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32 私に甘すぎではないですか?
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「婚約お披露目パーティー?!」
お待ちかねのケーキとジュースがやってきたところでラス様が放った言葉に、私とユウヤくんは声をそろえて聞き返した。
「周りの迷惑になりますから、大きな声は控えて下さい」
しーっ、と向かいに座るラス様が自分の口元に指を当てる。
私達は今、テラス席の一番外側に座っている。
あとからジンさん達がやって来てもいいように、6人で座れるようにテーブルをつなげてもらった。
他に3席ほどあって、全てうまっているけれど、今の所、私達を気にしている様子の人もいないし、店自体もそう混んでいるわけではなかったので良かった。
「オマエが突然、そんな事言うからだろ」
「というか、遅すぎるくらいなんですよ」
「何が」
「正式な婚約発表がです」
ラス様に言われ、私達二人は黙り込んでしまう。
ラス様の言うとおりで、婚約したという話は身内や仲の良い人に伝えているだけであって、大々的に民衆なりなんなりに発表したわけではない。
なぜなら、私もリアも平民時代のくせが抜けなくて世に出せないから。
「他国から先にお祝いされてしまいましたからね」
「うう、本当に申し訳ないです」
「責めているわけじゃありません。ただ、ああいう人達にこれ以上、何か言わせないようにするには黙らせる対処をしなければなりません」
ラス様に強く言われ、俯いて膝の上に置いている自分の手を見つめる。
さっき、マーガレット様も婚約発表の話をしていたし、やっばりしないといけないんだろうな。
婚約発表となると、たくさんの好奇の目にさらされるはず。
パーティーだから貴族しかいないだろうけど、逆にその貴族になにか言われるのが怖い。
「大丈夫だから」
隣りに座っていたユウヤくんが、自分の手を重ねてくれた。
「でも、何かしなくちゃ、というか、いつかはしないといけない事だよね」
「まあ、そうかもしれねぇけど、無理に急いでやる必要もないだろ」
「だけど、ちゃんと発表したら、ユウヤくんはさっきみたいな事にならなくて済むんだよね?」
「それは……」
ユウヤくんが黙り込んでしまった。
いつまでも甘えているわけにはいかない。
元々、私の優柔不断な態度が彼を傷付けている。
幸せにする、って決めたんだから。
「あの、ラス様」
「なんでしょう?」
顔を上げると、ラス様が優しい瞳で私を見ていた。
「リアとユウマくんは別でも大丈夫なんですよね」
「一緒にする必要もありませんし、しなければならない理由もありません。リアさんはどちらかというと、いつかは結婚するつもりはあるが、今すぐはしたくない、というタイプですし、婚約発表も急いではいないでしょう」
「そうですね。リアはユウマくんとの約束があったから、婚約を決めただけで、それがなかったらお付き合いのままでしたでしょうし」
リアは昔から自由が好きだったから、結婚してしまうと束縛されてしまう気がする、とよく言ってた。
まあ、あながち間違ってはないか!
