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15 王太子からのお誘い
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「もうバレたんかよ」
映像も映し出せる通信機能を持つ魔石が宙に映し出したのは、サナトラの人が用意してくれた部屋に滞在している、ユウヤくんとユウマくんの姿だ。
ユウマくんは私とリアに挟まれたラス様を見て、小馬鹿にしたように笑った。
「お前らのせいでバレたってのに」
小馬鹿にされたせいか、ラス様はイライラモードが全開で、ドレスを着た状態で床に座り、あぐらをかいているし、敬語を忘れて映像の向こうの二人に叫んだ。
「お前らバカ二人が、ユーニさんとリアさんにちゃんと話をしてないからだろうが」
「は?」
二人が眉根を寄せて聞き返す。
「マヌグリラの姫だよ! 王太子がお前らの元カノってほざいてたぞ!」
「はあ?!」
「クソっ。こんなバカ共助けなきゃ良かった」
すさんでしまっているラス様を見て、私とリアは顔を見合わせて頷き合うと、いつもより小さな彼の身体に身を寄せる。
「ラス様が言ってくれなかったら、私、ユウヤくんともう話したくなくなってたかも」
「私も。ユウマくんなんて嫌いになってたかも」
あのとき、ラス様が声を上げなければ、私達に気づかれなくて済んだかもしれない。
それなのに、ユウヤくん達の名誉のために、あと私達が傷つかなくていいように、わざわざ声を上げてくれた。
その気持ちが嬉しかった。
たぶん、リアも同じ気持ちだと思う。
「すいませんでした」
私達の様子を見て、素直にユウヤくんとユウマくんが頭を下げた。
「わかったんなら良いです」
ラス様はそれで少しは溜飲が下がったのか、いつもの口調に戻り、話し始める。
「とりあえず先に、お二人に元カノのお話をされたらどうですか」
「元カノじゃねぇよ!」
「別に今、すっぱり別れてるなら元カノって言ってもいいのよ?」
「んな訳ねぇだろ! オレはオマエだけだっての!」
「な!」
ユウマくんの発言に私はニヤニヤ、ラス様は苦笑、リアは言葉をなくした。
「申し訳ないですが、そういう話は二人きりの時にどうぞ。話が進みませんから」
「ごめんなさい、ラス様。というか、可愛すぎて眩しい!」
「褒め言葉として受け取っておきます」
なんでラス様が女の子になってるのか気になるけど、とりあえず先に元カノについての話をハッキリさせる事にする。
前にラス様が喧嘩になるから話しておけ、って言ってくれてた人かな?
「で、どういう関係の人なの?」
ユウヤくんに向かって聞くと、彼は複雑そうな顔をして答える。
「元カノだとかそういう関係性じゃなくて、向こうから一方的に好かれてるっつーか」
「どういう事?」
「いや、だから、そのまんまの意味だって。付き合ってるなんて噂が勝手にひとり歩きしただけだ」
「心当たりもないの?」
「ない!」
ユウマくんまで一緒になって否定する。
どう判断したら良いのか困り、ラス様を見ると、彼、いや彼女?は、ため息をついてから説明してくれる。
「幼い頃から、マヌグリラの姫と彼女の護衛騎士の女性は、あなた方の婚約者に恋心を抱いていたようです。ですが、一向に二人が相手にしないので、付き合ってるという噂を流して、少しでも現実に近づけたかったのかもしれませんね」
「恋心が暴走しちゃった、ってわけね」
リアの言葉に頷いてから、ラス様は言葉を続ける。
「ちなみに、サナトラの王太子が所望した姫は、ユウヤに恋をしています。仲介に入った際も、ユウヤを連れてこいと、うるさくてうるさくて」
「悪い」
「あなたは悪くありませんよ」
謝るユウヤくんに言ったあと、ラス様はまたイライラが復活してしまったのか、
「なんで俺がこんな説明を」
ぼやき始めてしまった。
「最近、ラス様、敬語使わなくなるの増えてきましたね」
「それだけイライラしてるんですよ」
「つーか、オレらの前では、基本こんなだぞ」
笑いながら言った私にラス様は答えてくれ、その後のユウマくんの言葉には彼を睨みつけて言った。
「誰のせいだと思ってんだよ」
