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27 お優しいお方ですわ? 同じ気持ちを味わってみればよろしいかと
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「ルキアさん、会えて嬉しいわ!」
ガゼボの中には、ロゼッタ様にマリアン様、そして、双子のサラウラ侯爵令嬢がいた。
マリアン様は青みかがったストーレートの黒髪、前髪は眉の位置に綺麗に切りそろえられていて、ハーフアップにしていた。
とても、線の細いか弱い令嬢といった感じで、私と目が合うと、なぜか泣き出しそうな顔になった。
え?
何で?
そんなに私、怖い顔してる?
ルキアの顔って、そう怖くないと思うんだけど?
ああ、それよりも、先にロゼッタ様に挨拶しないと。
「ロゼッタ様。いらしていたんですね。私もロゼッタ様に会えて、とても嬉しいです。ププルス侯爵令嬢と、お知り合いなんですか?」
「知り合いというほどではないわよね。年齢もだいぶ違うから」
ププルス侯爵令嬢は、ルキアよりも一つ下なので、ロゼッタ様にしてみれば娘くらいの年齢だから、挨拶をする事はあっても、仲良くお話をしたりする事はなかったのかもしれない。
「あの…、はじめ…まして…。マリアン・サラウラと…も…、申します…」
マリアン様は立ち上がり、腰を折り曲げてお辞儀をしてくれたけれど、勢いが良すぎて、ティーテーブルに額をぶつけて、ゴンという音と共に、テーブルの上にのっていたカップとソーサーがぶつかり合い、ガチャガチャと音を立てた。
「あ、あの大丈夫ですか…」
私の方が先に自己紹介しないといけなかったのに、向こうからしてくれた上に、お辞儀をしてくれたせいで、額をぶつけさせてしまった。
だから、彼女の方に歩いていき、椅子に座って前かがみになって額をおさえているマリアン様に尋ねた。
「だい…じょう…ぶ、です」
顔を少しだけ上げて、涙目でマリアン様は小さな声で言葉を返してきた。
肌が白いから、赤くなっていて余計に痛々しい。
ただ、ものすごく声が小さい。
公爵夫人になるんですよね?
その感じで大丈夫?
私の性格と足して2で割った方が良いかも…?
そういえば、マリアン様って何歳なんだろう。
後で落ち着いてから聞く事にしよう。
「あまり、大丈夫じゃなさそうね」
「ちょっと、マリアン、大丈夫なの?」
「あら、額が赤くなってるわ!」
ロゼッタ様の言葉を聞いて、立ち上がったのは向かいに座っていた、双子のサラウラ侯爵令嬢だった。
二人共、焦げ茶色の赤色の瞳で、一人は三つ編み、一人はポニーテールという髪型の、少し、気が強そうな美少女だ。
一卵性双生児なのか、とても似ている。
三つ編みがミレン、ポニーテールがエレンだ。
確か、この二人はルキアよりも一つ下だから、マリアン様は、ルキアよりも二つ下という事になる。
「あの…、わ…、わたくしは…だい…」
「ちょっと、心配だわ。こちらにいらっしゃい」
ミレン様が言うと、マリアン様はびくりと身体を震わせた。
そんな事などおかまいなしに、エレン様が彼女の背中を優しく撫でる。
「さあ、行きましょう」
「い…い…や…です」
マリアン様は首を何度も横に振る。
その様子を見て、私とロゼッタ様は顔を見合わせた。
そして、すぐに私が口を開く。
「はじめまして、ルキア・レイングと申します」
ガゼボの中という狭いスペースであるけれど、カーテシーをして見せると、ミレン様とエレン様が名乗ってきてから、綺麗なお辞儀を返してくれた。
その後、私はマリアン様に声を掛ける。
「マリアン様、だいふ痛みは引きましたか?」
「は、はい…!」
「赤みもおさまってきていますね」
「え? あ…、そう…ですか?」
鏡がないからわからないのだろうけれど、本当はそんなに赤みは引いてない。
だけど、このまま、2人にどこかへ連れて行かせてはいかない気がした。
「レイング伯爵令嬢、あなたはロゼッタ様の隣にお座りくださいませ」
蚊帳の外になっていたププルス侯爵令嬢が、私がホストだと言わんばかりに、私に空いている席を手で示した。