だって、ユウマくん、今だって束縛とは言わなくても、執着はひどい。
「リアさんのように立ち向かえるのであれば、今のままでもかまいません。でも、辛いのでしょう?」
「それは……」
ラス様の言葉に返す言葉がなかった。
正直、私はすぐに頭に血がのぼっちゃうタイプなのに、頭の回転は良くないから、腹が立つだけでリアのように言い返せたりしない。
悔しくて、その時に思ったことを口にしちゃうだけだ。
そんなの、根本的な解決にはならないのに。
「一旦、その話はやめろ。ほら、ユーニもケーキ食え。楽しみにしてたんだろ」
「う、うん」
「ユウヤ、話を先にのばしても意味がないです。あ、ユーニさんはどうぞお食べください。彼と話をしますんで」
ラスさんは笑顔で私にそう言ったあと、ユウヤくんに向き直る。
「逃げてても解決しないぞ」
「それはわかってんだけど、アレンの件はどうすんだ」
「あれは結婚した場合だろ。婚約に関しては何も関係ない。お前達が結婚するまでになんとかすればいい話だ」
「ただ、あの話、いつまで引きのばすつもりだ?」
ユウヤくんの問いかけに、ラス様は冷めかけた紅茶を一口含んで飲み込んだあと答える。
「宰相が今、意見をまとめてるみたいだが、アレンはどうも引く気がないみたいだな。ユウマとリアさんにも確認したが、俺達が知らないところで、アレンはリアさんに猛アタックしてるみたいだ」
「え、そうなんですか?!」
初耳の話だったので、ついつい二人の会話に入り込んでしまった。
「あなたには心配をかけたくないようで、聞かれたら話すつもりでいたようですよ」
「……そういえば最近の私は、ミランダ様のことばかり話をしてた気がする」
「そんなにショックを受けなくて大丈夫です。リアさん自身も最近はミランダ嬢の話ばかりだったんじゃないですか?」
「顔を合わせたらそんな感じでした」
「なら大丈夫です。きっと、今日帰ったら、リアさんは自分のことなんかよりも、あなたやミランダ嬢の話を聞きたがると思いますよ」
ラス様が優しく微笑んで言ってくれた。
もちろんミランダ様も友達だから、大事な事にかわりはないけど、だからといって、リアの事を考えなくてもいいわけじゃない。
「リアは辛そうでしたか?」
「慰めでもなんでもなく、リアさんはいつも通り明るく、愚痴るように話してくれましたよ」
「それなら良かったです」
ホッと胸をなでおろして言うと、横からケーキがさされたフォークが差し出された。
「え、何、ユーヤくん」
「早く食えって」
「自分で食べるから貸して」
「いいから口開けろ」
ユウヤくんに言われ、周りの目を気にしつつも口を開ける。
「美味しい!」
食べさせてくれたケーキは私のケーキではなく、ユウヤくんが頼んだものだった。
私はチーズケーキを頼んだけど、ユウヤくんはショートケーキだったので、一口くれないかなーというのが本音だったので嬉しい。
ここのお店はショーケースに並んでいるケーキを選んで頼むものだったので、実はショートケーキにチョコレートケーキ、フルーツタルトも悩んだんだけど、たくさん食べたら太るし、と思ってやめていた。
「元気出たか?」
「うん。美味しい」
するとラス様が自分のフルーツタルトののったお皿を私の方に押し出した。
「食べていいですよ」
「え! でも、ラス様の」
「だいぶ迷われてたようなので」
「うっ」
くすりと笑われてしまい、変な声が出た。
見られてたのか。
なんか恥ずかしい。
だいぶ、ショーケースの前でウロウロしてたもんなぁ。
「じゃあ、はんぶんこしましょうよ」
「甘い物は苦手です」
「え、じゃあなんで」
そこまで言って、気がついてしまった。
ラス様は私のためにフルーツタルトを選んだの?
もしかして、ユウヤくんのショートケーキも?
がつん。
恥ずかしくなって顔を覆おうとして、テーブルに肘をつけた際、思い切り肘をテーブルにぶつける形になってしまった。
「どうした、大丈夫か?!」
「どうしました?!」
「痛い」
「そりゃいてぇだろ。思い切りぶつけてたぞ」
ユウヤくんが心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
痛い。
痛いのは確かなんだけど。
「甘やかされてる気がする」
小さい声で呟くと、
「そりゃそうだろ」
「ですね」
二人に肯定されてしまった。
「ほら食えって。美味いんだろ?」
「美味しい、美味しいよ」
またケーキのささったフォークが横から出されて、口に入れる。
甘い。
でも、ユウヤくんとラス様の方が甘い。
恥ずかしさでどうしようもなくなりそうになった時、ミランダ様の声が聞こえた。
