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6.5 (ファニ視点)
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アルミラがオズックの所に来た次の日、職場に出勤すると、私のデスクの上には書類が山積みになっていた。
ファイリングするだけの簡単な仕事なのに、周りは忙しいからといって自分ではやらない。
こんな扱いを受けるようになったのは、私がオズックと仲良くなってからだ。
オズックは職場の先輩と付き合っていた。
でも、私がこの職場にやって来ることになったから、アルミラにバレるのを恐れて、オズックはその先輩と別れることにしたらしい。
先輩はオズックにアルミラという婚約者がいたことを知らないから、別れた理由は私のせいだと思い込んでいる。
まあ、結局は私が奪ったようなものだから間違ってないんだけど。
朝早いからか、まだ誰もいないこじんまりした事務所でため息をついた時、背後から声を掛けられた。
「おはよう、ファニ! 机の上がすごいことになってるな」
「おはよう、レッド。そうね、私がいないと皆、仕事にならないみたい」
「さすがファニだな」
話しかけてきた人物に微笑みかけると、彼は誇らしげな顔をして言った。
声を掛けてきたのは私の表向きの恋人であるレッドだった。
正直、レッドには飽きてきていて別れようと思っていたのに、私がここに勤めることになったと聞いた彼は、前の職場を辞めてまで、ここの警備担当に転職してきた。
はっきり言って鬱陶しい。
長身でたくましい体でちょっと濃いけれど顔は整っているから、一部の女性にはモテていることは知っている。
でも、今の私にはオズックのほうが素敵に見えてしょうがない。
「なあ、ファニ。君とオズック様が付き合っているって噂を聞いたんだけど嘘だよな?」
ああ、噂が回っているのね。
今まではレッドに知られて、別れることになっても良いと思っていたけれど、オズックがアルミラと結婚して侯爵の爵位を得るまでは、この関係は内緒にしなければならないとわかった。
だから、まだ彼を手放すわけにはいかない。
「嘘に決まってるじゃない。そんなことをしたら浮気してるってことになるじゃないの。そんな酷いことはしないわ」
「だけど周りがうるさいんだよ」
「レッド、あなた、私と周囲の人が言う話とどちらを信じるって言うの?」
頬を膨らませ上目遣いで睨むと、レッドはにこりと笑った。
「……そうだよな。ファニが浮気するわけないもんな。今度、そんなことを言う奴がいたら文句言ってやる」
「うん、ありがとう」
忠犬というよりかは駄犬ね。
剣の腕はたつけれど頭は良くない。
オズックは今すぐにアルミラと結婚しないみたいだから、私の婚期も遅れることになるけど、この人はせいぜい騎士止まりだもの。
侯爵夫人とは比べ物にならないわ。
「おい、部外者を事務所内に入れんな」
低い声が聞こえて振り返ると、リラド辺境伯家の三男のフィリップ様が立っていた。
長身痩躯で顔が整っているから女性に人気はある。
だけど、いつも眉間にシワが寄っているし、誰に対しても素っ気ない態度だから好き嫌いが分かれている。
「すいません」
レッドはペコペコしながら、事務所から出て行った。
オズックだったら、もっと男らしい態度を取るはずだわ。
ため息を吐きながら自分の席に座ると、フィリップ様が睨んでくる。
「お前、ここに何しに来てんだ。男漁りの場じゃねぇんだぞ。事務所内では個人情報を扱ってんだから、部外者は入れるなって言ってんだろ」
「……申し訳ございません」
あと2年。
2年待てば、この男も私に偉そうに言えなくなる。
長い期間ではあるけれど、私に嫌な思いをさせた人物たちの悔しがる顔が見れると思うと、今から楽しみで仕方なかった。
そうそう、アルミラがどんな顔をするのかも楽しみね。
ファイリングするだけの簡単な仕事なのに、周りは忙しいからといって自分ではやらない。
こんな扱いを受けるようになったのは、私がオズックと仲良くなってからだ。
オズックは職場の先輩と付き合っていた。
でも、私がこの職場にやって来ることになったから、アルミラにバレるのを恐れて、オズックはその先輩と別れることにしたらしい。
先輩はオズックにアルミラという婚約者がいたことを知らないから、別れた理由は私のせいだと思い込んでいる。
まあ、結局は私が奪ったようなものだから間違ってないんだけど。
朝早いからか、まだ誰もいないこじんまりした事務所でため息をついた時、背後から声を掛けられた。
「おはよう、ファニ! 机の上がすごいことになってるな」
「おはよう、レッド。そうね、私がいないと皆、仕事にならないみたい」
「さすがファニだな」
話しかけてきた人物に微笑みかけると、彼は誇らしげな顔をして言った。
声を掛けてきたのは私の表向きの恋人であるレッドだった。
正直、レッドには飽きてきていて別れようと思っていたのに、私がここに勤めることになったと聞いた彼は、前の職場を辞めてまで、ここの警備担当に転職してきた。
はっきり言って鬱陶しい。
長身でたくましい体でちょっと濃いけれど顔は整っているから、一部の女性にはモテていることは知っている。
でも、今の私にはオズックのほうが素敵に見えてしょうがない。
「なあ、ファニ。君とオズック様が付き合っているって噂を聞いたんだけど嘘だよな?」
ああ、噂が回っているのね。
今まではレッドに知られて、別れることになっても良いと思っていたけれど、オズックがアルミラと結婚して侯爵の爵位を得るまでは、この関係は内緒にしなければならないとわかった。
だから、まだ彼を手放すわけにはいかない。
「嘘に決まってるじゃない。そんなことをしたら浮気してるってことになるじゃないの。そんな酷いことはしないわ」
「だけど周りがうるさいんだよ」
「レッド、あなた、私と周囲の人が言う話とどちらを信じるって言うの?」
頬を膨らませ上目遣いで睨むと、レッドはにこりと笑った。
「……そうだよな。ファニが浮気するわけないもんな。今度、そんなことを言う奴がいたら文句言ってやる」
「うん、ありがとう」
忠犬というよりかは駄犬ね。
剣の腕はたつけれど頭は良くない。
オズックは今すぐにアルミラと結婚しないみたいだから、私の婚期も遅れることになるけど、この人はせいぜい騎士止まりだもの。
侯爵夫人とは比べ物にならないわ。
「おい、部外者を事務所内に入れんな」
低い声が聞こえて振り返ると、リラド辺境伯家の三男のフィリップ様が立っていた。
長身痩躯で顔が整っているから女性に人気はある。
だけど、いつも眉間にシワが寄っているし、誰に対しても素っ気ない態度だから好き嫌いが分かれている。
「すいません」
レッドはペコペコしながら、事務所から出て行った。
オズックだったら、もっと男らしい態度を取るはずだわ。
ため息を吐きながら自分の席に座ると、フィリップ様が睨んでくる。
「お前、ここに何しに来てんだ。男漁りの場じゃねぇんだぞ。事務所内では個人情報を扱ってんだから、部外者は入れるなって言ってんだろ」
「……申し訳ございません」
あと2年。
2年待てば、この男も私に偉そうに言えなくなる。
長い期間ではあるけれど、私に嫌な思いをさせた人物たちの悔しがる顔が見れると思うと、今から楽しみで仕方なかった。
そうそう、アルミラがどんな顔をするのかも楽しみね。
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