「オレか」
「お前が横でギャンギャギャン話しまくるから」
「昔の話ですか?」
リアに聞かれ、ラス様はこほん、と咳払いをしたあと、いつもの口調に戻って頷く。
「寄宿学校に通っていた時期がありまして、彼とは学年は違いますが、陛下の計らいで彼と同じ部屋だったんです」
「それは大変でしたね」
リアがなぜか、ラス様を抱きしめて頭をなでた。
「リアさん、気持ちはありがたいですが、また、ユウマが面倒なので」
彼は優しくリアの身体をはなして続ける。
「とにかく、私はもう戻ります。このコルセット、きつくてしょうがなくて。女性は本当に大変ですね」
ラス様は立ち上がると、私達の返事も待たずに転移魔法を使ったのか、姿を消してしまった。
そうか、ラス様は転移魔法が使えるから、わざわざ、あんな格好をして様子を見にきてくれたのか。
ラス様が帰ってしまったあとに、ユウヤくんたちから聞いた話だと、サナトラの別宅に行く私達が心配だから、何かいい方法がないか、と考えた時に浮かんだのが、一時だけ性別を変える薬を飲んで入り込む事だったらしい。
ラス様は転移魔法を使えるし、髪も長く、女性らしく見えるだろう、と二人に押し付けられたみたいだ。
明日、ラス様にお礼を言おう。
それにしても、なんか厄介な話になってきたなあ。
サナトラの王太子はマヌグリラの姫が好き?で、その姫はユウヤくんが好きなのか。
うーん、国的には難しい話だなあ。
「オレの嫁はオマエしかいねぇから」
考えていた事がまた顔に出ていたのか、ユウヤくんの言葉に胸が高鳴ったけれど、隣でリアがニヤニヤしているのが視界に入り、ときめいた余韻など、すぐにかき消されてしまったのだった。
次の日、昼までは別宅でのんびり過ごさせてもらえたのだけど、午後に入ってからは夜会の準備におわれて大変だった。
それから時間までに宮殿に着き、パーティがはじまるとサナトラの王様が私達を紹介してくれ………、と濃密な時間が一気に過ぎていき、ひとまず解放された時には、私とリアはヘトヘトだった。
「もう帰りたい」
「ダンスを一曲踊って、もう帰るか?」
しゃがみ込みそうになっている私を後ろから支えてくれながら、ユウヤくんはそう言ってくれるけど、ダンスを踊る元気など、今はあるわけがない。
今すぐ寝たい。
けど、そういう訳にもいかない。
今日はサナトラの偉い人や貴族がたくさん集まっているから、その人達への挨拶もしないといけなかった。
「私、こういうのやっぱり向いてない」
「とりあえず、オマエ達は外で少し休んでろ。挨拶回りはオレらがしてくるから」
ユウヤくんは困った顔をしてそう言うと、私達を裏庭に続くテラスへ連れて行ってくれた。
「吐きそう」
「私も」
ユウヤくんが中に戻っていった後、テラスに置かれていた椅子に座って言うと、リアも頷いた。
テラスには誰も人はおらず、庭園にも見る限り人は見当たらなかったため、足を投げ出すように座り直す。
行儀が悪いのはわかってるけど、イブニングドレスやヒールの高い靴にもまだ慣れない。
「せっかくだから、ユウヤくん達をしっかり見ときたかったんだけどな」
今日のユウヤくん達はテイルコートを着ている上に、いつも下ろしている前髪を全部あげていて、全然、雰囲気が違うのだ。
「それに一応は主役だし、ちゃんと挨拶回りしないといけないわよね」
はあ、とリアが立ったまま、大きなため息を吐いた時だった。
パーティ会場とテラスをつなぐ扉が開かれ、サナトラの王太子が現れた。
今日はさすがに上半身が裸ではなく、正装なので、これまたイメージが違う。
私は慌てて、投げ出していた足を戻して立ち上がる。
「本日は」
「堅苦しい挨拶はせんで良い。楽しんでおるか?」
挨拶をしようとした私の言葉を止めて、王太子が尋ねてくる。
「もちろんですわ」
「そうか、それは良かった! で、お主らはここで何を?」
「情けない事に人に酔ってしまいまして」
無邪気に聞いてくる王太子につられてしまい、本音を吐いてしまうと、
「そうか! たしかお主らは元々平民であったよな? それは疲れただろう。そうだ、今から余と歩かぬか?」
笑顔で誘われてしまった。
いや、体調が悪いんですか?