「お待たせいたしました。あの、ユーニ様、お顔が赤いようですけど、どうかされました?」
知らない間に席のところまで来てくれていたようで、心配そうにミランダ様が顔を覗き込んでくれた。
「あ、あのミランダ様、ケーキはどれにされるんですか?」
「まだ決めてないんです。よろしかったら一緒に決めてもらえませんか?」
「もちろんです!」
ミランダ様の申し出に勢いよく返事を返して立ち上がると、ユウヤくんとラス様が笑った。
「何か?」
「兄さんと殿下が笑うなんて、一体どうしたんですか?」
ミランダ様とジンさんが首を傾げて二人に問いかけたけれど、答えが返る前に、私はミランダ様とジンさんの腕をつかみ、無理矢理ショーケースに向かったのだった。
お待ちかねのケーキとジュースがやってきたところでラス様が放った言葉に、私とユウヤくんは声をそろえて聞き返した。
「周りの迷惑になりますから、大きな声は控えて下さい」
しーっ、と向かいに座るラス様が自分の口元に指を当てる。
私達は今、テラス席の一番外側に座っている。
あとからジンさん達がやって来てもいいように、6人で座れるようにテーブルをつなげてもらった。
他に3席ほどあって、全てうまっているけれど、今の所、私達を気にしている様子の人もいないし、店自体もそう混んでいるわけではなかったので良かった。
「オマエが突然、そんな事言うからだろ」
「というか、遅すぎるくらいなんですよ」
「何が」
「正式な婚約発表がです」
ラス様に言われ、私達二人は黙り込んでしまう。
ラス様の言うとおりで、婚約したという話は身内や仲の良い人に伝えているだけであって、大々的に民衆なりなんなりに発表したわけではない。
なぜなら、私もリアも平民時代のくせが抜けなくて世に出せないから。
「他国から先にお祝いされてしまいましたからね」
「うう、本当に申し訳ないです」
「責めているわけじゃありません。ただ、ああいう人達にこれ以上、何か言わせないようにするには黙らせる対処をしなければなりません」
ラス様に強く言われ、俯いて膝の上に置いている自分の手を見つめる。
さっき、マーガレット様も婚約発表の話をしていたし、やっばりしないといけないんだろうな。
婚約発表となると、たくさんの好奇の目にさらされるはず。
パーティーだから貴族しかいないだろうけど、逆にその貴族になにか言われるのが怖い。
「大丈夫だから」
隣りに座っていたユウヤくんが、自分の手を重ねてくれた。
「でも、何かしなくちゃ、というか、いつかはしないといけない事だよね」
「まあ、そうかもしれねぇけど、無理に急いでやる必要もないだろ」
「だけど、ちゃんと発表したら、ユウヤくんはさっきみたいな事にならなくて済むんだよね?」
「それは……」
ユウヤくんが黙り込んでしまった。
いつまでも甘えているわけにはいかない。
元々、私の優柔不断な態度が彼を傷付けている。
幸せにする、って決めたんだから。
「あの、ラス様」
「なんでしょう?」
顔を上げると、ラス様が優しい瞳で私を見ていた。
「リアとユウマくんは別でも大丈夫なんですよね」
「一緒にする必要もありませんし、しなければならない理由もありません。リアさんはどちらかというと、いつかは結婚するつもりはあるが、今すぐはしたくない、というタイプですし、婚約発表も急いではいないでしょう」
「そうですね。リアはユウマくんとの約束があったから、婚約を決めただけで、それがなかったらお付き合いのままでしたでしょうし」
リアは昔から自由が好きだったから、結婚してしまうと束縛されてしまう気がする、とよく言ってた。
まあ、あながち間違ってはないか!
だって、ユウマくん、今だって束縛とは言わなくても、執着はひどい。
「リアさんのように立ち向かえるのであれば、今のままでもかまいません。でも、辛いのでしょう?」
「それは……」
ラス様の言葉に返す言葉がなかった。
正直、私はすぐに頭に血がのぼっちゃうタイプなのに、頭の回転は良くないから、腹が立つだけでリアのように言い返せたりしない。
悔しくて、その時に思ったことを口にしちゃうだけだ。
そんなの、根本的な解決にはならないのに。
「一旦、その話はやめろ。ほら、ユーニもケーキ食え。楽しみにしてたんだろ」
「う、うん」
「ユウヤ、話を先にのばしても意味がないです。あ、ユーニさんはどうぞお食べください。彼と話をしますんで」
ラスさんは笑顔で私にそう言ったあと、ユウヤくんに向き直る。
「逃げてても解決しないぞ」
「それはわかってんだけど、アレンの件はどうすんだ」
