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ラルフ様からいただいた情報を、侍女にお願いして確認させると、やはり間違いなかった。
私の住んでいる場所から歩いて十分もかからない所に、ディーンは家を建てようとしていた。
二人が結婚するまでは、その家に住むというんです!
なんて迷惑な!
というか、どうしてラルフ様といい、私の居場所がバレてしまったんでしょうか!
これについては、ラルフ様に聞けばわかるかもしれないので、次の日、屋敷に迎えに来てくれたラルフ様に、早速、質問をぶつけてみた。
「あの、ラルフ様。出かける前に確認しておきたいのですが、ラルフ様はどうやって私の居場所をお知りなったんですか? 家族以外には屋敷の者にしか知る者はいないはずなのですが…」
「ああ。君は知らないかもしれないが、頼めば、個人の情報を売ってくれる所があるんだ」
「そ、そんな店が!」
「一般の人間は存在を知らないし、俺はそれで良いと思っている。誰だって知られたくない事があるだろうからな」
私の引越し先がバレてしまった事がまさに、それに当たるのですが…。
そう思ったけれど、口には出さずに違う質問をする。
「どうしてディーン達は私の住む場所の近くに家を買ったのでしょうか。その理由はおわかりになりますか?」
「ディーン?」
「あ、カンタス伯爵です」
元婚約者の名前はディーン・カンタスというのだけれど、今までの癖で呼び捨てで呼んでしまい、慌てて訂正する。
「そうだな。彼が決めた理由と恋人が決めた理由は違うもののようだし、理由は知っている。ただ、あなたが嫌なら潰そうか?」
「つ、潰す!?」
「彼に爵位を授与するのに、俺も関与しているからな」
「そうなのですか?」
「…ああ」
少し困ったような顔をして、ラルフ様は頷かれると、私の手をとりました。
「話が長くなりそうだから、今はこの話はやめておこう。女性に人気のスイーツ店を予約しておいたから、そこに行ってから話そうか」
「ラルフ様がスイーツですか」
そんなイメージがなくてキョトンとすると、ラルフ様は私の手をはなし、顔を背けられました。
もしかして、照れていらっしゃる?
ここ何回かお会いして気付きましたが、やはり、ラルフ様は悪い人ではなさそうです。
私を食べようとしている事をのぞいては。
そうなるとやはり、私なんかより美味しいものが、たくさんある事を知っていただかねば!
「本当はラルフ様は何がお好きなんですか? スイーツは、私に気を遣って決めて下さったんでしょう?」
「俺は、そうだな。肉料理が好きかな」
「肉料理!」
一瞬、ドキリとしましたが、ラルフ様はすぐに言葉を付け加えられました。
「ステーキなんかは、戦場に出たら食べられないからな」
そうですよね。
ラルフ様は国の為に戦っておられるお方です。
贅沢な料理を食べる日にちの方が少ないのかもしれません。
ただ、それでしたら、私なんかより美味しいものなんて、たくさんありますよね?
「私なんかより、違うものの方が美味しいのだと認識していただかなくては」
「何か言ったか?」
「いいえ。何でもありません。今日はよろしくお願い致します」
膝を折り頭を下げると、ラルフ様は再度、私の手を取ると、転移の魔道具を使われました。
私の住んでいる場所から歩いて十分もかからない所に、ディーンは家を建てようとしていた。
二人が結婚するまでは、その家に住むというんです!
なんて迷惑な!
というか、どうしてラルフ様といい、私の居場所がバレてしまったんでしょうか!
これについては、ラルフ様に聞けばわかるかもしれないので、次の日、屋敷に迎えに来てくれたラルフ様に、早速、質問をぶつけてみた。
「あの、ラルフ様。出かける前に確認しておきたいのですが、ラルフ様はどうやって私の居場所をお知りなったんですか? 家族以外には屋敷の者にしか知る者はいないはずなのですが…」
「ああ。君は知らないかもしれないが、頼めば、個人の情報を売ってくれる所があるんだ」
「そ、そんな店が!」
「一般の人間は存在を知らないし、俺はそれで良いと思っている。誰だって知られたくない事があるだろうからな」
私の引越し先がバレてしまった事がまさに、それに当たるのですが…。
そう思ったけれど、口には出さずに違う質問をする。
「どうしてディーン達は私の住む場所の近くに家を買ったのでしょうか。その理由はおわかりになりますか?」
「ディーン?」
「あ、カンタス伯爵です」
元婚約者の名前はディーン・カンタスというのだけれど、今までの癖で呼び捨てで呼んでしまい、慌てて訂正する。
「そうだな。彼が決めた理由と恋人が決めた理由は違うもののようだし、理由は知っている。ただ、あなたが嫌なら潰そうか?」
「つ、潰す!?」
「彼に爵位を授与するのに、俺も関与しているからな」
「そうなのですか?」
「…ああ」
少し困ったような顔をして、ラルフ様は頷かれると、私の手をとりました。
「話が長くなりそうだから、今はこの話はやめておこう。女性に人気のスイーツ店を予約しておいたから、そこに行ってから話そうか」
「ラルフ様がスイーツですか」
そんなイメージがなくてキョトンとすると、ラルフ様は私の手をはなし、顔を背けられました。
もしかして、照れていらっしゃる?
ここ何回かお会いして気付きましたが、やはり、ラルフ様は悪い人ではなさそうです。
私を食べようとしている事をのぞいては。
そうなるとやはり、私なんかより美味しいものが、たくさんある事を知っていただかねば!
「本当はラルフ様は何がお好きなんですか? スイーツは、私に気を遣って決めて下さったんでしょう?」
「俺は、そうだな。肉料理が好きかな」
「肉料理!」
一瞬、ドキリとしましたが、ラルフ様はすぐに言葉を付け加えられました。
「ステーキなんかは、戦場に出たら食べられないからな」
そうですよね。
ラルフ様は国の為に戦っておられるお方です。
贅沢な料理を食べる日にちの方が少ないのかもしれません。
ただ、それでしたら、私なんかより美味しいものなんて、たくさんありますよね?
「私なんかより、違うものの方が美味しいのだと認識していただかなくては」
「何か言ったか?」
「いいえ。何でもありません。今日はよろしくお願い致します」
膝を折り頭を下げると、ラルフ様は再度、私の手を取ると、転移の魔道具を使われました。
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