空いている席はロゼッタ様の隣で、ププルス侯爵令嬢の向かいの席だった。
よくわからないけど、日本では上座の席だった。
普通、ロゼッタ様を座らせるでしょう。
と思ったけど、ルキアの記憶では、この国では上座、下座はなく、偉い人から順番に好きな席に座っていくみたいだった。
ミレン様とエレン様も、マリアン様をどこかに連れて行く事は諦めた様で、大人しく、ププルス侯爵令嬢の左隣に並んで座った。
「遅くなって申し訳ございませんでした」
伯爵令嬢という、この中では一番下の身分の私が一番遅かったので、非礼を詫びると、ミレン様がここぞとばかりに言う。
「本当ですわね。ププルス侯爵令嬢ですからお許しいただけるのでしょうけれど、他の貴族でしたら、そうはいきませんわよ」
「申し訳ございませんでした」
これに関しては、私が悪いので、素直に謝る。
すると、今度はエレン様が言う。
「私なら許しませんわね」
「嫌だわ。約束の時間が過ぎているならまだしも、その時間までまだ10分以上はあるのだけど。それで、そこまで言われなければならないの?」
私に謝らせたかったみたいだけど、まさかのロゼッタ様からの反撃に、エレン様の表情が引きつった。
「そ、そういう訳ではございません!」
「では、そんなに目くじらを立てる様に言わなくてもいいんじゃないの? それとも、ホストのププルス侯爵令嬢も許さないと言うのかしら?」
ロゼッタ様は笑顔でププルス侯爵令嬢を見た。
ロゼッタ様の顔は笑ってるように見えるけど、目は笑っていない。
「そんな事はありませんわ!」
「そうですね! 約束の時間になっておりませんものね!」
ププルス侯爵令嬢が首を横に振ったからか、ミレン様とエレン様も同調した。
何なの、これ。
というか、ロゼッタ様が来てくれてなかったら、面倒な事になってたなぁ。
私一人で三人と戦わないといけなくなるところだった。
しかも、マリアン様を守りながら。
「と、ところで、わたくし、レイング伯爵令嬢にお聞きしたい事がありましたの」
ププルス侯爵令嬢が笑顔を作って続ける。
「どうして、ミゲル様と離婚なさいましたの? あんなに素敵な方ですのに…」
しょっぱなからミゲルの話がきたか…。
まあいいけど。
「人に対する思いやりがない方からでしょうか…」
「何を言っておられますの!? ミゲル様はとてもお優しいお方ですわ!」
「ププルス侯爵令嬢にはお優しいお方かもしれませんが、その当時妻だった私に暴言を浴びせ、初夜の晩に他の女性を連れ込むという方を、どうやったら優しいと思いますの? もし、その気持ちがわからないとおっしゃるのであれば、ププルス侯爵令嬢もミゲル様と結婚なさって、同じ気持ちを味わってみればよろしいかと。そして、それでもミゲル様がお優しいとおっしゃるのであれば、私は何も言いませんわ」
笑顔の私に言い返されたププルス侯爵令嬢は、手に持っていたティーカップを、がちゃんと音を立ててソーサーに戻すと、言い返してくる。
「あなたがそうさせたのでは?」
「どういう事ですか?」
「あなたの態度が悪すぎてそうさせたのでは?」
あの時の私が、今の私の態度なら、言い返せなかったかもしれない。
だけど、あれをされたのはルキア。
「いいえ。ププルス侯爵令嬢、あなたは私の事をご存知ないようですので、お伝えしますが、ミゲル様のあの発言により、弱い私は死んだのです。今の私は、その後の私です」
私の言葉を聞いて、ププルス侯爵令嬢だけでなく、ミレン様とエレン様までも私を睨んでくる。
「先程、申し上げましたよね? 信じられないと言われるのであれば、ミゲル様と結婚は無理でも、一緒に暮らして下さいませ。暴言は吐かれないかもしれませんが、あなた方の知らないミゲル様が見えるはずですよ」
ププルス侯爵令嬢だけでなく、ミレン様とエレン様にも目を向けて言うと、3人は口をへの字に曲げた。
ガゼボの中には、ロゼッタ様にマリアン様、そして、双子のサラウラ侯爵令嬢がいた。
マリアン様は青みかがったストーレートの黒髪、前髪は眉の位置に綺麗に切りそろえられていて、ハーフアップにしていた。
とても、線の細いか弱い令嬢といった感じで、私と目が合うと、なぜか泣き出しそうな顔になった。
え?