なんて、言えるはずもなく。
「光栄ですわ」
私達は必死に笑顔を作って頷いた。
映像も映し出せる通信機能を持つ魔石が宙に映し出したのは、サナトラの人が用意してくれた部屋に滞在している、ユウヤくんとユウマくんの姿だ。
ユウマくんは私とリアに挟まれたラス様を見て、小馬鹿にしたように笑った。
「お前らのせいでバレたってのに」
小馬鹿にされたせいか、ラス様はイライラモードが全開で、ドレスを着た状態で床に座り、あぐらをかいているし、敬語を忘れて映像の向こうの二人に叫んだ。
「お前らバカ二人が、ユーニさんとリアさんにちゃんと話をしてないからだろうが」
「は?」
二人が眉根を寄せて聞き返す。
「マヌグリラの姫だよ! 王太子がお前らの元カノってほざいてたぞ!」
「はあ?!」
「クソっ。こんなバカ共助けなきゃ良かった」
すさんでしまっているラス様を見て、私とリアは顔を見合わせて頷き合うと、いつもより小さな彼の身体に身を寄せる。
「ラス様が言ってくれなかったら、私、ユウヤくんともう話したくなくなってたかも」
「私も。ユウマくんなんて嫌いになってたかも」
あのとき、ラス様が声を上げなければ、私達に気づかれなくて済んだかもしれない。
それなのに、ユウヤくん達の名誉のために、あと私達が傷つかなくていいように、わざわざ声を上げてくれた。
その気持ちが嬉しかった。
たぶん、リアも同じ気持ちだと思う。
「すいませんでした」
私達の様子を見て、素直にユウヤくんとユウマくんが頭を下げた。
「わかったんなら良いです」
ラス様はそれで少しは溜飲が下がったのか、いつもの口調に戻り、話し始める。
「とりあえず先に、お二人に元カノのお話をされたらどうですか」
「元カノじゃねぇよ!」
「別に今、すっぱり別れてるなら元カノって言ってもいいのよ?」
「んな訳ねぇだろ! オレはオマエだけだっての!」
「な!」
ユウマくんの発言に私はニヤニヤ、ラス様は苦笑、リアは言葉をなくした。
「申し訳ないですが、そういう話は二人きりの時にどうぞ。話が進みませんから」
「ごめんなさい、ラス様。というか、可愛すぎて眩しい!」
「褒め言葉として受け取っておきます」
なんでラス様が女の子になってるのか気になるけど、とりあえず先に元カノについての話をハッキリさせる事にする。
前にラス様が喧嘩になるから話しておけ、って言ってくれてた人かな?
「で、どういう関係の人なの?」
ユウヤくんに向かって聞くと、彼は複雑そうな顔をして答える。
「元カノだとかそういう関係性じゃなくて、向こうから一方的に好かれてるっつーか」
「どういう事?」
「いや、だから、そのまんまの意味だって。付き合ってるなんて噂が勝手にひとり歩きしただけだ」
「心当たりもないの?」
「ない!」
ユウマくんまで一緒になって否定する。
どう判断したら良いのか困り、ラス様を見ると、彼、いや彼女?は、ため息をついてから説明してくれる。
「幼い頃から、マヌグリラの姫と彼女の護衛騎士の女性は、あなた方の婚約者に恋心を抱いていたようです。ですが、一向に二人が相手にしないので、付き合ってるという噂を流して、少しでも現実に近づけたかったのかもしれませんね」
「恋心が暴走しちゃった、ってわけね」
リアの言葉に頷いてから、ラス様は言葉を続ける。
「ちなみに、サナトラの王太子が所望した姫は、ユウヤに恋をしています。仲介に入った際も、ユウヤを連れてこいと、うるさくてうるさくて」
「悪い」
「あなたは悪くありませんよ」
謝るユウヤくんに言ったあと、ラス様はまたイライラが復活してしまったのか、
「なんで俺がこんな説明を」
ぼやき始めてしまった。
「最近、ラス様、敬語使わなくなるの増えてきましたね」
「それだけイライラしてるんですよ」
「つーか、オレらの前では、基本こんなだぞ」
笑いながら言った私にラス様は答えてくれ、その後のユウマくんの言葉には彼を睨みつけて言った。
「誰のせいだと思ってんだよ」
「オレか」
「お前が横でギャンギャギャン話しまくるから」
「昔の話ですか?」
リアに聞かれ、ラス様はこほん、と咳払いをしたあと、いつもの口調に戻って頷く。
「寄宿学校に通っていた時期がありまして、彼とは学年は違いますが、陛下の計らいで彼と同じ部屋だったんです」
