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33 元親友と元婚約者たちの現在③
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「よくわからないんだが、ルララ辺境伯令嬢との婚約をドーナモイ伯爵令息が破棄なんてしたら大変なことになるんじゃないか?」
「だから、オズックがエミカ様に近づいているのかもしれないわ」
「待ってくれ。ということは、ブァーカルド子爵令嬢とエルモード伯爵令息は裏で繋がっている可能性があるのか?」
「同じ職場だものね」
頷くとフィルは額を手で押さえて尋ねてくる。
「なら、どうして二人で生きていこうという考えにならないんだよ」
「自分たちの幸せよりも人への嫌がらせのほうを優先しているのだと思うわ」
「性格が悪すぎるだろ」
「誰かのものを奪うことで上に立った気持ちになる人もいるわ」
「でも、エルモード伯爵令息はドーナモイ伯爵令息を脅しているのに近づいて……ということは、ドーナモイ伯爵令息はエルモード伯爵令息の脅しに屈しなかったのか」
フィルは眉根をずっと寄せた状態で呟くように言った。
「こんなことを言うのもなんだけれど、ドーナモイ伯爵令息は賢くはないわ」
「そうだな。俺とルララ辺境伯が婚約破棄になってすぐに婚約してくらいだからな」
フィルが婚約を破棄されたことについて、今は気にしていなさそうだから聞いてみる。
「詳しく知らないから教えてほしいんだけど、ルララ辺境伯夫妻はどんな人なの?」
「娘至上主義だよ。あまりにも娘に好き勝手させているから、一部の領民が反乱を起こそうとしたけれど、理由を聞くこともなく封殺した。その後、主導者は不審死だ」
「暴君じゃないの」
「相手よりも自分の爵位が下だろうが何だろうが、邪魔者は口封じをすれば良いと思っている。そうすれば自分の命は脅かされないからな」
わたしのお父様の領地は、フィルのお父様が管理している北の辺境伯領に近いので、わたしが耳にする話題は北の話が多い。
南の辺境伯については、お父様たちは把握しているのかもしれないけれど、王家が口を挟まない以上は下手に動けないのでしょうね。
リアド辺境伯が婚約破棄について、強く言わなかったのはフィルや家族を守るためだったのかもしれない。
「オズック様もファニも自分たちが関わっている人たちが面倒な人であることに気づいているのかしら」
「気づいてないだろう。わかっていたら、わざわざ近づくような真似はしないだろうからな」
「そうね。ファニはお金が目当てなだけでしょうし、ドーナモイ伯爵令息以外にも男性はいるみたいよ」
「もしかすると、ブァーカルド子爵令嬢は他人の婚約者や恋人を奪うことを楽しんでいるのかもしれないな」
「吟味しているんでしょうね。わたしよりも幸せにならないといけないと思っていそうだわ。それよりもエミカ様、いえ、ルララ辺境伯令嬢はどう動くと思う?」
「……危ないかもしれないな」
難しい顔のフィルに尋ねる。
「どういうこと?」
「ブァーカルド子爵令嬢は俺のように襲われる可能性がある」
「フィルのような目に遭うかもしれないってこと?」
「ああ。ルララ辺境伯令嬢にとって悪いのはドーナモイ伯爵令息じゃなく、ブァーカルド子爵令嬢だからだ」
「二人共悪いわよね。……予想がつく以上は何も言わないわけにはいかないでしょうし、注意喚起をするわ」
フィルが襲われたように、ルララ辺境伯令嬢にとって邪魔者のファニは命を狙われる可能性がある。
ファニを見張っている人が巻き込まれないように、そして、ファニが危機感を覚えるように、自己満足でしかないけれど、わたしの名は出さずに彼女に忠告してもらうことにした。
さすがに見殺しにするのは良い気分にならないもの。
それにどうせ、ファニは人の忠告なんて聞かないでしょうしね。
※
申し訳ございません。
母の件で更新時間がバラバラになる可能性があります。
感想の返信も難しくなるため、一度閉じさせていただきます。
更新はできる限りするつもりです。
「だから、オズックがエミカ様に近づいているのかもしれないわ」
「待ってくれ。ということは、ブァーカルド子爵令嬢とエルモード伯爵令息は裏で繋がっている可能性があるのか?」
「同じ職場だものね」
頷くとフィルは額を手で押さえて尋ねてくる。
「なら、どうして二人で生きていこうという考えにならないんだよ」
「自分たちの幸せよりも人への嫌がらせのほうを優先しているのだと思うわ」
「性格が悪すぎるだろ」
「誰かのものを奪うことで上に立った気持ちになる人もいるわ」
「でも、エルモード伯爵令息はドーナモイ伯爵令息を脅しているのに近づいて……ということは、ドーナモイ伯爵令息はエルモード伯爵令息の脅しに屈しなかったのか」
フィルは眉根をずっと寄せた状態で呟くように言った。
「こんなことを言うのもなんだけれど、ドーナモイ伯爵令息は賢くはないわ」
「そうだな。俺とルララ辺境伯が婚約破棄になってすぐに婚約してくらいだからな」
フィルが婚約を破棄されたことについて、今は気にしていなさそうだから聞いてみる。
「詳しく知らないから教えてほしいんだけど、ルララ辺境伯夫妻はどんな人なの?」
「娘至上主義だよ。あまりにも娘に好き勝手させているから、一部の領民が反乱を起こそうとしたけれど、理由を聞くこともなく封殺した。その後、主導者は不審死だ」
「暴君じゃないの」
「相手よりも自分の爵位が下だろうが何だろうが、邪魔者は口封じをすれば良いと思っている。そうすれば自分の命は脅かされないからな」
わたしのお父様の領地は、フィルのお父様が管理している北の辺境伯領に近いので、わたしが耳にする話題は北の話が多い。
南の辺境伯については、お父様たちは把握しているのかもしれないけれど、王家が口を挟まない以上は下手に動けないのでしょうね。
リアド辺境伯が婚約破棄について、強く言わなかったのはフィルや家族を守るためだったのかもしれない。
「オズック様もファニも自分たちが関わっている人たちが面倒な人であることに気づいているのかしら」
「気づいてないだろう。わかっていたら、わざわざ近づくような真似はしないだろうからな」
「そうね。ファニはお金が目当てなだけでしょうし、ドーナモイ伯爵令息以外にも男性はいるみたいよ」
「もしかすると、ブァーカルド子爵令嬢は他人の婚約者や恋人を奪うことを楽しんでいるのかもしれないな」
「吟味しているんでしょうね。わたしよりも幸せにならないといけないと思っていそうだわ。それよりもエミカ様、いえ、ルララ辺境伯令嬢はどう動くと思う?」
「……危ないかもしれないな」
難しい顔のフィルに尋ねる。
「どういうこと?」
「ブァーカルド子爵令嬢は俺のように襲われる可能性がある」
「フィルのような目に遭うかもしれないってこと?」
「ああ。ルララ辺境伯令嬢にとって悪いのはドーナモイ伯爵令息じゃなく、ブァーカルド子爵令嬢だからだ」
「二人共悪いわよね。……予想がつく以上は何も言わないわけにはいかないでしょうし、注意喚起をするわ」
フィルが襲われたように、ルララ辺境伯令嬢にとって邪魔者のファニは命を狙われる可能性がある。
ファニを見張っている人が巻き込まれないように、そして、ファニが危機感を覚えるように、自己満足でしかないけれど、わたしの名は出さずに彼女に忠告してもらうことにした。
さすがに見殺しにするのは良い気分にならないもの。
それにどうせ、ファニは人の忠告なんて聞かないでしょうしね。
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