何で?
そんなに私、怖い顔してる?
ルキアの顔って、そう怖くないと思うんだけど?
ああ、それよりも、先にロゼッタ様に挨拶しないと。
「ロゼッタ様。いらしていたんですね。私もロゼッタ様に会えて、とても嬉しいです。ププルス侯爵令嬢と、お知り合いなんですか?」
「知り合いというほどではないわよね。年齢もだいぶ違うから」
ププルス侯爵令嬢は、ルキアよりも一つ下なので、ロゼッタ様にしてみれば娘くらいの年齢だから、挨拶をする事はあっても、仲良くお話をしたりする事はなかったのかもしれない。
「あの…、はじめ…まして…。マリアン・サラウラと…も…、申します…」
マリアン様は立ち上がり、腰を折り曲げてお辞儀をしてくれたけれど、勢いが良すぎて、ティーテーブルに額をぶつけて、ゴンという音と共に、テーブルの上にのっていたカップとソーサーがぶつかり合い、ガチャガチャと音を立てた。
「あ、あの大丈夫ですか…」
私の方が先に自己紹介しないといけなかったのに、向こうからしてくれた上に、お辞儀をしてくれたせいで、額をぶつけさせてしまった。
だから、彼女の方に歩いていき、椅子に座って前かがみになって額をおさえているマリアン様に尋ねた。
「だい…じょう…ぶ、です」
顔を少しだけ上げて、涙目でマリアン様は小さな声で言葉を返してきた。
肌が白いから、赤くなっていて余計に痛々しい。
ただ、ものすごく声が小さい。
公爵夫人になるんですよね?
その感じで大丈夫?
私の性格と足して2で割った方が良いかも…?
そういえば、マリアン様って何歳なんだろう。
後で落ち着いてから聞く事にしよう。
「あまり、大丈夫じゃなさそうね」
「ちょっと、マリアン、大丈夫なの?」
「あら、額が赤くなってるわ!」
ロゼッタ様の言葉を聞いて、立ち上がったのは向かいに座っていた、双子のサラウラ侯爵令嬢だった。
二人共、焦げ茶色の赤色の瞳で、一人は三つ編み、一人はポニーテールという髪型の、少し、気が強そうな美少女だ。
一卵性双生児なのか、とても似ている。
三つ編みがミレン、ポニーテールがエレンだ。
確か、この二人はルキアよりも一つ下だから、マリアン様は、ルキアよりも二つ下という事になる。
「あの…、わ…、わたくしは…だい…」
「ちょっと、心配だわ。こちらにいらっしゃい」
ミレン様が言うと、マリアン様はびくりと身体を震わせた。
そんな事などおかまいなしに、エレン様が彼女の背中を優しく撫でる。
「さあ、行きましょう」
「い…い…や…です」
マリアン様は首を何度も横に振る。
その様子を見て、私とロゼッタ様は顔を見合わせた。
そして、すぐに私が口を開く。
「はじめまして、ルキア・レイングと申します」
ガゼボの中という狭いスペースであるけれど、カーテシーをして見せると、ミレン様とエレン様が名乗ってきてから、綺麗なお辞儀を返してくれた。
その後、私はマリアン様に声を掛ける。
「マリアン様、だいふ痛みは引きましたか?」
「は、はい…!」
「赤みもおさまってきていますね」
「え? あ…、そう…ですか?」
鏡がないからわからないのだろうけれど、本当はそんなに赤みは引いてない。
だけど、このまま、2人にどこかへ連れて行かせてはいかない気がした。
「レイング伯爵令嬢、あなたはロゼッタ様の隣にお座りくださいませ」
蚊帳の外になっていたププルス侯爵令嬢が、私がホストだと言わんばかりに、私に空いている席を手で示した。
空いている席はロゼッタ様の隣で、ププルス侯爵令嬢の向かいの席だった。
よくわからないけど、日本では上座の席だった。
普通、ロゼッタ様を座らせるでしょう。