「それは大変でしたね」
リアがなぜか、ラス様を抱きしめて頭をなでた。
「リアさん、気持ちはありがたいですが、また、ユウマが面倒なので」
彼は優しくリアの身体をはなして続ける。
「とにかく、私はもう戻ります。このコルセット、きつくてしょうがなくて。女性は本当に大変ですね」
ラス様は立ち上がると、私達の返事も待たずに転移魔法を使ったのか、姿を消してしまった。
そうか、ラス様は転移魔法が使えるから、わざわざ、あんな格好をして様子を見にきてくれたのか。
ラス様が帰ってしまったあとに、ユウヤくんたちから聞いた話だと、サナトラの別宅に行く私達が心配だから、何かいい方法がないか、と考えた時に浮かんだのが、一時だけ性別を変える薬を飲んで入り込む事だったらしい。
ラス様は転移魔法を使えるし、髪も長く、女性らしく見えるだろう、と二人に押し付けられたみたいだ。
明日、ラス様にお礼を言おう。
それにしても、なんか厄介な話になってきたなあ。
サナトラの王太子はマヌグリラの姫が好き?で、その姫はユウヤくんが好きなのか。
うーん、国的には難しい話だなあ。
「オレの嫁はオマエしかいねぇから」
考えていた事がまた顔に出ていたのか、ユウヤくんの言葉に胸が高鳴ったけれど、隣でリアがニヤニヤしているのが視界に入り、ときめいた余韻など、すぐにかき消されてしまったのだった。
次の日、昼までは別宅でのんびり過ごさせてもらえたのだけど、午後に入ってからは夜会の準備におわれて大変だった。
それから時間までに宮殿に着き、パーティがはじまるとサナトラの王様が私達を紹介してくれ………、と濃密な時間が一気に過ぎていき、ひとまず解放された時には、私とリアはヘトヘトだった。
「もう帰りたい」
「ダンスを一曲踊って、もう帰るか?」
しゃがみ込みそうになっている私を後ろから支えてくれながら、ユウヤくんはそう言ってくれるけど、ダンスを踊る元気など、今はあるわけがない。
今すぐ寝たい。
けど、そういう訳にもいかない。
今日はサナトラの偉い人や貴族がたくさん集まっているから、その人達への挨拶もしないといけなかった。
「私、こういうのやっぱり向いてない」
「とりあえず、オマエ達は外で少し休んでろ。挨拶回りはオレらがしてくるから」
ユウヤくんは困った顔をしてそう言うと、私達を裏庭に続くテラスへ連れて行ってくれた。
「吐きそう」
「私も」
ユウヤくんが中に戻っていった後、テラスに置かれていた椅子に座って言うと、リアも頷いた。
テラスには誰も人はおらず、庭園にも見る限り人は見当たらなかったため、足を投げ出すように座り直す。
行儀が悪いのはわかってるけど、イブニングドレスやヒールの高い靴にもまだ慣れない。
「せっかくだから、ユウヤくん達をしっかり見ときたかったんだけどな」
今日のユウヤくん達はテイルコートを着ている上に、いつも下ろしている前髪を全部あげていて、全然、雰囲気が違うのだ。
「それに一応は主役だし、ちゃんと挨拶回りしないといけないわよね」
はあ、とリアが立ったまま、大きなため息を吐いた時だった。
パーティ会場とテラスをつなぐ扉が開かれ、サナトラの王太子が現れた。
今日はさすがに上半身が裸ではなく、正装なので、これまたイメージが違う。
私は慌てて、投げ出していた足を戻して立ち上がる。
「本日は」
「堅苦しい挨拶はせんで良い。楽しんでおるか?」
挨拶をしようとした私の言葉を止めて、王太子が尋ねてくる。
「もちろんですわ」
「そうか、それは良かった! で、お主らはここで何を?」
「情けない事に人に酔ってしまいまして」
無邪気に聞いてくる王太子につられてしまい、本音を吐いてしまうと、
「そうか! たしかお主らは元々平民であったよな? それは疲れただろう。そうだ、今から余と歩かぬか?」
笑顔で誘われてしまった。
いや、体調が悪いんですか?
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「光栄ですわ」
私達は必死に笑顔を作って頷いた。
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