「あれは結婚した場合だろ。婚約に関しては何も関係ない。お前達が結婚するまでになんとかすればいい話だ」
「ただ、あの話、いつまで引きのばすつもりだ?」
ユウヤくんの問いかけに、ラス様は冷めかけた紅茶を一口含んで飲み込んだあと答える。
「宰相が今、意見をまとめてるみたいだが、アレンはどうも引く気がないみたいだな。ユウマとリアさんにも確認したが、俺達が知らないところで、アレンはリアさんに猛アタックしてるみたいだ」
「え、そうなんですか?!」
初耳の話だったので、ついつい二人の会話に入り込んでしまった。
「あなたには心配をかけたくないようで、聞かれたら話すつもりでいたようですよ」
「……そういえば最近の私は、ミランダ様のことばかり話をしてた気がする」
「そんなにショックを受けなくて大丈夫です。リアさん自身も最近はミランダ嬢の話ばかりだったんじゃないですか?」
「顔を合わせたらそんな感じでした」
「なら大丈夫です。きっと、今日帰ったら、リアさんは自分のことなんかよりも、あなたやミランダ嬢の話を聞きたがると思いますよ」
ラス様が優しく微笑んで言ってくれた。
もちろんミランダ様も友達だから、大事な事にかわりはないけど、だからといって、リアの事を考えなくてもいいわけじゃない。
「リアは辛そうでしたか?」
「慰めでもなんでもなく、リアさんはいつも通り明るく、愚痴るように話してくれましたよ」
「それなら良かったです」
ホッと胸をなでおろして言うと、横からケーキがさされたフォークが差し出された。
「え、何、ユーヤくん」
「早く食えって」
「自分で食べるから貸して」
「いいから口開けろ」
ユウヤくんに言われ、周りの目を気にしつつも口を開ける。
「美味しい!」
食べさせてくれたケーキは私のケーキではなく、ユウヤくんが頼んだものだった。
私はチーズケーキを頼んだけど、ユウヤくんはショートケーキだったので、一口くれないかなーというのが本音だったので嬉しい。
ここのお店はショーケースに並んでいるケーキを選んで頼むものだったので、実はショートケーキにチョコレートケーキ、フルーツタルトも悩んだんだけど、たくさん食べたら太るし、と思ってやめていた。
「元気出たか?」
「うん。美味しい」
するとラス様が自分のフルーツタルトののったお皿を私の方に押し出した。
「食べていいですよ」
「え! でも、ラス様の」
「だいぶ迷われてたようなので」
「うっ」
くすりと笑われてしまい、変な声が出た。
見られてたのか。
なんか恥ずかしい。
だいぶ、ショーケースの前でウロウロしてたもんなぁ。
「じゃあ、はんぶんこしましょうよ」
「甘い物は苦手です」
「え、じゃあなんで」
そこまで言って、気がついてしまった。
ラス様は私のためにフルーツタルトを選んだの?
もしかして、ユウヤくんのショートケーキも?
がつん。
恥ずかしくなって顔を覆おうとして、テーブルに肘をつけた際、思い切り肘をテーブルにぶつける形になってしまった。
「どうした、大丈夫か?!」
「どうしました?!」
「痛い」
「そりゃいてぇだろ。思い切りぶつけてたぞ」
ユウヤくんが心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
痛い。
痛いのは確かなんだけど。
「甘やかされてる気がする」
小さい声で呟くと、
「そりゃそうだろ」
「ですね」
二人に肯定されてしまった。
「ほら食えって。美味いんだろ?」
「美味しい、美味しいよ」
またケーキのささったフォークが横から出されて、口に入れる。
甘い。
でも、ユウヤくんとラス様の方が甘い。
恥ずかしさでどうしようもなくなりそうになった時、ミランダ様の声が聞こえた。
「お待たせいたしました。あの、ユーニ様、お顔が赤いようですけど、どうかされました?」
知らない間に席のところまで来てくれていたようで、心配そうにミランダ様が顔を覗き込んでくれた。
「あ、あのミランダ様、ケーキはどれにされるんですか?」
「まだ決めてないんです。よろしかったら一緒に決めてもらえませんか?」
「もちろんです!」
ミランダ様の申し出に勢いよく返事を返して立ち上がると、ユウヤくんとラス様が笑った。
「何か?」
「兄さんと殿下が笑うなんて、一体どうしたんですか?」
ミランダ様とジンさんが首を傾げて二人に問いかけたけれど、答えが返る前に、私はミランダ様とジンさんの腕をつかみ、無理矢理ショーケースに向かったのだった。
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