイティは君のことを嫌っているのかな」
「色々とありすぎてわからないわ。一番の理由かはわからないけれど、公爵令嬢というだけでちやほやされている私が気に食わなかったんじゃないかしら。ケイティは何でも自分が一番じゃないと気がすまない子だからね。だから、本当にゼント様のことが好きなのかどうかもわからないわ」
私の言葉を聞いて、ワイアットが眉根を寄せる。
「好きでもない男性と人前ではしたないことをしたりできるものなんですか?」
「人によってはできるんじゃないかしら。そういう行為をしても責められるものではないし、はしたないことだと思ってはいないんだと思うわ」
「貴族の女性が、夫や愛する人以外とするような行為ではないでしょう」
「ワイアット、あの子は勉強が嫌いで文字も覚えていないの。貴族の常識なんて知っているわけがないでしょう。もしくは知っていたとしても、自分は許されると思っていると思うわ。最初は両親がいきなり亡くなってショックでそれどころじゃないと思って、私たちも強くは言わなかったのよ。口酸っぱく言うようになったのは、私の家に来て1年後だったわ。……それを考えると、もっと、ケイティにかまっておくべきだったかしら」
「まあ、公爵家なんだし、真面目に頑張っているわけでもない人間を切り捨てるのは、おかしいことではないと思うよ。それに、ケイティのことだから、何年経っても一緒だよ」
ジュートの言葉にワイアットも頷く。
「そうですね。ケイティは昔からあんな性格でしたよ」
「そう言ってもらえるとありがたいわ」
「とにかく、気をつけたほうがいいかもしれないね」
ジュートが難しい表情で続ける。
「ケイティはソフィーが自分に何かされるより、他人に何かされることのほうが嫌だってことを知ってるんでしょ? なら、昔、メイドにしたみたいに、他の人にも同じようなことをするかもしれないよ」
「……そう言われてみればそうね。私の家に来ているメイドたちにも護衛をつけたほうが良いかしら」
「もうなんなら、ゼント殿下、埋めちゃう? そうすれば、ケイティは平民の暮らしだよ」
「駄目よ。そんなことをしたら、あなたが捕まるわよ!」
「鬱陶しいし、埋めちゃいたいなぁ。君たちが何も言わなければ、ゼント殿下は行方不明になった、で終わるだけだと思うけど」
ジュートがのほほんとした口調で恐ろしいことを言うので、私とワイアットは思わず顔を見合わせる。
ジュートの言いたいことはよくわかるけれど、それを公爵家の人間がやったらオシマイというやつなんじゃないかしら。
「王家を守る公爵家が王太子を殺そうとしてどうするんです」
ワイアットも同じことを考えたみたいで、呆れた顔で言うと、ジュートはいつになく真面目な顔をして答える。
「王家を守るためだよ。あんなのが国王になったら大変だよ。しかも王妃はあれだ。僕、あんなのに仕えたくない」
「それは多くの人間が思っていますが、口に出さないように我慢しているんですよ」
「でもさ、ここに三大公爵家の子供が集まっているわけだしさ、やっちゃわない?」
「駄目です!」
「駄目に決まってるでしょう! ジュート、遊びじゃないんだから!」
ワイアットと私が大きな声で叱ると、ジュートはつまらなさそうな顔をした。
「国民のためになると思うんだけどなぁ」
「それは間違ってませんが、殺しはいけません」
「事故ならいいの?」
「事故に見せかけようとしていたら殺しでしょう」
ワイアットが頭を抱えて大きく息を吐くと、ジュートは苦笑する。
「あのね、僕だって、普段はこんなことは言わないよ。だけど、ゼント殿下の馬鹿っぷりを見た以上、言わざるをえなくなるという気持ちもわかってよ」
「気持ちはわかるわ。私だってどうにかできるものなら、どうにかしたいもの。だけど、今のところ、ゼント様のあんな姿は、ほとんどの国民が知らないの。王太子が暗殺されるなんてことがあったら、国民は怯えるし、犯人探しをするはずよ。だから、殺しじゃなくて、王太子の座を剥奪することを考えない?」
「うーん。まぁ、そうなんだけど、どうやって? 国王陛下が元気になっても、あの馬鹿は直らないと思うよ? そうしている内に、ソフィーはさっきみたいに命を狙われるんじゃない?」
「ゼント様が相手なら、私一人で勝てるから大丈夫よ。ただ、私じゃない誰かを狙われるのは困るわ」
さっきだって私が助かっても、家の中にいた誰かが犠牲になったかもしれない。
それを考えると、監察役の私としては……、って、そうじゃない。
私は監察役なんだわ!
「私はゼント様とケイティの監察役に任命されているの。ということは、罰も決めることができるのかしら」
「……陛下に確認してみます。といっても、回復傾向にはありますが、基本は眠っておられることが多く、目を覚ましてもすぐには覚醒しないんです。急ぎで確認したいことが他にもあるので、その後になりますが、それでも良いですか?」
「もちろん」
本当はすぐに答えが欲しいけれど、陛下のお体が一番大事だから、無理はしてほしくない。
少しでも早く元気になってもらって、跡継ぎについてのお話も考えていただかなくちゃ。
しばらく話をしてから、ワイアットは仕事があるからと帰っていき、ジュートは私の家で昼食をとって帰っていった。
ジュートが帰ってから、彼がやって来た理由やワイアットとの婚約の話をすることをすっかり忘れていたことに気がついた。
……明日にはちゃんと、二人に連絡しなくちゃ。
そう考えた次の日の朝に、ジュートには手紙を送り、ワイアットに会いに行く準備をしていた私の耳に衝撃的な話が届けられた。
昨日の晩、ケイティの侍女の一人が、何者かに火をつけられ焼死したという話だった。
934
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる