あなたの妻にはなりません

風見ゆうみ

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 オードル様とは直接、連絡を取ることができない。
 わたしと彼に繋がりがあるとわかれば、ディール様に警戒されるし、オードル様のしていることは、裏社外では有名か話だ。

 だから、わたしが彼と連絡を取り合っていることがわかると、仇討ちを頼んでいると思われるからだ。

 だから、薬師を介して連絡を取り合っていた。

 ちなみに購入した毒は、淑女が持っているものではないと言われ、返品させられた上に、美容に良いという薬に交換された。

 言われて見て気がついたけど、鏡の中の自分は、肌も荒れてやつれているし、かなり、酷い顔をしていた。

 騙されたと思って飲んでみたら、気持ちの問題なのか、肌荒れが改善してきた。

 順調に物事が運んでいると思っていた頃、予想外の出来事が起こった。

「あなた、一体、何があったの」

 わたしの態度の変化にお母様が怪しみ始めたのだ。

「いきなり、どうしたのですか」
「あなたが明るくなったのは喜ばしいことだけど、何だか変なのよね」
「……どういうことでしょうか」
「あれだけ悲しんでいたのに、そんなに簡単に吹っ切れるものかしら」
「簡単に吹っ切れてなんていません。レイズのことは毎日考えています」
「そうだとしても、何だか一気に明るくなったというか……」

 やはり、こういうところは母親なんでしょう。
 わたしの変化に気がついてしまった。

 お母様はことあるごとに、探りを入れてきた。
 嘘をつくのは苦手ではないけれど、得意でもない。

 誤魔化すのには苦労した。

 避ければ、余計に怪しまれると思ったから、それもできなかった。
 だから、理由を考えて、それを伝えてみた。

「薬屋に行って美容に良い薬を処方してもらったんです。それで肌艶が良くなったので、そう見えるのかもしれません」
「……そうなの? そんなに良いなら、私も試してみようかしら」
「ぜひ。お母様も一度行ってみてください」
 
 薬師にしてみれば、良いカモが来たということで喜んでくれるでしょう。

 かといって突然、お母様が行くと驚くだろうからと思い、その次の日、自分の薬を買うふりをして、薬師の元へ向かった。

「ちょうど良いところに来たね」

 薬師の老婆はにこりと微笑むと、わたしを店の裏に連れて行った。

 そこにはオードル様と若い男性がいて、こちらに背を向けて談笑している声が聞こえてきた。

 二人共、フードを被っていて怪しいから、表の扉からは出ていかないんだそうだ。

「早く追いかけな」

 薬師に背中を押されて走り出すと、わたしの足音に気がついた二人が振り返った。

 そして、相手が誰だかわかった瞬間、私の目から涙がこぼれた。


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