【完結】第一王子の婚約者になりましたが、妃になるにはまだまだ先がみえません!

風見ゆうみ

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33 明らかに怪しい

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 ミランダ様と合流した事により、婚約発表の話は有耶無耶になったまま、その日は帰宅した。
 すると屋敷に帰るなり、リアが私に駆け寄ってきた。

「おかえり! どうだった? ジンさんとミランダ様、うまくやってた?」

 ラス様の言う通りの言葉をリアが言うから、なんとも言えない気分になる。
 自分のことは全然言わないんだから。

「ただいま。これ、ユウヤくん達からそれぞれお土産」
「え?! 何?!」
「これがジンさんでケーキの詰め合わせ、ユウヤくんがハーブティーのセット、ラス様が押し花の栞」
「え? みんな一人ずつあるの?!」

 まとめていた袋から、一つ一つ出していくと、リアが嬉しそうに手を合わせる。

「私とミランダ様からはおそろいのハンカチ」
「わー、ありがと!」
「ちゃんと私のお小遣いで出したから」
「ありがとね!」

 リアがぎゅうと私に抱きついてきたから、そんなリアをつかまえて言う。

「リア、どうして言ってくれなかったの」
「ん? もしかして、アレンくんの事?」
「そうだよ。何も言わないから、最近はおとなしいのかと思ってた」
「ごめんごめん。ユーニも何かと忙しそうだったからさ」
「そりゃ、聞かなかった私も悪いけど」

 でも、相談くらいしてほしかったな。
 そう思うのは勝手な事かもしれないけど。

「機嫌直してよ。せっかくだし、ジンさんからもらったケーキ一緒に食べよ。一個ずつは小さいけどたくさんあるし、さすがに食べきれないかも」

 ジンさんは私も一緒に食べれるようにと、色んな種類のケーキを買ってくれたから、それは一人で食べるのはキツいかもしれない。

「でも、今日、すでに3つも食べたんだよね」
「え?!」
「太るよね」
「いや、でも一個一個は小さいし、大丈夫じゃない?」
「そうかな」
「でも、なんで3つも食べたの?」

 リアに言われ、カフェでの事を思い出してしまう。
 その動揺を隠して答えようとしたけど、

「い、いや、な、なんでもない、よ」
「なんでもなくないでしょ! どうせ嘘つけないんだから、とっとと吐きなさい!」
 
 あっさりバレてしまった。
 結局、リアの話は聞けず、場所を私の部屋に変えて、お土産のケーキを食べながら、私の話をする事になってしまった。

「婚約お披露目パーティーかあ。どうせいつかしないといけないんだし悪くないんじゃない?」
「リアはどうするの?」
「私はまだいいかな。どうせ婚約してるっていうのは、周りはわかってるんだし、ウダウダ言う人がいたら、私は相手になるわよ」
「リアみたいに、私もはっきり言えたらいいんだけどな」

 リアからおすそ分けしてもらったケーキを切り分けながら、私が言葉をこぼすと、リアは笑って言ってくれる。

「ユーニはそれがユーニらしいからいいの。それに私みたいに噛みつくことは良くない事なんだから」
「私もリアみたいにがつんと言い返したいよ」
「何言ってんの! 言い返せてたじゃない」
「え?」
「前のお茶会では、はっきり言えてたよ」

 リアがにっと笑ってから続ける。

「ユーニもちゃんと強くなってるよ。昔のユーニだったら、もう泣いて逃げ出してるんじゃない?」

 そうかもしれない。
 立ち向かわずに嫌なことから、とっくに逃げ出してたかもしれない。
 もちろん、逃げる事は悪い事じゃない。
 だけど、立ち向かわないといけない時にも、無条件で逃げていた気がする。

「私、戦えるかな」
「大丈夫よ。私だってついてるし。ユウヤくんもラス様も、役には立たないかもだけど、ユウマくんだっているよ!」
「ありがと、リア」

 ユウマくんへの言い方がどうかと思うところもあるけど、素直にお礼を伝える。
 正直、嫌なものは嫌なんだけど、私が逃げることによって、ユウヤくんが嫌な思いをするのなら、ちゃんと覚悟を決めなくちゃ。

 そう決意した。




「無理しなくていいんだぞ」

 次の日、ユウヤくんが仕事を終えるくらいの時間を見計らって行ってみたけど、やはり昨日に仕事をしなかったせいか、いつもより遅くなると言われてしまったので、改めて夜遅くに訪ねてみた。
 疲れてるだろうし、すぐに帰ろうと思ってたけど、彼の自室へ案内された。