と思ったけど、ルキアの記憶では、この国では上座、下座はなく、偉い人から順番に好きな席に座っていくみたいだった。
ミレン様とエレン様も、マリアン様をどこかに連れて行く事は諦めた様で、大人しく、ププルス侯爵令嬢の左隣に並んで座った。
「遅くなって申し訳ございませんでした」
伯爵令嬢という、この中では一番下の身分の私が一番遅かったので、非礼を詫びると、ミレン様がここぞとばかりに言う。
「本当ですわね。ププルス侯爵令嬢ですからお許しいただけるのでしょうけれど、他の貴族でしたら、そうはいきませんわよ」
「申し訳ございませんでした」
これに関しては、私が悪いので、素直に謝る。
すると、今度はエレン様が言う。
「私なら許しませんわね」
「嫌だわ。約束の時間が過ぎているならまだしも、その時間までまだ10分以上はあるのだけど。それで、そこまで言われなければならないの?」
私に謝らせたかったみたいだけど、まさかのロゼッタ様からの反撃に、エレン様の表情が引きつった。
「そ、そういう訳ではございません!」
「では、そんなに目くじらを立てる様に言わなくてもいいんじゃないの? それとも、ホストのププルス侯爵令嬢も許さないと言うのかしら?」
ロゼッタ様は笑顔でププルス侯爵令嬢を見た。
ロゼッタ様の顔は笑ってるように見えるけど、目は笑っていない。
「そんな事はありませんわ!」
「そうですね! 約束の時間になっておりませんものね!」
ププルス侯爵令嬢が首を横に振ったからか、ミレン様とエレン様も同調した。
何なの、これ。
というか、ロゼッタ様が来てくれてなかったら、面倒な事になってたなぁ。
私一人で三人と戦わないといけなくなるところだった。
しかも、マリアン様を守りながら。
「と、ところで、わたくし、レイング伯爵令嬢にお聞きしたい事がありましたの」
ププルス侯爵令嬢が笑顔を作って続ける。
「どうして、ミゲル様と離婚なさいましたの? あんなに素敵な方ですのに…」
しょっぱなからミゲルの話がきたか…。
まあいいけど。
「人に対する思いやりがない方からでしょうか…」
「何を言っておられますの!? ミゲル様はとてもお優しいお方ですわ!」
「ププルス侯爵令嬢にはお優しいお方かもしれませんが、その当時妻だった私に暴言を浴びせ、初夜の晩に他の女性を連れ込むという方を、どうやったら優しいと思いますの? もし、その気持ちがわからないとおっしゃるのであれば、ププルス侯爵令嬢もミゲル様と結婚なさって、同じ気持ちを味わってみればよろしいかと。そして、それでもミゲル様がお優しいとおっしゃるのであれば、私は何も言いませんわ」
笑顔の私に言い返されたププルス侯爵令嬢は、手に持っていたティーカップを、がちゃんと音を立ててソーサーに戻すと、言い返してくる。
「あなたがそうさせたのでは?」
「どういう事ですか?」
「あなたの態度が悪すぎてそうさせたのでは?」
あの時の私が、今の私の態度なら、言い返せなかったかもしれない。
だけど、あれをされたのはルキア。
「いいえ。ププルス侯爵令嬢、あなたは私の事をご存知ないようですので、お伝えしますが、ミゲル様のあの発言により、弱い私は死んだのです。今の私は、その後の私です」
私の言葉を聞いて、ププルス侯爵令嬢だけでなく、ミレン様とエレン様までも私を睨んでくる。
「先程、申し上げましたよね? 信じられないと言われるのであれば、ミゲル様と結婚は無理でも、一緒に暮らして下さいませ。暴言は吐かれないかもしれませんが、あなた方の知らないミゲル様が見えるはずですよ」
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