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32 元親友と元婚約者たちの現在②
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今日はとても良い天気で、雲一つない青空だった。
こんな日は、できれば気持ちの良い話をしたいものだけれど、知り合ったばかりのわたしたちには、共通の話題が少ないため、やはり、共通の知り合いの話になってしまった。
メイドがお茶を淹れてくれたお茶を一口飲んだあと、わたしは一度止めた話を再開する。
「ファニとオズック様には見張りをつけているので詳しいことがわかったの。ファニはお金を持っていそうな相手にだけ接近していたらしいわ」
「アルミラの元友人はエルモード辺境伯令息の時と同じようなことをしているというわけか」
「そうね。被害者がわたしからエミカ様に変わった感じかしら」
「ルララ辺境伯令嬢は、そのことに気づきそうなのか?」
「わからないけれど、薄々気づいているんじゃないかしら。会う回数が減っているはずだから」
頷くと、フィルは苦笑する。
「ルララ辺境伯令嬢は必死になるだろうな。俺という邪魔者を追いやって、せっかく好きな男と結婚できるところまで来たのに、他の女に浮気されているなんてな」
「それだけじゃないと言ったでしょう。実は、オズック様がそのことでエミカ様の婚約者を脅しているらしいわ」
「ルララ辺境伯令嬢の婚約者は、たしかドーナモイ伯爵令息だったよな」
「ええ。嫡男ではないから、エミカ様の爵位を頼りにしているみたいね」
わたしが頷くと、フィルは鼻で笑う。
「エルモード伯爵令息は昔の自分みたいな男を脅してるのか」
「オズック様はアフック様と同じで自分は特別だと思っていると思うの。だから、ドーナモイ伯爵令息がやっていることは自分がやったこととは別物だと思っていると思うわ」
「そう思える理由が、まったくもって理解できねぇんだが」
「理解できるほうがおかしいと思うから、安心して良いわよ」
フィルはわたしの言葉に頷くと、不思議そうな顔をして聞いてくる。
「このままいけば、ルララ辺境伯令嬢だって、さすがに浮気に気づくよな」
「と思うけれど、結婚までにファニと上手く別れる可能性もあるわ。ドーナモイ伯爵令息がどう考えているかによるわね」
「金で解決しようとするってことか?」
「ええ。でも、ファニのことだから簡単には諦めないとは思う」
「ドーナモイ伯爵令息とブァーカルド子爵令嬢はどうやって知り合ったんだ?」
わたしもそのことについて、初めて聞いた時は同じように疑問に思って、経緯を聞いていたので答える。
「ファニは仕事を辞めたんじゃなくて異動願いを出していたの。だから、今はオズック様と同じ所で働いているんだけど、社交界をにぎわせている人物が来たということで、ドーナモイ伯爵令息が事務所まで見に来たみたいよ」
「暇なのかよ」
「暇なのよ。すでに成人しているけれど、家の仕事を手伝うわけでもなく、寝るか食べるか遊ぶかしかしてないらしいわ」
苦笑して答えると、フィルは眉根を寄せた。
「羨ましい生き方なのかもしれないが、俺はしたくないな」
「働いているからこそ休みが嬉しいし、働くことに疲れたというほどは働いていないからじゃない?」
「そうだな。今の職場は俺の父が誰だかわかっているから、過度な残業をさせてこないし」
「あなたに楯突くと、自分がどうなるかわからないものね」
「仕事と私情は分けてるつもりなんだがな」
フィルがそう応えた時、少し離れた場所で立っていたメイドがやって来て、わたしたちに話しかけてくる。
「お話中に申し訳ございません」
そう言って、わたしに手渡してくれたのは小さく巻かれた白い紙だった。
ファニとオズックを見張ってくれている人間には、急ぎの場合は伝書鳩を使ってもらっている。
小さく巻かれた紙を開いてみると、こう書いてあった。
『ドーナモイ伯爵令息はブァーカルド子爵令嬢に夢中でルララ辺境伯令嬢との婚約破棄に動く可能性あり。それは彼の独断であり、ブァーカルド子爵令嬢は知らない模様。ルララ辺境伯令嬢には現在はエルモード伯爵令息のオズック様が接近中』