「遅い時間にごめんね。話したらすぐに帰るから」
「一緒に寝てもいいんだぞ?」
「皆が心配するから帰ります」
「残念。で、話ってなんだよ」

 座るように促されたので、私は書物机の椅子、ユウヤくんはベッドの上に座って、パーティーの話をしたところ、そう言われてしまった。

「でも、いつかはしなくちゃいけないんでしょ」
「だけど、そうしようって決めたのは昨日のことがあったからだろ」

 どこかユウヤくんが拗ねた感じで言うので、気になって聞いてみる。

「何か気に食わない?」
「気に食わないっつーか、ユーニが望んだことじゃねぇだろ」
「そんな事ないよ?」
「ラスに言われたから、しようと思ったんじゃねえの?」
「言われたから、というのは当たってるけど、私的にはユウヤくんのためなんだけど?」

 小首を傾げて、ユウヤくんを見る。
 すると、ユウヤくんが立ち上がって私の元まで来ると抱きついてきた。

「どうしたの?」

 身をかがめてるユウヤくんの背中に腕を回して、ポンポンと撫でてみる。

「カッコ悪いだろ?」
「そんな事ないよ」
「最近はオマエにカッコ悪いとこばっか見せて、本当に嫌になる」
「子供だなあって思うときはあるけど、カッコ悪いと思った事はないよ」
 
 そんなやり取りをしていると、一気に部屋の外が騒がしくなった。
 気になったのか、ユウヤくんが身体を放すと、バタバタと人が走る足音が聞こえ、すぐにユウヤくんの部屋の扉がノックされた。

「ユウヤ、ラスが」

 返事も返っていないのに扉を開けたのはユウマくんで、私の姿を見つけるなり、言葉を止めた。

「悪かったな。ごゆっくり」
「ちょっと待って!」
 
 扉を閉めようとするユウマくんを叫んで止める。

「ユウヤくん、ちゃんと話聞いてきて」

 促すと、ユウヤくんは扉に近づきながら尋ねる。

「今、なんて言おうとしてた?」
「言うから、ちょっと部屋の外に出ろ」

 ユウヤくんの問いかけにユウマくんはそう答えた。

「ちょっと悪い」 
「いいよ」

 また椅子に座って頷くと、ユウヤくんは部屋を出ていった。

 今、ラス様の名前が出てたよね。
 なんで?
 私の前で言えない話というのはわからないでもないけど、ラス様の名前が出てたとなると気になってしょうがない。
 
 少しして、ユウヤくんが部屋に戻ってきたから、話してもらえるかはわからないけど、一応聞いてみる。

「どうしたの?」
「いや、別に、ちょっと仕事の話をしてた」
「こんな時間に?」
「急用だったらしい。まあ、オマエは気にしなくて大丈夫だから。もう遅いし部屋まで送る。お披露目についての話は明日、改めてにするか」
「ラス様がどうしたの」

 明らかに怪しい。
 私を早くに帰らせようとしている。
 もちろん時間が時間だから、おかしい事はなくもない。
 でも、さっきまで冗談であったとしても、一緒に寝ようと言ってたんだから、この感じはおかしい。

「ラス様に何かあったの?」

 もう一度聞く。

 気になることはそれだけ。
 何もなければ大人しく帰る。

「ラスは、関係ねえよ」
「ユウマくんはラス様の名前を出してたよ」
「聞き間違いだろ」
「絶対にそれはない!」

 強く言うと、ユウヤくんは肩を落として言う。

「他の奴には平気で嘘をつけるんだけどな」

 ユウヤくんは腰を曲げて、私の額に自分の額を合わせた。

「何? 何があったの?」
「今から行くから付いてくるか?」
「わかんないけど行く!」

 額を合わせたまま、ユウヤくんの両頬をつかんで頷くと、私の手に自分の手を重ねてから立ち上がる。

「ラスにはオマエやリアちゃんに言うなって口止めされたみたいだから、連れてったら怒られるだろうなあ」
「大丈夫! 一緒に怒られてあげる!」

 私が立ち上がって言うと、ユウヤくんは手を引いてくれた。

「じゃ行くか」

 前みたいに過労で倒れたとか?
 でも、口止めされたって事は、ラス様は話せるって事みたいだし大丈夫だよね?
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