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11 話し合い①
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イボンヌさんとの話を終えて、家に戻ったあとはリアド辺境伯宛に手紙を書いた。
できれば会ってお話したいと書いて送ると、リアド辺境伯がこちらへ出向いてくれると返信がきた。
リアド辺境伯に会う前に、セルロッテ様と会うことになったわたしは、現在、ヨレドロール公爵家の応接室にいた。
花がお好きなのか、ソファのカバーやカーテン、調度品は花柄が多く、まるで女性の自室のような可愛らしさのある部屋だった。
そこで、わたしとセルロッテ様は向かい合っていた。
セルロッテ様は綺麗な白髪をシニヨンにし、耳には瞳と同じ色の青い石のピアスをしている、上品な淑女といった感じだ。
眉間に深く刻まれたシワをより深くして、セルロッテ様は尋ねてきた。
「アルミラさん、あなたはどうしてオズックを裏切ろうとするの」
「裏切ったのはオズック様のほうです」
「オズックが家を買ったことは知っているわ。それについてはあなたと暮らすためだと言っているならそれでいいじゃないの。あなたのお父様はすぐに代替わりするわけじゃないのだし。その庭であなたが聞いたという話も演技だと、あの子は言っているわ」
「わたしにはそう聞こえませんでした」
「そう聞こえなかったと決めつけて、物事を大きくするつもりなのかしら」
眼光は鋭く、厳しい口調で問われて怯んでしまいそうになる。
でも、わたしはいつか爵位を継ぐのだから、これくらいで臆していてはいけない。
「セルロッテ様、わたしが自分の幸せを考えて何が悪いのでしょうか。このままでは捨てられてしまうかもしれないという恐怖を感じながら、日々を暮らしていくだなんて絶対に嫌なんです」
「オズックが嘘だと言っているのに、どうして信じられないの。あなたはあんなにオズックを愛してくれていると思っていたのに心変わりしたと言うの?」
恐れていた状態になりそうなので、セルロッテ様に冷静になってもらえるように丁寧に説明する。
「わたしはオズック様のことが本当に好きでした。だから、彼の言うことは何でも信じていました。きっと、今回も相手がわたしの親友でなければ、こんな気持になっていなかったかもしれません」
「どういうことかしら」
「サプライズで婚約者に会いに行くといっているのに親友が逆にサプライズを仕掛けるなんてありえないでしょう。それなら、バレてしまったと謝ってくれるのが普通の対応ではないでしょうか」
「……そうね。しかも、やり返すことも、その内容も悪趣味なやり方だとは私も思うわ」
「親友や婚約者なら、そんなことをされたら、わたしがどう思うかわかるはずです。オズック様はわたしが来ることを知りませんでしたので油断していたのでしょう。でも、親友は違います。わたしに見られても良いと思っていた。でも、オズック様の本心を知って隠すことに決めた。だから、演技だなんて嘘をついたのでしょう。そんな人たちと長く付き合いたいだなんて思えません」
こんなことは説明されなくてもセルロッテ様なら気付いているはず。
だからか迷った様子で、セルロッテ様が口に手を当てた時だった。
扉が遠慮がちに叩かれたので、セルロッテ様は難しい顔をしたまま、扉のほうに目を向ける。
「何なの。今はお客様がいらっしゃっていることくらいわかっているでしょう」
「それが」
メイドらしき女性の声を遮って、男性と女性の声が聞こえてくる。
「母上! 開けてください! 僕たちもアルミラ嬢と話をさせてください」
「お義母様! アルミラ嬢の言うことを信じてはいけませんわ!」
扉の向こうにいるのは、オズックの両親であるエルモード夫妻のようだった。
できれば会ってお話したいと書いて送ると、リアド辺境伯がこちらへ出向いてくれると返信がきた。
リアド辺境伯に会う前に、セルロッテ様と会うことになったわたしは、現在、ヨレドロール公爵家の応接室にいた。
花がお好きなのか、ソファのカバーやカーテン、調度品は花柄が多く、まるで女性の自室のような可愛らしさのある部屋だった。
そこで、わたしとセルロッテ様は向かい合っていた。
セルロッテ様は綺麗な白髪をシニヨンにし、耳には瞳と同じ色の青い石のピアスをしている、上品な淑女といった感じだ。
眉間に深く刻まれたシワをより深くして、セルロッテ様は尋ねてきた。
「アルミラさん、あなたはどうしてオズックを裏切ろうとするの」
「裏切ったのはオズック様のほうです」
「オズックが家を買ったことは知っているわ。それについてはあなたと暮らすためだと言っているならそれでいいじゃないの。あなたのお父様はすぐに代替わりするわけじゃないのだし。その庭であなたが聞いたという話も演技だと、あの子は言っているわ」
「わたしにはそう聞こえませんでした」
「そう聞こえなかったと決めつけて、物事を大きくするつもりなのかしら」
眼光は鋭く、厳しい口調で問われて怯んでしまいそうになる。
でも、わたしはいつか爵位を継ぐのだから、これくらいで臆していてはいけない。
「セルロッテ様、わたしが自分の幸せを考えて何が悪いのでしょうか。このままでは捨てられてしまうかもしれないという恐怖を感じながら、日々を暮らしていくだなんて絶対に嫌なんです」
「オズックが嘘だと言っているのに、どうして信じられないの。あなたはあんなにオズックを愛してくれていると思っていたのに心変わりしたと言うの?」
恐れていた状態になりそうなので、セルロッテ様に冷静になってもらえるように丁寧に説明する。
「わたしはオズック様のことが本当に好きでした。だから、彼の言うことは何でも信じていました。きっと、今回も相手がわたしの親友でなければ、こんな気持になっていなかったかもしれません」
「どういうことかしら」
「サプライズで婚約者に会いに行くといっているのに親友が逆にサプライズを仕掛けるなんてありえないでしょう。それなら、バレてしまったと謝ってくれるのが普通の対応ではないでしょうか」
「……そうね。しかも、やり返すことも、その内容も悪趣味なやり方だとは私も思うわ」
「親友や婚約者なら、そんなことをされたら、わたしがどう思うかわかるはずです。オズック様はわたしが来ることを知りませんでしたので油断していたのでしょう。でも、親友は違います。わたしに見られても良いと思っていた。でも、オズック様の本心を知って隠すことに決めた。だから、演技だなんて嘘をついたのでしょう。そんな人たちと長く付き合いたいだなんて思えません」
こんなことは説明されなくてもセルロッテ様なら気付いているはず。
だからか迷った様子で、セルロッテ様が口に手を当てた時だった。
扉が遠慮がちに叩かれたので、セルロッテ様は難しい顔をしたまま、扉のほうに目を向ける。
「何なの。今はお客様がいらっしゃっていることくらいわかっているでしょう」
「それが」
メイドらしき女性の声を遮って、男性と女性の声が聞こえてくる。
「母上! 開けてください! 僕たちもアルミラ嬢と話をさせてください」
「お義母様! アルミラ嬢の言うことを信じてはいけませんわ!」
扉の向こうにいるのは、オズックの両親であるエルモード夫妻のようだった。
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