【4月29日完結予定】嘘ばかりの婚約者様、どうぞ愛する人とお幸せに

風見ゆうみ

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55  元婚約者の就職先 ③

 話を終えたあと、パス伯爵は息子がいる公園に行くと言って帰っていった。
 イトメニア公爵家から連絡があるまでは、逃げられないようにしっかり監視をするとのことだった。
 その後、ゲッティを見張っていた兵士が戻ってきたので、ティファリーはその時の話を聞いた。彼らが言うには、パス伯爵が来るまでに、女性たちが彼の所に来て、結婚するように迫って大変だった。伯爵が来たことで落ち着きはしたものの、今度は女性同士のトラブルが勃発していたと聞いて驚いた。

 それから2日後、ティファリーは王城の応接室でケインと話をしていた。
 白で統一された室内は、掃除が行き届いており、白いテーブルは光に反射してキラキラ輝いて見える。ティファリーたちの前に置かれているティーカップなども有名な陶芸家が作ったもので、愛好家からは値段がつけられないほど貴重だと言われている。
 陶芸家がソーサーと共に20客、王家に寄贈したことは有名な話である。ティファリーはカップを落とすことがないよう注意しながらお茶を飲んだ。

(良い茶葉なのでしょうけれど、カップに気を取られてあまり味がわかりません)

「女性たちはゲッティの何がそんなにいいんだろうか」

 足を組み、ソファにもたれかかりながらケインは言った。
 
「ゲッティのことを可哀想だと思い、私が守ってあげなければと考える女性が少なからずいるようです」

 誰を好きになるかは個人の勝手である。理解ができないからと、その人の考えを否定することも勝手だが、相手を傷つけていいわけではない。
 
「不幸になるのが目に見えているような気がするが……」
「私もそう思いますが、どんな状況であっても、その人と一緒にいるだけで幸せだと感じる方もいらっしゃるようです」
「傷つけられたり、苦労をかけられるとわかっていてもいいんだろうか」
「人と動物を一緒にするなと言われそうですが、ポッポたちの世話は大変です。ですが、ポッポたちを世話する人がいなくなれば、自分で何とかするでしょう。そして、それを苦に思うことはあっても放棄することはないかと思うんです」

 うまく説明できないことをティファリーが詫びると、ケインは頭を振った。

「気にするな。言いたいことはわかる。……で、本当に実行するのか?」
「少しの間だけで結構です。彼女たちに彼との思い出を作ってもらい、まだ彼を思い続けるのか、もしくは彼への愛は冷めるのか。判断してもらいたいのです」

 ゲッティを思い続けている女性たちには、すでに許可を取っていた。ティファリーの作戦はケインから国王に報告、その後承認されたため、五日後、ゲッティは女性たちと共に王城を訪ねてきたのだった。
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