ファニもオズックも浮気や誰かの恋人を奪うことに罪悪感なんてない。
そして、ドーナモイ伯爵令息もその部類なのだとわかった。
こんな日は、できれば気持ちの良い話をしたいものだけれど、知り合ったばかりのわたしたちには、共通の話題が少ないため、やはり、共通の知り合いの話になってしまった。
メイドがお茶を淹れてくれたお茶を一口飲んだあと、わたしは一度止めた話を再開する。
「ファニとオズック様には見張りをつけているので詳しいことがわかったの。ファニはお金を持っていそうな相手にだけ接近していたらしいわ」
「アルミラの元友人はエルモード辺境伯令息の時と同じようなことをしているというわけか」
「そうね。被害者がわたしからエミカ様に変わった感じかしら」
「ルララ辺境伯令嬢は、そのことに気づきそうなのか?」
「わからないけれど、薄々気づいているんじゃないかしら。会う回数が減っているはずだから」
頷くと、フィルは苦笑する。
「ルララ辺境伯令嬢は必死になるだろうな。俺という邪魔者を追いやって、せっかく好きな男と結婚できるところまで来たのに、他の女に浮気されているなんてな」
「それだけじゃないと言ったでしょう。実は、オズック様がそのことでエミカ様の婚約者を脅しているらしいわ」
「ルララ辺境伯令嬢の婚約者は、たしかドーナモイ伯爵令息だったよな」
「ええ。嫡男ではないから、エミカ様の爵位を頼りにしているみたいね」
わたしが頷くと、フィルは鼻で笑う。
「エルモード伯爵令息は昔の自分みたいな男を脅してるのか」
「オズック様はアフック様と同じで自分は特別だと思っていると思うの。だから、ドーナモイ伯爵令息がやっていることは自分がやったこととは別物だと思っていると思うわ」
「そう思える理由が、まったくもって理解できねぇんだが」
「理解できるほうがおかしいと思うから、安心して良いわよ」
フィルはわたしの言葉に頷くと、不思議そうな顔をして聞いてくる。
「このままいけば、ルララ辺境伯令嬢だって、さすがに浮気に気づくよな」
「と思うけれど、結婚までにファニと上手く別れる可能性もあるわ。ドーナモイ伯爵令息がどう考えているかによるわね」
「金で解決しようとするってことか?」
「ええ。でも、ファニのことだから簡単には諦めないとは思う」
「ドーナモイ伯爵令息とブァーカルド子爵令嬢はどうやって知り合ったんだ?」
わたしもそのことについて、初めて聞いた時は同じように疑問に思って、経緯を聞いていたので答える。
「ファニは仕事を辞めたんじゃなくて異動願いを出していたの。だから、今はオズック様と同じ所で働いているんだけど、社交界をにぎわせている人物が来たということで、ドーナモイ伯爵令息が事務所まで見に来たみたいよ」
「暇なのかよ」
「暇なのよ。すでに成人しているけれど、家の仕事を手伝うわけでもなく、寝るか食べるか遊ぶかしかしてないらしいわ」
苦笑して答えると、フィルは眉根を寄せた。
「羨ましい生き方なのかもしれないが、俺はしたくないな」
「働いているからこそ休みが嬉しいし、働くことに疲れたというほどは働いていないからじゃない?」
「そうだな。今の職場は俺の父が誰だかわかっているから、過度な残業をさせてこないし」
「あなたに楯突くと、自分がどうなるかわからないものね」
「仕事と私情は分けてるつもりなんだがな」
フィルがそう応えた時、少し離れた場所で立っていたメイドがやって来て、わたしたちに話しかけてくる。
「お話中に申し訳ございません」
そう言って、わたしに手渡してくれたのは小さく巻かれた白い紙だった。
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『ドーナモイ伯爵令息はブァーカルド子爵令嬢に夢中でルララ辺境伯令嬢との婚約破棄に動く可能性あり。それは彼の独断であり、ブァーカルド子爵令嬢は知らない模様。ルララ辺境伯令嬢には現在はエルモード伯爵令息のオズック様が接近中』
ファニもオズックも浮気や誰かの恋人を奪うことに罪悪感なんてない。
そして、ドーナモイ伯爵令息もその部類なのだとわかった。
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